企業が保有する売掛金を売ることで資金を調達できるファクタリング。ファクタリング契約の際には、債権譲渡登記が必要なので別途費用がかかるという説明を受けることがあります。
その際にオンラインなどを使うのか?そもそもどのような流れで登記が申請されるのだろうか…と疑問を感じたことはないでしょうか。
登記の申請といえば、不動産の所有者を変更する登記や資金調達の場面で抵当権を設定、または解除といった登記が一般的です。
ファクタリング会社が買取る売掛金に対して登記を行うと耳にしても、馴染みがないため方法がよくわからないしリスクに感じる方もいるでしょう。
また、申請手続きは資金を貸付る銀行依頼の司法書士などに任せているので、特に自分が関わることもないという方も少なくありません。
そこで、ファクタリングにおいて必要とする債権譲渡登記のメリットやデメリットを踏まえ、どのような流れで登記が申請されるのかご説明します。
債権譲渡登記の方式の種類
ファクタリングは未回収の売掛債権を売却して資金調達する方法であるため、融資を受けるわけではないことから担保も必要なく、返済負担を負うこともありません。
ファクタリング会社によっては即日現金化が可能のなるなど、迅速性が高い資金調達方法ではありますが、利用する際には手数料が発生します。
その手数料を左右するのが債権譲渡登記ともいえます。
現在、債権譲渡登記の方式は3種類あり、それぞれ内容に違いがあります。
債権譲渡登記は他の登記手続きよりも申請数は多くない登記のうちの1つといえますが、ファクタリング利用において行われる登記は実際にどのような方法や流れで手続きが行われるのか確認しておきましょう。
書面方式
申請データを磁気記録媒体(CD-RやCD-RW)に格納したものと、登記申請書や委任状など添付書類を印刷したものを登記所に郵送もしくは持参して申請する方式です。
オンライン方式
登記・供託オンライン申請システムにより、申請に必要な書式すべてをオンラインで送信する方式です。
注意したいのは、会社の本店商号・代表者を証明する書面である資格証明書など別途、郵送や持参することはできないということです。
さらに、代理人の電子署名に加えて、申請人の電子署名も必要になります。
事前提供方式
事前に申請データを登記・供託オンライン申請システムを使ってオンラインにより送信し、登記申請書や添付書類は、登記所に郵送もしくは持参して申請する方式です。
書面申請で使用する磁気記録媒体のデータを、前もってオンラインで提出すると理解しておきましょう。
オンラインで送信して2週間以内に書類の提出がなければ自動的に提供したデータは削除されること、また、登録免許税を電子納付することはできない点に注意が必要です。
なぜ債権譲渡登記がファクタリングに必要か
そもそも債権譲渡登記制度とは、法人が行う金銭債権の譲渡について、債務者以外の第三者に対しての対抗要件に備えるために用いられる制度です。
本来であれば、原則確定日付のある証書で債務者に通知を行う、または債務者の承諾を得ることで第三者に対抗することは可能です。
しかし、2社間ファクタリングなど売掛先に通知を行う場合や承諾を得ない方法で取引が行われる場合には、この債権譲渡登記を用いることでファクタリング会社が第三者に対する対抗要件を得ることが可能となるため必要とされる場合があります。
証明書もオンラインで請求可能?
通常であれば債権譲渡登記を行ってもその事実を売掛先に知らせることはないので、ファクタリングを利用する会社も安心して審査を受けることができ、資金調達できるのは大きなメリットです。
なお平成23年4月1日より、オンラインにより交付請求をした債権譲渡登記の概要記録事項証明書は、全国の登記所窓口で交付が可能となっています。
ただオンライン交付請求で債権譲渡登記の証明書を請求し、登記所窓口で交付を受けるときには、本人確認書類として「法務大臣の定める書面」を窓口に提出することが必要とされています。
オンライン証明書の交付請求手続を行う場合、申請用総合ソフトを利用する場合と、かんたん証明書請求を利用する方法があります。
申請用総合ソフトを利用するなら、ネット接続されたパソコンに債権譲渡登記の申請人プログラムのインストールが必要です。登記・供託オンライン申請システムの申請用総合ソフトをインストールする手続きを忘れず行うようにしてください。
ファクタリング利用で不安を感じるなら
このように、債権譲渡登記を行うにはいくつか方法があり、その証明書を取得する方法も一般的には複雑であると留意しておきましょう。
ファクタリングで債権譲渡登記が必要となっても、わざわざ売掛先が自分の売掛金が譲渡されたのではないかと確認にいくとは考えにくいといえます。
ただし必ずしも売掛先に債権を売却した事実を知られないとも限りませんし、金融機関からの融資を希望している場合には銀行側が審査において確認するリスクは発生します。そうなると銀行融資の貸付審査には通らなくなってしまうという大きなデメリットを抱えることになりますので、できる限り債権譲渡登記は避けたい手続きでもあります。
何よりもファクタリングを利用する際には手数料が発生するため、債権譲渡登記が必要になればその分費用負担は大きくなってしまいます。さらに債権譲渡登記は法人のみが可能となっている制度のため、個人がファクタリングで資金調達する場合には利用できません。
このような場合も踏まえてファクタリングで資金調達する際には、債権譲渡登記を行わずに取引を行うなど柔軟対応を可能とするファクタリング会社を選択することをおすすめします。
違法な取引を行い、逮捕されている業者もあるほどなので、必ず口コミなどを参考に安心できる業者と契約を結ぶようにしてください。