売掛金や経費の2重計上を防ぐために必要なこととは?

正しく経理処理を行っているつもりでも、売掛金や経費を2重計上してしまうミスが起きないとは限りません。

しかし、もし2重計上してしまうと、経費の水増しと判断されてしまいますし、売掛金については過剰に取引先に請求してしまうこととなり信頼関係を脅かしかねません。

また、会計処理上、いつまでも消えない売掛金が残る形となってしまうので、しっかりと会計上の管理を行い、ミスのないように処理を行うようにしていきましょう。

経費の2重計上が発生しやすいタイミング

経費を2重計上してしまいやすくなるのはクレジットカードの利用があったときです。

クレジットカードを利用してものを購入すると、店舗から受け取る領収書とは別に、後日、クレジットカード会社から明細書も発行されます。

そのため、領収書ですでに経費として計上しているのにもかかわらず、後日明細書を参考に経費として計上するといった処理を行ってしまうのです。

売掛金の2重計上が起きやすいとき

売掛金の2重計上が起きやすいのは、手元に同じ請求書や領収書が複数枚存在することが要因です。

たとえば、本来正規の請求書として発行したものとは別に、まだ金額が確定されていない段階で発行された仮の請求書や、記載ミスなどで発行し直す前の請求書が残っている場合、両方とも請求書として処理されることで2重計上してしまいます。

売掛金や経費の2重計上を防ぐために

2重計上を防ぐためには、領収書や請求書などを複数枚存在させないことが基本です。

たとえば消耗品や交通費などをクレジットカードにより決済する場合には、カードを使った段階で処理を行い、後日発行される明細書を参考に処理を行わないなど、処理をするタイミングを統一することが必要です。

適切な管理を行うことが重要

売掛金についても、どの得意先に対していくら売掛金が発生し、まだ回収できていない売掛金はどのくらいあるのかなど、日々管理を行うことが求められます。
それぞれの売掛金期日も確認し、遅れず入金されているかチェックしておきましょう。

また、商品が引き渡され納品書が発行された段階で売上と売掛金で処理を行い、請求書が発行されたときには再度計上してしまわないなど、こちらも計上のタイミングを統一することが必要です。

そこで、売掛金については次のようなことをチェックしながら処理を行うようにしてください。

  • 商品の引き渡しときなど売掛金を計上するタイミングは統一されているか
  • どの得意先に対しそのくらいの売掛金残高が残っているか把握できているか
  • 期日になっても入金されていない売掛金を確認できているか
  • 期日になっても入金されていない売掛金は再度得意先に連絡を取って入金の約束を取り付けているか
  • 得意先ごとの与信管理を行い、売掛金残高はその範囲におさまっているか

売掛金だけでなく買掛金の管理も忘れずに!

さらに仕入れなどで発生する買掛金についても、商品が納品されたときに計上できているか、どの仕入先に対しどのくらいの買掛金残高があるか把握できているか再度確認しておきましょう。

売掛金の2重計上と同じく、買掛金の2重払いも発生しないような適切な管理が必要です。

受け取った請求書と買掛金残高とを照合し、その金額で間違いがないか確認しておくようにしてください。

まとめ

もし2重計上が発生したり、反対に請求漏れがあると、自社の資金繰りに影響するだけでなく得意先にまで迷惑がかかってしまいます。2重払いが発生した際にも同じく、重ねて支払ってしまった分を払い戻してもらうなど、自社の事務処理だけでなく得意先の事務手続きも複雑化させてしまうことになるでしょう。

請求するべき金額を明確にし、回収までの期間を長期化させないためにも適切な売掛金管理を行っていくことが必要ですし、経費や買掛金の管理も確実に行っていくことが求められます。

ファクタリングを利用する際の手数料に消費税は課税される?

売掛債権を現金化して資金を調達するファクタリング。利用する際には手数料を支払うことが必要となりますが、消費税の課税対象にはなるのでしょうか。そこで、もしファクタリングを利用したときに発生する手数料や、利用する上で消費税の扱いはどのようになるのかご説明します。

ファクタリングの手数料と消費税

まず、ファクタリングに利用する売掛金には最初から消費税が含まれています。そのため、売掛金は不課税科目の扱いとなり、消費税は対象外です。

ファクタリングは売掛金を譲渡して資金を調達する方法なので、譲渡により受け取った売却代金には消費税はかからないということです。

さらに、ファクタリングを利用するときにはファクタリング会社に手数料を支払うことになりますが、手数料に対しても消費税は課税されません

ファクタリングを利用しても消費税に影響はほとんどない

消費税は、商品やサービスを購入したり、提供してもらう際に課税される税金であり、国税に該当する税金です。2019年10月からは8%から10%に税率も上がるので注目しておきたい部分といえるでしょう。

商品を販売した場合には消費税を受け取ることになりますが、販売する商品や製品、または材料を仕入れるときには消費税を支払うことになります。そのため、販売した際に預かった消費税から、仕入れなどで支払った消費税を差し引き、その差額を納税することになります。

ただ、支払った消費税は、課税売上高が5億円以下で課税売上割合が95%以上のときにだけ払消費税を全額差し引くことが可能です。

課税売上割合は、

課税売上高 ÷(課税売上高 + 非課税売上高)=課税売上割合

という計算式により算出した割合で判断します。

全額差し引くことができなくなると、税負担が増えると理解しておきましょう。

売掛債権は、課税売上割合の計算において非課税売上高に含める必要はないことから、ファクタリングで課税売上割合を低下させることもなく、それと同時に税負担を増やすこともないといえます。

受け取った債権売却代金は非課税売上高に含めないこと

売掛債権が消費税の対象ではない不課税科目として扱われるのは、すでに消費税を支払っているからです。

消費税納税額を計算するときに売掛債権を非課税売上高に含めてしまうと二重に計上することになります。そのため、課税売上割合の計算を行う場合、ファクタリングを利用したことで受け取った売掛債権の売却代金は、非課税売上高に含めないようにしてください。

ただ、他社から売掛債権を受け取り、さらに別に譲渡するといった場合には、売掛債権の売却代金を非課税売上高に含めることになります。

ファクタリング利用は消費税の影響はない

ファクタリングで資金調達をしたとしても、手数料に消費税はかかりません。特に2社間ファクタリングの場合、売掛債権額の10~25%程度を目安とした手数料が設定されますので、消費税分を支払わずに資金調達できるのは大きなメリットといえます。

また、ファクタリングを利用する際には、利用者の信用力よりも売掛先の信用力を重視した審査が行われます。利用者の信用力はそれほど重視されないということは、赤字決算や税金滞納などの状態であっても利用可能な資金調達の手法であるということです。

その上、負債を増やすこともないため、スムーズに資金繰りを改善させやすい資金調達の方法でもありますので、まさに資金調達の救世主的な存在といえるでしょう。

なお、ファクタリングを利用しても税務処理が複雑化することはなく、仕事量が増えてしまうと考える方もいるようですが、そのようなことはありませんので安心して利用してみてはいかがでしょう。

営業債権や売掛債権と呼ばれる債権はどのような性質や特徴があるのか?

売掛債権は、売上債権または営業債権と呼ばれることもある権利であり、中小企業で多く保有されている資産です。近年ではこの売掛債権を活用した資金調達なども注目されていますが、もし活用するのであれば、そもそもどのような性質があるのか把握しておく必要があります。

そこで、売掛債権とは何なのか、その性質や特徴、把握しておきたい内容などをご説明します。

売掛債権とは

企業が営業活動によって商品やサービスを販売・提供したとき、まだ回収できていない代金を請求する権利売掛債権営業債権といいます。

商品・サービスを販売・提供するたびに現金で受け取るという取引形態であれば、その分、事務作業やミスが増えてしまいがちです。

そこで、効率的に取引を進めるためにも、企業間取引では現金取引ではなく掛け取引が行われることが一般的であり、この掛け取引によって売掛債権は発生します。

重要なのか未回収分を出さないこと

信用取引により成り立つ資産であり、売掛金受取手形という2種類に分けることができますが、売掛金は商品やサービスを販売・提供したときに後払いで支払われる代金で、受取手形は購入する側が販売する側に対し、所定の期日までに支払いを行うことを約束する証書を指しています。

どちらも販売や提供の段階で現金の受け渡しを発生させないものであり、未回収にならないため適切な管理を行うことが必要です。

1~2か月分まとめて後払いで支払いをしてもらうとすれば、支払い期日には確実にその代金を回収することが求められます。発生した売掛債権の管理をしっかり行って、遅れが生じないように回収に務めていくようにしましょう。

適切な管理のために把握しておきたい売掛債権回転期間

売掛債権を適切に管理していくためにも把握しておきたいのが、売掛債権回転期間です。

取引先と契約するときには、いつ代金を支払ってもらう日にするのか、期日を定めることになりますが、商品やサービスを販売して代金を入金してもらうまでの期間が長くなりすぎてしまうと資金繰りが悪化してしまいます。

この回収できるまでのスパンを売掛債権回転期間といいますが、業種によって期間の目安は異なります。

中小企業庁では業種ごとの売掛債権回転期間(日)を目安として定めているようですが、現在の取引での回収期間がこの範囲内におさまっているか確認してみましょう。

・建設業 約46日
・製造業 約66日
・運輸業 約43日
・卸売業 約56日
・小売業 約20日
・不動産業 約4日
・飲食・宿泊業 約3日
・サービス業 約32日
・情報通信業 約52日

売掛債権流動化によりスムーズな資金調達を

売掛債権は、売掛債権流動化や売掛債権担保融資保証制度などの資金調達の方法で用いられることが多くなりました。

売掛債権流動化とは、決済日到来前に企業が保有する売掛債権を第三者に譲渡して売却代金を得るか、または担保として差し入れて融資を受けるといった形で資金を調達することです。

売掛債権を使って融資を受けるか現金化するか

売掛債権担保融資保証制度は、保有している売掛債権を担保に金融機関が融資を行う場合において、信用保証協会がその保証を行う制度です。売掛債権を資金調達に活用することで、従来のように不動産担保に頼らず融資を受けることができるようになるでしょうし、不動産などを所有していなくても借入れが可能となります。

また、融資を受けるのではなく、別の方法で資金を調達したいという場合でも、売掛債権を売却して現金化するファクタリングなどで、借金を増やさない資金調達が可能です。

近年では中小企業の多くがこのファクタリングによる資金調達を始めていますので、資金繰りを安定させたいのなら検討してみてはいかがでしょう。

売掛金を放置すると時効を迎えて残高は0になってしまう?

会社経営において、売上を向上させることはとても大切なことですが、忘れてはいけないのが売上代金は回収するまでが商売であるということです。時効を迎えれば存在したはずの売掛金が0になる可能性もあります。

回収できていない売掛金が多く残っていると、最悪の場合回収するタイミングを失って貸し倒れとなる可能性もあります。

時効を迎えれば存在したはずの売掛金が0になる可能性もあるため、売掛金回収率100%を達成することを目指しましょう。

売掛先ごとの与信管理の徹底を

取引先に請求書を発行し、その代金が入金されるまではしっかり管理を行う必要があります。入金までが適切に行われているかによってランク付けを行うなど、与信管理を行うことは貸し倒れを防ぐ上でとても重要なことです。

キャッシュフローを改善させる基本は、売掛金をできる限り早く回収すること、そして買掛金は限界までその事実を延ばすことです。

売掛債権回転率も確認を

売掛金が適切に回収できているか判断するために、売掛債権回転率を確認してみましょう。

売掛債権回転率は、売上高を売掛債権(売掛金)で割って算出することができますが、数値が高いほど、売上を占める売掛金が低い状態ことになるので、売掛金をスムーズに回収できていると判断できます。

売掛債権回転期間も要チェック

さらに売掛債権回転期間も確認が必要です。

売掛金回転期間とは、発生した売掛金が何か月で回収できているかを把握するための指標であるため、資金繰りを把握する上で重要なポイントになるでしょう。

売掛金の残高は売上高の大きさに比例して増えるので、

売掛金を平均月商(売上高/12か月)で割り、売掛金を平均してどのくらいの月で回収できているかを計算します。

この期間は短ければ短いほどスムーズな回収ができており、資金繰りも楽になると考えられるでしょう。

取引先ごとに計算してみて、回収期間が長い場合には早期回収に努めることが必要です。

未回収のまま放置していると売掛金は時効により0に…

なお、回収できない売掛金には時効が定められていることに注意してください。

時効については2020年4月に改正されることが予想されていますが、2019年時点では売掛金の種類により時効を迎える期間も異なります。

まず、売掛金は商取引によって発生するものなので、一般的には商法により5年の消滅時効にかかるとされています。

ただし、業種によってはこの5年という期間よりも短い時効期間の定めとなる場合があり、たとえば、建築工事などの請負代金は3年、製造業・卸売業・小売業の掛け代金は2年、運送業や旅館業の宿泊代金などは1年というように、業種によって年数はバラバラです。

改正された民法によって、これらの職業別の短期消滅時効は廃止となり、「債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年」または「債権者が権利を行使することができる時から10年」のうち、どちらか早い方を消滅時効期間とするように統一されています。

ただ、新しい民法は2020年4月1日から施行となるため、それまでは従来の法律に従った時効で判断するようにしてください。

入金が遅れている取引先へは次の対応を

入金が遅れた取引先については、すぐに遅れている事実を伝え、その理由によってはすぐに再請求をかけていつ入金してもらえるか確認しましょう。

再請求を出したのに約束した期日までに支払いがない場合には、再度、なぜ遅れているのか、いつ支払ってもらえるのかをきいておきます。

それでも期日を経過した場合は、法的手段に入るといったことも視野にいれながら、再々請求書を即日に出し続けることが必要です。

実際に法的手段による回収を検討する場合には、まずは相手との交渉を行い、内容証明の送付、調停・訴訟、差し押さえといった流れとなることが一般的です。

まとめ

回収できないままの売掛金を放置していると、時効を迎えてしまうことでその残額は0になっていまいます。

そのようなことのないように、社内における売掛金管理ルールを見直して、貸し倒れをなくすような管理を徹底させましょう。

ファクタリングで支払いができなくなったら分割払いも対応可能?

近年では中小企業や個人事業主などが有効な資金調達の方法としてファクタリングを利用することも増えてきました。

ファクタリングにより、数か月先の売掛金を前倒しで受け取ることができれば、資金繰りも改善されやすいからです。

ただ、ファクタリングで先に売掛金を現金化したものの、売掛先から受け取った代金をファクタリング会社に渡すことができなかったり、一括で手数料を支払うのは苦しいという場合、分割払いに対応してもらえないかと考えることもあるようですが、これは可能なのでしょうか。

支払いができなくなるケースは2社間ファクタリングで発生する

売掛先から売掛金を回収し、ファクタリング会社にその代金をスライドさせて支払う必要があるのは2社間ファクタリングによる取引です。

3社間では売掛先からファクタリング会社に直接、売掛金の支払いが行われることになるのでこのような流れは生じません。ただ、保有する売掛金をファクタリングに利用することを売掛先には知られたくないという場合には、2社間ファクタリングを選ぶことになるでしょう。

ただ問題となるのは、2社間ファクタリングで回収した売掛金を使い込んでしまう利用者もいるということです。

ファクタリングで売掛金を現金化したときはよかったものの、売掛先から売掛金が入金される段階になってまた資金繰りが悪化したり、借入金の返済や仕入れ代金の支払いを行うための資金が不足したことを理由として、その支払いに充ててしまうのでしょう。

売掛先からの売掛金は分割払いできるのか

もしファクタリング会社に渡さなければならないお金を使ってしまったとき、分割払いという対応は可能になるのでしょうか。

ファクタリングを利用するときには、契約書にいつ支払いを行う必要があるのかその期日が明記されます。

仮に売掛先からの入金がなく、支払いが遅れることも稀に出てくるでしょうが、この場合にはファクタリング会社に連絡して入金を伸ばしてもらえないか交渉してみることが必要です。

しかしすでに入金されているのにもかかわらず、使い込んだことを理由に先延ばしにしてもらうよう交渉しても、まず応じてもらえないでしょう。

利用者はファクタリング会社に代わり売掛先から代金を回収したにすぎず、その代金はファクタリング会社のものですので、使い込んでしまう行為横領に該当します。

回収した代金を支払わないままでいると…

ファクタリング会社に支払いができないまま放置していれば、売掛先に債権譲渡通知という、契約時にサインした売掛金の支払いを利用者からファクタリング会社に変更してもらう法的文書が送られることになるでしょう。

それによって、売掛先には売掛金をファクタリングに利用したことを知られることになるだけでなく、その代金を支払っていないことまで知られてしまい信頼関係を崩すことになるでしょう。

継続した取引を断られることになり、事業を継続することが難しくなる可能性もありますので、回収した代金は使い込まずファクタリング会社に渡すようにしてください。

また、ファクタリングを利用する際に発生する手数料についても、現金化する際に手数料分が差し引かれることになりますので、後で手数料だけを分割で支払うという取り扱いはできないと理解しておきましょう。

ファクタリング会社を装う悪徳業者に注意を

ファクタリング会社を装う悪徳な業者になると、分割で利息だけ支払ってくれれば元金は据え置くといったことも行うようですが、そもそもファクタリングは融資ではないので利息は発生しません。

悪徳業者が行っているのはファクタリングではなく、ファクタリングに見せかけた法外な利息を設定した金銭の貸し付けです。

このような取引に騙されないように、ファクタリングにおいて分割払いはできないので、売掛先から回収した代金は正しくファクタリング会社にスライドさせて支払うことを行うようにしてください。

ファクタリングで資金調達する場合に行われる審査で重視される項目とは?

ファクタリングで資金調達を行う場合、ファクタリング会社は売掛金の買い取りに際し、売掛先の信用調査を重視した審査を実施します。

ではなぜファクタリングに売掛先の信用力が重視されるのか、ファクタリングの審査とは何を指標に進めるのかをご説明します。

財務状況が悪化していても利用できる資金調達の方法

ファクタリングで資金を調達したいけれど、赤字決算や税金滞納、社会保険料の滞納などできっと審査で断られてしまう…と諦めていないでしょうか。このような不安材料があったとしても、ファクタリングなら利用できる可能性があります。

その理由は、ファクタリングにおける審査では、利用者ではなく信用力を重視した内容で行われるからです。

ファクタリングで審査が行われる理由とは

ファクタリングは売掛金をファクタリング会社に売却し、その代金を先払いしてもらう形で資金を調達する方法です。

ファクタリングには、利用者とファクタリング会社の実で契約する2社間ファクタリングと、その間に売掛先を含める3社間ファクタリングがあります。

このうち2社間ファクタリングの場合、期日を迎えた売掛金は利用者が売掛先から回収し、回収した代金をそのままファクタリング会社に支払うという流れが必要です。

そのため、もしすでに現金化した代金が回収できなくなると、ファクタリング会社は損失を抱えることになってしまうので、貸し倒れリスクを回避するために審査が行われます。

重視されるのは売掛先の信用力

2社間ファクタリングの場合、売掛先から受け取った売掛代金をスライドしてファクタリング会社に渡さなければなりません。そのためも回収したタイミングで別の支払いに充ててしまわれたり、代金を使い込まれてしまう可能性も考えた上で審査を進めることになりますが、それでも実際に代金を支払うことになる売掛先の信用力のほうが重視されます。

利用者が赤字決算や税金滞納している状態だとしても、売掛債権の売掛先が上場企業などで経営状況が安定していれば利用できるということです。

ファクタリングで指標となる情報の入手先

売掛先の信用力を判断するためには、帝国データバンクや東京商工リサーチ、法人信用情報(JICC)といった与信調査会社の情報を目安にされることが多いようです。

それぞれの信用情報機関によって、提供される情報は異なりますので、事業内容や特色、業績、消費者金融からの借り入れなど、複数の項目を確認するためにいくつかの調査会社から情報を取得することが一般的です。

倒産する可能性はないかなども確認し、信用力の高さを判断して買い取っても問題ない売掛金かを決めるという流れです。

売掛金は確実に回収できるのか、倒産することはないかを判断するために、資金や借入金の状況、利益の推移などを確認していきます。

まとめ

会社経営を続けていれば、売上は上がっていても手元の資金は不足するという事態は起こりうる話です。そのようなときには、銀行融資で運転資金を準備するのか、出資額を増額するのかなど、様々な資金の調達方法を検討することになるでしょう。

しかし支払いが差し迫る中で、すぐに資金を調達できる方法は限られています。即日融資を可能とするノンバンクからの借り入れは、そのときは資金を調達できて安心できるかもしれませんが、後の返済負担に苦しくなる可能性も考えられます。

このようなことから、負債を増やさず、将来受け取る予定の売掛金を前倒しで受け取ることができるファクタリングが注目されつつあるといえます。

ファクタリングにおける審査は、売掛先の信用力を重視した内容となっていますので、急な資金に困っているのなら信用力の高いと判断されやすい売掛金をファクタリングに利用してみてはいかがでしょう。

上手にファクタリングを活用することで、悪化している資金繰りも改善されやすくなるはずです。

決算書の数値をわざとマイナスする企業がある理由とは?

企業経営を行う上での成績表である決算書。その決算書がマイナスであるよりは、プラスであるほうがよいでしょう。

ただ、企業によってはわざと決算書をマイナスにして存続を維持させようとする場合もあるようです。ではなぜこのようなことを行うのか、その内容を説明します。

決算書がマイナスをあらわす要因とは

決算書は貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書で構成されます。売上を向上させ利益を生み出そうとしても、帳簿上はマイナスを表示してしまうことがあります。

業績が悪化しているからマイナスを示すのではなく、たとえば企業したばかりのときなどは初期費用が多くかかるため赤字になりやすいといえます。

事業を続けている間にも、買掛金として計上している未払い分があるのなら、取引先に相談して伝票を削除してもらい赤字を防ぐこともできます。しかしそのような帳簿上の調整を行わずに、決算書はマイナスのままのほうがよいという企業も少なくありません。

決算書が赤字のメリット

法人の場合、年度ごとに決算処理を行い、課税所得金額に法人税率を掛けて法人税額を算出しますが、所得が出ずにマイナスであれば税負担を抑えることができます。さらにそれだけではなく、赤字であることで次のようなメリットが挙げられます。

最長9年まで欠損金の繰り越しが可能

また、決算書がマイナスの場合には、差し引きして残った損失分を繰越欠損金として翌年以降に繰り越し、翌年度以降の課税所得から控除することが可能となります。

繰越欠損金は最長9年まで繰り越すことができるので、翌年度以降に黒字が出ても欠損金として計上することで節税対策に繋げやすくなるのです。

法人税を還付してもらうことも可能に

事業を続ける上で黒字のときもあれば赤字のときもあるでしょう。企業の決算書が黒字から赤字に転落すると、一気に財務状況が厳しくなることで黒字のときに支払った法人税を戻して欲しいと思うかもしれません。

このような場合、資本金1億円以下で青色申告書による確定申告を行っている場合、欠損金の繰り戻し還付という制度で払い戻してもらうことができます

欠損金の繰り戻しによる還付を利用する場合の注意点

欠損金の繰り戻しによる還付の対象となるのは法人税のみで、法人事業税や法人住民税は還付してもらえません。また、税務調査が入る可能性が高くなる点にも注意してください。

なお、法人住民税については繰越控除という減税処置を適用させることができます。欠損金の繰り戻しによる還付は前期に納付した法人税を戻してもらえる制度ですが、法人住民税の繰越控除は翌期以降の住民税を減額してもらう制度です。

欠損金の繰り戻しによる還付で法人税の還付をしてもらった場合、法人税が還付された状態で算出した額で住民税の欠損金が翌期以降に繰り越されます。

翌期以降に住民税の納税義務が発生しても、欠損金が繰り越されているので充当した上で住民税が計算される流れです。

決算書がマイナスであることでデメリットもある

当然ながら、決算書が赤字であるということは企業の状態が良好でないことを示します。世間からの風あたりが厳しくなったり、銀行からの融資を受けにくくなってしまうでしょう。

銀行の融資における審査では、決算書の内容に基づいて行われるため、マイナスであることが節税対策に繋がったとしても資金調達の場面で不利になることは覚悟しておいてください。

まとめ

わざと決算書の数値をマイナスにするメリットは節税対策に繋がることです。しかし、赤字であることで資金の調達がしにくくなるデメリットもありますし、会社の社会的な信用度も低下するので取引にも支障をきたすと考えておきましょう。

健全な事業にはキャッシュフローを重視した経営が重要!

会社が健全に経営を続けるためにはキャッシュフローに着目することが重要です。

決算書上の利益は、減価償却、棚卸資産や有価証券の評価方法などで変わってきますが、手元のキャッシュの流出入は事実をあらわすものであり、変わることはありません。

お金の動きに焦点をあて経営を行うことをキャッシュフロー経営といいますが、どのような経営方法なのか詳しくご説明します。

キャッシュフロー計算書を有効活用する

キャッシュフロー経営とは、儲けにより生みだした利益と、実際に残っているお金を把握することです。

キャッシュの流れを示すキャッシュフロー計算書では、利益とお金の増減がどのように関係するのか把握することができる内容となっています。

貸借対照表では財務状況、損益計算書ではどのように利益が生み出されているかを示しますが、キャッシュフロー計算書ではキャッシュがどのように調達されて何に使用されているかを表示するということです。

キャッシュフロー計算書の構造

キャッシュフロー計算書では、本業によって得たキャッシュの動きを示す営業キャッシュフロー、資産の売買などによるキャッシュの動きである投資キャッシュフロー、資金不足の事態にどうように資金を動かしたのかをあらわす財務キャッシュフローに区分されて表示されています。

フリーキャッシュフローを増やす経営努力を

投資キャッシュフローは通常マイナスをあらわしますが、本業によるキャッシュから投資に使用したキャッシュを差し引いた分フリーキャッシュフローです。

フリーキャッシュフローを増やすには、営業キャッシュフローを増やすことと、投資キャッシュフローの差し引き分を減少させることが必要ですが、このフリーキャッシュフローが多いほど経営が良好な企業であると判断されます。

フリーキャッシュフローを増やす経営努力を行っていきましょう。

儲けているはずなのに手元の資金が不足する理由

売上は向上して儲かっているはずなのに、なぜか手元にキャッシュが残らず資金繰りが苦しいと感じてしまうこともあるでしょう。

売上が伸びれば重要が高まり、殺到する注文に対応するため仕入れも増やすことが必要になります。仕入れが増えればその代金の支払いも多く発生することになりますが、その支払い期日は売上分が入金された後とは限らないからです。また、売上が伸びて利益が増えれば、その分税金の負担も増えます

勘定合って銭足らずという状態では、黒字倒産という最悪の事態を招きかねないのです。

手元のキャッシュを枯渇させないこと

キャッシュを生み出すことができなければ、いくら売上があがっていても会社は倒産してしまいます。

手元の資金が不足するなら銀行から借り入れればよいと思うかもしれませんが、お金を借りれば返済する必要があるため、返済資金を生むことができなければ結局事業は続けることができません。

仮に銀行から融資を受け、返済しながら事業を続ける場合でも、売上から利益を差し引いた残りを返済資金に充てることが求められます。

必要な資金を確保するためにはどのくらいの利益が必要になるのか計算し、実現できる範囲での売上計画を数値で検討していくことが必要です。

無理な投資は本末転倒に

安全な経営を続けたいなら、減価償却費と税引後利益の合計額の範囲に借入金の返済がおさまるような設備投資を検討しましょう。

事業を続ける上で設備投資なども必要なことですが、投資にお金をかけすぎてしまうことは好ましくありません。

投資とは、本来、本業で利益を生み出すために資金を投下することです。そのため、投資により経営が圧迫されてしまうのは本末転倒と言える行為になってしまいます。

まとめ

銀行融資を検討している場合でも、貸したお金を確実に返してもらうことができる企業にしか融資は行われません。

キャッシュフローがしっかり成り立っているのか判断されることになりますので、決算書上の利益だけにとらわれるのではなく、手元の資金を枯渇させない経営を行うようにしてください。

商取引で発生することは避けられない売掛金をわかりやすく解説!

企業間の取引や、取引金額が大きい場合などには、商品やサービスの販売・提供と同時に代金を支払ってもらうのではなく、設けた期日までにまとめて支払いをしてもらう掛け取引が主流です。

この掛け取引により代金を受け取る権利が売掛金であり、反対に物やサービスを購入して支払う義務を負うことを買掛金といいます。

そこで、事業を営む上で資金繰りに影響しやすい売掛金についてわかりやすく説明します。

売掛金には時効がある

売掛金はすでに商品などの納品が完了しており、その代金を回収する権利ですが、注意したいのはその権利は一定期間を過ぎると時効で消滅してしまうという点です。

通常の商取引で発生した売掛金の時効は5年ですが、たとえば卸売業者の売掛金の消滅時効は2年になるなど、売掛金の種類によって1~3年など短縮されます。

ただ、民法改正によりこのような職業別の短期消滅時効の規定は廃止されます。改正後は、権利を行使することができるときから10年、債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年で時効は消滅することに変更される形になりました。

なお、改正民法でのルールは2020年4月1日以降に発生した売掛金に対して適用となるので、現状は現行法に基づいた管理を行うようにしてください。

時効は進行をストップさせることも可能

ただ、時効の進行をストップさせたり、一旦リセットさせる方法もあります。売掛先が売掛金の存在を承認するなど、時効を進行させない方法を活用することが必要なので、もし回収できない売掛金があっても請求し続けることが大切です。

売掛金を確実に回収するために

売掛金が残ったままの状態は資金繰りを悪化させる要因となりますし、時効を迎えないか焦ることになるのも好ましくありませんので、期日内にしっかり回収していくことが必要です。

掛け取引は双方の信頼関係によって成り立つものですが、ルーズな取引にならないよう契約書を作成して期日を決めておくことが求められます。

仮に取引金額が少額の場合など、契約書を作成しないで先に仕事を進める場合でも、業務内容や取引対象となる商品(またはサービス)、金額、支払期日が記載された発注書は交わしておくようにします。

金額が大きい場合には分割で支払ってもらえないか交渉を

発注先から依頼された金額が大きいことは喜ばしいことですが、商品やサービスが完了するまで時間完成させるまでの費用なども増える傾向にあります。しかし入金されるのは完成してからになると、それまでの支払いに充てる資金不足してしまうかもしれません。

また、新規の取引先などで金額が大きいと、本当に完成後に売掛金が回収できるのか不安な状態も続くことになります。

この場合、代金の一部を先払いしてもらえないか、または進捗状況に応じて複数回に分けて支払ってもらえないか交渉してみることも検討してみましょう。

取引先の与信調査も忘れずに

大手企業であれば、顧客と新規取引を開始するときには相手の信用調査を行い、信用力が低いとみなされる企業とは契約しないことでリスクを回避しています。

中小企業の場合も同じく、新しく取引を始めるときにはいくら魅力的に感じる依頼だとしてもうのみにせず、信用調査後に与信枠を設定した上で取引を始めましょう。

継続して取引を行う取引先も同様、内部と外部から情報を常に収集し、現在の信用状況などを把握しておくことが必要です。

まとめ

日本の商取引では売掛金が発生することが慣習とされていますので、未入金となって資金繰りが悪化してしまわないように、期日内に回収できるような対策を事前に講じておくことが必要です。

掛け取引は双方の信頼関係により成り立つため、納品や入金が互いにルーズにならないよう、期日を守った取引が行えるように契約書の作成もできる限り行うようにし、難しい場合でも発注書など代替えとなる書類は作っておくことが必要です。

すぐに現金がほしいと思っても絶対にやってはいけない行為とは?

どうしても手持ちの資金が不足し、すぐにでもお金がほしいと考える場面において、どのように資金を調達すればよいのでしょう。

銀行融資に申し込み、審査を経て実行されるまで余裕がない場合や、そもそも銀行から借り入れしたくても審査が通らないというケースもあるかもしれません。

このような場合、支払いや返済に遅れることなく資金を調達する方法を必死で考えることになりますが、いくら現金がほしいからといってやってはいけない危険な行為もありますのでご紹介します。

複数の借り入れの申し込みは後の借り入れに影響

銀行の審査は通らなくても、即日融資が可能な貸金業者からの借り入れなら審査に通るかもしれない!と考え、複数の消費者金融やカードローンに次々と申し込みを行うことは避けましょう。

数打てばあたると思うかもしれませんが、余計に審査に通りにくくするだけですし、仮に複数から借り入れができたとしても自転車操業に至る入口ともいえる行為です。

結果として借金が膨れ上がり、返済負担に追われて余計に資金繰りを悪化させることになります。

クレジットカードを現金化する行為は禁止!

クレジットカードをすでに保有しているけれど、キャッシング枠はすでに使ってしまって利用できず、ショッピング枠だけが余っているということもあるかもしれません。

この場合、ショッピング枠を利用したクレジットカードの現金化を利用してみようと考える方もいるようですが、行わないことが大切です。

そもそもクレジットカードの契約を行う上で、ショッピング利用でのカード理由ではなく、換金を目的とした利用は会員資格を喪失する理由としてクレジットカード会社の規約にも記載されています。

クレジットカードの現金化を行う業者に依頼した場合には契約違反となりますし、クレジットカードで購入したものをすぐに自分で転売して現金化させる行為も行ってはいけません。

ペナルティとなればカードは強制的に解約され、残高を一括で支払わなければならなくなるでしょう。

現金を得る目的で、

  • 電化製品など高価なものを購入して中古買取店に売る行為
  • 交通機関の回数券などを購入して金券ショップに転売する行為

などは行わないようにしてください。

同じ時期に複数に渡って購入した場合など、クレジットカード会社から連絡が入り質疑応答の末、換金化目的と判断されることもあるようです。

フリマサイトで現金購入やキャリア決済利用で現金化する行為も×!

フリマサイトなどで現金を販売する行為は禁止されていますが、違法行為と知りながらもチャージされたプリペイドカードやパチンコ店の景品などが販売されているケースもあるようです。

運営先に見つかればすぐに削除されるでしょうが、見つかる前に取引が成立してしまうケースもあるようです。もし発覚すれば購入した側もサイトの利用はできなくなるでしょう。

また、フリマサイトでは携帯のキャリア決済を利用することができますが、こちらも現金を得る目的でコンテンツ決済サービスを利用してはいけないと規定がされています。

キャリアの規約に違反すると、携帯電話が利用できなくなるなど不便を強いられる可能性もありますので行わないようにしてください。

ヤミ金業者からの借り入れは絶対にダメ!

当然ですがいくらお金に困って今すぐほしいと思っても、ヤミ金業者から借り入れを行うことは危険です。

最初は数万円だけだからすぐ返せば問題ないと思っていても、相手は貸して利益を得ようとするので次々と追加融資を提案してきます。

利息分のみ支払えば元金は据え置くジャンプなどを勧め、完済させないような手口を行ってくるので、いつまでも完済させることができません。

事業を続けることができなくなるので、絶対に利用しないようにしてください。

まとめ

いくら現金がほしいからといって、行うと後々トラブルが発生したり、結果として資金繰りに行き詰る可能性があります。

もしすぐに現金がほしいという場合で、売掛金を保有しているのならファクタリング会社に売却して現金化することを検討してみましょう。

ファクタリングは売掛金を前倒しで受け取ることができるので、資金を調達できるだけでなく借金を増やさず資金繰りも改善させることができます。