新型コロナウイルスの影響で倒産してしまった企業の数を確認すると、ニュースなどでも報道されていましたすでに全国で250社に上っている状況です。
ここ最近は倒産件数の増加ペースは緩やかになっているようにも見えますが、その背景には新型コロナウイルスによる資金繰り悪化を支援する金融機関からの融資などが要因といえます。
緊急事態宣言解除により事業が円滑に進んでいるわけではなく、今後も新型コロナウイルスにより倒産する業種は増加すると予測されていますが、どうすれば回避できるでしょう。
新型コロナウイルスで倒産してしまった企業数は?
民間の信用調査会社である帝国データバンクの調査では、新型コロナウイルスの影響で破産など法的手続きをとり倒産に至った企業、そしてコロナにより事業を停止し法的整理を行う準備に入った企業は250社と公表しています。
中には大手では?と思われるような企業も含まれていますが、その多くが中小企業。世界的な感染拡大で、業種を問わずその影響は計り知れないものとなっています。
2020年5月には2000年以降、全国の企業倒産件数は288件と最小になりましたが、これは新型コロナウイルスの感染拡大防止の取り組みにより裁判所や弁護士事務所で行う業務が大きく縮小されたことが関係しているようです。
現在は経済活動が再開されつつあり、それまで停滞していた案件なども進行しています。そのため反動に加え、新型コロナウイルスによる事業への影響は今後拡大されると予想されることから、より中小企業などの倒産件数が増えることになるでしょう。
帝国データバンクにより公表された倒産件数
2020年6月17日時点での帝国データバンクによる新型コロナウイルス関連の倒産件数は、法的整理175件(破産153件・民事再生法22件)・事業停止88件となっています。
業種別でみるとホテル・旅館は41件で飲食店が39件、アパレル・雑貨小売店、食品卸・食品製造はそれぞれ16件、建設は10件でした。
ホテル・旅館業が最も多く、次いで飲食店やアパレル・雑貨小売店と続きますが、緊急事態宣言発令による外出自粛などの影響が大きく関係しているといえるでしょう。
そもそも新型コロナウイルス関連倒産とは、新型コロナウイルスを要因として倒産に至ったことを事業者や代理人である弁護士が認め、それにより法的整理や事業停止(弁護士に事後の処理を一任)したことを示します。
法人だけでなく、個人事業主や負債1千万円未満の倒産もその数に加えられています。
月別でみると6月は減少?
月別に確認した場合に、6月は4月・5月と比較すると倒産件数の増加ペースは緩やかになっています。状況が回復したわけではなく、先に述べた通り政府が経済支援策として実施している実質無利子・無担保融資などの制度を活用する事業者が増えたためといえるでしょう。
2020年6月19日からは都道府県をまたぐ移動自粛が全国で緩和されます。ただし観光や飲食業界・アパレル業・小売り関連などは大手・中小関係なく引き続き厳しい状況が続くと予想されるため、倒産件数は今後増えてしまうといえます。
新型コロナウイルスで廃業にいたらないために
企業が倒産してしまわないように、決算書の純利益ばかりに気を取られているのは危険です。
コロナショックのように、世界的にビジネス環境が急激に変わってしまうときには、たとえ利益が出ていて黒字だとしても安心できません。大手も中小も、アパレル関係や飲食関係など業種問わずキャッシュフローに目配りし、無理のない資金繰りを心掛けることが大切です。
決算書の営業損益や最終損益はプラスを表示していても、売上高として計上されている分の売掛金が回収できていなければ資金繰りは悪化します。
それにより資金や資本不足に陥れば、利益が出ているのに倒産してしまう黒字倒産を起こすことになるからです。
東京商工リサーチの調査では、2019年に倒産に至った545社の企業の約半数は黒字倒産という結果もあるほどなので、より注意が必要といえるでしょう。
景気が好調なわけではない
新型コロナウイルスの影響により、一時的に裁判所や弁護士による手続きが停止したことで倒産の手続きすら進められなくなりました。
景気の好調を意味しているのではなく、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響で法的手続きを担う裁判所の業務が縮小しただけのことです。
法的手続きを検討している企業も弁護士に相談したくても面会できない状況となったため、倒産への手続き自体が進まなかったことが影響していますが、今後手続きが進んでいけば倒産件数は増えていくこととなるでしょう。
コロナ倒産の特徴とは?
それに加え新型コロナウイルスによる倒産は、2019年までの倒産とは違った傾向を示しており、衣・食・泊の業界への影響の大きさが確認できます。
本来、倒産してしまう業種として挙げられやすいのは建設業・製造業・飲食店・運輸業などです。これらの業種は人材不足なども深刻な状況で、人手が足らず倒産してしまうケースも見られました。
しかし新型コロナウイルスにより倒産した業種で多いのは、ホテル旅館業・飲食業・アパレル業・食品製造業などです。
従来まで倒産の常連として挙げられていた業種とは、また違った種類の業界に打撃が発生している状況といえます。
固定費の割合の高い業種は危険?
新型コロナウイルスにより倒産してしまった企業で多いのは、固定費の割合が高いことです。
営業自粛などで休業を余儀なくされてしまうと、家賃や従業員への給料など高い固定費への負担が大きくなり倒産しなければならなくなった企業もみられます。
新型コロナウイルスにより倒産した業種ごとの固定費割合を確認すると、ホテル旅館業が70.0%・飲食店62.1%・アパレル業44.2%となっており、コロナ倒産と固定費率の高さは比例すると言わざるを得ません。
今後、第2波により再度緊急事態宣言が発令されてしまうと、その後の消費も抑えられることとなるので固定費負担に加えて大きな打撃となってしまうでしょう。
手元の資金を枯渇させない経営を
黒字倒産に至らないためには、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足したフリーキャッシュフローの情報確認が必要です。
特に営業キャッシュフローとフリーキャッシュフローは注視し、長期で減少もしくは赤字の状況になっていないか確認し続けることが大切です。
キャッシュフローを確認すれば、業績や資金繰りなど企業の実態を把握できますし危機を回避できます。
そしてキャッシュフローから生まれた利益の質も確認できるので、仮に減益しているのなら本当に本業が悪化し事業の継続性が問われるほどの問題か読み解くことができるでしょう。
また、現金に着目する場合には、手元の資金だけでなく融資やローンなど借金に依存していないかも確認しておくべきです。
雇用の問題にはどのように影響する?
一般的には企業の倒産件数が増えれば失業者も増加すると考えられますが、確かに短期的に見ればそのとおりでしょう。ニュースなどでも新型コロナウイルスにより、大企業などの新卒採用への影響も報道されることがあります。
ただ、日本は企業の倒産・清算・廃業など企業数が減少してしまうことと雇用にはそれほど大きな関係がないことも明らかになっています。
どのくらいの規模の企業が倒産すればどのような影響が出てくるのか冷静に考え、倒産件数よりもなぜ倒産してしまったのか、その中身に注目しなければなりません。
中小や中堅企業も営業自粛などの影響は及んでいますが、小規模事業者の状況はさらに深刻です。ニュースなどでも報道されていましたが、外国から日本に訪れる利用客の減少などで、従業員への給料の支払いができず廃業にいたった観光業なども少なくありません。
小規模事業者を中心とした失業者が増えると考えられますが、小規模事業者の場合には節税を目的に配偶者などを従業員としてカウントしていることも多いので、実際に失業により困る人数はもっと少なくなるともいえるでしょう。
実際、1999年から2016年の企業数は減少していますが雇用は減っておらず、むしろ増えています。
今後進行する人口減少に対応するためには生産性を向上させることを検討しなければならないといえるでしょう。規模の小さい企業はある程度まとめながら、企業規模を拡大させていくといったことも必要になるとも考えられます。
まとめ
新型コロナウイルスにより倒産してしまう企業は今後さらに増えていくと予想されます。事業継続に向けて、手元の資金を増やすために融資制度などを活用する方法もありますが、借金に依存することが吉とはいえません。
雇用の問題などもあり、課題は山積みの状況ではありますが、新型コロナウイルスに負けず事業を続けていくためにも今を乗り切れる環境を整備していきましょう。
一時的に資金が不足しており、新型コロナウイルス対策として準備されている融資制度や給付金を活用する企業なども少なくありません。
しかしメガバンクなどは大手のみ対応であり、地方銀行などでも融資対応してもらえるとはかぎりません。
申込可能だとしてもすぐに入金してもらえるわけではなく、書類準備や審査に時間がかかり資金調達に間に合わないといった事態も起きています。
このような場合、保有する売掛金を売却して現金化するファクタリングを検討してみましょう。ファクタリング会社によりますが、早ければ即日現金化も可能となり、急な資金ニーズにもしっかり対応可能です。
融資を受ける時と違い、審査も柔軟なので新型コロナウイルスにより売上が低迷し、赤字経営となって悩んでいる事業者でも資金調達に活用できる可能性は高いといえます。
まだまだ新型コロナウイルスによる影響は続くと考えられますので、倒産といった最悪の事態に至らないための対策を考えていくことが必要です。