自社で経営を改善させるときに実践したいその手法とは?

自社で経営改善を行うときには、まず収益を改善させるためのポイントを整理していくことが必要です。

そこで、経営改善していくにはどのような手法を実践していけばよいのか、その内容をご説明していきます。

 

収益が悪化してしまう主な要因

収益が悪化する要因や背景には、主に次のことが関係していると考えられます。

  • 経常利益が減少している…支払利息・固定費の増加(人件費・その他固定費の増加)、変動比率の上昇(直接材料費・外注費・仕入の増加)、売上高の減少
  • 営業利益が減少している…固定費の増加・変動比率の上昇・売上高の減少
  • 限界利益が減少している…変動比率の上昇・売上高の減少
  • 売上が減少している…販売数量減少または販売単価が低下している(顧客数減少・営業力が弱体化・市場ニーズと商品がマッチしていないなど)

業績が悪化してしまう要因は、経常利益減少・営業利益減少・限界利益減少・売上高減少の4つが関係します。

ただ、売上高が増えている場合でも利益が減少することはあります。設備投資や人員増員で売上高が増えたとしても、増えたコストをまかなうほど売上が上がっておらず、実質はマイナスといったケースもあるので安心はできません。

 

収益を改善させる手法

では、収益を悪化させる要因をどのように見直し、経営を改善させていけばよいのでしょう。

その手法として、固定費・変動費を削減し、売上高を増やすことがポイントとなります。

上記の収益悪化の要因のどれに該当するか分析し、改善できるポイントを探るようにしてください。

売上高を増加させるために必要なこと

  • 販売数量を増やす
  • 販売単価を引き上げる
    (加えて新規顧客開拓・営業担当者の育成・新商品の開発も検討)

変動費を削減するために必要なこと

  • 直接材料費を削減する
  • 外注化(外注単価は引き下げる)
  • 仕入れを適正化する
  • 値引き・返品を抑制する
  • 製品構成・市場編成を改善する

固定費を削減するために必要なこと

  • 人件費を削減する
  • その他固定費を削減する
  • 支払い利息を削減する

 

経営改善にはマーケティング力の強化も必要

マーケティングは市場全体の顧客ニーズに注目し、顧客満足による利益獲得目的として行います。

どのくらい顧客に満足してもらえるかを考えることが必要ですが、顧客が求めるサービスの価値には次の4段階があるとされています。

 

基本価値

基本価値とは、取引で基本となる欠かすことのできない価値要因を指します。

そのため顧客が基本価値で満たされたとしても、それが満足につながることはなく、反対に満たされなければクレームにつながります。

期待価値

取引において顧客があたりまえに期待する価値要因を指します。

顧客にとってこの期待価値が満たされることは不満が出ない最低条件であり、反対に満たされなければ不満につながり顧客離れを発生させることとなるでしょう。

願望価値

そもそも期待されていないものの満たされれば評価が上がる価値要因です。

そのためこの願望価値が満たされれば顧客満足につながり、取引も継続してもらえるでしょう。反対に満たされないときには不満やクレームは出ないものの、顧客維持は流動的となります。

予想外価値

期待や願望のレベルを超えて、喜びや感動を与えることのできる価値要因です。

予想外価値で顧客を満たすことができれば、それが感動につながり第三者を紹介してもらえるなど、次の営業にもつながります。

反対に満たされないときにも取引に特に影響はないと考えられるでしょう。

 

経営改善させるために必要なこと

最低でも基本価値と期待価値が満たされなければ、取引を通し対価の代償が手に入らないと感じた顧客は離れていきます。

そして願望価値や予想外価値で満足してもらえる商品やサービスを提供できることが、競争上の優位な位置を確保することにつながります。

そして営業成果は営業量だけでなく質も重要ですので、営業担当者の職務レベルを明確にし、育成計画を立て実践していくことも必要です。

中小企業の資金調達は銀行融資に依存しやすいのに実は頼りにくい?

中小企業は資金を簡単に調達できる環境とはいえず、多くが銀行からの融資に頼りがちであるのに対し、実際にお金を借入れすることは厳しい状況にあります。

国内の銀行からお金を借りている企業の融資額を企業規模に分けてみた場合、どの規模の企業でもバブルが崩壊して90年代後半にかけて大きな落ち込みを見せています。

しかしリーマンショック以降は、大企業は回復傾向にあるのに対し、中小企業は横ばいの状態なので金融機関から融資を受け資金調達することは難しい状況です。

 

なぜ中小企業は融資を受けて資金調達しにくいのか

中小企業が銀行など金融機関から融資を受け、資金調達することが厳しいかというと、資金を貸し付ける銀行が中小企業を適切に事業性評価することが難しいからといえます。

確かに中小企業は上場企業のように決算書を公開する義務もなく、透明性が保たれていないため評価は困難になりがちです。

その結果、銀行はできるだけリスクの低い大企業に対し融資に応じるようになってしまい、中小企業には資金が回ってこない状況となっています。

 

民間銀行から融資を受けて資金調達することはできない?

金融機関から融資を受けて、資金を調達することが難しい場合には、たとえば出資や社債などで資金を調達する方法も検討しなければなりません。

しかし出資や社債で資金を調達することは、中小企業にとって現実的な方法とはいえないでしょう。

実際、規模の小さい企業ほど、資金調達の方法を銀行融資など借入れに依存しがちです。

ただ、中小企業であることを理由に銀行から融資を受けることができないわけではなく、担保の差し入れや、代表者個人または信用保証協会の保証を付ければ融資を受けることはできます。

銀行のプロパー融資のように、保証や担保を必要としない、事業性評価を伴った融資は期待できないといえるでしょう。

あくまでの銀行など金融機関のリスクを低減させた状態でなければお金を借りることは難しくなります。

 

融資を受けて資金調達するメリットとデメリット

銀行などから融資を受けることは負債を増やすことであり、言い換えれば借金が増えてしまいます。

無借金経営を望む経営者にとっては、返済負担が大きくなる借入れは避けたいと考えるものでしょうが、融資を受けて資金を調達することにはメリットもあります。

融資を受け資金を調達するメリット

融資を受けて資金を調達しても、第三者に経営権が渡ってしまうといったリスクは発生しません。

たとえば株式を発行し、投資家に出資してもらって資金を調達する方法では、株式の保有割合によって経営権を握られてしまうリスクが高くなります。

しかし融資を受ける方法であれば、返済が厳しくなったときに債権者が経営に関与してくるケースはあっても、そうでなければ経営の自由度は確保されます。

融資を受け資金調達するデメリット

融資を受けることは借金を増やすことなので、借りたお金だけでなく利息もあわせて返済しなければなりません。

さらに中小企業の場合には担保の差し入れや保証人をつけて融資を受けることがほとんどなので、会社が返済できなくなれば担保として差し入れた不動産などを失い、代表者個人が返済義務を負わなければなりません。

仮に代表者が返済できないときには、代表者も自己破産するといった事態に陥ることとなるでしょう。

 

民間の銀行から融資を受けて資金調達するのなら

借金はできるだけ増やしたくないと考えていても、設備投資事業拡大のときには銀行を頼らなければならないときも出てきます。

そのとき、経営に問題がなければ資金を調達しやすくなり、特に財務状況が良好であればプロパー融資にも応じてもらえることもあります。

ただしいずれにしても、金融機関と良好な関係を長期に渡り築いておくことが前提なので、信頼される会社経営を意識しておくようにしてください。

金融に含まれる業種は銀行以外にもいろいろある!それぞれの違いとは?

金融に含まれる業種は、銀行・証券など数多くそれぞれ違いがあります。

そもそも金融とは、資金を必要としている方にお金を融通することですが、銀行以外にもいろいろなビジネスがありそれぞれ特徴が違います。

そこで、金融業界に含まれる銀行他業種と、どのような違いがあるのかご説明します。

 

直接金融と間接金融の違い

金融といえばまず銀行を真っ先に挙げる方が多いですが、実際銀行は人々の生活や事業経営において欠かすことのできない存在です。

ただし金融には直接金融と間接金融に分けることができ、間接金融預金者から資金を集めて、集めた資金はお金が必要な方へ貸し出すことです。

銀行はこの間接金融に含まれ、預金業務によって預けられたお金を個人や企業に貸し付け、利息により利益を得ています。

対する直接金融は、資金を必要とする方が株式や社債など証券を発行し、それらを投資家に購入してもらうことで資金を調達することです。

投資家が資金を出資するため直接金融と呼ばれていますが、証券会社などは投資家と株式を発行する企業との仲介役となり、発生する手数料で利益を得ています。

他にも市場型間接金融などがありますが、これは間接金融の仕組みで市場を介した取引を行います。たとえば投資信託やシンジケートローンなどが市場型間接金融に該当します。

 

金融には銀行以外にもいろいろ

金融は銀行や証券会社以外にも、次のように様々な業種があります。

代表的なのは、

  • 銀行(メガバンク・信託銀行・地方銀行)
  • 証券
  • 生命保険会社
  • 損害保険会社
  • 資産運用会社
  • 政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金など)
  • ベンチャーキャピタル、PEファンド
  • その他の金融機関(日本銀行)

などです。

業種により扱う金融商品も違い、ビジネスモデルも異なります。

銀行・証券会社・生命保険会社・損害保険会社は金融業界の中でも主要4業種といえますが、それぞれの仕事内容の違いは次のとおりです。

銀行

資金に余裕がある人と、資金を必要としている人の間に仲介役として入り取引を行う間接金融を業務とする。預金業務で預けられたお金を貸し付けることで利息を得ることを目的としており、顧客ニーズに応じて様々な金融商品を提供。

証券

資金に余裕がある人と、資金を必要としている人がそれぞれ条件を提示し、銀行などを介さず資金の投資を行う直接金融を業務とする。株式や債券などの金融商品に関する取引の窓口としての役割。

生命保険

病気・ケガ・死亡・介護など人のさまざまな予期せぬ出来事に備える保険商品を作り、個人や法人に対して販売し、保険金を支払う。また、莫大な資産を抱えていることから機関投資家としての一面も持つ。

損害保険

日常起こりうるトラブルやリスクに備えることを目的とした保険商品を、個人や法人に対し販売し、事故や災害の被害に対し保険金を支払う。

 

金融業界で共通するポイント

金融に含まれる業種はいろいろあり、それぞれ仕事内容は違いがあるものの、共通する部分もあります。

金融全体で共通するのは、次の部分です。

無形商材に付加価値を加える

目に見えない商品が無形商材ですが、たとえば株式や保険商品などは契約書類でやり取りするため、無形の商材を取り扱うことになります。

顧客に具体的なイメージを分かりやすく伝え、付加価値を加えることが求められます。

信頼が大きなキーワード

目に見えない商品だからこそ、付加価値の提供と信頼が重要です。

いずれの金融商品もリスクはあるため、その点を踏まえた上で顧客に理解を得ておくことが必要といえますが、その際にも信頼関係が築けていなければなりません。

 

お金のサポートをする

どの金融でもお金のサポートをしていることは共通しています。

 

まとめ

金融と呼ばれる業種は銀行以外にもいろいろあり仕事内容も違いますが、いずれも目に見えない商品を扱うこととなるため、互いの信頼関係が必要という部分は共通しているといえるでしょう。

コロナ禍を乗り切りたい創業5年以内の企業が資金調達するときの注意点

事業を拡大させたいわけではなく小さな規模で安定経営を目指すだけでも、創業段階では資金調達が必要となることが多いですが、コロナ禍の現在ではいくつか注意点があります。

創業時点では赤字続きや予想外の出費などが多く、資金を調達しなければならないタイミングが急に訪れることもあることに注意しましょう。

そこで、創業5年以内の時点ではどのような資金調達の方法があるか、注意したいことも踏まえ解説していきます。

 

企業が資金調達に悩む時期とは

企業の成長段階は、

  • 創業期…売上が発生していない段階
  • 成長初期…売上は計上されているものの営業利益は黒字化されていない段階
  • 安定・拡大期…売上計上され営業利益が黒字化した段階

に分けることができます。

資金調達が課題となりやすいのは創業期成長初期の段階であり、安定・拡大期では人材確保などが第一の課題となってきます。

しかし本来であれば補助金や助成金を活用する方法や出資してもらうことを希望していたのに、銀行などからの借入れに頼るしかなかったというケースもあります。

実際、安定成長型企業が成長初期に行った資金調達の方法で多いのは、

  1. 1.民間金融機関からの借入
  2. 2.経営者本人の自己資金
  3. 3.政府系金融機関からの借入
  4. 4.家族・親族、友人・知人等からの借入
  5. 5.公的補助金・助成金の活用

の順です。

創業5年以内の企業は利益が十分でない成長初期の段階といえます。この厳しい時期を乗り越えることができたとしても、事業を軌道に乗せるためには資金を調達しなければならなくなります。

安定・拡大期の段階でも、事業規模を拡大させるために設備投資や運転資金が必要となるため、資金調達が課題となりやすいことに注意してください。

 

資金調達の種類

資金調達の方法は次のように多様化していますが、会社が今どの成長段階なのか、何のために資金を必要とするのかなどにより手段を選ぶことが大切です。

  • 自己資金…法人の預金や役員の個人資産を充てる
  • 出資を受ける…ベンチャーキャピタル(VC)や個人投資家(エンジェル)・親や親族などから出資してもらう
  • 融資を受ける…民間金融機関・公的金融機関・親や親族などからお金を借りる
  • 補助金・助成金…国や地方自治体などの補助金・助成金を活用する
  • その他…社債発行・クラウドファンディングなど

いろいろな資金調達の方法があるため選び放題のように感じるでしょうが、実際には創業間もない段階で選べる方法は限られてきます。

資金繰りに苦労する経営者が多く、仮に厳しい時期を乗り越えることはできても、事業を軌道に乗せるための資金調達がうまくいかないといったケースもめずらしくないといえます。

 

新型コロナの影響を受けた企業が資金調達するときの注意点

新型コロナウイルス感染拡大は、飲食店・宿泊業・教育・学習支援業・運輸業など様々な業界にマイナスの影響を与えています。

そのため新型コロナウイルス感染症関連の融資制度なども用意されており、日本政策金融公庫などであれば創業後3か月の創業後間もない企業なども幅広く対象とされています。

しかし実際には採算が取れておらず軌道に乗っていない段階で、融資を受けて資金調達することは簡単なことではありません。

そのため融資を受けて資金を調達するのなら、

  • 創業後の業績推移
  • 新型コロナウイルスの影響と対応方法
  • 今後の収支見通し

などを計画書に盛り込み、金融機関や信用保証協会に納得してもらえる工夫を行いましょう。

コロナ禍を乗り切る力があると認められれば融資を受けることが可能となるはずなので、今後の収支見通しを実現できることを示すことが重要といえます。

取引先からの発注書や、最近の受注状況の推移など、数値の根拠を示すことができる書類を提出できれば説得力を高めることができます。

銀行からの融資の返済条件を変更してもらう方法とは?

融資を受けているものの資金繰りが悪化してしまったときには、銀行など金融機関に交渉し、返済条件を変えてもらう方法も検討しましょう。

この銀行などから受けた融資の返済について、金融機関に交渉する方法を「リスケジュール」といいます。

 

リスケジュールでは行う交渉とは

リスケジュールは、返済計画を見直してもらうように銀行などに交渉し、返済できる計画に変更することです。

企業に限らず、個人でも返済が厳しい状況となったときには、返済金額期間などを交渉することができます。

借入条件を変更することで具体的には、

  • 月額返済額の減額
  • 返済期限を延長

といったことについて交渉を行います。

コロナ禍で返済が厳しいなら検討したい方法

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、売上が激減してしまい業績も悪化し、資金繰りが困難な状況となったときに検討したいのがリスケジュールです。

コロナ禍で十分な収入がない中、銀行などの金融機関に対する返済は資金繰りを大きく圧迫してしまいます。

しかしリスケジュールを交渉することで、一定期間返済を猶予してもらうことも可能です。

 

銀行融資はリスケジュールに応じてくれるのか

もしお金を借りた企業が返済不能状態に陥ると、銀行も貸したお金を返してもらえず不良債権扱いとなります。

会社が倒産してしまえば貸した資金を回収できなくなると考えれば、たとえ返済スケジュールを見直したとしても返済を続けてほしいため、リスケジュールには応じてもらえるといえるでしょう。

特に今はコロナ禍で資金繰りが悪化している企業も多いため、銀行もリスケジュールには積極的に対応してくれやすくなっていますが、経営改善計画が策定されていることが必要です。

現在は新型コロナの影響で資金繰りが悪化し返済が厳しい状況になっているものの、一定時間の猶予があれば業績を立て直し通常どおり返済できることを、経営改善計画書に盛り込んで納得してもらわなければなりません。

 

リスケジュールは元の返済条件に戻すことが前提

資金繰りが悪化したときに、リスケジュールは検討しなければならない方法の1つといえます。

リスケジュールにより、借入金の返済に充てていた支払い分、資金繰りは楽になるでしょう。

一時的に経常利益率を改善させ、財務状況を立て直すことにつなげることができるだけでなく、再建のためにかける時間にも猶予ができるため倒産も回避できます。

ただし経営を改善させるための時間を確保するための手段なので、マイナスのキャッシュフローを迅速にプラスへと転換させる経営努力も求められます。

一定期間返済を猶予してもらうのであれば、その期間に経営を立て直し、元の返済条件に戻すことが必要です。

リスケジュールで認められる期間

リスケジュールで認められる期間は、一般的には半年から1年です。

その期間を経過した後も、さらにリスケジュールを延長したいときには更新も必要となりますが、けっして簡単に認めてもらえるわけではありません。

先に提示した経営改善計画の8割程度は達成できていなければ、延長に応じてもらうことはできないでしょう。

リスケジュールを延長することができなければ、銀行など金融機関は債権を債権回収会社に売却することになってしまいます。

 

新規で融資を受けることはできなくなる方法である点に留意を

リスケジュールを銀行に依頼すると、新規で融資を受けることはできません

保証協会の保証付融資でお金を借りている借入金をリスケジュールする場合には、他行からの新規で融資を受けることも難しくなります

ただしリスケジュール期間中に経営を無事立て直すことができ、元の返済条件による返済が再開できれば、新規での融資に応じてもらえる可能性があります。

金銭の貸借で使用される「借入」「融資」「貸出」「貸付」の違いとは?

お金を借りて資金を調達するとき、「融資」や「借入」という言葉が使われますが、金銭の貸借による行為や名称などで使用されることが多いものの厳密には意味に違いがあります。

他にも「貸出」や「貸付」といった言葉があり、融資や借入との違いや使い方の区別がよくわからないこともあるようです。

そこで、お金を借りるときによく用いられる用語である「融資」や「借入」、「貸出」「貸付」といった言葉の意味や違いについてご説明します。

 

「借入」とは金銭などを借りること

「借入」とは、借りる側が貸す側から、お金やモノなどを借りることです。「ローン」や「借金」と同じ意味と捉えることができます。

お金を借りる側の視点で使われる言葉なので、

  • 土地を担保に資金の借入をする
  • 借入から返済までインターネットで完結
  • 設備投資のための資金の借入

といった使い方をします。

 

「融資」とは金銭を融通し貸し出すこと

「融資」とは、資金を融通し貸し出すことですが、返済される約束の上で資金を供与する行為のことです。

主に事業のために使用する資金の貸し出しをあらわす言葉として使われており、単なる消費目的ではなく資金を元手にあらたなお金を作ることを目的とした金銭の貸し出しともいえます。

主な使われ方としては、

  • 中小企業は保証協会付融資を勧められることが多い
  • 金融機関の融資を受けながら資産運用可能となることが不動産投資のメリット
  • 自治体が利子分を補助することで、実質無利子で融資を受けることが可能

などです。

 

「貸出」とは金銭などを一定期間提供すること

「貸出」とは、お金やモノなどを設定した条件に沿って一定期間提供することです。

銀行などの金融機関が貸付金を支出することや、信用を供与する与信業務の総称としても使われます。

資金を貸す側の視点で使用する用語なので、

  • 関連書籍の貸出が増加中
  • ゼロ金利やマイナス金利での貸出を検討
  • 既存の貸出の返済猶予などにより、銀行から企業を支援

といった使い方をします。

 

「貸付」とは条件により金銭を貸すこと

「貸付」とは、条件を定めた上でお金やモノ、権利などを貸すことです。

当事者同士が納得できる金額・利率・期間・担保の有無などを定め資金を貸すといった意味で使用されます。

主な使われ方は、

  • 貸金業者は年収の3分の1を超える貸付は禁止されている
  • 自治体が土地や建物など貸付を行い、民間が運営する
  • 一時的な生計維持を目的とした資金の貸付を行う

などです。

 

借入金の種類

事業を目的として金融機関から融資を受ける借入金には、「証書貸付」「手形貸付」「手形割引」「当座借越」などがあります。

資金を借入する方法の名称に「貸付」という言葉が使用されていることからわかるとおり、お金を貸し出す金融機関側の視点から見た名称となっています。

それぞれどのような借入金なのか、その内容を把握しておきましょう。

証書貸付

資金を貸し出す金融機関と借り手が金銭貸借契約を結びお金を借りる方法です。

手形貸付

銀行など金融機関に約束手形を振り出し、手形に記載された金額を貸付してもらう方法です。

手形割引

他社が振り出した手形を銀行など金融機関に買い取ってもらう形式で、融資を受ける方法です。

当座借越

事前に設定した融資限度額までを自由に借りたり返済したりすることが可能となる借入金です。

 

まとめ

借入・貸出・貸付・融資という言葉は、いずれも金銭の貸借に関連している部分が共通しています。

ただ、「借入」は借りる側の視点で使用する用語ですが、その他「貸出」「貸付」「融資」は貸す側の視点による用語といえます。

そして「融資」は主に資金を貸し出すときにだけ使用されますが、「貸出」「貸付」はお金だけでなくモノの貸し出しにも用いられる言葉です。

経営改善計画を税理士に依頼するときの費用の一部を国から補助してもらえる制度とは?

会社を継続させるためには、悪化してしまった経営状況を改善させることが必要ですが、その際には税理士や民間コンサルなど専門家を頼ったほうがよい場合もあります。

経営改善計画の利益の最大化や課題解消などの実現可能性を高める施策を、経営者独自で検討するよりは税理士や民間コンサルなどの専門的な知識を必要とするからです。

ただし税理士や民間コンサルなどに経営改善の支援を依頼すると、報酬などが発生してしまうことが気になる部分ですが、国の認める認定支援機関を利用するとその費用の一部が補助されます。

 

経営改善計画で必要なこと

経営改善における計画を立てる場合には、銀行など金融機関からの借入条件を変更することや返済を一時的に停止してもらうといった支援も必要になることがあり、この場合には金融機関に対し経営改善計画書を提出しなければなりません。

しかし中小企業や小規模事業者が経営改善計画を立てていくことは容易とは言えない状況です。

そこで、中小企業経営力強化支援法に基づいて認定された経営革新等支援機関支援を依頼した場合には、それによりかかった費用の一部を国が補助する「経営改善計画策定支援事業」を有効活用するとよいでしょう。

 

税理士など専門家の支援を受けることが可能に

経営改善計画策定支援事業では、国が認める税理士など専門家の支援を受けて経営改善計画を策定し、銀行などに返済条件を変更してもらうときなどに専門家に対し支払う費用の3分の2(上限200万円まで)が国から補助されます。

銀行からの借入金の返済負担が大きくなったなど、財務上の問題を抱えていることで金融支援が必要な場合に活用できます。

金融支援とは条件変更や融資行為(借換融資・新規融資)のことです。

支援対象となる条件変更の例として、

  • 金利の減免
  • 元金や利息の支払い猶予
  • DDS(デットデットスワップ)
  • 債権放棄

などが挙げられます。

融資行為には、

  • 借換融資(事実上の借入期間延長を含む同額借換や債権の一本化)
  • 新規融資

などが含まれます。

 

経営改善計画策定支援の主な流れ

まずは認定支援機関が財務状況や銀行など金融機関からの借入、返済状況について分析を行います。

分析により金融機関に返済条件を変更してもらうことが必要と判断されると、金融機関との対応策について検討されます。

次に経営改善支援センターに「経営改善計画作成支援」の利用申請を行い、認定支援機関と連名で「経営改善支援センター事業利用申請書」を中小企業再生支援協議会の経営改善支援センターに提出します。

この流れを経て、認定支援機関が経営改善計画書の策定を支援することになります。

なお認定支援機関とは、「中小企業経営力強化支援法に基づき認定された経営革新等支援機関」の通称です。

中小企業などが経営相談を行う相談先として、専門的な知識や実務経験一定レベル以上保有すると国が認めた機関といえます。

税理士・公認会計士・弁護士・中小企業診断士・民間コンサル・商工会・商工会議所などが認定を受けているケースが多く見られます。

策定した経営改善計画が策定されると、認定支援機関が返済計画などについて取引金融機関に説明を行い、同意をもらいます。

計画に対し金融機関と合意が成立すると、認定支援機関と連名で「経営改善支援センター事業費用支払申請書」を経営改善支援センターに提出します。

それにより、経営改善支援センターから専門家に支援してもらったことによる費用の3分の2(上限200万円まで)が支払われます。

なお、計画が策定された後も、認定支援機関が3年間モニタリングを実施して金融機関や経営改善支援センターに報告することとなります。

 

本気で経営を改善させたいなら

経営改善計画策定支援事業では、専門家の計画書策定支援で発生した費用の一部を国に負担してもらえる制度なので大変便利です。

ただし金融機関調整を行うことは前提ではなく、新規で融資を受けることだけを目的として計画策定するのであれば経営改善支援センターの事業費用負担対象にはなりません

新規融資を含む経営改善計画で対象となるのは、新規融資を含む経営改善計画について金融機関と金融調整を行い、経営改善実施に必要とする条件に金融機関が同意した場合です。

資金調達だけを目的する場合には使えない制度なので注意してください。

また、資金調達の方法として融資を受ける以外にもファクタリングなどがありますが、ファクタリング会社などがコンサルティング業務などを兼務している場合もあります。

税理士や弁護士などは敷居が高く感じてしまい、気軽に相談しにくい場合もあるでしょう。しかしファクタリング会社であれば、資金の調達などの相談がメインのため気軽に相談しやすいはずです。

良心的なファクタリング会社であれば、資金調達に関する相談やコンサル業務は無料で対応してくれるため、もし気になることがあればコンサルティング業務も行っている業者に相談してみるとよいでしょう。

利用中のファクタリング会社を乗り換えるタイミングはいつがベストか

すでにファクタリングを利用しているものの、

「何度か利用し続けているのに手数料を下げてもらえない」
「担当者の対応に不満を感じる」
「3社間ファクタリングでないと対応してくれない」

など様々な不満により、乗り換えるタイミングを考えてしまうものです。

現在利用しているファクタリング会社から提供されるサービスや対応に不満を感じているのなら、乗り換えも視野にいれたほうがよいといえますが、そのタイミングはいつがよいかわからないという方もいることでしょう。

もしファクタリング会社の乗り換えを悩んでいるとき、そもそもメリットがあることなのか、いつがそのタイミングなのか解説していきます。

 

ファクタリング会社の乗り換えは実はメリットがあること

現在ファクタリングを利用しているものの、ファクタリング会社のサービスや手数料などに不満があり、乗り換えを検討しているのなら別のファクタリング会社に相談してみるとよいでしょう。

利用中のファクタリング会社に支払っている手数料や、提供されているサービスが本当に自社に合ったものなのか、改めて見直すことができます。

ファクタリング会社の乗り換え希望の顧客は、別のファクタリング会社にとって歓迎されることがほとんどです。

なぜならすでにファクタリングを利用しているということは、売掛金回収後に適切に支払いを済ませている実績のある顧客であるという信用力が認められ、同時に売掛先の信用力も保証されていると考えられるからといえるでしょう。

他のファクタリング会社で数か月に渡り利用した実績があるのなら、安定した売掛先のある利用者と判断され、乗り換えの際にも審査に通りやすく条件も優遇された状態で契約できる可能性が高くなります。

手数料は下がることが多い

ファクタリングを利用したときには、ファクタリング会社に対し手数料を支払うことが必要です。

発生する手数料は1%でも低いほうが十分な資金調達につながりやすくなるといえますが、乗り換え希望の方はファクタリング会社も手数料を下げてでも契約したい優良顧客とみなすため、提案される手数料も既契約より下がることがほとんどといえます。

 

乗り換えはどのタイミングがベストか

ファクタリングを利用するときとは、たとえば銀行から融資を受けるほど多額の資金は必要ないけれど、急いでお金が必要なときなどでしょう。

しかし審査や手続きに手間や時間がかかるときや、そもそも売掛金を現金化させるまで長いファクタリング会社では意味がありません。

もしこのようなファクタリング会社を利用しているときには、乗り換えを検討したほうがよいといえます。

また、希望している売掛金の買取額より低い金額を提示されるときや、今の手数料がだんだんと負担に感じてきたときも乗り換えのタイミングです。

ファクタリングで行われる審査は業者ごとに異なり、入金のタイミングや設定される手数料もファクタリング会社独自で決めています。

そのため手数料が高い場合や入金まで時間がかかるファクタリング会社は、サービスの質が良いとはいえないため、不満を感じたタイミングで乗り換えを検討するべきといえます。

 

ニーズに対応してもらえないと感じたタイミングで乗り換えを

一般的なファクタリング会社では契約を交わすまで面談を行うことが必要であり、2社間ファクタリングでは債権譲渡登記を行うことが必要とされる場合もあります。

ただ、最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、インターネットで手続きが可能となる電子契約などを用いるファクタリング会社も増えています。

債権譲渡登記も必須ではなく、未登記という形で対応してくれるファクタリング会社もあるため、ニーズに対応してくれる業者か見極めることが必要といえるでしょう。

本当にこれって正規のファクタリング?と疑問を感じたらすぐに相談を

本来であればファクタリングは中小企業にとって有効な資金調達の方法ですが、一部の悪質な業者の存在で、本当に正規の取引なのかという不安を抱え相談したいと考える経営者を増やしてしまっています。

だんだんと悪質な業者の逮捕などが進むようになり、表向きファクタリングを装っている契約がどのようなものなのか明らかになりましたが、それでも相談したいと不安を抱えているケースは少なくありません。

そこで、どのようなケースであればすぐに相談したほうがよいのか、怪しいファクタリング契約の内容についてご説明します。

 

悪質といえるファクタリング契約とは

ファクタリング会社とされる業者と契約を結んだとき、

悪質性を判断する基準として、

  • 手数料がヤミ金に匹敵する暴利というべき契約であること
  • ファクタリング会社が債権回収リスクを負わない実質的な貸金契約になっている
  • ファクタリング会社が契約後に過度な取り立て行為を行う

といったケースは極めて悪質といえます。

これらのうち1つでもが該当する契約であれば、すぐにでも相談したほうがよいといえるでしょう。

 

正規のファクタリングとは

ファクタリングとは本来、企業が保有している取引先に対する売掛債権をファクタリング会社に譲渡現金化するサービスです。

売却された売掛債権の管理・回収の責任はファクタリング会社にあるため、仮に売却後に売掛先が倒産し回収不能となっても、ファクタリング契約を結んだ企業はその責任を負うことはないことが特徴です。

ファクタリングは売買契約に基づく債権の譲渡契約を結ぶことになるため、金銭の貸し借りではなく、ファクタリング会社も貸金業登録をする必要はありません。

しかし表向きはファクタリング会社を装い、高金利で金銭を貸し付ける悪質業者が存在します。金銭の貸し付けを行うのであれば、貸金業登録を行い法律上の金利を守ることが必要ですが、このような悪質業者は登録もせず法外な金利を設定してきます。

このような悪質業者は、高額な利息を手数料として請求し、債権の回収の責任も自社が負わない闇金業者ですので契約しないようにしてください。

違法な悪質業者が横行し相談が増えている理由

お金を借りずに資金を調達できるファクタリングは、中小企業などの資金調達手段として活用が広がりつつあるものの、悪質業者が横行し相談が増えている理由は法律などによる規制がないからです。

最近では給与ファクタリングと称し、個人の使用者の賃金債権を買い取る名目で金銭を貸し付ける手法が急増しています。

新型コロナウイルス感染拡大で生活が困窮し、お金を借りることができない個人を対象として、合法な資金調達サービスを装い金銭を貸し付けるのです。

しかし賃金債権は、労働者が賃金の支払いを受ける前に譲渡したとしても、労働基準法では使用者から労働者に直接賃金を支払わなければならないとされています。

そのため給与ファクタリングというスキームそのものが違法であり、そもそも金銭の貸し付けと同じ機能を有しているため、貸金なので貸金業登録も必要です。

給与ファクタリング業者が貸金業の登録をせず、表向きはファクタリング会社を装って資金を融通するサービスを行うことは、貸金業法に違反する行為といえます。

もし給与ファクタリングで資金を調達してしまい、脅迫により返済を迫られて困っているときなど、警察などにすぐ相談するようにしてください。

そもそも給与ファクタリングというスキーム自体が合法とはいえないため、資金調達に活用しないようにしましょう。

 

まとめ

ファクタリングで資金を調達したものの、契約が正規の業者によるものだったのか不安を感じたときには、すぐに別のファクタリング会社でもよいので相談するようにしてください。

違法な業者と契約してしまうと、資金調達につながらないだけでなく、法外な手数料を請求され手元の資金はますます減少します。必ずファクタリングで資金調達するときには、信頼できる業者と契約するようにしましょう。