万一、取引先が倒産してしまい売掛代金は回収できなくなってしまいます。回収できなかた売掛金などの債権が貸し倒れとなれば、その後の会社経営に大きな影響を及ぼすこととなり、事業存続の危機に立たされるかもしれません。
連鎖倒産してしまうことを防ぐためにも、確実に債権を回収するための債権保全を検討しましょう。
債権保全の対策は平常時から
債権保全とは、売掛金などの債権の回収を確実に行いますが、売掛先の経営状況が悪化し、破綻などで債権が回収できなくなる前に平常時に行っておく方策のことです。
債権の回収をスムーズにするための工夫といえるので、債権の弁済を簡単に受けることができるような方策でなければ、債権が保全されたとはいえないでしょう。
債権の保全・回収の方策は、平常時、信用不安時、倒産時など、それぞれのタイミングにおける売掛先の営業状況の段階により異なります。
この3つの段階での対応策を準備検討することが、債権回収を実現させることに繋がるといえるでしょう。
もし売掛先が倒産したときに慌てて債権回収に乗り出したとしても間に合わない可能性が高くなります。普段から倒産したときを想定し、債権回収の保全対策をとるようにしてください。
債権の保全・回収の方策の種類とその内容
その内容として、業況把握や、与信モニタリング、担保権設定、基本契約の締結などが挙げられます。
与信管理で事前の危機回避を
債権保全は、実際に危機が発生したときだけでなく、売掛先と取引を開始する前に与信調査を行っておくことも必要です。
また、取引を開始した後でも、定期的に売掛先が良好な経営状況にあるのか把握しておくことで、突然の倒産による債権回収不能という状態に陥ることを避けることができます。
担保の取得
担保の設定以外にも、遅延金利の設定や支払いを手形化させると言う対策も、方法の1つです。
基本契約の締結
債権の回収までを見通した上で、基本契約書を作成しておくことも必要です。
大切な文言が何か1つ抜けていただけなのに、大きな損失を抱えることになることもめずらしくありません。
事前に紛争になることを基本契約書で予防することで、無駄な費用や労力を抑えることに繋がるでしょう。
もし代金の回収に問題が生じた後でも、売掛先と交渉や協議を行い、債務を承認してもらった上で分割弁済による合意を得る方法もあります。
その際には、明確に効果が出る内容を記した、合意書や示談書を作成しておくことが必要です。
公正証書にしておくと、裁判を行わなくてもすぐに強制執行手続きを取ることもでき、裁判所での和解もスムーズです。
債権回収は初期の方針が重要
債権を回収しようとするとき、初期の方針をしっかり検討することが大切です。弁護士に委任さえすれば全額回収が可能になるというわけではありません。
もし売掛先に資産がなにもない場合や、そもそも資産状況を把握できていなければ、回収できずに終わる可能性も出てきます。
そこで、むやみに債権の回収に費用と労力を費やすことはせず、どこまで回収を行うのか見極めることが大切です。
売掛先が倒産しても諦めないこと
普段から長く取引がある売掛先が万一倒産してしまうと、売掛金が回収できなくて事業が継続できなくなってしまう可能性があります。最悪の場合、連鎖倒産という結果に至らないためにも、債権保全と回収の意味と重要性をしっかり理解しておきましょう。
売掛代金を未回収のまま保有していても不良債権として残るだけです。売掛金の中に不良債権化した債権が残ったままでは、銀行融資の場面でも不利になってしまいます。
普段から万一に備えるためにも、債権保全のために何ができるかを検討し、まずは売掛先に対する与信管理などで事前対策を講じておくようにしましょう。