事業を営んでいると、日々発生した売上は納品書として伝票に記録していき、1ヶ月間をまとめて集計して取引先に請求書を送り、その代金を翌月や翌々月など決まった日に入金してもらうという掛け売りが基本となります。
この掛け売りで発生する売掛金の支払日までの間が1ヶ月ならまだよいですが、2ヶ月や3ヶ月というサイトの場合、代金が入金されるまでの間の支払いができず困ることも出てくるでしょう。
資金繰りが苦しくなることに売掛金が大きく関係する理由について、詳しくご説明します。
売掛金の回収までの期間が長めに設定されていないか確認を
資金繰りが厳しい理由として、売掛金が回収されるまでの期間が長く設定されていることが挙げられます。
仮に月商が1,000万円の企業が保有する売掛金の回収サイトが3ヶ月としたら、売掛金は3,000万円発生することになります。しかし2ヶ月の回収サイトなら2,000万円です。
売掛金はいずれ入金されるものではありますが、代わりに立て替えている性格を持つため、売掛金が多く発生する分、手元の資金は不足しがちになります。
3ヶ月と2ヶ月という1ヶ月の回収サイトの差により、売掛金の金額は1,000万円です。いつも多く手元に資金を保有している企業でないなら、回収サイトによって1,000万円の資金を何らかの方法で調達しなければなりません。
不足分を借り入れで調達するとしたら…
もし、融資などを利用してこの1,000万円という資金を調達する場合、金利が3.0%だとしたら年間で30万円の利息が発生してしまいます。
そのように考えると、売掛金の回収サイトはできるだけ短いほうがよく、経営を圧迫しない方法での資金調達が求められるともいえるでしょう。
売掛金の回収サイトを短くするために行うべきこと
売掛金の回収サイトは、取引先との契約によって決めることがほとんどです。最初の取引のときに交渉することが肝心で、一度決めた回収サイトを後で変更することは非常に大変なこととなります。
そのため、新規で取引を開始する場合には、相手の希望も考慮しながら、できるだけ短い回収サイトで設定できるように話を進めていきましょう。
もしすでに取引を開始していて、相手の希望をそのまま受け入れたことで回収サイトが長期化しているのなら、短く設定できないか交渉してみることも大切です。
売掛金の回収チェックは確実に行うこと
もし月末が入金予定となっている売掛金があるのに、未入金のまま月を越してしまっている場合、何も連絡せずに放置することは得策ではありません。
入金されない状態でもそのままにしていれば、相手にとって都合のよい取引先として扱われる可能性があります。少々遅れても何もいわれないので、次の支払いも遅れても大丈夫だろうと勝手に判断されてしまうかもしれません。
そのような取引先が増えれば、本当ならすでに回収しているはずの売掛金がどんどんたまることになり、ますます資金繰りを圧迫します。
もし売掛先が倒産したら
仮に未回収の売掛金の取引先が倒産してしまえば、その売掛金は貸し倒れとなり損失を抱えることになるでしょう。
売掛金の入金確認はしっかり行い、遅れが生じている取引先にはしっかりと督促することも大切です。
まとめ
売掛金の回収サイトが長ければ資金繰りは悪化します。もし長期化している売掛金があるのなら、早めに回収できるように取引先に交渉してみましょう。
また、未入金の売掛金がある場合にも取引先に連絡し、仮に支払いができない場合でもいつまでに支払うことができるのかを約束してもらい、その日にしっかり支払ってもらうことが大切です。
未入金の売掛金が増えればさらに資金繰りは悪化し、改善不可能なところまで行きつけば、資金ショートで会社は倒産してしまいます。
そのようなことのないように、売掛金の管理と回収業務は徹底して行うようにしましょう。
「事業資金が必要になったけれど、銀行の融資は審査が厳しい。それに出資してもらえるほどの人脈もない」、このような状態には、ビジネスローンの活用が大きく役立ちます。比較的緩めの審査で短期間での入金が期待できるため、急ぎの出費が必要となるときにはまさに救い主だと言えるでしょう。また、銀行系やノンバンク系、さらには政府系のビジネスローンなどと種類が充実しているため、信頼度が高いものを選べば確実な資金調達法になります。
しかし、手軽に利用できるからこそ、ビジネスローンにはデメリットと危険性があります。万が一返済不能な状況に陥ったときには厳しい取り立てを受けるなどの事態も予想されるので、慎重な利用を心がけましょう。
そこで今回はビジネスローンの問題点や返済不能になったときの対処法についてお話ししていきます。リスクを抑えて安全な資金調達をしていくためにも、ぜひ今回の記事をお役立てください!
1. 検討前に必ず確認を!ビジネスローンのデメリットとは?

気軽に借り入れできるビジネスローンには数々のデメリットがありますが、これからお話しする4つのデメリットはそのなかでも事業者がぜひ気をつけておきたい点です。
金利が高い
銀行による融資の金利が毎月2パーセントであることに対し、ビジネスローンでは3~10パーセントもの金利をつけた返済が義務づけられます。金利の数値はローン会社によって異なりますが、いずれにしても銀行や公的機関よりもはるかに高い金利がつきます。また、返済期間が長くなればなるほどに金利の負担が大きくなるというデメリットもあります。
ローン会社としては担保や保証人をつけない状態で融資をするため、ある意味での信頼材料としての高金利を貸します。事業者にとっては厳しいものとなりますが、資金提供側にとっては至極妥当な条件だと言えるでしょう。
確定申告書や事業計画書が必要
ビジネスローンを受けるには、確定申告書や事業計画書の提出が求められます。銀行の融資ほど煩雑な手続きがないものの、やはり月々の返済を約束できるだけの経営能力を示す必要があるためです。また、一定期間における経営状況を調べるため、数年分の書類も不可欠です。
さらに、審査によってはローンを組めない場合もありますので、必ずしも安易に資金提供を受けられると楽観視しないことが得策だと言えます。
使用目的が限られる
本来ビジネスローンは事業者や個人事業主を対象にした金融商品であるため、事業以外への出費は認められていません。例えば事業者が生活費に困っているからビジネスローンによる資金を使う、ということは実質的に禁じられているので、気をつけておきましょう。
事業目的であるならば、借り入れの返済や従業員への給与など、事業者の好きなように使って構いません。
個別交渉が難しい
ビジネスローンの審査に落ちた場合、個人交渉での挽回が難しいというデメリットもあります。ビジネスローン自体が審査基準を満たした相手に提供する金融商品となるため、言い訳や感情は通用しないのです。
このほかにもビジネスローンにはデメリットや危険性が数多くありますので、利用前には必ず確認しましょう。
2.ビジネスローンを返せなくなるとどうなる?
ビジネスローンは銀行の融資と比較して金利が非常に高いので、事業者にとっての負担はそれだけ大きくなります。以前にビジネスローンの取り立てが社会問題になった背景から、「万が一返済不能になったらどうしよう?」と不安に思われる方も少なくないでしょう。
そこで次はビジネスローンの返済に困ったときに何が起こるかをお話しします。
ビジネスローンの「取り立て」は、昔ほど厳しくない
ビジネスローンはかつて「商工ローン」とも言われ、高金利と取り立ての厳しさで事業者から恐れられていました。返済が遅れると金融機関の業者が厳しい取り立てを始め、消費者金融で借り入れさせたり脅迫まがいの電話を掛けたりなど、過酷な対応で社会問題になったほどです。
しかし、現在では法規制が進み、このような厳しい取り立てや暴力的な行為はできなくなっています。あくまでも法律の範囲内での催促と処分が進められていきます。
法律の範囲内で処分を受ける
返済の遅れが発覚すると、まずローン会社は事業者に催促状を送付します。
その後、
・担保の競売
・競売後、残りの借金の取り立て
・財産の差し押さえの訴訟
・差し押さえの強制執行
などの手順で処分が進められていきます。
これらの流れは事業者の状況によって変わるケースもあります。例えば一度資金ショートに陥っても将来的な業績回復が期待できれば返済を待ってもらえることもあります。反対に、経営状況に望みが見られず返済能力が全く見られない場合には、上記の手順が一気に進んでいきます。
このように見ていくと、ビジネスローンは返済トラブルの危険性も無視できないものだとわかります。過激な取り立てこそなくなったものの、返済遅延が発覚した時点で厳しい対応がとられるので、借り入れる前の慎重な判断が何よりも求められます。
3.返済の負担を軽減できる、「債務整理」とは

ビジネスローンの返済が不可能な状態にあると財産の差し押さえや競売などの処分を受けることになりますが、その前にいくつか打開策があります。そのなかの一つが過払い請求などを解決する「債務整理」です。
債務整理では過払い金の請求をはじめ、任意整理や民事再生、自己破産の取引などができます。経営とローン返済に困っている事業者の助けとなりますので、ぜひ活用してみましょう。
債務整理後でも事業を続けられる
債務整理には数々のメリットがありますが、そのなかでも整理後も事業を続けられるのが大きなポイントです。資金ショートの状態にあっても、金融機関との話し合い次第で債務免除や減額が可能となり、事業を継続できたというケースは少なくありません。
悲惨な結果に見舞われたけれど事業を諦めたくない方にとっては、非常に心強い対応となるでしょう。
取引先に知られない
債務処理は弁護士や司法書士を通じておこなわれます。「取引先に情報が伝わったら信用を失うかもしれない」と心配する事業者の方が多いですが、ここで弁護士や司法書士には守秘義務が課せられているため、事業者の債務処理を口外することは禁じられています。
そのため、取引先との信頼関係を崩さずに債務処理が可能となります。今後も事業を続けたい方にとっては嬉しいポイントですね。
取り立てをストップできる
債務処理が始まると弁護士や司法書士は「受任通知」を発行します。これを機にローン会社は事業者に対して一切の取り立てができなくなります。
それでも取り立てをおこなった場合、ローン会社は業務停止処分を受けます。以前ほどではないものの、業者による取り立ては事業者への負担となるため、ここでストップできることは大きなメリットだと言えます。
無料相談も受けられる
債務処理には弁護士や司法書士への依頼が必要となりますが、相談自体は無料です。インターネット上で事業者と弁護士・司法書士のマッチングサイトも公開されているので、ぜひ活用しましょう。特に経営状況や債務処理の必要度によって対応が変わる場合があるので、事業者の得意分野を扱える業者を選ぶのに役立ちます。
また、基本的に依頼は後払いとなり、処理後に分割払いも可能です。事業者にとって負担の少ない形で利用できるので、返済の遅れや取り立てで困っているのならぜひ相談してみましょう。
銀行による融資や出資と比べて気軽に利用できるからこそ、多くのデメリットがあるビジネスローン。返済に追われて事業に影響が出るなどというリスクを回避できるよう、慎重な判断をしていきましょう。また、どうしても困っている場合には債務処理を検討するなど、打開策を探すことも大事です。
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