Point13
審査・申し込みから契約・入金までの流れ

個人事業主や中小企業が事業のための資金を調達する方法としては、銀行のビジネスローンやノンバンクのビジネスローン、さらには不動産担保ローンを利用することが一般的でした。そこに新たな資金調達方法として売掛金の譲渡によるファクタリングが出てきたのです。
ファクタリングはローンと比較すると利用のハードルは高くありません。仮に赤字経営であったとしても売掛金があれば利用できる可能性が高いのです。
しかしまだ利用したことがある個人事業主や中小企業はそれほど多くありません。
どのように申し込みをしたら良いのか?
審査はどのように行われるのか?
審査結果が出るまでにはどれくらいの時間がかかるのか?
契約方法はどうなっているのか?
入金はどのようにされるのか?
上記のようなことが分からずに、「気にはなっているけどなかなか手が出ない」という事も多いでしょう。
こちらではファクタリングの審査申し込みから、契約手続き、そして入金までを順を追って説明していきます。
第1段階|ファクタリングの申し込みについて
利用するファクタリング業者を決める
一括見積もりサイトなどで業者を比較して決めるのがおすすめです。
もっとも重要な段階でもあります。
そもそもどの業者を利用してファクタリングをするのかを決めなければなりません。
業者によっても「掛け目」や「手数料」が大きく異なっているのです。仮に不利な業者を選択してしまうようなことがあれば、入金される金額は少なくなってしまいます。そうならないようにするためにも、有利な業者を見つけ出さなければなりません。
一括見積もりサイトを利用すれば、どの程度の資金調達が出来るのかも大体わかります。手数料などの相場もなんとなくでも見えてくるわけです。
ちなみにファクタリングは2社間取引よりも3社間取引は手数料が低くおすすめです。しかし3社間取引については、売掛先にファクタリングの利用が発覚するのでその点はデメリットと言っても過言ではありません。
業者によって2社間取引しか出来なかったり、2社間取引も3社間取引もできたりする場合があるので、どちらのタイプの取引をするかも前もって決めておくべきです。
気になる業者があったら相談しよう
いきなり申し込みは危険です。
手数料や掛け目に関しては、各業者の公式ホームページにも記載してあると思いますがアバウトなのです。手数料「3%から10%」や掛け目「95%から70%」などと記載されていませんか?それでは実際にどの程度の率がかかってくるかわかりません。
ファクタリング業者の中には悪徳業者が紛れ込んでいるのも事実です。しっかりと見定めていくことが大事なので、相談は絶対にしなければなりません。
相談方法としては以下のものがあります。
- 面談(ファクタリング業者のオフィスなど)
- 電話
- メール
資金調達について時間的な余裕がない、というケースは電話での相談を選択しましょう。業者の営業時間内であれば電話相談に応じてくれるはずです。
申し込みを実施する
利用したい業者が見つかったら申し込みをするのですが、前もって必要書類を準備しておくのがおすすめです。手続きを少しでもスムーズにすることで、入金までの時間を短く出来るわけです。
ファクタリング利用時に必要になってくる書類例
- 登記簿謄本・・・履歴事項全部証明書のこと、発行から3ヶ月以内のもの
- 印鑑証明書・・・発行日より3ヶ月以内のもの
- 法人税確定申告書(決算報告書)・・・税務署の収受印があるものが必要、直近3期分が求められることが多い
- 売買契約書・基本契約書など・・・売掛金の根拠となる契約書(取引基本契約書・注文書でもOK)
- 入金日が分かる書類・・・対象売掛金の入金日が把握でっきる資料(請求書・納品書・注文書など)
- 試算表・・・決算から期間が立っている場合に求められることがある
銀行のビジネスローンやノンバンクのビジネスローンを利用する時には、事業計画書の提出が求められると思います。ファクタリングについては、事業計画書の提出が求められることは基本的にありません。
審査の対象は売掛先だからです。ファクタリング利用会社の審査をしたとしてもあまり意味がありません。ファクタリング会社にとって重要になってくるのは、売掛先から売掛金が回収できるのか、ということなのです。
申し込み時に簡単なヒアリングあり
事業計画書のようなものは一般的には必要ありませんが、ある程度の情報は提供しなければなりません。ヒアリングで会社のことについて幾つか質問をされることになります。
たとえば
「売掛先との取引額はどの程度なのか?」
「売掛先との取引歴は長いのか?」
「売掛先は上場しているのか?」
といったことです。
売掛先のことをファクタリング業者は知りたがっているので、ある程度の情報は提供できるようにしておきましょう。
ヒアリング時には自社のアピールをしても構いません。たとえば「黒字経営ではあるが大きな設備投資を早急にしたいのでファクタリングの利用を計画している」といったことを伝えておけば、プラス評価されるかもしれないのです。
第2段階|審査結果が発表され契約内容が伝えられる
審査結果が出るまでの時間と伝えられ方
- 審査結果が出るまでの時間・・・1営業日から2営業日で結果が出ることが多い
- 審査結果の伝えられ方・・・電話、メール
ファクタリングの大きなメリットは審査結果が早い段階で出る、ということです。銀行のビジネスローンのように1週間や2週間待たされてしまう、ということもありません。早い段階で利用できるのか、それとも利用できないのか、といったことが分かるのです。
中には最短で即日回答、といった業者があることも確かです。
審査結果については電話によって伝えられるケースもあればメールによって伝えられるケースもあります。
審査OKであった場合には、さらに手続きが進んでいきます。審査NGであった場合にはここで終了です。ファクタリングの利用は出来ません。
- 契約内容について
- 掛け目はどのくらいなのか
- 手数料はどのくらいなのか
- 資金調達額はいくらになるのか
以上のことが伝えられることになります。
ファクタリングは売掛金の額面を満額受け取れるわけではありません。ファクタリング業者の取り分があるわけです。掛け目と手数料によって差し引かれた金額が、資金調達できる金額となります。
掛け目と手数料は業者によっても異なります。さらに利用回数などでも異なってくるのです。初回については不利な条件で利用することが多いです。しかし2回目以降の利用である場合には、掛け目と手数料は好条件に設定してくれる業者が少なくありません。
契約内容について納得した場合は、契約手続きに入ります。
契約内容に納得できなかった場合には、契約しなくて構いません。審査を受けたからといって契約が強要されることはないのです。掛け目や手数料が不利であったケースには断りましょう。
契約内容について交渉できるのか?
交渉自体は可能です。
掛け目や手数料率を有利にしたいと思って交渉する方もいます。
しかし初回利用である場合には、希望を飲んでくれる可能性は低いと考えて間違いありません。信用がまだないので、業者としても好条件の設定は難しいのです。
交渉をしたいのであれば2回目以降の利用時にしてください。2回目以降であれば、信用もあるので交渉する価値はあります。
第3段階|契約手続きの実施
契約手続きに関しては、2社間取引であるケースと3社間取引であるケースとでは大きく異なってくるので注意しなければなりません。
2社間取引である場合にはそれほど難しいものではありませんが、3社間取引は少し面倒なので注意しましょう。
前述したファクタリング利用時に必要になってくる書類ですが、この契約時にその多くが必要になります。準備していた書類を提出できるようにしておきましょう。
2社間取引利用時の契約手続きについて
2社間取引はシンプルな契約手続きとなっており、自社とファクタリング業者だけが主に関わってきます。売掛先は契約には関係してきません。
契約書が提出されるので、そちらの必要事項を記入してください。そして契約書には実印を押します。さらに印鑑証明書を提出すれば契約締結となります。
ちなみに登記が必要になる場合もあると思います。そういったケースには売掛金の登記も実施します。
3社間取引利用時の契約手続きについて
2社間取引とは異なり、売掛先も契約に関わってきます。
自社とファクタリング業者、さらには売掛先が契約に関連してくるわけです。
まずは自社とファクタリング業者が契約画筆余になります。その上で売掛先とファクタリング業者の契約手続きも必要になってくるわけです。
売掛金の入金口座も変更しなければなりません。基本的には自社の銀行口座に振り込まれる予定になっていたと思います。3社間取引の場合は、直接ファクタリング業者へ振り込まれることになるので、ファクタリング業者の口座へ振り込まれるように変更手続きを行わなければならないのです。
3社間取引の契約手続きで特に重要になってくるのが、売掛先への通知と承諾を得る、ということです。
まずは「債権譲渡通知」を行わなければなりません。「売掛金を譲渡したので返済はそちら(ファクタリング業者)にお願いします」との旨を伝えるのです。のちのち問題に発展しないように、内容証明郵便を利用しましょう。
売掛先の承諾も得る必要があります。承諾に関しては公正証書を利用するのが一般的です。こちらも後のトラブルを避けるために、しっかりと証拠を残すことが大事なのです。
第4段階|入金について
口座に振り込まれる
自社の口座にファクタリング業者が振り込んできます。
後はその資金を会社のために使えば良いわけです。
入金に関しては2社間取引も3社間取引も関係ありません。双方ともに同じ流れとなるわけです。
入金される金額ですが、もちろん掛け目と手数料と差し引かれたものです。契約内容通りの額が入金されているかを必ず確かめてください。
入金する時にはファクタリング業者への請求書が必要になります。契約が済んですぐに入金してほしい場合には、速やかに請求書をFAXなど利用して送信しましょう。
毎月売掛金を買い取ってくれるような契約をしている場合には、入金が毎月続くような形になります。そのケースであっても、毎月請求書を発行しなければなりません。
第5段階|ファクタリング業者による売掛金の回収
ファクタリングはローンではないので返済とは言いません。
売掛金は期日が来ればお金が入金されるはずです。その入金をもって売掛金が回収されたことになり、一通りの手続きは終了となります。
売掛金の回収に関しては、2社間取引と3社間取引で大きく異なるので注意しなければなりません。
2社間取引のケースの売掛金の回収について
売掛金は入金日に自社の口座に振り込まれるはずです。
対象となる売掛金が自社の口座へ入金されたら、すぐにその入金額をそのままファクタリング業者の指定してきた口座に振り込んでください。
以上でファクタリング業者による2社間取引の売掛金の回収は終了です。
ローンのように毎月返済する、といったことは毎月継続するタイプのファクタリング契約をしていない限りはありません。
3社間取引のケースの売掛金の回収について
特にすることはありません。
第3段階の契約手続きの項で掲載しましたが、すでに売掛先が振り込む口座がファクタリング業者の口座へ振り込まれるように設定されているのです。
売掛先がファクタリング業者へ振込を行い、その時点で売掛金の回収は終了します。ですから何かしらの手続きをしなければならない、ということはないわけです。
注意!登記を行っていた場合は解除すること
ファクタリング契約時に売掛金の登記をしているケースもあります。その場合は売掛金の回収が終わったら登記の解除をしなければなりません。
登記の解除については専門家である司法書士が対応します。一定の費用(20,000円から30,000円程度)が発生します。
ファクタリングの利用の流れまとめ
ファクタリング業者の選定
↓
ファクタリング業者への相談
↓
業者の決定
↓
申し込み手続き
↓
審査結果が伝えられる
↓
審査OK
↓
掛け目や手数料、そして入金額が示される
↓
契約手続きの実施(2社間取引と3社間取引で異なる)
↓
入金
↓
ファクタリング業者による売掛け金の回収(2社間取引と3社間取引で異なる)