売掛金の回収サイトが1ヶ月違うだけでも経営負担は大きく変わる

事業を営んでいると、日々発生した売上は納品書として伝票に記録していき、1ヶ月間をまとめて集計して取引先に請求書を送り、その代金を翌月や翌々月など決まった日に入金してもらうという掛け売りが基本となります。

この掛け売りで発生する売掛金の支払日までの間が1ヶ月ならまだよいですが、2ヶ月や3ヶ月というサイトの場合、代金が入金されるまでの間の支払いができず困ることも出てくるでしょう。

資金繰りが苦しくなることに売掛金が大きく関係する理由について、詳しくご説明します。

 

売掛金の回収までの期間が長めに設定されていないか確認を

資金繰りが厳しい理由として、売掛金が回収されるまでの期間が長く設定されていることが挙げられます。

仮に月商が1,000万円の企業が保有する売掛金の回収サイトが3ヶ月としたら、売掛金は3,000万円発生することになります。しかし2ヶ月の回収サイトなら2,000万円です。

売掛金はいずれ入金されるものではありますが、代わりに立て替えている性格を持つため、売掛金が多く発生する分、手元の資金は不足しがちになります。

3ヶ月と2ヶ月という1ヶ月の回収サイトの差により、売掛金の金額は1,000万円です。いつも多く手元に資金を保有している企業でないなら、回収サイトによって1,000万円の資金を何らかの方法で調達しなければなりません。

不足分を借り入れで調達するとしたら…

もし、融資などを利用してこの1,000万円という資金を調達する場合、金利が3.0%だとしたら年間で30万円の利息が発生してしまいます。

そのように考えると、売掛金の回収サイトはできるだけ短いほうがよく、経営を圧迫しない方法での資金調達が求められるともいえるでしょう。

 

売掛金の回収サイトを短くするために行うべきこと

売掛金の回収サイトは、取引先との契約によって決めることがほとんどです。最初の取引のときに交渉することが肝心で、一度決めた回収サイトを後で変更することは非常に大変なこととなります。

そのため、新規で取引を開始する場合には、相手の希望も考慮しながら、できるだけ短い回収サイトで設定できるように話を進めていきましょう。

もしすでに取引を開始していて、相手の希望をそのまま受け入れたことで回収サイトが長期化しているのなら、短く設定できないか交渉してみることも大切です。

 

売掛金の回収チェックは確実に行うこと

もし月末が入金予定となっている売掛金があるのに、未入金のまま月を越してしまっている場合、何も連絡せずに放置することは得策ではありません。

入金されない状態でもそのままにしていれば、相手にとって都合のよい取引先として扱われる可能性があります。少々遅れても何もいわれないので、次の支払いも遅れても大丈夫だろうと勝手に判断されてしまうかもしれません。

そのような取引先が増えれば、本当ならすでに回収しているはずの売掛金がどんどんたまることになり、ますます資金繰りを圧迫します。

 

もし売掛先が倒産したら

仮に未回収の売掛金の取引先が倒産してしまえば、その売掛金は貸し倒れとなり損失を抱えることになるでしょう。

売掛金の入金確認はしっかり行い、遅れが生じている取引先にはしっかりと督促することも大切です。

 

まとめ

売掛金の回収サイトが長ければ資金繰りは悪化します。もし長期化している売掛金があるのなら、早めに回収できるように取引先に交渉してみましょう。

また、未入金の売掛金がある場合にも取引先に連絡し、仮に支払いができない場合でもいつまでに支払うことができるのかを約束してもらい、その日にしっかり支払ってもらうことが大切です。

未入金の売掛金が増えればさらに資金繰りは悪化し、改善不可能なところまで行きつけば、資金ショートで会社は倒産してしまいます。

そのようなことのないように、売掛金の管理と回収業務は徹底して行うようにしましょう。

資金の調達に手形や売掛金などの売掛債権を利用する方法とは

取引先から受け取った手形を現金化する方法に手形割引がありますが、資金繰りに困った企業などが手早く現金として資金を調達できる手法として利用されています。

似た手法に売掛金を現金化するファクタリングがありますが、方法は似ていても手形割引とファクタリングはまったく違った資金調達の方法です。

そこで、それぞれの資金調達の仕組みや特徴についてご説明します。

 

手形や売掛金など売掛債権を使った資金調達はすでに当たり前の状態

取引先からの支払いに手形を受け取ったとしても、手形に記載された期日にならなければ現金として入金されることはありません。

また、月末分にその月に納品した分をまとめて請求し、後日その代金が入金されるという場合も売掛金として計上され、こちらも入金される期日までは現金を得ることはできない状態となります。

そのため、どちらも期日までの期間が長く設定されていると、その間の資金繰りが悪化してしまうことが懸念されます。

そこで、手形を期日前に現金に換える方法として、手形割引やファクタリングを利用する中小企業が少なくありません。

 

手形を現金化する「手形割引」

まだ期日を迎えていない手形を、銀行や手形割引専門業者などに買い取ってもらい、現金に換金する方法が手形割引です。

手形を買い取ってもらう際には期日までの日数分の手数料や利息が発生しますので、現金として受け取ることができる金額は、これらの費用が割り引かれた後の額です。

手形を担保として現金を貸してもらうことになるため、手形の売買ではなく融資とみなされる取引です。

手形を現金化するためには、手形の買い取りを金融機関や手形割引業者に依頼します。依頼を受けた銀行などは、もともと手形を発行した振出人に支払い能力があるか調査を行いますが、もし振出人に支払い能力がないと判断されてしまうと、手形割引は利用できない可能性もでてきます。

また、割り引いた手形が期日を迎えたとき、振出人の当座預金の残高不足などで不渡りとなった場合には、現金化した代金を銀行に返還しなければなりません。

「手形貸付」と異なる点

手形割引は手形を期日前に現金化することですが、手形貸付は自社の手形を担保として、金融機関やノンバンクなどからお金を借りることです。信用取引の1つであり、ある程度、信用力が高いとみなされる企業が利用できます。

この場合も、手形に記載された金額から金利分が差し引かれ、現金として資金を調達することとなりますが、迅速に融資を受けることができる点はメリットです。

ただし、返済期間は短期的なものとなり、どれほど長くても1年以内で返済しなければなりません。支払期日に一括で支払うのか、それとも分割で返済するのかなど選べるのはメリットですが、赤字経営では利用できないことがほとんどです。

 

売掛金を売却して現金化する「ファクタリング」

手形ではなく、売掛金をファクタリング会社に売却して現金化する方法をファクタリングといいます。

同じ売掛債権でも保有する売掛金が売却の対象ですが、利用するにはファクタリング会社に対して手数料を支払う必要があるため、現金として受け取ることができるのは手数料が差し引かれた残りの金額です。

ただ、手形割引や手形貸付と大きく違うのは融資ではないという部分は手形割引と大きく異なる点といえます。さらに、万一、売掛金を現金化した後に売掛先が倒産したとしても、その弁済負担についてファクタリングを利用した会社が負うことはありません

ただし注意したいのは、ファクタリング会社が徴収する手数料やファクタリング業を営む上での登録制度など、法的な整備が不十分であることです。中にはファクタリング会社を装い法外な手数料を請求する悪徳業者も潜んでいることから、優良な会社を見極めることが重要となります。

 

手形や売掛金は中小企業にとって資金調達の有効な活用アイテム

銀行の融資などで資金を調達しようと思っても、審査が厳しく借り入れができないという場合も少なくないでしょう。このような場合、手形や売掛金などの売掛債権を資金の調達方法として有効活用することを検討してみることをおすすめします。

ただし、それぞれメリットもあればデメリットもありますので、自社にとってどの方法が最も適しているかしっかりと判断した上で活用するようにしましょう。

《2020.9更新》銀行融資で資金調達を成功させるなら事業計画書の内容がポイントに!

融資を受けて資金調達を成功させるためには、適切な事業計画書の作成が求められます。しかし、実際には思うような融資のための事業計画書が作成できておらず、どのように作成すれば融資で資金調達に成功するのかわからないという方も少なくありません。

そもそも事業計画書を作成する目的は融資を受けて資金調達するだけでなく、事業計画内容の社内共有・企業の魅力を社外に発信することなどもあげられます。

その中で金融機関の審査で認めてもらうことや、投資家に出資してもらうことなどで、資金調達につなげることが可能になると考えるようにしましょう。

そこで、銀行から融資を受けて資金調達するためには、どのような事業計画書を作成すればよいかご説明します。

銀行融資で資金調達するなら事業計画書の提出は欠かせない

新たに事業を始めるときや設備投資などで資金調達が必要となる場面において、銀行融資日本政策金融公庫などに借入れの申し込みを行えば事業計画書の提出を求められることとなります。

確かに、現在計画している事業について口頭で説明するだけでは、具体的な数字の予測などが伝わりにくいので融資を行う銀行も本当に資金を貸付けてよいか迷うことになるでしょう。

信憑性に欠けると判断されてしまわず、この会社なら融資をしてもよいと認めてもらうためにも、相手を納得させることができる情報を盛り込んだ事業計画書を作成・提出するようにしてください。

事業計画書からその法人や事業に将来性や収益性が見込めると判断されれば、融資で実施される審査の時間が短縮されやすくなりますし、担当者が上司に提出する稟議書の作成もスムーズに進みます。

 

事業計画書には何を記載すればよいのか

事業計画書は単に今後の計画だけを記載すればよいわけではありません。銀行などがその内容を理解しやすいように、数字以外の情報も盛り込んでいくことが求められます。具体的には次のような項目を記載することになります。

  • 企業の沿革
  • 代表者・経営陣のプロフィール
  • 従業員・パートの状況
  • 現状のビジネスモデルの概要(商品やサービスの内容)
  • 取引先(販売先・仕入先・外注先)と取引条件
  • 市場環境・競合状況
  • 自社の特徴や強み
  • 数年の業績
  • 解決すべき問題点や課題
  • 新たに取り組む計画と具体的施策
  • 借入金の資金使途と効果
  • 収支の見通し
  • 資金繰り計画

これらの項目が記載されていることによって、企業の概要を把握しやすくなり、これから実施していく施策や数値計画なども理解しやすくなるはずです。項目が多いので、できるだけ簡潔に、しかし明瞭に記載していくことが必要といえるでしょう。

あらわす数値には根拠が必要

事業計画書上に記載する数値は、単に今後5年くらいの見込みを表にしただけでは説得力がありません。本当にその数値を実現させることができるのか、1年間の収支の見込みに根拠があるかが重要となるでしょう。

具体的な裏付けを可能とする内容を記載し、口頭でもその説明を求められるものと想定しておくことが必要です。

色づけされた内容では意味がない

事業計画書を作成するときには、銀行融資などでは特に審査にプラスに働くような内容を意識して記載してしまいがちです。

特に日本政策金融公庫などの制度を活用し、創業資金や開業資金などを個人事業主やベンチャー企業などが起業する目的で、お金を借りるときには注意してください。

過度な色付けで客観的な比較データは存在しないという場合、市場の分析力が甘いと判断されてしまいます。

仮に銀行融資における審査で有利に働き、借り入れができたとしても決算書上で結果が伴っていなければ、企業の信用力は低下してしまうでしょう。

継続して融資を受けることを望むなら、銀行と長期的に良好な取引関係を築くことが大切ですし今後のメリットにもつながります。

手堅い事業計画書を作成するように心がけて行きましょう。

資金繰りを改善させながら適切な事業計画書の作成を

資金を調達させる方法は融資以外にも投資してもらうなどいろいろあります。

たとえば一時的な運転資金を急いで確保したいなら、ノンバンクと呼ばれる貸金業者のビジネスローンや、融資を受けず売掛金を現金化するファクタリングなどが有効です。

しかし法人が新規で事業でを始めるときや設備投資などで多額の資金を必要とする場合には、銀行などの金融機関で融資を受けたいと考えることがほとんどでしょう。

銀行融資は金利が安いなど、ノンバンクのビジネスローンとは大きな違いがありますし、利息の負担も軽くて済む上に長期返済も可能など返済計画も立てやすくなります。

さらにノンバンクサラ金というマイナスイメージもあり、借金だけを増やしてしまう資金調達の方法と考える経営者も少なくありません。

ただし銀行融資で資金調達したいのなら、まずは銀行からお金を貸すのにふさわしい相手だと判断されなければならないと認識しておくべきです。

個人事業主・中小企業・ベンチャー企業など、大企業よりも信用力が低い場合でも、お金を貸すことでメリットがあると認められれば融資を受けて資金調達することは可能です。

資金繰り改善や事業資金ニーズなど、資金調達を必要とするタイミングや目的はそれぞれですが、いずれにしても融資を受けて資金の調達が可能となる適切な事業計画書の作成を行うようにしましょう。

そして資金を借りた後も、適切に調達した資金を活用し、資金繰りを悪化させないための返済シミュレーションも怠らないようにしておくことが大切です。

事業を営む個人が資金を調達するために有効な方法は?

会社を設立せずに、個人として、または副業として事業を行って利益を得ている方も少なくありません。

事業を営むならたとえ個人であっても資金は必要になりますので、どのような資金調達の方法が有効なのかご紹介します。

 

日本政策金融公庫の融資制度を利用する

日本政策金融公庫は、100%日本政府が出資している政策金融機関です。

そもそも日本政策金融公庫が設立された目的は、銀行など民間の金融機関から融資を受けることが難しい中小企業個人事業主円滑に資金を調達できるようにすることです。

そのため、日本政策金融公庫が提供する融資制度にはさまざまな種類の貸付制度がありますが、個人でも利用できる融資が豊富にあります。

ただし、融資制度を利用するための要件審査がありますので、簡単に利用できるわけではないと理解しておきましょう。

 

中小企業庁が行う小規模事業者対象の助成金などを狙う

また、中小企業庁でも従業員20人以下(商業やサービス業は5人以下)の小規模事業者を対象とした経営サポートを行っています。

小規模企業支援で利用できるサポートはいろいろあり、要件に適用すると助成金など支給されますので調達できる資金として活用するとよいでしょう。

なお、どのような助成金や補助金制度があるのか、募集期間や申し込みの締め切りなどに注意が必要です。現在実施されているものや、今は実施されていないけれど毎年公募されるものなどがあるので、定期的に情報を確認するようにしましょう。

 

信用保証協会の保証付融資で借り入れを行う

銀行のプロパー融資などは、直接銀行が資金を貸し付けることになるので、事業実績のない個人にとっては審査の壁は高くなりがちです。

ただし、信用保証協会が融資を保証し、信用力が乏しいと判断されがちな個人でも、まとまった資金を銀行など金融機関から借り入れできる信用保証付き融資なら、低金利で融資を受けることが可能かもしれません。

信用保証付き融資を利用する場合は、まず信用保証協会の審査に通過し、その後、利用する金融機関の審査を通過することが必要です。

信用金庫や信用組合など、地元で中小企業や自営業者に対する融資を行う金融機関でも利用できるため、プロパー融資が難しい場合は検討してみるとよいでしょう。

 

クラウドファンディングで支援者に応援してもらう

クラウドファンディングとは、自らが構想しているプロジェクトをインターネット上で提案し、想いに共感した方や応援したいと感じた方など、その内容に対する賛同を得ることで資金を調達する方法です。

購入型寄附型があり、購入型は支援した見返りにさまざまなリターンを得ます。寄附型の場合、対価性のあるリターンは発生せず、寄附金として支援を行います。

ただ、寄附型の場合には支援した方に、寄附による税制優遇措置が設けられているなど、いずれの場合も双方にメリットがある形になっていることが特徴です。

資金調達額が300~1,000万円以上になるケースはごくわずかで、成功後もシステムを利用した手数料が差し引かれます。

クラウドファンディングはインターネット広告事業や銀行のグループ会社など、提供している企業もさまざまですので、初めて利用する方でも利用しやすいサイトを選ぶとよいでしょう。

 

ファクタリングで売掛債権を現金化

個人でも信用力の高い取引先の売掛金を保有しているなら、期日前に現金化して資金を調達するファクタリングも有効な資金調達の方法です。

ファクタリング会社に売掛債権を売却し、手数料分は差し引かれ、残りの代金を期日前に受け取るという流れです。融資ではないので返済負担が重くなることはなく、売掛金の支払いサイト短期化させることで資金繰りを改善させることが可能となります。

ただし、個人の場合は受け付けていないという場合や、買い取る売掛債権に下限を設けているファクタリング会社などもあります。

そのような場合、当サイトを利用していただければ、一括で数社のファクタリング会社から相見積もりを取得することができますので、ぜひご利用ください。

 

まとめ

個人の方が利用できる資金調達の方法は他にもいろいろありますが、高い金利の借り入れなどを利用してしまうと、返済負担が大きくなり過ぎてしまい、その後の資金繰りが悪化する可能性もあります。

どの方法が事業のスタイルや状況に合っているのか判断し、適切と思われる方法を選ぶようにしてください。

資金を調達するためのベストなタイミングはどのように判断する?

事業に必要な資金には、設備資金、そして運転資金がありますが、それぞれ調達が必要となるタイミングは異なります。

銀行などに融資を申し込む場合には、何のために資金が必要なのか、その目的を明確にすることが必要です。

 

資金が不足してから資金調達を考えるのは遅い?

運転資金を調達しようと考えるタイミングはいつでしょうか。そろそろ資金が不足しそうだと感じてから動きだすケースが圧倒的に多いようですが、それで本当に間に合うのか問題です。

確実に調達が可能であると断言できるのなら問題はないかもしれません。しかし、資金調達に動いたのに実現できなかった場合には、たちまち窮地に追い込まれる可能性もあるわけです。

資金調達のタイミングは資金が不足してからではなく、定期的に行う必要があるものだと認識しておくことが必要と考えられます。

 

銀行が融資したいと思う運転資金の種類

銀行が考える融資には、

  • 融資に積極的なケース
  • 積極的には融資したくはないけれど可能な範囲と判断してもらえるケース
  • 融資できないと判断されるケース

に分けることができます。

利用者が銀行に融資を申し込んだとき、資金を使う目的について確認されることとなりますが、運転資金にも次のようにいろいろな用途があります。

  • 経常運転資金(売上維持のために恒常的に必要な仕入や経費などの支払いに充てる資金)
  • 増加運転資金(売上増加や決済条件に変化が生じたことで必要となった資金)
  • 賞与資金(従業員に対するボーナスの支払いに充てる資金)
  • 決算資金(決算時の納税資金、または株式配当や役員賞与などに充てる資金)
  • 季節資金(季節で仕入などが増える場合などの資金)
  • その他の運転資金(手形や買掛金の決済資金、赤字による経費支払いに充てる資金など)

これらの運転資金のうち、銀行が積極的に融資を行いたいと感じるのは、経常運転資金増加運転資金に充てるための借り入れの申し込みです。

賞与資金や決算資金、季節資金については、積極的には融資したいと思わないけれど、融資してもよいと判断されるケースに該当するでしょう。

その他の運転資金では借り入れは難しい

資金の利用目的がその他の運転資金である場合は、銀行は融資を拒否する可能性があります。

また、融資される額にも上限が設けられていますが、上限を決める基準となるのは、その運転資金が正常なものかどうかの判断です。借り入れの申し込みを行う目的となる運転資金が、正常ではないものだと判断されれば、銀行は融資を行わないと理解しておきましょう。

 

銀行から正常な運転資金と判断されるためには?

正常な運転資金と判断されるために、資金の調達はどのタイミングで行うことが望ましいのでしょう。

資金が不足しなければ、銀行に融資を申し込んでも検討してもらえないと思っていないでしょうか。決してそうではなく、資金繰りに困っていない場合でも、決算の内容次第で新しく融資の検討はなされます。

銀行には、融資を積極的に行いたい時期と、そうでない時期があります。たとえば1か月先に資金が必要になるからと急いで申し込みを行ったとしても、融資を行いたくない時期と合致してしまえば借り入れができなくなる可能性も出てきてしまいます。

まずは資金繰り表を作成して、資金が必要になると考えられるタイミングより3か月前には、融資の申し込みを行っておくことが必要です。

具体的な計算式で判断を

銀行から正常な運転資金と判断してもらうためには、

売掛債権(売掛金+受取手形)+在庫(不良在庫以外)-仕入債務(買掛金+支払手形)

で、算出した金額が経常運転資金であると考えましょう。

すべての金融機関の借り入れを合計して、可能となる上限金額の目安と判断してください。

増加運転資金の場合、

売掛債権の増加額+在庫の増加額-仕入債務の増加額

を上限額の目安とします。

どちらも事業を継続するためには継続して必要な資金ですので、本来であれば自己資本でまかなうことが望ましいといえます。しかし、実情としては、多くの企業が借り入れなどで賄っている状態です。

賞与資金や決算資金、季節資金については、原則、半年~1年以内に返済することを求められる可能性があります。

その他の運転資金については、銀行からの融資は期待できません。その場合、別の資金調達の方法を検討する必要が出てきますので、融資に頼らない方法を検討するようにしましょう。

銀行からの借り入れ方法|プロパー融資とビジネスローンの違いとは?

金融機関から資金を借り入れようと考える場合、たとえば銀行ではプロパー融資もあればビジネスローンもあり、どちらに申し込みを行うべきか迷いが生じることもあるでしょう。

同じ銀行からの借り入れでも、融資が実行されるまでの流れやそもそも貸し付けに対する銀行の考え方は異なります。

そこで、プロパー融資とビジネスローンの違いについてご説明します。

 

銀行のプロパー融資の特徴

企業などが金融機関から借り入れを行うことを考える場合、事業者向けのローンといえばまず銀行融資を思い浮かべる方が多いでしょう。

大きな金額を低い金利で借り入れすることができるので、多額の資金を必要とする設備投資などを目的として検討されることも多い融資の方法です。

銀行との取引実績を作ることができるので、企業の信用力を向上させることにも繋がるでしょう。

審査内容はかなり厳しくなる

ただ、会社の規模が比較的小さい場合には、限度額が少なくなる可能性がある上に、信用保証協会の保証を必要としない銀行との信用取引になるため、厳しい審査を通過しなければ融資は受けられません。

担保や保証人を求められる場合もある

提出を求められる書類なども多く、資産価値の高い不動産などを担保として差し入れること、または返済能力の高い保証人を付けることを求められることもあります。

審査結果が出るまでが長い

審査結果が出るまで1か月以上かかるケースもめずらしくないため、急いで資金を調達したいと考える場合には不向きの借り入れ手段といえるでしょう。

 

ビジネスローンの特徴

一方、同じように銀行から借り入れできる方法として、ビジネスローンという融資もあります。

ビジネスローンも事業者向けのローンとして貸し付けが行われていますが、銀行だけでなくノンバンクなどでも利用できる借り入れ方法です。

融資限度額はプロパー融資より少額

融資限度額は銀行の場合が最大で1億円、ノンバンクは1千万円程度であることが一般的であり、借入期間は5年以内など比較的短期での貸し付けになっているものがほとんどです。

金利は高めでも担保や保証人は不要

金利は銀行のプロパー融資より高くなりますが、基本的には担保や保証人は必要とせず、迅速に審査が行われるため急いで資金が必要という場合でも対応しやすいことが特徴です。

 

プロパー融資とビジネスローンの審査の違い

プロパー融資については、企業経営者からの話や提出された書類を十分に確認して審査が進められることになるでしょうが、聞いた話や提出された書類内容を鵜呑みにするわけではありません。

企業の実態把握(定量情報)と事業案件の把握(定性情報)を重視しながら、時間をかけて多方面から審査が行われることになります。

一方のビジネスローンの審査では、プロパー融資でも行われるBS、PLを中心とした定量情報だけをシステムで審査することになります。

企業の金利負担能力を知るための比率を指標としながら、本業の営業利益の範囲で返済できる能力があるのか判断していくため、審査結果が出るまで数日しかかかりません。

 

何を優先させて融資を受けたいか

プロパー融資とビジネスローン、どちらにしても銀行から融資を受けるためには実績の積み重ねが非常に大切です。特にプロパー融資の場合は、将来的に安定した業績を見込むことができるかが大きなポイントとなります。

審査は厳しく時間がかかっても限度額や低い金利を優先させたいのか、それとも融資される金額や金利などにはこだわらずに融資までのスピードを最優先させたいのかによって、どちらの借り入れを選択するのかは異なってくるはずです。

なぜ資金を調達することを必要としているのか、いつまでにいくら必要なのかなど、状況に合った融資の方法を選択するようにしてください。

資金繰りができない状態に陥った中小企業が考えたい次の一手とは?

経営が安定していて、体力が有り余っている企業であれば資金繰りが難しくなることはそれほどないかもしれません。

しかし、いつ企業の経営が厳しい状態になるかはわかりません。万一、資金繰りができない状態になったとき場合でも、何らかの資金調達の方法を考え、実行していくことが必要です。

 

資金繰りができないときに考えること

たとえば、銀行に借り入れの申し込みを行ったけれど審査を通過できず、さらにノンバンクに申し込みを行っても断られてしまった場合、もうこれ以上、資金繰りは無理だと諦めてしまいたくなるかもしれません。

しかし、資金繰りができないからと諦める前に、まずは何としても資金繰りが厳しい状況を脱するための資金調達方法を検討しましょう。

 

すぐに実行できる資金繰りの改善方法とは?

資金繰りを改善させるには不足する資金を調達し補うことが必要なので、すぐに資金を作ることができる方法を実践していきましょう。

金融機関からの融資もダメという場合で、すぐに資金を調達できる方法として考えられるのは、会社が保有していて使っていない資産売却することです。

生産性がなく、収益を生まない不要な資産を手放すよい機会ととらえ、遊休資産は思い切って処分するようにしましょう。

ただし、売却する資産は価値のあるものでなければなりませんが、価値のある不動産などを保有していたとしても、売却に至るまで一定期間を要することになります。

できるだけ流動性が高く、すぐに資金に換えることができる価値の高い資産は保有していないか、探すことが必要です。

 

すぐに現金に換えることができる資産とは

 

流動性の高い資産とは、たとえば会計上、流動資産に分類される固定資産に属さない資産などが該当します。たとえば、現金、預金、そして原料や在庫品売掛金などです。

在庫品が社内に過剰に増えすぎれば、管理のために費用や人件費がかかりますし、いつまでも売れない不良在庫を抱えていても、時代の流れでさらに売れない状況が続くことになります。そのため、思い切ってこちらも処分することを検討しましょう。

では、売掛金はどうでしょう。実は、売掛金もファクタリングという方法を用いて売却することが可能です。

 

売掛金も売却して現金に換えることは可能

ファクタリングとは、保有する売掛金など、売掛債権をファクタリング会社に売却し、その代金の一部を手数料として支払って現金化する方法です。

メリットは、期日前に売掛代金を受け取ることができるので、銀行などの借り入れ審査に通らず、資金調達ができないと頭を抱えていた企業でも即日資金を手にすることができる可能性があります。

とくに中小企業の場合、資金繰りが悪化している原因として、売上はあがっているのに代金が入金されていない状態が続いていることが挙げられます。

売掛金の支払いサイトが長いことで、入金されるまでの資金が底をつき、資金繰りができなくなってしまうのです。

このような場合、借り入れにより資金調達することも方法の1つですが、わざわざ借金を増やさなくても将来入金予定の売掛金を先に受け取るという方法もあると知っておくとよいでしょう。

 

資金繰りができないと諦める事態に陥る前に!

資金繰りがだんだん悪化し始めてくると、もっと儲けを増やさなければ!と売上を上げることに意識が向いてしまいがちです。

確かに、売上を向上させて利益をあげることは大切なことですが、現金取引でもない限りはタイムリーに手元の資金が増やせることには繋がらないので、まずは資金繰りを改善させることを考えましょう。

仮に売上を向上させることに全力をそそぎ、成功したとしても今度はその分の仕入れ代金の支払いが必要になります。そうなると資金繰りはさらに悪化する可能性があるため、まずは手元の資金を増やすことを考えることから始めるべきといえます。

急にまとまったお金が必要なときに即日融資が可能な借入方法とは?

事業を営んでいれば、月末などに急にお金が不足する事態に陥ることもあり、その場合、緊急的な資金繰りを必要とします。

真っ先に、即日融資を行ってもらえる金融機関はないかと考えた場合、ノンバンクなどのビジネスローンを検討することになるでしょう。

 

銀行の事業資金貸付は融資実行まで長い

事業者に対する貸し付けは銀行でも行っていますが、銀行が事業資金として貸し付けを行うケースとは、融資した資金が企業に本当に必要である場合です。そのため、経営状況だけでなく、何を目的に借り入れを行うのかなども明らかにした上で審査が行われるため、融資が実行されるまで時間がかかります。

ただし、ビジネスローンであれば、審査で返済能力が認められれば、資金の使途に関係なく貸し付けが行われる上に、融資までの時間も比較的短めです。

 

ビジネスローンなら即日融資が可能に

ビジネスローンは銀行とノンバンク、どちらでも商品として提供されている融資です。ただし、銀行のビジネスローンには保証会社が必ずつくことになります。

ノンバンクであれば保証会社は存在しないので、金融業者がリスクを負担する形で融資が行われるということです。

そのため、銀行のビジネスローンは10~14%前後の金利なのに対し、ノンバンクのビジネスローンは15~18%の金利が設定されています。ノンバンクのほうが金融業者が抱えるリスクは高くなる分、金利も高いと理解しておきましょう。

 

ノンバンクのビジネスローンは審査も緩め

審査基準は銀行もノンバンクも簡易的なスコアリング審査によるものですが、ノンバンクよりも低金利で、金利として得た半分程は保証会社の収入になる銀行のほうが、審査は厳しくなるようです。

資金の使途やその後の会社の成長性などは考慮されず、具体的には設定した借入期間内にしっかり返済ができるかということです。

銀行の場合、キャッシュフローで返済できると判断されれば、審査に通過できる可能性が高いといえるでしょう。

ノンバンクは、キャッシュフローがない場合でも、不動産や売掛金など万一の返済資金に充てることが可能な資産保証人がいれば、融資が実行されることもあります。

 

銀行のビジネスローンのほうが融資限度額は高い

同じビジネスローンでも、銀行は1,000万円から3,000万円の契約枠が設けられるなど、高額融資に対応してもらえますが、ノンバンクは数百万円から多くても1,000万円までと比較的少額融資の対応です。

また、銀行でビジネスローンを申し込んでも、審査の返事がくるまで1週間程かかるケースもあります。

ノンバンクのビジネスローンであれば、申し込みをインターネットから行ってから、即日融資という場合もあります。手続きが簡素化されている分、融資までの時間も短いといえるでしょう。

 

即日融資ならノンバンクのビジネスローンが便利

融資が実行されるまで時間がかかってしまうと、せっかくのビジネスチャンスを逃す可能性もありますし、支払いができず資金がショートして倒産に追い込まれる可能性もあります。

すぐにお金を準備しなければならず、日融資を希望する場合であればノンバンクのビジネスローンがよいでしょう。

 

即日融資ではなく即日現金化も視野に入れてみては?

手元にどのくらいのお金があり、不足が生じないように資金繰りの管理は徹底して行うことが大切ですが、想定していなかった支払いなどで緊急的に即日資金が必要になることもあるでしょう。

このようなときには、即日融資ではなく、即日、資産を現金化することも視野に入れてみましょう。

売掛金などの流動資産を現金化するファクタリングという方法なら、借り入れを行わなくても即日キャッシュを手にすることができます。

短期的にビジネスローンで資金を調達するのも悪くはありませんが、借り入れを増やすことは返済負担を増やすことにも繋がります。その後の資金繰りに悪影響が及ばないためには、返済の必要性がない方法を検討したほうがよいかもしれません。

資金を調達するために利用したいマッチングサービスとは?

資金調達を行うにあたり、インターネットなどを利用して資金を融資、または提供してくれる相手を探すこともあるかもしれません。

現在は便利な世の中になり、気軽にインターネットからマッチングサイトなどを活用し、ビジネスパートナーとなる存在を探すことは可能です。

そこで、どのようなサービスが提供されているのか、インターネットで利用できるマッチングサイトでは何を目的にしたものかなど、ご紹介します。

 

希望するビジネスパートナーを探せるビジネスマッチング

ビジネスマッチングとは、現在、抱えている経営課題を解決させるための取引先を紹介してくれるサービスです。そのため、資金そのものを調達したいという場合ではなく、事業を強化・拡大化・合理化など、抱えている課題や需要を解決することを目的とします。

民間の金融機関や財団法人などの公的機関などが行うビジネスマッチングであれば、取引先だけでなく、外注先、仕入先などを探している方にも便利です。新しい提携先を探して、新商品開発や新しいマーケットの開拓など、多様化するニーズの取引をマッチングしていきます。

インターネットで探すことも可能

ビジネスマッチングもインターネットを使って行うことができます。また、民間の金融機関や公的機関が行うビジネスマッチングのサービスを利用しなくても、仕事を依頼、または受注したいという企業や個人フリーランスを結びつけるビジネスマッチングサイトクラウドソーシングサイトなどもあります。

 

資金を調達することを目的としたマッチングサイト

資金を調達する方法はいろいろあり、どの方法を利用するのかによって、出資先を探すのか、融資してくれる金融機関を探すのか、それとも資産を買い取ってくれる会社を探すのかなど異なります。

目的に応じたマッチングサイトを活用し、安心して依頼できるビジネスパートナーをみつけるようにしましょう。

個人投資家のマッチングサイト

投資先となる個人投資家を探そうと思っても、何のコネもなければみつけることはできないのが現状です。そこで利用したいのが個人投資家のマッチングサイトで、起業家と投資家を結び付けるお見合いサイトともいえます。

経験豊富な投資家を日本全国から探すことが可能なので、将来有望な起業家を探している投資家の目に留まれば出資を受けることができるでしょう。

ファクタリングマッチングサイト

銀行やノンバンクなどから融資を受けるのではなく、すでに所有している売掛金を早期に現金化するファクタリングを利用したいと考える方もいるでしょう。

しかし、売掛金の売却相手となるファクタリング会社を選ぶのは不安が付きまとうかもしれません。悪徳な業者につかまってしまうと、後々面倒なトラブルが発生するかもしれませんし、場合によっては事業を続けられなくなるかもしれないからです。

ファクタリングを行う専門業者は100社以上ありますので、自社のニーズに応えてくれ、信頼できるファクタリング会社を選びたいなら見極めが肝心になります。

そこで、安心してファクタリング会社を選択するツールとして、ファクタリングのマッチングサイトを利用してみるとよいでしょう。

業種や売掛金の金額、支払期日、所在地の地域など、ごく簡単な内容を入力するだけで見積もりが可能なサイトもあります。

ビジネスローンのマッチングサイト

金融機関のビジネスローンで資金の借入れを検討している場合に利用できるマッチングサイトです。

年収、借入金額、本社所在地、来店の有無、金融機関の種類や職業の選択などの項目を入力することで、利用できる可能性のあるビジネスローンと金融機関名などが表示される仕組みになっています。

 

ニーズにマッチするサイトを選んで安心して資金調達を

マッチングサイトはいろいろありますが、サイトの名称などは運営元などによって異なります。自社が希望するニーズに応えてくれるサービスを利用することで、安心して資金調達ができるようになるでしょう。

資金繰り改善は年度末が勝負!今できることは何?その対策とは

資金繰りが悪化している原因が何なのか、その原因をつきとめて改善させることに躊躇している時間はありません。

迷っていればその間にも資金不足は続き、資金が回らなくなってしまいます。資金繰りを改善させるまでに、年度末までにやっておきたいこととは何か、その方法をご紹介します。

 

なぜ資金繰りは改善できないのは?悪化の原因を探る

資金繰りが悪化してきたことには必ず理由があるはずですので、まずはその原因を探っていきましょう。

キャッシュインが減少していることとキャッシュアウトが増加することで資金繰りは悪化しますが、それぞれの原因は次のように考えられます。

キャッシュインの減少

キャッシュインが減少することで資金繰りは悪化しますが、その要因として考えられるのは次の項目です。

  • 売上が減少している
  • 費用など支払いが増えている
  • 売掛債権の回収が遅れている

このうち、売掛債権の早期回収については、社内でのルールを徹底することがまずは必要です。売掛債権は貸倒リスクを抱えていることを肝に銘じ、そのリスクを軽減するためには販売先の情報収集を怠らないことが重要になります。

販売先のランク付けや、売掛限度額の見直しなども必要ですし、状況次第で売掛債権の回収条件の変更なども行わなければなりません。支払いサイトの長い売掛債権はファクタリングの活用を行うといったことを検討するか、代金引きかえなどの現金決済へ条件を変更するようにしましょう。

キャッシュアウトの増加

キャッシュアウトが増加しても資金繰りは悪化しますが、増加する要因として考えられるのは次の項目です。

  • 過大に在庫や不良債権を抱えている
  • 過剰な設備投資を行っている
  • 仕入債務の支払いサイトが短い
  • 前払金、貸付金、仮払金の増加
  • 借入金を早期返済してしまった

このうち、在庫を過大に抱えていることで起きている資金繰りの悪化を改善するための対策から考えていきましょう。

まず、蓄積されてしまった不良在庫は放置しておけば管理スペースが必要となったり、保管の維持費用もかかることを理解しましょう。単品管理を徹底して、売れない商品の基準を作成し、短期間で排除するか、または長期に滞留している不良在庫は年度末に損失計上による処分を検討していきます。

また、営業活動に投資は欠かすことができない部分ではありますが、その資金はどこから出ているかよく考える必要があります。営業キャッシュフローの範囲内で投資を抑えることができれば、余剰資金をプラスに保つことができるはずですので、投資についても見直しが必要といえます。

一時的に発生する貸付金仮払金前払金など、1~2か月ほどで解消しておかなければならない部分は、早急に回収しておくようにしてください。

 

資金繰り悪化の状況を年度末までに改善する!

資金繰りは、できるだけ回収は早く、できるだけ支払いは遅く行うことが鉄則となりますので、取引相手との交渉が重要といえます。まずは回収にルールが設定できているのか、もしできていないのなら早急に作るようにしましょう。期日は販売先と交渉が必要なので、独断で決めることはできません。

商売は、仕入、販売、支払、これらの差額が利益となって、キャッシュを増やします。しかし、実際にはこの順番ではなく、仕入に対しての支払が真っ先に発生するので、販売した代金が入金されるまでの間の運転資金が必要となります。

年度末を迎える前までに、できる資金繰り改善策をしっかり講じておき、悪化した状況を翌年度まで持ちこさないようにしましょう。

 

国も中小企業の年度末の運転資金の需要を把握している

2018年12月、金融庁は都内で「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」を開催したのですが、この会議に出席していた麻生太郎・副総理兼財務大臣、金融担当大臣は、年末、年度末は中小企業の運転資金の需要が厳しいとの認識を示しました。

さらにその上で、現在は経営者保証に依存しない流れができていることや、金融機関には中小企業の内容や将来性をみた上で、融資の相談に親身に乗るように要望したとされています。

これで銀行からの融資が円滑になるとは考えられませんが、出席していた各銀行も、この要望に応じる姿勢は見せたようです。銀行融資などを検討するのならなおのこと、今抱えている資金繰りの問題は解決させていかなければならないといえるでしょう。