資金繰り改善は年度末が勝負!今できることは何?その対策とは
資金繰りが悪化している原因が何なのか、その原因をつきとめて改善させることに躊躇している時間はありません。
迷っていればその間にも資金不足は続き、資金が回らなくなってしまいます。資金繰りを改善させるまでに、年度末までにやっておきたいこととは何か、その方法をご紹介します。
なぜ資金繰りは改善できないのは?悪化の原因を探る
資金繰りが悪化してきたことには必ず理由があるはずですので、まずはその原因を探っていきましょう。
キャッシュインが減少していることとキャッシュアウトが増加することで資金繰りは悪化しますが、それぞれの原因は次のように考えられます。
キャッシュインの減少
キャッシュインが減少することで資金繰りは悪化しますが、その要因として考えられるのは次の項目です。
- 売上が減少している
- 費用など支払いが増えている
- 売掛債権の回収が遅れている
このうち、売掛債権の早期回収については、社内でのルールを徹底することがまずは必要です。売掛債権は貸倒リスクを抱えていることを肝に銘じ、そのリスクを軽減するためには販売先の情報収集を怠らないことが重要になります。
販売先のランク付けや、売掛限度額の見直しなども必要ですし、状況次第で売掛債権の回収条件の変更なども行わなければなりません。支払いサイトの長い売掛債権はファクタリングの活用を行うといったことを検討するか、代金引きかえなどの現金決済へ条件を変更するようにしましょう。
キャッシュアウトの増加
キャッシュアウトが増加しても資金繰りは悪化しますが、増加する要因として考えられるのは次の項目です。
- 過大に在庫や不良債権を抱えている
- 過剰な設備投資を行っている
- 仕入債務の支払いサイトが短い
- 前払金、貸付金、仮払金の増加
- 借入金を早期返済してしまった
このうち、在庫を過大に抱えていることで起きている資金繰りの悪化を改善するための対策から考えていきましょう。
まず、蓄積されてしまった不良在庫は放置しておけば管理スペースが必要となったり、保管の維持費用もかかることを理解しましょう。単品管理を徹底して、売れない商品の基準を作成し、短期間で排除するか、または長期に滞留している不良在庫は年度末に損失計上による処分を検討していきます。
また、営業活動に投資は欠かすことができない部分ではありますが、その資金はどこから出ているかよく考える必要があります。営業キャッシュフローの範囲内で投資を抑えることができれば、余剰資金をプラスに保つことができるはずですので、投資についても見直しが必要といえます。
一時的に発生する貸付金や仮払金、前払金など、1~2か月ほどで解消しておかなければならない部分は、早急に回収しておくようにしてください。
資金繰り悪化の状況を年度末までに改善する!
資金繰りは、できるだけ回収は早く、できるだけ支払いは遅く行うことが鉄則となりますので、取引相手との交渉が重要といえます。まずは回収にルールが設定できているのか、もしできていないのなら早急に作るようにしましょう。期日は販売先と交渉が必要なので、独断で決めることはできません。
商売は、仕入、販売、支払、これらの差額が利益となって、キャッシュを増やします。しかし、実際にはこの順番ではなく、仕入に対しての支払が真っ先に発生するので、販売した代金が入金されるまでの間の運転資金が必要となります。
年度末を迎える前までに、できる資金繰り改善策をしっかり講じておき、悪化した状況を翌年度まで持ちこさないようにしましょう。
国も中小企業の年度末の運転資金の需要を把握している
2018年12月、金融庁は都内で「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」を開催したのですが、この会議に出席していた麻生太郎・副総理兼財務大臣、金融担当大臣は、年末、年度末は中小企業の運転資金の需要が厳しいとの認識を示しました。
さらにその上で、現在は経営者保証に依存しない流れができていることや、金融機関には中小企業の内容や将来性をみた上で、融資の相談に親身に乗るように要望したとされています。
これで銀行からの融資が円滑になるとは考えられませんが、出席していた各銀行も、この要望に応じる姿勢は見せたようです。銀行融資などを検討するのならなおのこと、今抱えている資金繰りの問題は解決させていかなければならないといえるでしょう。