借入利率次第で資金調達後の返済負担は大きく変わる!できるだけ低く抑えるには

金融機関でお金を借りて資金調達するときには、「借入利率」をできるだけ低く抑えたいと考えてしまうものです。

後の返済負担にも大きく関係する部分のため、まずは借入利率とは何か正しい知識を得ておくようにしましょう。

 

借入利率とはどのような意味か

「借入利率」とは、お金を借りたときに元金に対して支払う利息の割合のことです。「借入金利」と意味はほとんど同じですが、金融機関からお金を借入れたときの借入利率では、一般的に「年利」が適用されます。

年利とは借りたお金(元本)に対し、1年間でどのくらいの借入利息が発生するかを意味します。

よって借入利息は、

借入利息=借入元金×借入利率(年利)÷365日×借入期間

という計算式で算出できます。

たとえば100万円を年利15.0%で30日借りたときの借入利息は、

100万円×15.0%÷365日×30日=12,328円

です。

100万円を借りて1か月後に完済させるには、1,012,328円支払わなければならないということになります。

 

利息制限法による上限とは

借入利率は自由に設定できるわけではなく、利息制限法に従い次のように契約元金に応じた上限を守らなければなりません。

契約元金が10万円未満の場合…年20.0%
契約元金が10万円以上100万円未満の場合…年18.0%
契約元金が100万円以上の場合…年15.0%

銀行や消費者金融などの貸金業者は、上記の基準を超えた借入利率で金銭を貸し付けることはできません。もしもお金を借りたとき、この基準より高い割合が借入利率として設定されていれば闇金融業者である可能性が高いといえます。

 

どうすれば借入利率を下げることが可能?

貸金業者などからお金を借りるとき、適用される利率として表示されているのは上限金利と下限金利です。4.5%~17.8%といった形式で表されていることが多いですが、適用される利率は審査次第といえます。

担保や保証人などを差し入れることができ借入金額も大きく、さらに申込者の信用力が高めで貸倒リスクが低く、確実に元金と利息を回収できると判断されれば、適用される利率も下がります。

初めて取引をする相手や、100万円未満のお金を借りる場合であれば、一般的には上限金利に近い割合が設定されることが多いはずです。

 

借入利率は信用度の高さで決まる

お金を借りるときには、誰もが借入利率はできるだけ下げたいと考えるものですが、適用される割合は信用力の高さが大きく影響します。

貸倒リスクが高ければ借入利率も高く設定されてしまいますが、特に最近のカードローンなどは「スコアリング審査」により信用力を数値化させ判断することが多くなっています。

スコアリングされる項目は、

年齢
職業
勤務先
勤続年数
雇用形態
年収
居住形態
金融商品利用実績

などです。

スコアリングによる数値が高いほうが有利ですが、スコアリング審査の結果を含め審査内容は公表されません。

ただし貸倒リスクが低い順として考えられるのは、

公務員・大企業→中小企業→零細企業・個人事業主

という順番です。

さらに自営業ではなく会社に勤務している場合でも、

正社員→派遣社員・契約社員→パート・アルバイト

といった順に貸倒リスクは低いと判断されます。

年収が高く、勤続年数が長く、さらに過去に延滞や債務整理などの金融事故がない方であれば信用力は高いと認められるでしょう。

 

まとめ

融資を受けてまとまった資金を調達できればうれしいですが、返済のときに支払う利息は少ないほうがよいと考えてしまうものです。

そのため、借入利率は下限金利が適用されるほうが望ましいといえますが、初めて取引するときには上限金利が適用されることが多いと認識しておきましょう。

なお、たった数%という違いが後の返済負担を大きく変えることになり、借入期間が長くなればその差はさらに拡大します。

お金を借りて資金調達するときには、無理な返済計画を立てないことを基本とし、高すぎる借入利率で融資を受けると後々資金繰りが悪化しやすいことを留意しておいてください。

資金調達に活用したいのは資産の流動化!その方法と利用するメリットとは

資金調達をするときには銀行からお金を借りる方法を真っ先に思い浮かべてしまいがちですが、資産を流動化させる手法を活用してみましょう。

資産を流動化させて資金を調達することで、不動産や債権など保有している資産を譲渡し、オフバランス化させ資産が生み出す将来のキャッシュフローを原資にすることができます。

そこで具体的に資産の流動化にはどのような方法があるのか、どの方法がもっとも資金調達にメリットがあるのか判断するため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。

 

資産を流動化させるメリット

流通性や流動性が低いと感じる資産もあるでしょうが、一般的に資金調達に活用されていないだけで、実は流動性を付与させることが可能なもののあります。

資産を流動化させ資金調達することは、手元のお金を増やすだけでなく次のようなメリットを享受することが可能です。

資金調達の多様化が可能に

資産を流動させることのメリットは、資産を所有している企業の信用力に依存しないことです。

仮に格付けが低い会社だとしても、流動化させることを可能とする資産を保有しており、その資産が優良と認められれば有利な条件で資金調達が可能になります。

借入れを申し込む企業の信用力を重視する銀行融資に頼ることなく、資金調達の多様化が可能となることは、流動化のメリットといえるでしょう。

リスクの移転が可能

資産を流動化せず、保有し続けることで様々なリスクが発生します。たとえば対象となる資産が不動産であれば地価の暴落で価値が下落することも考えられますし、有価証券であれば株価が急激に下がることも考えられます。

売掛債権であれば、取引先が倒産し売掛金を回収できなくなるという貸し倒れリスクも抱えた状態です。

しかし流動化により、これらのリスク第三者に移転することが可能となるため、リスク回避の手法にも活用できます。

財務指標を改善させることが可能

流動化により資産をオフバランス化できれば、貸借対照表がスリム化され総資本利益率や自己資本比率などの経営指標(財務指標)を向上させることができます。

含み益のある資産なら、流動化で潜在的な企業収益力損益計算書上に顕在化させることもでき、銀行の格付けにもよい影響を与えることとなるでしょう。

 

流動化で安定した資金繰り実現に

資産の中でも売掛債権を流動化させる場合、決済期日到来するまでの数か月の間に陥りやすい資金不足を解消できます。

手元の資金を増やし、資金繰りを安定させることができるでしょう。

なお、調達可能となる資金額は、売掛債権の信用力(リスク)に依存すると理解しておいてください。

売掛債権を流動化させることで、

  • 資金繰りに余裕が出る
  • 資産を圧縮できる
  • 良い取引先を持つことにつながり信用力が増す
  • リスクマネジメントに活用できる
  • キャッシュフロー経営を進めることが可能

といったメリットがあります。

 

売掛債権を流動化させる手法は3つ

売掛債権を流動化させる方法は、主に次の3種類がありそれぞれ特徴などが異なります。

売掛債権証券化

企業の保有する売掛債権を特定目的法人であるSPVに譲渡し、その対価として資金を受け取る方法売掛債権証券化といいます。

SPVとは、売掛債権を買い取って決済期日に入金される代金を裏付けとし、証券を発行すし投資家に渡す企業との媒介役を担う事業体です。

ファクタリング

企業の保有する売掛債権をファクターと呼ばれる専門会社に売却し、その対価として資金を受け取る方法ファクタリングです。

証券化とは異なるのは相対取引となることで、売掛債権の売買契約を結ぶことが特徴といえるでしょう。

売掛債権担保融資

売掛債権の信用力を担保に融資を受ける方法が売掛債権担保融資で、売掛債権を売却するのではなく債務不履行時の弁済手段である譲渡担保とします。

不動産などの資産を所有していなくても、安定する売掛債権があれば担保として融資を受けることが可能となることが特徴です。

緊急的にお金が必要!金策と同時に行いたいこととは?

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、緊急的にお金が必要となり金策対応に忙しいものの、先の見えない状況で十分に資金を調達できず悩む経営者もいることでしょう。

そこで、資金繰りに頭を抱えどうやって金策するべきか悩んでいる経営者が、緊急対応として検討するべき資金調達方法をご紹介します。

 

金策の前にリスケの相談を

リスケとは「リスケジュール」を省略した呼び方で、銀行などの金融機関からお金を借りているときの返済計画の見直しや再調整のことです。

具体的には債務返済を繰り延べることや返済条件を変更することですが、仮に銀行からの借入金が毎月100万円ずつ3年に渡り返済する計画になっているとします。

それを毎月50万円ずつ6年に渡り返済する計画へ変更してもらうことがリスケで、新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が激減してしまった企業などでも相談できます。

中小企業庁による「新型コロナウイルス感染症特例リスケジュール」では、コロナ禍で資金繰り悪化に悩む中小企業と銀行など金融機関に間に行政が入ってくれます

複数の金融機関でも利用できるため、もし借入金の返済に悩んでいるのなら相談してみるとよいでしょう。

 

日本政策金融公庫で緊急資金を借入れる

日本政策金融公庫は政府系の金融機関であり、中小企業や個人事業主に対し積極的に資金の貸し付けを行っています。

多くの企業を苦しめている新型コロナウイルス感染症ですが、新しく「新型コロナウイルス感染症特別貸付」という制度であれば、最高6億円まで融資を受けることができます。

ただし新型コロナウイルス感染症の影響を受けていることに加え、

  • 最近1か月の売上高が、前年または前々年同期比で5%以上減少していること。またはこれと同様の状況にあると認められること
  • 中長期的には業況が回復・発展することが見込まれること

という要件を満たすことが必要です。

なお、審査に一定の時間がかかるため、緊急的な資金をすぐに準備しなければならないときには向かない金策方法といえます。早めに相談し、必要なタイミングに資金調達できるようにしましょう。

 

ファクタリングなら緊急的に必要な資金の金策も可能

ファクタリングとは、事業者が保有する売掛金(売掛債権)を専門業者に売却し、取引先から入金されるよりも前に現金化させる方法です。

最短で即日現金化を可能とする専門業者もあるため、緊急的に必要な資金をすぐに調達したいという場合にも活用できます。

銀行融資などの審査に通らなかった場合でも、信用力の高い売掛先の債権なら買取可能と判断される可能性が高いため、まずはファクタリング専門の業者に相談してみるとよいでしょう。

また、ファクタリングで金策しても負債は増えません。あくまでも売掛金を売買する取引による資金調達方法のため、のちの信用情報を汚さず銀行融資の際に影響を与えないこともメリットです。

 

金策だけでなく同時に行いたいこと

差し迫る支払い期日までに現金を準備しなければならないと、金策に忙しいときに他のことまで考える余裕はないかもしれません。

しかし金策だけでなく、毎月のお金の流れ収支はしっかりと確認しておき、いつどのタイミングでお金が必要になるのか把握しておきましょう。

いつ買掛金を支払うこととなり、売掛金が入金されるのか、収支が分かればどのくらいのお金を手元に確保するべきか見えてきます。

金策で資金を調達する際にも、必要な金額を明確にしておく必要があるため、必ずお金の流れは把握しておくようにしてください。

同時に固定費の見直しも必要

固定費は毎月発生する支払いのため、できるだけ金額を低く抑えたいものです。

まずはガスや電気代、通信費などについて、現在より代金が安くなるプランを提供している会社はないか確認してみましょう。

また、公共料金や形態代金、保険料などの支払いが厳しい場合には支払猶予を申請することも方法といえます。

ただしあくまでも猶予されるだけなので、いずれは支払いがスタートします。手元のお金が不足する今を乗り切るための制度と考え、適切な支払いができるように資金繰りを改善させていくことが必要です。

融資を受けるために重要な与信など金融機関の判断基準とは?

銀行などの金融機関では、資金の借入れの申込者に返済能力があるかなど、与信を審査で確認します。

そのため銀行から融資を受けるためには、お金を貸してよい相手だと与信を証明しなければなりません。

ただ金融機関の窓口にお金を貸してほしいと相談にいっても断られる可能性が高いため、融資を受けるための与信について押さえておきたいポイントをご説明します。

 

簡単に融資を受けることはできない

融資を受けて資金調達できれば、不動産や自動車の購入、事業拡大や設備投資など様々な目的に資金を使うことができます。

会社を経営し続ける上で資金調達は欠かせませんが、無条件に銀行から融資を受けることはできず、返済能力などについて厳格な審査が行われた上で判断されます。

特に中小企業の場合、担保を差し入れることを求められることが多いため、簡単に融資を受けることはできないと認識しておきましょう。

融資のキーワードはこの3つ

金融機関の融資担当者は、様々な事業者から融資相談を受けているため知識や経験も豊富です。

その上で融資審査を行うこととなりますが、特に「属性」「与信」「担保価値」は重視されることになります。

 

属性

属性とはその事物に属する性質のことで、銀行融資の場面では申込者の社会的・経済的な背景を指しています。

個人であれば、年齢・性別・居住地・家族構成・勤務先・年収など、対象者の性質や特徴を把握するための情報のことです。

それにより社会的・経済的に置かれている立場などを判断し、お金を貸してよいか、貸す場合にはいくらまで可能か判断します。

会社が借入れをする場合にも、会社の基本情報(事業内容や規模・従業員数など)・財務内容(資本金や業績など)・代表者情報(代表者の経歴など)・取引先情報(仕入れ先や販売先など)様々な項目が確認されます。

与信

与信とは信用を供与することであり、いくらまでならお金を貸すことができるか査定することと言い換えることができます。

たとえば企業間取引においても、掛け売りでは売掛金が発生し、回収して現金化されるまでの間が「与信」です。

製品を提供し、代金を回収するまでの間を信用の供与=与信といいます。

新規の取引先と契約するときも、既存の契約先と取引を続ける上でも与信管理は重要ですが、銀行も同様に与信は大切な項目です。

それに加えて、属性から導き出された要素による評価だけでなく、貸し付けたお金と返済分として入金されるお金の差がプラスになると予想されれば融資可能と判断されます。

担保価値

銀行などの金融機関が中小企業に対し資金を貸し付ける際、重要視されるのは担保として差し入れる対象の価値です。

多くの場合、不動産を担保として差し入れることを求められますが、物件の価値はいくらなのかが重要となります。

担保価値に対して融資する割合をかけた融資限度額に属性に基づいた与信金額を合算し、融資金額の上限が決まってくるといえます。

 

注意しておきたい金融機関の融資基準

金融機関の融資基準についても注意しておく必要があります。

たとえば土地の評価については時価額の70%、建物の経済的耐用年数を計算するときは鉄筋コンクリートでも30年にするなど、金融機関ごとに内部で基準を決めています。

そして融資基準は経済状況により変更になるため、ずっと同じではありません。

評価の見直しだけでなく、最低限必要とする自己資金比率にも注意が必要となり、たとえば融資については自己資金20%以上などの基準が設けられています。

与信評価と担保評価を合わせれば1億円を超えるため、その金額であれば融資を受けることができると考えていても、自己資金20%以上という基準が設けられていれば8千万円しか借りることはできませんので注意してください。

債務超過の状態になった中小企業が今やるべきこととは?

新型コロナウイルス感染拡大の影響は様々な産業や業種に及ぶこととなりましたが、債務超過に悩まされている中小企業も少なくありません。

不況の影響で経常利益・資本がマイナスとなり、負債が資産を上回る債務超過の状態になってしまい、解消したいけれど何をすればよいかわからない中小企業の経営者もいることでしょう。

会社を清算しすべての資産を売却しても返済できない負債が残るのが債務超過であり、会社が存続できても中小企業にとっては大きなデメリットを抱えることになります。

そこで、債務超過となった中小企業がどのような対策で解消に向けて取り組んでいけばよいのか、その方法をご説明します。

 

中小企業が債務超過となるデメリット

中小企業が債務超過となった場合、いずれ倒産する原因となりうる上、銀行から新規で融資を受けることはできなくなります

追加融資の相談をしても、反対に金利引き上げや既契約の借入金を早期に支払うよう要求されるなど、さらに窮地に追い込まれてしまいます。

仕入れ先や売掛先など、取引先からの信用も低下するなど、その後の取引にも影響が及ぶ可能性も考えられます。

そのため債務超過となった中小企業は、できる限り早急にその状態から抜け出すことが必要といえるでしょう。

 

債務超過の解消方法とは?

中小企業が債務超過から抜け出したいなら、解消するには短期的な視点と長期的なの視点で考えていきましょう。

短期的な視点でみたときに債務超過を解消させるなら、

  • 増資により資本のマイナスを解消させる
  • 代表者や役員から借入れ資本金に振り替える
  • 遊休資産など売却し借入金返済に充てる

といった方法があります。

しかし長期的な視点で債務超過を解消するなら、毎期の経常利益をプラスにする経営体質改善が重要です。

短期的な解消方法でも一時しのぎにしかならない可能性があるため、長期的な視点で債務超過を解消させていきましょう。

資本を増やす方法は中小企業にとって有効か

増資により資本のマイナスを解消させる方法は、中小企業の場合すでに可能な資金を投入していることがほとんどのため、増資を追加で行う余裕はあると言い切れません

ただ、代表者や役員からの借入金を資本金に振り替える方法であれば、返済と利子の負担はないことがメリットです。会社の業績が好調になれば、利子以上の配当金の支払いが可能になることも考えられます。

役員借入金を資本金に振り替えると、その役員の会社に対する影響力が強まることは考えられますので、その点は留意しておきましょう。

遊休資産など売却し借入金返済に充てる方法は?

使用していない不動産や有価証券などの資産を売却し、換金したお金を借入金返済に充てれば超過額が低減し、金額によっては債務超過解消につながります。

また、総資産を圧縮できるため総資本対経常利益率など、経営指標を改善させることも可能です。

総資本対経常利益率とは経常利益率を総資本(総資産)で割って計算しますが、保有する総資産を活用してどのくらいの経常利益を生み出しているか確認するための指標です。

同じ金額の経常利益を生み出すための純資産が小さいほど、経営効率が高いと認められるため銀行の中小企業に対する格付けも向上させることができます。

なお、売却する資産は他にも未回収の売掛金なども含まれます。売掛金が取引先から入金されるまでの期間が長いと資金繰りは悪化してしまいがちですが、現金化させることで手元の資金を増やし指標もアップさせることができます。

不動産や有価証券を保有していない中小企業でも売掛金なら保有しているはずなので、ファクタリングという方法で現金化させることも検討しましょう。

経営体質を改善させることがより重要

まずは経常利益をプラスにさせ、税引き前当期純利益を出せるように経営体質を改善させていきましょう。

売上原価や販売管理費などを見直し、無駄を削減しながら売上を増やす戦略を立てていくことが必要です。

債務超過解消には即効性が高いとはいえませんが、根本的な原因を解決させる上では欠かせません。中小企業の経営を続け成長させるためには不可欠なことなので、積極的に取り組んでいくようにしてください。

赤字決算で手元の現金が少ない会社がスムーズに資金調達する方法とは?

事業継続には運転資金が欠かせませんが、手元のお金が少ない会社の場合、資金を調達しなければなりません。

しかし赤字決算では銀行から融資を受けて資金調達することは難しく、乏しい目の前の現金でどのように会社を続けていけばよいのだろうと頭を悩ませることとなるでしょう。

そこで、もし赤字決算の会社がお金の少ない状況に悩み、資金調達することを考えるならどうすればよいのか解説していきます。

 

 

赤字決算で手元のお金がない状態とは?

会社経営において、現金は人の身体でたとえれば血液と同じです。血液が不足したり薄くなったりすれば、人は貧血で倒れてしまいますが、会社の資金不足も事業を傾かせてしまいます。

血管が詰まり血液が循環しなくなれば生命を落とす危機にさらされますが、会社経営でもお金が循環していることが必要です。

赤字決算とは、収入を支出が上回り利益ではなく損失が発生している状態ですが、決算書が赤字でも会社は倒産しません。

倒産してしまうのは資金が枯渇し、仕入れ代金や従業員の給料、固定費や借入金の返済などの支払いができなくなったときです。

たとえ赤字でも資金さえ枯渇しなければ、倒産することはなく事業を継続できるため、あきらめず資金調達することが必要といえます。

 

 

赤字の会社は銀行から資金調達ができない?

銀行から融資を受けて資金を調達する場合、必ず会社の決算書を提出するように求められます。

赤字決算ではまず審査に通らないと考えておくべきですが、決算書が赤字の場合でもすべてがネガティブな理由でマイナスになっているわけではありません。

たとえば創業したばかりの会社の場合、初期投資などの出費がかさみ、まだ実績が十分でないため赤字になっているケースなどです。将来的に黒字化させることが見込まれるなら、たとえ赤字でも融資を受けて資金調達できることもあります。

もし税金を納めたくないという理由で意図的に赤字を出している場合、その事実を金融機関の担当者に知らせたとしても融資は断られてしまいますので、決算書の操作はしてはいけません。

 

 

赤字の会社がスムーズに資金調達する方法

会社の決算が赤字だとしても、融資可否は金融機関により異なるためあきらめてはいけません。

都市銀行などから融資を受けることは難しくても、地方に密着した信用金庫や信用組合政府系金融機関である日本政策金融公庫からであれば借入れが可能なケースもあります。

特に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けるなど、特殊な理由で赤字になっているのなら、信用保証協会が別枠で保証してくれる「セーフティネット保証制度」も利用可能です。

融資を受けて資金調達できる会社とそうでない会社

起業したばかりの会社や災害などで突発的に赤字になった会社、資本金額が高く経営を続けられるだけの体力がある会社であれば、一時的な赤字とみなされ銀行から融資を受けて資金調達できる可能性も出てきます。

反対に融資を受けることが難しいのは、決算書の赤字が連続している会社や節税目的で故意に赤字決算している会社、借入れたお金の使途が運転資金という場合です。

資金調達の方法は銀行融資だけじゃない!

資金調達する方法は銀行融資だけではないため、赤字決算の会社でも活用できる方法はあります。

基本的に赤字決算では融資審査に通りにくくなるため、お金を借りずに資金調達する方法を検討するべきです。

この場合、売掛金を保有しているのなら、ファクタリング会社に売却し現金化するファクタリングを利用しましょう。

利用の際には手数料もかかりますが、取引先から回収するまで1~2か月待たなければならない売掛金を、早ければ即日現金化できることは大きなメリットです。

手元のお金がない状態で不安を抱えている会社の場合、もっと早く売掛金が入金されれば…と考えてしまうものですが、ファクタリングならお金を借りず資金調達できますのでうまく活用することをおすすめします。

日本でファクタリングが資金調達の方法として浸透しにくい理由は?

日本でも中小企業の資金調達の方法として多く活用されるようになったファクタリングですが、まだ十分に知られている手段とはいえません。

銀行融資などで資金調達した場合には審査に1~2か月かかることもあるのに対し、ファクタリングなら早ければ即日売掛金を現金化させることが可能なため、日本でももっと多く利用されてよいはずです。

しかし日本の企業がファクタリングを活用しにくいと感じる理由もあるようなので、スムーズな資金調達に有効利用しやすいわけをご説明します。

 

ファクタリングが日本で周知されない背景

日本の経済規模から考えれば、ファクタリングはもっと普及されてもよい資金調達の方法といえます。

しかしまだ十分に活用されていない背景には、

  • 悪質業者がファクタリング業界を横行している
  • ファクタリングで資金調達することにネガティブなイメージを抱いている
  • 売掛先にファクタリングを利用することを知られたくない

といったことが挙げられます。

悪徳業者の存在

ファクタリングは売掛金をファクタリング会社に売却し、現金化して資金調達する仕組みです。

利用する際には手数料が発生しますが、悪徳業者はお金に困っている事業者の足元をみて、高額な手数料を要求してきます。

中には表向きは「ファクタリング」を装い、売掛金の売買契約ではなく金銭の貸付契約を結ぼうとするヤミ金融業者も存在しており、騙された企業経営者はファクタリングによい印象を抱いていないはずです。

悪徳業者のニュースなどがメディアで取り上げられるたび、ファクタリングはリスクが高く危ない資金調達の方法というイメージが大きくなり、中には違法な取引と勘違いしている方もいます。

しかし事業者向けのファクタリング違法な契約を結ぶわけでもなければ、危ない取引でもありません

経済産業省も、中小企業が売掛債権を資金調達に有効活用することは推奨しており、その方法の1つがファクタリングです。

売掛先に知られる心配もなし!

ファクタリングで資金調達すると、売掛先にその事実を知られることとなり、資金繰りが悪化している危ない会社と勘繰られてしまうのではないか…と不安を感じる経営者もいるようです。

中小企業の資金調達の一般的な方法は銀行融資ですが、なぜ銀行からお金を借りて資金を調達しないのか?融資を受けることができないほど債務を多く抱えているのか?といった想像をされてしまうのは避けたいものでしょう。

しかしファクタリングにも種類があり、売掛先を通さず契約する2社間ファクタリングであれば、誰にも知られずに資金調達できます。

銀行融資との併用も可能

政府も公的融資を拡大させるなどコロナ対策は行っているものの、窓口は混雑し審査に時間がかかるなどスムーズな資金調達につながっていません。

会社の存続をかけて運転資金は確保したものの、成長資金にまで至らなかったというケースもあるでしょう。

このような場合、融資を受けて資金調達するだけでなく、いざというときの手段としてファクタリングを検討することも検討することをおすすめします。

 

スムーズな資金調達に有効な手法

銀行から融資を受けたくても、財務状況が悪く赤字決算でお金を借りることができない企業も少なくありません。

特に中小企業は赤字で必死に経営している会社や、不動産など担保にできる財産を所有していないこともめずらしくないため、銀行を頼りにくい状況ともいえます。

ファクタリングは中小企業の経営ニーズに合致した頼れるサービスであり、近年では大企業やフィンテック企業など信頼性が高い企業も新規で参入するようになりました。

対面で面談しなくてもオンラインによる契約を可能とするファクタリング会社も増えたことで、より時間をかけず資金を調達しやすくなっています。

新型コロナウィルス感染拡大で経済や景気が低迷し、より資金面で不安を抱える中小企業は増えていますが、ファクタリングなら売掛金を保有していれば資金を調達できます。

資金調達不可を決める判断材料「融資の五原則」に沿った申し込みを!

銀行などからお金を借りるときには、金融機関でどのような基準で審査が行われ、資金を借りようとしている相手に何を求めているのか知るために「融資の五原則」を確認しましょう。

有利に融資を受け資金調達を成功させるにはこの五つ原則の内容を確認し、銀行側がどのような考えに沿って審査を進めていくのか把握しておくことが必要です。

そこで、これから銀行からお金を借りて資金を調達しようとする方のために、「融資の五原則」とはどのような考え方なのかご紹介します。

 

「融資の五原則」とは

融資を受けようと申し込みを行ったとしても、融資審査で資金を貸し付けてもよい相手だと認めてもらうことができなければ資金調達することはできません。

そこで、銀行が行う融資審査で基本となる考え方「融資の五原則」を把握しておき、それに沿った書類作成が必要です。

融資の五原則とは、

 

  1. 1.公共性の原則
  2. 2.健全性(安全性)の原則
  3. 3.収益性の原則
  4. 4.流動性の原則
  5. 5.成長性の原則

 

の五つです。

基本的に銀行の融資担当者はこの五つの原則を基準に、融資可否を判断していくこととなると認識しておきましょう。

1.公共性の原則

銀行から融資を受けるとき、その資金どこから来たお金かご存知でしょうか。

実は、銀行に預金した方の資金を集め融資を行っていますので、貸し付けを行う相手は健全な社会発展に役立つ公共性のある事業であること必要です。

法律を守らない違法行為を行っている会社や、反社会的勢力が関係する会社が融資を受け資金を調達すれば、資金を貸し付けた銀行は世間から非難を浴びることになるため公共性のある事業か重視されます。

2.安全性の原則

銀行は社会性の高い機関のため、融資先は健全な事業活動を営んでいることが必要と考えられます。

そして貸し付けた資金はもともと預金者が預けたお金のため、確実に回収できなければなりません。

信用力に不安のある相手に資金を貸し付けるのであれば、担保や保証といった保全を行った上で融資を実行します。

融資相手が特定企業や業種に偏らないようにすることも、安全性を高めることの1つです。

キャピタルゲインを狙った投機家や、短期間で煩雑に売買を行う事業者の場合、リスクの高い相手とみなすこととなるでしょう。

健全な経営者に融資を受けてもらうことを基準に審査を行います。

3.収益性の原則

公共性の高い機関である銀行も、営利目的で運営しているため、経営維持には利益を追求することとなります。

収益を増やすためには、貸出利率を高くする、または貸出量を増やすことを検討するでしょう。

それも踏まえて銀行は、資金を貸し付ける相手の信用力や、差し入れてもらう担保や保証などに応じ、リスク負担を割り出した上で貸出金利に反映させていきます。

公共性や安全性を重視した審査が行われるものの、利潤を追求する営利企業の一面もあると認識しておきましょう。

4.流動性の原則

融資期間は、預金期間に見合う期間で設定することが必要です。

融資を受けるときの資金の源は銀行へ預金した方のお金ですが、普通預金などは預金者から申し出があればすぐに引き出し可能としておく必要があります。1~2年程度の定期預金も普通預金と同様に、運用できる期間は短くなると考えられるでしょう。

このように銀行が短期で調達した資金は短期融資で運用することとなり、長期により調達した資金は長期融資で運用することで、資金の調達と運用のバランスが取れます。

5.成長性の原則

銀行が貸し付けた資金は、融資先が成長・発展することに役立つこと、そして銀行などの金融機関も成長・発展にも役立つものでなければなりません。

銀行がお金を貸し付け、それにより融資先の事業が健全に成長できるかという観点で確認が行われます。

融資先の事業は銀行の成長と考えれば、赤字を埋めたいという目的で融資を受けたいと考えても、融資審査をクリアすることはできないといえるでしょう。

 

まとめ

銀行から融資を受けるのなら、融資の五原則を把握しておき、何を融資担当者に説明すればよいかまとめておきましょう。

そして融資の五原則は、

 

  • 安全性の原則…銀行が融資した資金は確実に回収可能と認められること
  • 公共性の原則…銀行が融資した資金の目的が社会的ニーズに合致したものと認められること
  • 収益性の原則…銀行が融資することで適正な利益を確保できると認められること
  • 成長性の原則…銀行が融資した資金により、融資先の事業成長が見込めること
  • 流動性の原則…銀行預金の大半は短期資金のため、資金調達と運用のバランスを取ることが必要であること

 

という考え方になっています。

銀行から融資を受けて資金調達するのなら、この五つの原則に留意した融資書類の準備を行うことが必要です。

これらは銀行などの金融機関が、融資を受けてもらう相手としてふさわしいか判断する基準となる考え方ですので、理解しておくことで融資交渉を有利に進めることも可能と把握しておきましょう。

資金がショートしてしまう理由と防ぐために必要なこととは?

会社経営は手元の資金がショートすれば倒産するリスクが高くなります。運転資金が不足してしまうことはどの会社でもおこりうることですが、ショートにより底を尽いてしまえば倒産します。

そこで、スムーズに会社を経営し、資金をショートさせないためにはどうすればよいのか解説していきます。

 

黒字だとしても資金ショートする可能性はある

資金ショートとは、手元の現金が不足してしまうことであり、英語表記で「short」の「短い」をあらわす以外の「不足・乏しい」という訳を意味します。

資金がショートしてしまうと、取引先に対する支払いができなくなり、借入金返済や税金納付も難しくなります。

資金繰りは困難な状態となりますが、資金ショートは利益が発生している黒字状態でもおこりうることです。

たとえば多額の売上が計上され利益は出ているのに、売上分を取引先から入金されるまでの期間が長く、すぐに現金化されないケースなどが該当します。

また、費用として計上されない借入金返済など、現金支出が多い場合も同様です。

 

資金がショートする主な原因

資金がショートしてしまう原因はいろいろですが、主に現金の管理不足認識不足などが関係しています。

現金の管理不足による資金ショート

本業が忙しい場合や、売上を向上させなければ!と営業活動にばかり気を取られていると、日々の現金の流れは把握できなくなります。

毎日の入出金などを資金繰り表などに記載しておき、事業資金の収支を一目で確認できるようにしておきましょう。

認識不足が資金ショートを招く

認識不足によって資金がショートしてしまうケースとは、税金支払いや返済資金などの認識が誤っている場合です。

税金の支払いに充てる資金を準備できておらず、消費税・所得税・法人税など納税時期に予想以上の金額だったため、納めることができなくなるというケース。

借入金の返済を加味した資金繰りが必要なのにできておらず、返済期日に資金が不足してしまうケース。

いずれも認識不足による資金ショートといえるでしょう。

一気に売上が上がり資金ショートすることもある

また、売上が一気に上がったことでも資金はショートすることがあります。

売上が上がり業績も伸びることは、企業経営において好ましい状態といえます。

顧客ニーズにこたえるためにはさらに販売用の仕入れが必要となります。しかし売上として計上されている分が取引先から入金されていない状態で、先に仕入れ代金の支払いが発生してしまうと手元の資金はショートし、仕入れができなくなることも考えられます。

 

資金がショートしてしまわないために必要なことは?

資金ショートを防ぐにはまず資金繰りを改善させることが必要であり、入金はできる限り早めに行い、支払いはできるだけ遅くすることが必要です。

ただ、いずれも相手があることのため、自社の都合だけで入金日や支払い日を変更することは難しいといえます。

そこでまずは、請求漏れや未入金はないか確認してみましょう。もし請求できていない売掛金や、まだ回収できていない売上代金がある場合には、早急に取引先に請求や督促することが必要です。

それに加え、不要な在庫の処分や遊休資産の見直しも行い、無駄な管理費や固定資産税を発生させないようにします。

そして最も大切なのは、資金繰り表を作成して日々の現金の入出金を正確に把握することです。6か月程度先の予想も記載しておき、資金ショートしない資金調達などを行っていきましょう。

 

まとめ

資金ショートを防ぐには、まず現金の流出入を把握する上での資金繰り表の作成が必要です。

資金ショートに陥る原因はいろいろありますが、黒字経営でも起こりうることを認識しておき、売掛金回収と買掛金支払いのバランスを乱さないようにすることも必要となります。