資金調達に活用したいのは資産の流動化!その方法と利用するメリットとは
資金調達をするときには銀行からお金を借りる方法を真っ先に思い浮かべてしまいがちですが、資産を流動化させる手法を活用してみましょう。
資産を流動化させて資金を調達することで、不動産や債権など保有している資産を譲渡し、オフバランス化させ資産が生み出す将来のキャッシュフローを原資にすることができます。
そこで具体的に資産の流動化にはどのような方法があるのか、どの方法がもっとも資金調達にメリットがあるのか判断するため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
資産を流動化させるメリット
流通性や流動性が低いと感じる資産もあるでしょうが、一般的に資金調達に活用されていないだけで、実は流動性を付与させることが可能なもののあります。
資産を流動化させ資金調達することは、手元のお金を増やすだけでなく次のようなメリットを享受することが可能です。
資金調達の多様化が可能に
資産を流動させることのメリットは、資産を所有している企業の信用力に依存しないことです。
仮に格付けが低い会社だとしても、流動化させることを可能とする資産を保有しており、その資産が優良と認められれば有利な条件で資金調達が可能になります。
借入れを申し込む企業の信用力を重視する銀行融資に頼ることなく、資金調達の多様化が可能となることは、流動化のメリットといえるでしょう。
リスクの移転が可能
資産を流動化せず、保有し続けることで様々なリスクが発生します。たとえば対象となる資産が不動産であれば地価の暴落で価値が下落することも考えられますし、有価証券であれば株価が急激に下がることも考えられます。
売掛債権であれば、取引先が倒産し売掛金を回収できなくなるという貸し倒れリスクも抱えた状態です。
しかし流動化により、これらのリスクは第三者に移転することが可能となるため、リスク回避の手法にも活用できます。
財務指標を改善させることが可能
流動化により資産をオフバランス化できれば、貸借対照表がスリム化され総資本利益率や自己資本比率などの経営指標(財務指標)を向上させることができます。
含み益のある資産なら、流動化で潜在的な企業収益力損益計算書上に顕在化させることもでき、銀行の格付けにもよい影響を与えることとなるでしょう。
流動化で安定した資金繰り実現に
資産の中でも売掛債権を流動化させる場合、決済期日到来するまでの数か月の間に陥りやすい資金不足を解消できます。
手元の資金を増やし、資金繰りを安定させることができるでしょう。
なお、調達可能となる資金額は、売掛債権の信用力(リスク)に依存すると理解しておいてください。
売掛債権を流動化させることで、
- 資金繰りに余裕が出る
- 資産を圧縮できる
- 良い取引先を持つことにつながり信用力が増す
- リスクマネジメントに活用できる
- キャッシュフロー経営を進めることが可能
といったメリットがあります。
売掛債権を流動化させる手法は3つ
売掛債権を流動化させる方法は、主に次の3種類がありそれぞれ特徴などが異なります。
売掛債権証券化
企業の保有する売掛債権を特定目的法人であるSPVに譲渡し、その対価として資金を受け取る方法を売掛債権証券化といいます。
SPVとは、売掛債権を買い取って決済期日に入金される代金を裏付けとし、証券を発行すし投資家に渡す企業との媒介役を担う事業体です。
ファクタリング
企業の保有する売掛債権をファクターと呼ばれる専門会社に売却し、その対価として資金を受け取る方法がファクタリングです。
証券化とは異なるのは相対取引となることで、売掛債権の売買契約を結ぶことが特徴といえるでしょう。
売掛債権担保融資
売掛債権の信用力を担保に融資を受ける方法が売掛債権担保融資で、売掛債権を売却するのではなく債務不履行時の弁済手段である譲渡担保とします。
不動産などの資産を所有していなくても、安定する売掛債権があれば担保として融資を受けることが可能となることが特徴です。