売掛債権の譲渡を禁止する特約について民法が改正に?その内容とは

2017年5月、実に120年ぶりに民法(債権法)が大幅改正され、2020年から施行されることとなりました。この民法改正により、商取引や支払いにおいて様々な影響が出ることが予想されますが、その中で債権譲渡禁止特約に関しての変更については注目です。

 

現在の民法上の債権譲渡についての扱い

現在の法律においても、債権者が債権を譲渡することは可能であることは明記されていますが、契約の中で債権譲渡禁止特約が設定されている場合には、譲渡や担保に提供しても無効という扱いになります。

売掛債権を譲渡して現金化するファクタリングで資金調達したくても、契約上、売掛債権の譲渡禁止特約が組み込まれていれば、利用できなくなってしまいます。

もちろん、特約が付帯されていても、相手の承諾を得れば売掛債権を譲渡することは可能です。しかし、大企業の下請として働いている中小企業が、元請である大企業に債権を譲渡する事実を伝えることは、資金繰りが悪化していることをわざわざ知らせることとも考えられるため、できれば知られずに売掛債権を売却したいと考えることが多いようです。

そこで、民法改正により、この債権譲渡禁止特約に関してどのような変更がなされたのか、今後、ファクタリングの利用は今よりも円滑になるのかなどご説明します。

 

なぜ売掛債権の譲渡を禁止する特約が設けられるのか

そもそも、どうして債権譲渡禁止特約が取引契約の中に組み込まれることになったかという部分から確認していきましょう。

まず、大企業が部材などを購入する場合には、中小企業からというケースが多くみられます。しかし、大企業にとって相手は中小企業。このご時世、いつ何が起こるかわかりませんし、経済体力が弱い中小であれば倒産する可能性も否定できません。

そのような様々なリスクを、できるだけ事前に回避しようという考えの下、債権譲渡禁止特約を組み入れることが行われるようになったといえます。

仮に売掛債権の売却相手が反社会勢力だったら…

もし中小企業が経営不振状態に陥り、売掛債権を売却して現金化しようと考えたとします。しかし、その売却相手が反社会的勢力などで、ある日突然、自らが債権者であることを反社会勢力に主張されることになったら、企業としてはコンプライアンス上、大きなトラブルを抱えることとなります。

そこで、債権譲渡禁止特約を組み入れておき、承諾なしに売却や担保に差し入れることができないようにしているのです。

 

民法改正で債権譲渡禁止特約はどのように変わるのか

今回の民法(債権法)の改正により、一定条件が揃えば債権譲渡禁止の合意があったとしても、債権譲渡自体は有効であると認められることになりました。

契約上、債権譲渡禁止特約が付帯されていても、法律上、譲渡は可能とされるため、実際には譲渡禁止特約ではなく、譲渡制限に変更されることになります。

債務者が譲受人に対抗できる要件に注意

ただし、債権の譲受人が、債権の譲渡が禁止されている事実を知っている場合には、債務者は譲渡人に弁済することで譲受人に対抗することができます。

ファクタリングの場合、ファクタリング会社(譲受人)が債権譲渡を禁止されていることを知っている場合や、知らなかったとしても知っていたと判断できるような場合、売掛先(債務者)に抗弁権が認められることになります。

抗弁権とは、相手の請求を特定条件が成就するまで、一時的に拒否して延期できる権利です。結果として売掛先は、ファクタリングの利用会社(譲渡人)に通常通り売掛代金を支払えば、ファクタリング会社に対抗することができることになってしまいます。

 

債権譲渡禁止特約の変更が影響するのは3社間ファクタリング

企業間取引は、そのとき一回きりということはそれほど多くなく、一度契約すれば継続することが一般的です。

そのような状況下で、たとえば3社間ファクタリングを利用し、今回だけは別の口座に売掛代金を送金してもらえるように頼んだとしても、依頼を受けた企業としては事務手続きの手間がかかる上に、処理のミスにつながる可能性を懸念するはずです。

もしかしたら、そういった面倒なことを依頼してくる企業とは、もう取引したくないと思われてしまうかもしれません。

そのため、中小企業がファクタリングを利用するときには、売掛先企業に債権譲渡の事実を通知されない2社間ファクタリングを希望する傾向が高くなります。

なお、2社間ファクタリングの場合には、売掛先に対して通知が行われませんので、今回の民法改正の影響は及びにくいと考えられるででしょう。

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