経営改善を図ろうとする小規模事業者をバックアップする融資制度とは?
会社を継続させるためには、悪化してしまった経営状況を改善させることが必要ですが、そのような小規模事業者を対象にした融資制度もあります。
M&Aや事業承継の実現の他、売上低下に資金繰り悪化などでも経営改善を図ることが必要ですが、資金調達手段として準備されている日本政策金融公庫の「マル経融資」についてご紹介します。
日本政策金融公庫の「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」とは
日本政策金融公庫のマル経融資(小規模事業者経営改善資金)では、商工会議所の経営指導のもと、経営を改善させたいと高い意欲がある方を支援する制度です。
商工会議所の推薦によって日本政策金融公庫から融資を受けることが可能となるため、商工会議所や商工会などから経営指導を受けている中・小規模事業者が対象となっています。
経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で借入れできるため、運転資金や設備資金に困っているなら検討するとよいでしょう。
マル経融資を活用するとよいケース
経営改善を目的としたマル経融資は、仕入代金の支払い・手形決済資金・従業員の給与やボーナスの支払いなど運転資金としても活用できます。
また、工場・店舗の改装資金・車両・機械設備の購入など設備資金が必要なときにも活用可能です。
資金の使いみちが運転資金と設備資金、どちらの場合でも融資限度額は2,000万円となっています。
返済期間は、運転資金の場合は7年以内でうち据置期間は1年以内、設備資金の場合は10年以内で据置期間は2年以内です。
保証人、担保は不要ですが、利用するときには商工会議所会頭・商工会会長などの推薦が必要なので注意してください。
利率(年)は特別利率F(令和3年5月6日現在で年利1.21%)が適用されます。
新型コロナウイルス感染症による影響を受けている場合の特例措置
新型コロナウイルス感染症の影響を受けたことで、最近1か月間などの売上高または過去6か月(最近1か月を含む)の平均売上高が前3年のいずれかの年の同期と比べて5%以上減少している(同様の状況にある)場合には特例措置の適用が可能です。
通常の融資額に加え、別枠で1,000万円が加わり融資限度額とされます。
利率も、当初3年間は「特別利率F-0.9%(別枠の1,000万円以内)」で、4年目以降は特別利率Fが適用されます。
なお、「特別利率F-0.9%」の適用限度額は新型コロナウイルス感染症特別貸付の「基準利率-0.9%」の適用限度額に含まれますので注意してください。
特別利率F-0.9%の部分は中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることで、実質3年間無利子での借入れが可能です。
また、返済期間は、設備資金が10年以内(うち据置期間4年以内(別枠の1,000万円以内))で運転資金は 7年以内(うち据置期間3年以内(別枠の1,000万円以内))となっています。
マル経融資の利用対象者とは
マル経融資を利用は、
- 常時使用する従業員が20人以下(宿泊業と娯楽業を除く商業・サービス業は5人以下)であること
- 最近1年以上事業を行っていること
- 商工会議所・商工会の経営指導を原則6か月以上受けていること
- 税金(所得税・県市民税・事業税・法人税)の滞納がなく完納していること
- 日本政策金融公庫の融資対象業種であること
税金について、新型コロナウイルス感染症の影響により納税を猶予してもらっている場合には、別途相談するとよいでしょう。
なお、申し込みのときには次のような提出を書類することになるため、事前に準備しておくと安心です。貸付残高が1,500万円を超える場合には、下記の書類と別途、事業計画書が必要となります。
個人事業主の必要書類
- 前年と前々年の青(白)色決算書及び確定申告書(控)
- 税金の領収書または納税証明書
- 見積書やカタログなど(設備資金の申し込みで必要)
法人の必要書類
- 前年と前々年の青(白)色決算書及び確定申告書(控)(決算から6か月以上経過している場合は最近の試算表)
- 税金の領収書または納税証明書
- 会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- 見積書やカタログなど(設備資金の申し込みで必要)