正しく経理処理を行っているつもりでも、売掛金や経費を2重計上してしまうミスが起きないとは限りません。
しかし、もし2重計上してしまうと、経費の水増しと判断されてしまいますし、売掛金については過剰に取引先に請求してしまうこととなり信頼関係を脅かしかねません。
また、会計処理上、いつまでも消えない売掛金が残る形となってしまうので、しっかりと会計上の管理を行い、ミスのないように処理を行うようにしていきましょう。
経費の2重計上が発生しやすいタイミング
経費を2重計上してしまいやすくなるのはクレジットカードの利用があったときです。
クレジットカードを利用してものを購入すると、店舗から受け取る領収書とは別に、後日、クレジットカード会社から明細書も発行されます。
そのため、領収書ですでに経費として計上しているのにもかかわらず、後日明細書を参考に経費として計上するといった処理を行ってしまうのです。
売掛金の2重計上が起きやすいとき
売掛金の2重計上が起きやすいのは、手元に同じ請求書や領収書が複数枚存在することが要因です。
たとえば、本来正規の請求書として発行したものとは別に、まだ金額が確定されていない段階で発行された仮の請求書や、記載ミスなどで発行し直す前の請求書が残っている場合、両方とも請求書として処理されることで2重計上してしまいます。
売掛金や経費の2重計上を防ぐために
2重計上を防ぐためには、領収書や請求書などを複数枚存在させないことが基本です。
たとえば消耗品や交通費などをクレジットカードにより決済する場合には、カードを使った段階で処理を行い、後日発行される明細書を参考に処理を行わないなど、処理をするタイミングを統一することが必要です。
適切な管理を行うことが重要
売掛金についても、どの得意先に対していくら売掛金が発生し、まだ回収できていない売掛金はどのくらいあるのかなど、日々管理を行うことが求められます。
それぞれの売掛金期日も確認し、遅れず入金されているかチェックしておきましょう。
また、商品が引き渡され納品書が発行された段階で売上と売掛金で処理を行い、請求書が発行されたときには再度計上してしまわないなど、こちらも計上のタイミングを統一することが必要です。
そこで、売掛金については次のようなことをチェックしながら処理を行うようにしてください。
- 商品の引き渡しときなど売掛金を計上するタイミングは統一されているか
- どの得意先に対しそのくらいの売掛金残高が残っているか把握できているか
- 期日になっても入金されていない売掛金を確認できているか
- 期日になっても入金されていない売掛金は再度得意先に連絡を取って入金の約束を取り付けているか
- 得意先ごとの与信管理を行い、売掛金残高はその範囲におさまっているか
売掛金だけでなく買掛金の管理も忘れずに!
さらに仕入れなどで発生する買掛金についても、商品が納品されたときに計上できているか、どの仕入先に対しどのくらいの買掛金残高があるか把握できているか再度確認しておきましょう。
売掛金の2重計上と同じく、買掛金の2重払いも発生しないような適切な管理が必要です。
受け取った請求書と買掛金残高とを照合し、その金額で間違いがないか確認しておくようにしてください。
まとめ
もし2重計上が発生したり、反対に請求漏れがあると、自社の資金繰りに影響するだけでなく得意先にまで迷惑がかかってしまいます。2重払いが発生した際にも同じく、重ねて支払ってしまった分を払い戻してもらうなど、自社の事務処理だけでなく得意先の事務手続きも複雑化させてしまうことになるでしょう。
請求するべき金額を明確にし、回収までの期間を長期化させないためにも適切な売掛金管理を行っていくことが必要ですし、経費や買掛金の管理も確実に行っていくことが求められます。