売掛債権を現金化して資金を調達するファクタリング。利用する際には手数料を支払うことが必要となりますが、消費税の課税対象にはなるのでしょうか。そこで、もしファクタリングを利用したときに発生する手数料や、利用する上で消費税の扱いはどのようになるのかご説明します。
ファクタリングの手数料と消費税
まず、ファクタリングに利用する売掛金には最初から消費税が含まれています。そのため、売掛金は不課税科目の扱いとなり、消費税は対象外です。
ファクタリングは売掛金を譲渡して資金を調達する方法なので、譲渡により受け取った売却代金には消費税はかからないということです。
さらに、ファクタリングを利用するときにはファクタリング会社に手数料を支払うことになりますが、手数料に対しても消費税は課税されません。
ファクタリングを利用しても消費税に影響はほとんどない
消費税は、商品やサービスを購入したり、提供してもらう際に課税される税金であり、国税に該当する税金です。2019年10月からは8%から10%に税率も上がるので注目しておきたい部分といえるでしょう。
商品を販売した場合には消費税を受け取ることになりますが、販売する商品や製品、または材料を仕入れるときには消費税を支払うことになります。そのため、販売した際に預かった消費税から、仕入れなどで支払った消費税を差し引き、その差額を納税することになります。
ただ、支払った消費税は、課税売上高が5億円以下で課税売上割合が95%以上のときにだけ払消費税を全額差し引くことが可能です。
課税売上割合は、
課税売上高 ÷(課税売上高 + 非課税売上高)=課税売上割合
という計算式により算出した割合で判断します。
全額差し引くことができなくなると、税負担が増えると理解しておきましょう。
売掛債権は、課税売上割合の計算において非課税売上高に含める必要はないことから、ファクタリングで課税売上割合を低下させることもなく、それと同時に税負担を増やすこともないといえます。
受け取った債権売却代金は非課税売上高に含めないこと
売掛債権が消費税の対象ではない不課税科目として扱われるのは、すでに消費税を支払っているからです。
消費税納税額を計算するときに売掛債権を非課税売上高に含めてしまうと二重に計上することになります。そのため、課税売上割合の計算を行う場合、ファクタリングを利用したことで受け取った売掛債権の売却代金は、非課税売上高に含めないようにしてください。
ただ、他社から売掛債権を受け取り、さらに別に譲渡するといった場合には、売掛債権の売却代金を非課税売上高に含めることになります。
ファクタリング利用は消費税の影響はない
ファクタリングで資金調達をしたとしても、手数料に消費税はかかりません。特に2社間ファクタリングの場合、売掛債権額の10~25%程度を目安とした手数料が設定されますので、消費税分を支払わずに資金調達できるのは大きなメリットといえます。
また、ファクタリングを利用する際には、利用者の信用力よりも売掛先の信用力を重視した審査が行われます。利用者の信用力はそれほど重視されないということは、赤字決算や税金滞納などの状態であっても利用可能な資金調達の手法であるということです。
その上、負債を増やすこともないため、スムーズに資金繰りを改善させやすい資金調達の方法でもありますので、まさに資金調達の救世主的な存在といえるでしょう。
なお、ファクタリングを利用しても税務処理が複雑化することはなく、仕事量が増えてしまうと考える方もいるようですが、そのようなことはありませんので安心して利用してみてはいかがでしょう。
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