会社経営で資金繰りを分析するためにすぐ実行したいこととは?

会社経営において、資金繰りを分析することは大切なことです。しかしいざ資金繰り表を作成したものの、読み方がわからなければ分析どこか、現状を把握することさえできません。

そこで、安定した経営につなげるための資金繰り表の読み方や分析方法についてご説明します。

 

資金繰り表はどのような構造で何を分析すればよい?

会社経営における資金を把握するには、経常収支・経常外収支・財務収支の3つの収支を確認することが必要です。

資金繰り表を分析する上でも、この3種類の収支を確認していきましょう。

経常収支(営業収支)

本業による活動による収支をあらわすのが経常収支です。売上などの収入や、仕入・経費などの支払いなど、事業活動する上での取引で発生した収支であり営業収支と呼ぶこともあります。

 

経常外収支(営業外収支)

本業以外の収支をあらわしており、助成金・保険金による収入・設備投資費用などの支出が該当します。

財務収支

銀行からの借入れや借入金の返済など、財務や投資に関する取引(財務活動)による収支をあらわします。

なぜ資金繰り表による管理が必要?

資金繰り表は、前月から繰り越された手元の資金と当月の収入から支出を差し引いた資金を合わせて、翌月へどのくらい繰り越すことができるか確認することが目的です。

翌月繰越となる金額がマイナスの場合は資金ショートしていることを意味するため、資金繰りが回っていないことをあらわします。

どの収支がマイナスなのか分析し、早急に対策を取ることが必要です。

 

資金繰り表で分析し問題点を見つける

資金繰り表を分析するとき、まずは経常収支がマイナスになっていないか確認しましょう。

本業による収支をあらわす部分ですので、プラスになっていることが望ましいといえます。

しかしマイナスになっている場合は、次の原因がないか確認してみましょう。

手元の資金がいつも不足

経常収支はマイナスでも損益計算書上は黒字の場合には、資金繰りに問題があります。

たとえば、売掛金を回収するまでの期間が長めに設定されている場合などが該当しますが、売掛金の回収は早めに・買掛金の支払いは遅めにすることで資金繰りは改善します。

取引先と入金・支払いサイトについて交渉すれば問題は解決すると考えがちですが、取引先に信用面での不安を与えることもあるため、ファクタリングなど売掛金を早期現金化させる手法を活用することも検討しましょう。

売上が上がらずいつも赤字

損益計算書が赤字であれば事業活動そのものに問題を抱えていることが多いといえます。

前期比の売上や対売上の経費などを確認・分析し、売上向上や経費削減などで利益を安定して得ることができるようにしていきましょう。

3か月後の翌月繰越がマイナス

資金繰り表は将来的な資金の予定を確認するためのもののため、おおよそ3か月先または半年先までの資金の収支予定を記載していきます。

もしも3か月先で繰越部分がマイナスになっているのなら、資金がすでに不足している状態をあらわしています。

買掛金・借入金返済・人件費など諸経費の支払いに行き詰る可能性が高いため、手元の資金を増やす対策を取っていきましょう。

具体的に手元の資金を増やす方法として、

  • 保有する資産を売却する
  • 公的金融機関や民間銀行などから融資を受ける
  • ファクタリングで売掛金を現金化する

などが挙げられます。

それと同時に、

  • コストの削減
  • 返済のリスケジュール(返済条件の変更)

などもあわせて検討していきましょう。

経常収支を財務収支が上回っている

財務収支でメインとなるのは、銀行などからの借入金とその返済による収支です。

財務収支がマイナスの場合、借入金返済で借入金自体が減少しているのなら問題ありません。

しかし借入金の返済が経常収支を上回っている場合、経常収支のマイナスは事業活動や資金繰りや事業活動に問題が発生していることを意味するため、その穴埋めに借入れしている場合は事業を継続できなくなるリスクを高めます。

 

資金繰りを分析していく上で確認していきたい指標

資金繰りを安定させるため売掛金(売掛債権)の回収は確実に行っていくことが必要ですが、そのために確認したいのが売掛債権回転期間であり、次の算式を使って算出します。

売掛債権回転期間=売掛債権(売掛金+受取手形)÷平均月商

算出された期間が短いほど、回収まで時間がかかっていないことをあらわし、資金繰りもスムーズに行われます。

さらに買掛金など仕入債務回転期間も確認しておくことが必要ですが、

仕入債務回転期間=仕入債務(=買掛金+支払手形)÷平均月商

で計算してみましょう。

仕入債務回転期間が短いのに、売掛債権回転期間は長めという場合には、資金繰りは悪化してしまいます。

さらに在庫の維持も適正か確認するため、

棚卸資産回転期間=棚卸資産÷平均月商

で計算してみてください。

棚卸資産回転期間が長ければ、売上よりも在庫を多く保有していることとなり、資金繰りは悪化してしまいます。

 

まとめ

資金繰り表には将来の予測に基づいた現金の入出金を記載していきますが、実績と予測には差異が生じます。分析する上で、なぜ差異が発生したのか検証も必要です。

何が会社経営で問題となっているか明確にするためにも、手元の資金管理を適切に行うことができる資金繰り表を作成し、分析することをおすすめします。

新型コロナで資金繰り悪化しているなら日本政策金融公庫の融資制度の活用を!

新型コロナウイルス感染症により、資金繰りが厳しい状況中小企業や個人事業主を支援するため、日本政策金融公庫の特別貸付制度などはうまく活用するべきです。

ただ、日本政策金融公庫から融資を受けたことがない場合は不安もあるでしょうし、資金繰りが悪化しているだけでお金を貸してくれるのか疑問もあることでしょう。

そこで、現在日本政策金融公庫が新型コロナ対策の支援制度として、資金繰りが厳しい事業者に対しどのような貸付制度を設けているのかご紹介します。

 

日本政策金融公庫の新型コロナに関する資金繰り相談窓口の利用を

日本政策金融公庫の国民生活事業では、新型コロナウイルス感染症の発生で影響を受けてしまった中小企業・小規模事業者・農林事業者などの融資や返済に関する資金繰り相談を受け付けています。

特に新型コロナにより一時的な資金繰り悪化などで悩んでいる場合には、緊急的な支援制度として設けられている特別貸付制度なども利用できる可能性があります。

設けられている制度は複数ありますが、主に次の貸付制度などが利用されています。

新型コロナウイルス感染症特別貸付

新型コロナウイルス感染症の影響で一時的な業況悪化となり、設備資金や運転資金が必要という場合に融資を受けることができる制度です。

利用対象となるのは新型コロナで一時的に業況悪化している方のうち、次の1または2のいずれかに該当していること、さらに中長期的には業況回復し発展が見込まれることが必要です。

 

  • ①最近1か月間(最近14日間以上1か月未満の任意の期間を含む)の売上高、または過去6か月(最近1か月を含む)の平均売上高が、前3年のいずれかの年の同期比5%以上減の場合
  • ②業歴3か月以上1年1か月未満の場合には、最近1か月間(最近14日間以上1ヵ月間未満の任意の期間を含む)などの売上高または過去6か月(最近1か月を含む)の平均売上高(業歴6か月未満であれば開業から最近1か月までの平均売上高)が次のいずれかと比較し5%以上減少している場合
  • 過去3か月(最近1か月を含む)の平均売上高
  • 令和元年12月の売上高
  • 令和元年10~12月の平均売上高

なお、最近14日間以上1か月間未満の任意に選んだ期間の売上高と比べるときには、上記3つの売上高を日割り計算し、当該期間に対応する日数をかけて計算した売上高と比べたときに5%以上減少していることが必要です。

担保は必要なく、融資限度額は別枠で8千万円までであり、返済期間も設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)・運転資金15年以内(うち据置期間5年以内)と長期での利用可能となっています。

利率は6千万円を限度に、融資後3年目までは基準利率▲0.9%なので3年間は実質無利子でお金を借りることができます。(4年目以降は基準利率が適用)

また、生活衛生関係の事業を営む方を対象とした「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」もあるので該当する事業者はそちらを確認するとよいでしょう。

新型コロナウイルス感染症特別貸付

生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付

新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)

新型コロナウイルス感染症による影響を受けているスタートアップ企業の他、事業再生に取り組んでいる方などを対象とした財務体質強化を図るための制度です。

新型コロナの影響を受けた法人または個人企業であれば、事業を行う上で必要な設備資金および運転資金の融資を受けることができますが、次のいずれかに該当することが要件として必要となっています。

  • J-Startupプログラムに選定された企業、または中小企業基盤整備機構が出資する投資ファンドから出資を受けている
  • 中小企業再生支援協議会の支援を受け事業再生を図る
  • 認定経営革新等支援機関(認定支援機関)の指導を受け事業計画を策定し、民間金融機関等と協調支援によって事業発展または継続を図る

担保も保証人も扶養で、別枠で7千200万円の融資限度額となっており、返済期間は5年1か月・10年・20年のいずれかとなります。

期限一括返済ですが利息は毎月払いとなり、融資後3年間は1.05%融資後3年経過後は毎年直近決算の業績に応じた2区分の利率が適用されます。

新型コロナウイルス感染症対策挑戦支援資本強化特別貸付(新型コロナ対策資本性劣後ローン)

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

既存の融資制度ですが、新型コロナ関連の融資制度として別途準備されています。

商工会議所や商工会などから経営指導を受けている小規模事業者(商工業者)が、経営改善に必要とする資金の借入が可能であり、運転資金や設備資金に使うことができます。

担保も保証人も必要なく、通常の融資額と別枠で1千万円まで融資を受けることが可能で、返済期間も運転資金なら10年以内(うち据置期間は別枠1千万円以内については4年以内)・設備資金は7年以内(うち据置期間は別枠の1千万円以内については3年以内)です。

利率は特別利率F(令和3年1月4日現在、年利1.21%)が適用されますが、中小企業基盤整備機構から利子補給を受けることで当初3年間は実質無利子となります。

ただしこちらの制度は商工会議所会頭・商工会会長などの推薦が必要となるため、その点は注意してください。

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

法人の登記簿謄本の取り方は?登記事項証明書と異なるのか

「登記簿謄本」の正式名称は「登記事項証明書」ですが、現在の登記簿に記載された内容は紙ではなくデータで記録されており、法人登記簿謄本と呼ばれる書面には会社名称・所在地・役員などの情報が記載されます。

会社設立するときには登記を行って法人格を取得することが必要ですが、登記簿謄本に関するルールは法務省により定めなどありますので取り方を含め確認しておきましょう。

 

登記簿謄本と登記事項証明書の取り方は違う?

登記簿謄本と登記事項証明書は同じものであり、紙媒体で保管されていた情報が電子化されたものが登記事項証明書ですので取り方も同じです。

法務省では登記簿事項証明書を正式名称として扱っているものの、一般的に登記簿謄本と呼ばれることが多いといえます。

登記簿謄本には会社やその他法人の情報が記載された法人登記簿謄本以外にも、不動産の権利関係などが記載された不動産登記簿などもあります。

会社の法人登記簿謄本には、商号(会社名)・本店所在地・事業目的・会社設立日・資本金額など会社概要といえる基本的な情報が記載されています。

 

法人の登記簿謄本の内容に変更があった場合

登記は登記所(法務局)で行いますが、会社を設立した後は税務書・都道府県・市町村に法人設立届出書の届け出を行います。他にも労災保険や雇用保険、社会保険の加入手続きも必要です。

そして一旦は登記を済ませたものの、後に法人登記簿謄本に記載されている内容に変更があれば、必要書類を取得し変更手続きを行うことが必要です。

会社名・役員・発行可能株式数・事業目的などが追加されたり変更されたりした場合には、忘れず変更の登記を行うようにしましょう。

 

法人登記簿謄本が必要になる場面とは

法人が自社の登記簿謄本を必要とするケースとは、たとえば決算を行うときなどです。

税理士に決算手続きを委任している場合、発行可能株式数や資本金などの情報が申告内容と合致しているか、不備がないか確認するため求められることがあります。

また、資金調達の場面で銀行から融資を受けるときや国や自治体の助成金や補助金などを申し込むときに法人登記簿謄本が提出書類として必要になります。

 

法人登記簿謄本の取り方

登記簿謄本の取り方がわからないケースもあるようですが、全国の法務局・支局・出張所で誰でも取得可能です。

現在はオンライン請求も可能となっているため、わざわざ法務局の窓口まで行ったものの、取り方がわからず職員の方にたずねなければならなくなった…といった手間を省くこともできます。

また、オンライン以外にも郵送請求できるなど、新型コロナウイルス感染症の影響でできるだけ外出を控えたいという場合でも取得可能です。

法務局の窓口での取り方

法務局などの窓口に出向いた上での法人登記簿謄本の取り方は、まず申請書を記載します。

このとき、持参しなければ持ち物などはなく認印なども必要ありません。

登記簿謄本または登記事項証明書1通につき600円手数料がかかります。取得する枚数が増えれば、その分手数料も多く必要となるため注意してください。

法務局に備え付けされている請求書に、必要な会社の商号(法人名)と本店を記載し提出するだけです。

窓口以外での取り方

郵送請求する場合には1通500円の手数料が必要ですが、オンライン請求なら480円しかかかりません

郵送による登記簿謄本の取り方は、取得する方の住所・氏名を申請書に記載し、手数料である収入印紙(500円分)と、切手を貼りつけた返信用封筒を同封し管轄の登記所に送るだけです。

申請書は法務局の窓口にありますが、適宜の用紙でもよいとされています。

オンラインの場合には「登記・供託オンライン申請システム」を利用しますが、事前に申請者情報登録を行って申請者IDとパスワードを取得することが必要です。

登録した後に、商業・法人欄の「交付請求書(登記事項証明書)」から登記簿謄本を必要とする会社を検索、または法人情報を入力して請求し、電子納付で手数料を支払います。

窓口まで取りにいくのなら、コメント欄などに受取可能かお知らせしてくれますし、メールでも通知が届くのでとても便利です。

 

まとめ

登記簿謄本と呼ばれる登記事項証明書にはいくつも種類があるため、取り方がわからなくなることもあれば迷うこともあるでしょう。

法人の登記簿謄本には、対象となる会社などの商号・本店所在地など取得時点で効力がある情報が記載されています。

電子化された登記簿謄本が登記事項証明書ですが、履歴事項全部証明書・現在事項全部証明書・閉鎖事項証明書など種類があります。

現在効力を有する最新の情報が記載されたものが現在事項全部証明書であり、履歴事項全部証明書には3年前の1月1日から請求された日までの有効な情報が記載されます。

それ以前の過去にさかのぼった有効でない情報が必要なときには閉鎖事項全部証明書を取得しましょう。

ベンチャー企業の資金調達は容易ではない!難易度が低めの方法とは?

事業成長のためには資金調達が必要ですが、ベンチャーやスタートアップ企業の場合、その難易度はけっして低いとはいえません。

その理由としてベンチャーやスタートアップ企業の場合には十分な実績がないことなどが挙げられますが、中には比較的難易度が低めの資金調達方法もあります。

そこで、ベンチャー企業などが資金調達するときに選びたい、中難度の方法から難易度低めの資金調達方法までご紹介します。

 

ベンチャーが検討しやすい難易度の資金調達の種類

そもそも資金調達とは、会社を経営する上で必要となる資金を外部から確保することです。

その種類は、アセットファイナンス(資産)・デットファイナンス(負債)・エクイティファイナンス(純資産)と大きく3つに分けられます。

アセットファイナンス資産を売却して現金化する方法であり、デットファイナンス負債を増やす(=お金を借りる)方法です。

そしてエクイティファイナンスは出資してもらうなど、純資産を増やすことで資金を得ることを指しています。

この3つの方法のうち、ベンチャーが検討しやすい難易度の資金調達方法はそれぞれ以下のとおりです。

アセットファイナンスでベンチャーが検討しやすい難易度の資金調達手段

アセットファイナンスは資産を現金化させて資金調達する方法ですが、ベンチャー企業でも売掛金を保有していれば利用できるのがファクタリングです。

取引先に商品代金などの請求をしており、入金待ちとなっている売掛金(売掛債権)をファクタリング会社に売却し、現金化させることで資金調達できます。

さらにファクタリングを利用することで、取引先から入金を待つ間に資金繰り悪化リスクが発生しそうなときにも、その危機を回避できることがメリットです。

ファクタリングを利用すると、取引先に売掛金を売却したことを知られるのではないか?と不安を感じるベンチャー企業もあるでしょうが、2社間ファクタリングであれば取引先を介さず契約できます。

急いで現金を必要とするときや銀行融資などの審査に通らないときでも、柔軟な審査により早ければ即日資金を調達できるため、ベンチャー企業にとって難易度の低い手法として検討しやすいといえます。

デットファイナンスでベンチャーが検討しやすい難易度の資金調達手段

デットファイナンスは負債を増やし資金調達する方法であり、わかりやすく言えば金融機関からお金を借入れることで手元の資金を増やすことを指しています。

お金を借りるということは、借りたお金(元本)だけでなく、設定された金利に伴い発生する利息も支払うことが必要です。

融資を受けて資金調達する場合、公的融資と民間融資のいずれかを選ぶこととなりますが、ベンチャー企業が民間銀行から融資を受けることは難易度高めです。

信用金庫・信用組合などであれば積極的に相談に応じてもらいやすいこともありますが、公的融資である政府系金融機関からお金を借りる方法のほうが難易度は低めといえます。

政府系金融機関は政府が出資・運営しているため、中小企業や個人事業主にも積極的に事業資金の貸付を行っています。

特に日本政策金融公庫の「新創業融資制度」であれば、無担保・無保証人で融資を受けることができ、融資限度額も3千万円(運転資金は1,500万円)まで借りることができるため検討しやすいでしょう。

ノンバンクのビジネスローンならさらに難易度が低いけれど…

ビジネスローンは中小企業や個人事業者向けの無担保融資であり、担保や保証人など不要となるケースも多く、銀行や日本政策金融公庫などの審査が通らない場合でも利用できることがあります。

ただし審査の難易度が低い反面、設定される金利が高く、長期に利用してしまうと資金繰りが悪化してしまいます。一時的な利用に留めるなど、うまく活用するようにしてください。

 

エクイティファイナンスでベンチャーが検討しやすい難易度の資金調達手段

株式を交付し資金調達する方法がエクイティファイナンスですが、投資家に出資してもらう方法なので返済義務のないお金を手にすることができます。

貸借対照表上でも資本(純資産)を増やすことができるため、自己資本比率を上げ経営上の安定度も高まることがメリットといえるでしょう。

ベンチャー企業の場合、成長率を高く見込めるスタートアップなどに出資し上場後に資金回収を狙うベンチャーキャピタル(投資会社)に投資してもらう方法などもあります。

また、将来成長が見込める企業に資金面などの支援を行うエンジェルと呼ばれる個人投資家から出資を受ける方法もありますが、いずれも難易度は低いとはいえません。

最近ではインターネットを介し、不特定多数の方たちから少額資金を集めるクラウドファンディングなどが注目されており、難易度としてはベンチャーキャピタルやエンジェルよりも低めです。

ただしいずれの方法も返済不要の資金を受け取ることとなるため、低い難易度で簡単にお金が集まるわけではないと認識しておくべきでしょう。

 

まとめ

会社経営に必要な資金を集める方法は難易度が高いものから低いものまで様々ですが、実績が十分でないベンチャーやスタートアップにとっては至難の業と感じてしまうことでしょう。

しかしベンチャー企業などでも比較的難易度低めと感じられる方法も少なくありませんし、国や地方自治体などが制度として設けている補助金や助成金なども利用できるケースもあります。

会社を立ち上げたのに手元の資金が枯渇してしまえば倒産することになってしまいますので、必要な資金が尽きてしまわないように難易度の低い方法を選び、資金調達していくことをおすすめします。

新型コロナの影響による資金繰り悪化で倒産?回避するために必要なこと

新型コロナウイルスの影響で資金繰りが厳しいという悩みを抱える中小企業や小規模事業者は少なくありませんが、このようなときだからこそ倒産を回避し事業を継続させていきたいものです。

国も中小企業・小規模事業者に倒産を回避してもらおうと、補助金・助成金・減税・融資などを政策として準備しているものの、隅々まで把握しにくく使い勝手がよいとはいえません。

それでも資金繰りを改善させるために資金を調達することは欠かせませんので、倒産を回避するために今中小企業にできることは何か把握しておきましょう。

 

経営に打撃を受けた業種も少なくない

新型コロナウイルス感染拡大から1年が経過しようとしている中、その影響は改善されるどころか中小企業などの資金繰りをさらに悪化させています。

倒産を回避するため、緊急措置として準備された融資制度や給付金などを使っても、まだ手元の資金が十分とはいえずこのままでは会社が潰れてしまう…と悩む経営者も少なくありません。

感染拡大を回避しようと、国は営業自粛や時短営業などを要請することとなり、その影響を直接受けることになった中小企業などは売上が減少してしまうこととなりました。

イベント関連会社や娯楽・商業施設、教育関係やスポーツ施設などの他、飲食業・宿泊業・小売業・サービス業などがその例です。

他にも世界規模で感染拡大してしまったことにより、原材料や製品などを調達できなくなった製造業や建設業なども大きな打撃を受けたといえます。

この場合には、国や自治体の融資制度や助成金などをうまく使いながら、手元の資金を枯渇させないようにすることが重要です。

しかし売上には直接的な影響が大きく出ておらず、顕在化されていないことで倒産危機に陥っていることに気がついていない事業者も存在します。この場合、気がついたときには手遅れとなり、倒産を回避できなくなる可能性が高いためより注意が必要です。

 

利益が出ていたため資金繰り悪化に気がつかないケースも

新型コロナウイルスの影響は様々な産業に及ぶこととなりましたが、売上が低迷している企業が多い中でも、それほど打撃を受けていない業種もあります。

このようなケースの場合、商品やサービスが順調に売れ利益も出ているから安心だと思っていたのに、気がつけば支払いに必要なお金がなく倒産してしまう…といった黒字倒産に注意しなければなりません。

倒産を回避するために必要なのは利益ばかりにとらわれず、手元の資金を枯渇させないことです。自社の入出金状況を常に把握しておき、キャッシュフローがプラスになる経営を心掛けていかなければ、黒字倒産は回避できません。

 

倒産を回避するためにもキャッシュフロー経営を

企業間取引では、商品を販売したときにその代金をその場で受け取るわけではなく、後日請求書を発送し数か月先に回収することが一般的です。

このとき発生した売掛金を売掛先から回収するまでの間にも、仕入代や人件費、借入の返済など様々な支払いは発生します。

そのため手元に支払いに充てるお金がなければ、会社は資金不足の状況を回避できず倒産してしまうことになってしまうため、帳簿上は利益が出ていても安心せず必要な資金が手元にあるか把握しておくことが重要です。

特に成長期にある会社では売上が急激に伸び、売掛金や在庫が膨らみがちのため、いくら黒字でも資金繰りが追いつかず倒産してしまうこともあると留意しておいてください。

 

資金繰りを円滑化させ黒字倒産を回避!必要なこととは?

黒字倒産を回避するためには、会社の入出金状況を把握すること以外にも、入金サイトは短く・支払サイトは長くすることを心掛けることも必要です。

仕入れ代などの支払いはできるだけ先に、売掛金の回収までの期間はなるべく短めに設定したほうが資金繰りは楽になります。

そして卸売業などの場合は一定の商品在庫を保有しておくことが必要ですが、過剰な在庫を抱えないようにすることも大切です。もし手元のお金が不足したとき、在庫を販売して現金化しようとしても時間がかかります。

売れ残るリスクもあるため、資金負担を重くしないためにも在庫管理を適切に行うようにしましょう。

最後に資金不足に陥ってしまわないためには、必要なタイミングでほしいお金を調達できるよう、銀行融資だけに依存せず様々な資金調達の方法を準備しておくことです。

銀行からお金を借りたくても、申し込みまでの準備や審査に時間がかかってしまい、必要なときに求める金額を準備できない可能性があります。

複数の資金調達から選べるようにしておくなど、資金調達先の多様化を図っておくことでスムーズにお金を準備できるようになるでしょう。

 

まとめ

新型コロナウイルス感染拡大により、様々な中小企業がその影響を受けてしまっています。中には倒産の危機に陥り、何とか回避させようと銀行に相談したものの、融資を受けることができず困っている経営者も少なくありません。

しかし資金調達の方法は銀行からの融資だけではありません。様々な方法がありますので、急な資金ニーズに対応できる方法も準備しておけば、いざというときに慌てず対応することが可能です。

新型コロナで影響を受けた中小企業がすぐにでも活用したい補助金とは?

新型コロナウイルス感染拡大第3波の勢いはとどまることを知らず、資金不足に悩む中小企業も少なくないため、国では資金面をサポートするための給付金や補助金などの制度を準備しています。

すでに中小企業を対象に公募が始まっている給付金などもあれば、これから公募予定の補助金もありますので、その一部をご紹介します。

 

中小企業を対象として公募中の給付金・補助金

新型コロナウイルス感染症の影響で、前年度よりも売上が激減してしまい、このままでは資金不足で倒産してしまう…といった中小企業も少なくありません。

このようなときに活用してほしいのが、国がすでに公募している「持続化給付金」です。ただし申請期間は令和3年1月15日までとなっていますので、まだ申請していない企業は急いで手続きを開始するようにしてください。

持続化給付金の対象となる中小企業とは?

持続化給付金で給付の対象となるのは次の中小企業です。

①2020年4月1日時点で次のいずれかを満たす中小企業
・資本金の額または出資の総額が10億円未満
・資本金の額または出資の総額が定められていない場合、常時使用する従業員数が2千人以下

②2019年以前から事業による事業収入(売上)を得ており今後も事業継続の意思がある中小企業

③2020年1月以降に新型コロナウイルス感染症拡大の影響などで、前年同月比で事業収入50%以上減の月がある中小企業

補助として中小企業が受取可能な給付金額はいくら?

持続化給付金で補助され、給付金として受け取ることのできる金額は最大200万円です。

200万円を超えない範囲で、対象月(月間事業収入が前年同月比50%以下となる月)の属する事業年度直前の事業年度の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を掛けた金額を指しい引いた金額です。

計算式にすると、

給付金額=対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入-対象月の月間事業収入×12

となります。

対象月は2020年1月から12月までの間で、事業者が任意で選択することができますので、もっとも給付される金額が多くなる月を選ぶとよいでしょう。

 

これから中小企業に対し公募スタートが予定されている補助金

これから公募が始まることが予定されている補助金として、2021年度「研究開発型スタートアップ支援事業/Product Commercialization Alliance(PCA)」が挙げられます。

新型コロナウイルスの影響を受けた中小企業を対象としている補助金ではありませんが、今後新たに事業を開始したい場合に活用できる制度です。

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、提案から数年に渡り継続して売上をたてていく具体的計画のある研究開発型スタートアップ(PCA)を対象として、助成事業を公募することを予定しています。

助成事業として補助対象となる中小企業は?

具体的な技術シーズを活用し、事業会社と連携する事業構想により提案のタイミングから数年で継続した売上をたてるなど、具体的な計画を持っている研究開発型スタートアップが補助の対象です。

拠点が日本国内にある中小企業であることはもちろん、提案の時点でベンチャーキャピタルなどから出資を受けていることなども応募条件になることが予定されており、さらに連携する事業会社から関心表明書が提出されれば審査で優遇されるなども検討されているようです。

助成金額や補助される期間は?

原則として2.5億円までとし、助成対象経費の3分の2以下と予定されています。

補助の対象となる支援期間は、交付決定日(2021年7月頃)から2022年2月下旬までが予定されており、助成対象となる経費は事業化に係る経費(実用化可能性調査費・実用化開発費・労務費など含む)です。

公募期間は公募開始日(2月中旬)から4月中旬が予定されていますが、公募要領など詳細は公募が開始されてからNEDOのホームページに掲載される予定なので確認するようにしてください。