資金の運用では安全性・流動性・収益性のどの要素を重視する?

資金を運用する金融商品には、安全性・流動性・収益性の3つの性格があるため、それらを理解した上で実践することが必要です。

どの金融商品にも安全性・流動性・収益性などの性格がある反面、これらすべてを兼ね備えた万能なものはないため、資金を運用するときに何を重視するかにより金融商品を選ぶことになるでしょう。

それぞれの金融商品が安全性・流動性・収益性のどれを重視した資金の運用となるのか、その内容を把握した上で決定するようにしましょう。

 

安全性・流動性・収益性のそれぞれに求められること

資金を運用するときには、安全性・流動性・収益性のどれを重視するかにより選ぶ金融商品が異なります。

それぞれの性格でどのようなことを求めることになるのかは、

  • 安全性…元金が目減りしたり予想外の損失を被ったりする可能性はないか
  • 流動性…必要なときに換金が可能か
  • 収益性…どのくらい収益を見込むことができるか

などです。

安全性を重視することとは

安全性とは元本保証のことであり、高い収益を見込むことができたとしても元本割れを起こすリスクが高ければ安全性は認められません。また、預金保険の対象かも金融商品の安全性を図る上での参考となるでしょう。

重視する項目

  • 元本保証の有無
  • 預金保険制度の保護対象か
  • 金融商品の提供主体の財務の健全性

流動性を重視することとは

流動性を重視するということは、いざお金が必要になったときにすぐに手元の現金を増やせるか求めることです。

お金が必要なときにすぐ引き出すことができない、または中途解約しにくい金融商品などは流動性を認められないといえます。

重視する項目

  • 満期の有無と中途解約の可否
  • 現金化できない期間(据置期間)の有無
  • 売買(取引)量(買い手の見つかりやすさ)

収益性を重視することとは

元金が保証されいつでも換金できたとしても、収益性を求めるなら高いリターンを得ることができる金融商品を選ぶ必要があります。

重視する項目

  • 期待できる利回り・値上がり益・為替差益
  • 価格変動・相場変動の大きさ

 

安全性と収益性は両立できない?

上記3つの要素すべてを満たす金融商品はありませんし、基本的に安全性が高い金融商品は収益性を確保することが難しくなります。

たとえば定期預金などは安全性が高いですが、投資信託などは運用次第で元本割れするリスクがあります。

しかし投資信託は運用に成功すれば高い収益を得ることができるのに対し、定期預金ではお金を増やすことはほとんど期待できません。

 

収益性と流動性も両立が難しい

安全性と収益性が両立されないように、収益性と流動性も両立が難しい関係にあるといえます。

一般的に収益性が高い金融商品は流動性が低いことが多く、たとえば流動性が高い金融商品である普通預金などは収益性がほとんど見込めないのに対し、流動性が低い債券などは普通預金よりも収益性が見込めるなどです。

 

流動性と安全性は併存が可能

これまで両立が難しい性格を述べましたが、唯一流動性と安全性は併存できる関係です。

たとえば普通預金などは、元本が保証される安全性が高い金融商品である上に、いつでも引き出しが可能な流動性の高さも維持できます。

運転資金やいざというときのために必要な流動性資金

企業経営において運転資金は欠かすことができず、さらに急にお金が必要となることも考えられます。

そのような場合には、換金性が高い流動性資金で備えておきましょう。

金融商品によっては一定期間換金できない制約つきの商品もあるため、事前の確認が必要です。

重視すべき要素運用目的や運用期間によってある程度決まるので、支出の予定が決まっている準備資金は安全性や流動性を重視し、使途の決まっていない余裕資金は収益性を重視した上で金融商品を選ぶとよいでしょう。

事業計画書を資金調達目的で作成するメリットと押さえておきたいポイント

銀行から融資を受けるとき、担当者に求められて事業計画書を作成する企業が少なくありませんが、資金を調達するときには必ず作成しておいたほうがよい書類といえます。

そもそも事業計画書を作成することで、企業がどこへ向かっているのか内外へ示すことが可能となり、資金を調達するときにも有利に運ぶと考えられます。

多種多様な融資制度で資金を調達するときにも事業計画書は大きな役割を果たすため、作成においてどのようなメリットがあるのか、どのようなことに注意して作ればよいのか把握しておきましょう。

 

事業計画書作成のメリット

事業計画書を作成する理由は社外へのアピール材料として以外にも、社内で事業計画を共有したいときに作ることもあります。

ただ多くが資金調達など、銀行融資・補助金・助成金・出資などで資金を提供してくれる相手に対し、これからの事業について説明することを目的とすることでしょう。

創業の際や新規で事業を開始するときなどには銀行から事業計画書を提出するように依頼されることがありますが、仮に求められなくても提出すれば担当者が自社を理解してくれやすくなります。

今後の事業計画について、担当者に口頭で説明しただけではうまく伝えることができない上に、時間がかかってしまいます。

間違った情報が伝わってしまうこともあれば、本来伝えたいことを理解してもらえなかったことを理由に、たとえば銀行融資では審査が通らなくなる可能性も出てくるでしょう。

そのような場合、事業計画書を作成しておくことで、スムーズに事業の内容を伝えることができ、審査期間を短縮させることも期待できます。

経営改善を目的とした資金調達でも、今後の収益の見込みや具体策などを明確に示すことができれば、過去の数字だけにとらわれず将来を見据えた審査をしてもらえることになり、審査を通過する割合がぐっと上がります

 

資金調達を目的に事業計画書を作成するなら

資金を調達することを目的として事業計画書を作成するときには、銀行が必ず確認する項目を事前に押さえた上で作っていくことが大切です。

今後の計画だけ記載すればよいと考えず、数字以外の情報なども盛り込みながら、より具体性のある内容にまとめていきましょう。

たとえば、

  • 企業の沿革
  • 代表者や経営陣のプロフィール
  • 従業員(パート)の状況
  • ビジネスモデルの概要と商品・サービスの内容
  • 販売先・仕入先・外注先との取引条件
  • 市場環境
  • 競合状況
  • 自社の特徴や強み
  • 直近数年の業績についてコメント
  • 現在の問題点や課題
  • 新しく取り組む計画と具体的な施策
  • 借入金の資金使途とそれによる効
  • 収支の見通し
  • 資金繰り計画

などの項目を記載していくことで企業概要や今後の施策と数値計画を理解してもらいやすくなります。

数値計画は今後5年の数字を表にし、その実現の可能性について根拠が問われます。

特に1年程度の収支見込みは根拠がより問われる部分なので、裏付けとなる資料を添付したりデータを記載したりといった工夫をしましょう。

 

過度な脚色やバラ色計画はタブー

できるだけ審査にプラスの影響があるようにと、過度な脚色やバラ色計画を記載することはタブーです。

客観的な比較データや裏付けがないのに、競合他社よりも自社が優位にあると記載することや、市場や競合の分析が十分でないのに売上だけは右肩上がりに伸びる計画を立てることはしないでください。

仮に過度な脚色などで融資を受けることができた場合でも、来期決算書を提出したとき実際に結果が伴っていなければ信用を低下させ、銀行との良好な関係を築くことができなくなります。

客観的な根拠やデータに基づいた手堅く厳しめの事業計画書を作成したほうがよいといえるでしょう。

公共工事を受注する建設業者が担保・保証人なしで融資を受けたいなら

建設業が公共工事を受注するとき、担保や保証人なしで融資を受けたいのなら、「地域建設業経営強化融資制度」を活用できます。

地域建設業経営強化融資制度を活用することで、中小・中堅の建設企業が公共工事など発注者に対し有している工事請負代金債権を担保とし、事業協同組合や民間事業者から出来高に応じて融資を受けることができます。

さらに保証事業会社から保証してもらうことで、工事の出来高を超える部分も金融機関から融資を受けることができます。

 

地域建設業経営強化融資制度の特徴

地域建設業経営強化融資制度は平成20年11月から実施されており、請負金額から前払金など差し引いた金額の範囲借入可能となるのが特徴です。

令和8年3月末まで延長されている制度ですが、利用にあたり公共工事などの発注者が工事請負代金債権を譲渡することについて、承諾していることが必要となります。

制度の目的は中小・中堅建設企業の資金繰り円滑化

地域建設業経営強化融資制度とは国土交通省が中小・中堅建設企業の資金繰り円滑化を図るため創設した融資制度です。

  • 事業協同組合や一定の民間事業者が行う転貸融
  • 前払保証事業会社の債務保証

2つを組み合わせ資金が円滑に供給される支援をしてくれます。

公共工事請負代金債権を担保として事業協同組合や一定の民間事業者から融資を受け、保証会社から保証してもらうことで工事出来高を超えた未完成部分について、金融機関から融資を受け資金調達できます。

融資の対象となる建設企業と工事

制度の対象となる建設企業は、公共工事を受注・施工している元請中小・中堅建設企業です。資本金または出資総額が20億円以下であること、もしくは常時使用する従業員数が1,500人以下の企業が対象となります。

対象となる工事は出来高が2分の1以上の公共工事です。複数年度に渡る工事の場合には、最終年度の工事であり年度内に終了が見込まれる工事が対象になります。

なお、次の工事は対象に含まれませんので注意してください。

  • 債務負担行為に係る工事(最終年度で年度内終了見込み工事は除く。また、次年度に工期末を迎え、残工期が1年未満の工事も除く)
  • 繰越工事および繰越が見込まれる工事(前年度からの繰越工事で年度内終了が見込まれる工事は除く。また、次年度に工期末を迎え、かつ残りの工期が1年未満の工事も除く。)
  • その他、建設企業の施工する能力に疑義が生じているなど、債権譲渡の承諾に不適当といえる特別な事由がある工事

制度利用における手続の流れ

公共工事を受注・施工している企業が地域建設業経営強化融資制度を利用する場合には、工事請負代金債権を事業協同組合または一定の民間事業者に譲渡します。

工事請負代金債権を譲渡された事業協同組合または民間事業者は、債権を担保として建設業者に対し工事出来高の範囲で融資を行うための資金を金融機関から調達します。

この資金調達については(財)建設業振興基金が債務保証を実施し、保証事業会社の保証によって出来高を超える部分も融資が実施されます。

工事完成後、発注者から工事請負代金が支払われることとなりますが、融資額と保証に係る融資額を精算し残りが建設業者に返還される流れです。

 

厳しい経営環境に直面している建設業のための融資制度

急激な経済環境の変化や資材価格高騰などで、地域の経済を支える存在である中小・中堅建設企業は厳しい経営環境に直面しているといえます。

新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、資金調達の円滑化を推進するための制度は大切です。

地域建設業経営強化融資制度では、建設業者が有する工事請負債権の譲渡により融資を受けることができますが、自治体によって制度の流れなど異なる場合もあるため事前に確認しておくとよいでしょう。

コロナ融資での借入れた資金の用途には注意を!

新型コロナウイルス感染拡大で売上が減少してしまった事業者などの中には、コロナ融資でお金を借入れたというケースもあるでしょうが、その資金用途には注意が必要です。

コロナ融資は多くの例外を取り込み、積極的に借入れが可能となった制度といえますが、借りたお金の使い道である用途を間違わないようにしてください。

 

借入れた資金の用途を間違わないこと

新型コロナウイルス感染症の影響で、売上減少など業況が悪化したものの、中長期的には回回復・発展が見込まれる場合には「新型コロナウイルス感染症特別貸付」で借入れが可能です。

通常であれば融資を受けることが厳しかった資金繰りの厳しい会社でも、今回のコロナ騒ぎにより一千万円単位で借入れが可能となったケースもあるといえます。

しかし注意したいのは、それまで保有することのなかったお金が通帳に入金されたことで、つい気が大きくなり資金の用途を間違ってしまうことです。

不必要な金額の借入れができたときも同様に、本来の用途以外のお金の使い方をしてしまうなど、誤った用途を選ぶことは避けなければなりません。

 

申請した資金使途と異なる用途で使ってしまうと?

コロナ融資に限らず、金融機関から資金を借入れるときには資金使途についてこたえる必要があります。

事業資金であれば、運転資金か設備資金のどちらかで申込むことが一般的でしょう。

しかしいざ融資を受けた後で、申請したときの用途と異なるお金の使い方をしたときには、資金使途違反次回以降は融資を受けることが難しくなってしまいます

最悪の場合、借りたお金を一括返済するように求められてしまうため、注意してください。

仮に運転資金で借入れした場合

コロナ融資で借りた資金の用途として、多くの会社が運転資金で申込みをしていることでしょう。

運転資金でお金を借りたのなら、

  • 設備投資
  • 既存の融資や役員借入金の返済
  • 私的流用(代表者に対する貸付金や仮払金なども含む)

などの用途に使うと資金使途違反になります。

お金の使い道には会社ごとに事情もあるでしょうが、申請の際に伝えた用途以外では使えないと十分に留意しておくべきです。

 

コロナ融資の借入金は何の用途に使うべきか

もしコロナ融資で運転資金を用途とした借入れを行った場合には、

  • 企業防衛のための資金(赤字補填や赤字になったときの備えとして)
  • 経営改善のための資金(収益向上を前提とした支出や体制固めの支出など)
  • 市場適応のための資金(新商品・新サービスを開発し、新市場を開拓することに向けて)

といった使い道が考えられます。

今後どの程度の資金が必要になるかなど十分把握できず、不安があるのなら手元にできるだけお金を残しておくしかありません。

先にお金が出ていくものの、後からお金が増えることを前提とした支払いなども踏まえた上で、残すお金を計算しましょう。

市場環境に合わせて変化する必要がある事業の場合であれば、顧客ニーズに合った商品・サービスを開発していくことも必要です。

社会情勢に合わせ既存商品の見せ方を変えつつ、新たな市場開拓により売上を伸ばすこともできるでしょう。

既存の技術や商品を活かすことなく、まったく異なる市場に進出する多角化には多額の資金が必要となるため、ここにお金を投下し始めてしまうと企業防衛資金に手を付けなければならず資金繰りが悪化してしまいますので注意してください。

 

まとめ

コロナ融資を希望しても、借入れできなかったという事業者もある中で、もしお金を借りることができたのならそのお金をどのような用途で使うべきか考える必要があります。

資金調達できたことに安心したり気が大きくなったりしてしまい、つい本来の用途と異なる使い方をしてしまわないように十分注意してください。

資金を借入れで調達したときの返済方法の種類

資金を借入れで調達したときには、必ず返済が必要となります。

そのためどこから借入れするのか、借入額や返済期間など資金調達前に決めなければならない項目がいくつかあるといえるでしょう。

そして返済方法もその1つといえますが、どのような方法を選ぶかによってその後の資金繰りも大きく変わります。

そこで、融資を受け資金調達するときに、どのような返済方法があるのかご説明します。

 

借入れた資金に対する金利は固定金利と変動金利の2種類

融資を受け資金調達すると、元金返済に加え利息の支払いも必要です。

利息は金利によって決まりますが、固定金利と変動金利の2種類があるため注意しましょう。

固定金利

融資を受けるときに金融機関と取り決めた利率が完済まで変わらないのが固定金利です。

通常であれば、経済情勢の変化などで金利は変わるものですが、固定金利であれば契約当初に決めた利率が完済するまで固定されます。

変動金利

変動金利の場合、金融機関の短期プライムレートを基準とし、借入期間中に利率が変動します。

短期プライムレートとは、業績や財務状況が良好な最優良の企業に対し資金の貸付を行うときの最優遇貸出金利(プライムレート)での1年以内の短期貸出金利のことです。

短期プライムレートは経済情勢の影響を受けるため、景気が良ければ借入金の利率も上がり、支払う利息の負担も大きくなります。

固定金利と変動金利のどちらが得か

固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきか考えた場合、将来の金利動向の見極めが重要です。

金利が大幅に上昇する可能性があるときには固定金利が得であり、金利が下がる可能性があるなら変動金利のほうがよいでしょう。

しかし将来の金利を正確に予測することは不可能といえるため、予測により固定金利と変動金利のいずれかを選ぶしかありません。

どちらを選んだ場合でも途中でもう一方の金利に変更することは難しいため、慎重な見極めと判断が必要です。

 

借りた資金の返済方法は一括返済と分割返済の2種類

融資を受けた資金の返済について、その方法は一括返済と分割返済の2種類があります。

一括返済

返済期日に借りたお金と利息を全額返済する方法であり、元金部分の金額は変わらないため、利率は元金をもとにして計算されます。

分割返済

事前に決めた完済日まで、毎月など複数回に分けて返済する方法です。

完済するまで元金は少しずつ減少していくため、支払う利息も元金の額に合わせて減少していきます。

なお、分割返済には元金均等返済と元利均等返済があり、どちらの方法を選ぶかによって返済額の計算方法は異なります。

元利均等返済

元金返済額と利息額が毎回一定となる返済方法が元利均等返済です。

返済する金額は一定であるものの、元金返済額と利息額の内訳は毎回異なります。

返済を始めたばかりの時期は、返済額の多くを利息が占めますが、返済が進んでくると利息額は減少していきます。

その他の借入条件が同じ場合には、元金均等返済より返済総額は大きくなるものの、毎月一定金額を支払えばよいため返済計画は立てやすいといえます。

元金均等返済

毎回支払う元金返済額が一定であり、その一定の元金に利息を上乗せした金額が返済額になる方法です。

そのため返済が進んでくると元金は減少していくため、負担する利息も減少していくものの、毎回の返済金額が異なるため返済計画が立てにくいことがデメリットです。

ただし元利均等返済よりも元金が減るペースが早いことはメリットであり、その他の借入条件が同じなら元利均等返済より総返済額を抑えることができます。

繰上返済も場合によって活用

返済期間中に、毎回の返済とは別で元金を前倒し返済することです。

繰上返済すると、返済資金はすべて元金返済に充てられるため、利息を大幅に減少させることが期待できます。

なお繰上返済にも種類があり、元金の一部を返済する一部繰上返済、元金全額返済する全額繰上返済があります。

まとまった資金ができたときには繰上返済も視野に入れておくとよいでしょう。

ファクタリング契約書で必ずチェックしておきたい項目とは?

ファクタリングで資金を調達するとき、契約書にどのようなことが記載されているのか必ずチェックが必要です。

契約書の内容はファクタリング会社により異なる部分はあるものの共通項目もありますので、ファクタリング契約を結ぶときに必ず確認しておきたい項目についてご説明します。

 

次の項目はファクタリング契約を結ぶ前に必ずチェック

ファクタリングの契約書は複雑なことが多く、ざっと目を通して契約してしまう経営者も少なくないようです。

しかししっかり内容を把握し、不明な点は担当者に確認することを怠ると、不利な条件内容が盛り込まれていれば後々のトラブルにつながります。

必ずファクタリング契約書で確認しておきたい項目は、

  • 償還請求権
  • 債権譲渡通知
  • 債権譲渡登記
  • ファクタリング手数料
  • 担保取得の有無
  • 報告義務
  • 損害賠償・違約金
  • ファクタリング契約の解除
  • ファクタリング契約期間と解約方法

などです。

償還請求権

償還請求権とは、もしも売掛先から売掛金の回収ができなかったとき、その弁済負担をファクタリング利用者に請求できる権利です。

一般的に資金調達に活用されているファクタリングとは、この償還請求権のないノンリコースファクタリングですが、中には償還請求権のあるファクタリング契約もあるため注意してください。

なお、償還請求権があるファクタリング契約を結ぶことができる業者は貸金業者だけです。貸金業登録されていない業者が償還請求権のあるファクタリング契約を結ぼうとしているとき、相手はヤミ金融業者と判断できます。

債権譲渡通知

債権譲渡通知とは、売掛先に対し保有する売掛金を売却したことを伝えることです。

3社間ファクタリングであれば売掛先に債権譲渡の旨が通知されますが、2社間ファクタリングでは通知は行われません。

2社間ファクタリングを利用する場合には、通知ありになっていないか確認しておきましょう。

債権譲渡登記

債権が譲渡されたことを法的に証明するために行われる登記手続です。

売掛先に通知したり承諾を得たりしない2社間ファクタリングのときに必要になることが多いですが、もし債権譲渡登記が必要になると費用負担が予想以上にかさみます。

また、誰でも法務局で債権譲渡登記の内容を閲覧できるため、売掛先だけでなく取引金融機関にも知られるリスクを高めてしまいます。

ファクタリング手数料

ファクタリング手数料は、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングでは大きく異なります。

いずれの場合でも、相場と大きくかけ離れた手数料になっていないか確認が必要です。

担保取得の有無

ファクタリングはお金を借りて資金調達するわけではなく、売掛金という債権の売買契約を結んで資金を調達します。

そのため通常であれば、ファクタリングで保証人や担保が必要になることはありませんので、もし担保の記載があったときには契約しないようにしてください。

報告義務

ファクタリング会社に報告するのは、売掛先に何か不穏な動きがあったときです。

もし売掛先に何かあれば、すでに現金化した代金の回収ができなくなるため、ファクタリング会社もそのリスクを懸念します。

ファクタリング利用者は売掛先の情報を手に入れやすい立場にあることから、状況について報告する義務が生じます。

損害賠償・違約金

どのようなケースで損害賠償や違約金の支払いが必要になるのか、その内容を確認しておきましょう。

損害賠償金額や違約金の負担範囲があまりに広いときや高額なときは、契約を見送ったほうがよいと考えられます。

ファクタリング契約の解除

ファクタリング契約期間中、重大な契約違反があれば契約は解除されます。

すでに現金化されて受け取ったお金があれば、ファクタリング会社に返還しなければなりませんので注意しましょう。

ファクタリングの契約期間と解約方法

ファクタリングを継続利用することを前提とする場合、契約期間や自動更新の有無などを確認しておきましょう。

また、ファクタリングの乗り換えなど検討する場合もあるため、解約する方法についても確認が必要です。

ファクタリングの乗り換えでどこが安いか調べる方法とは?

ファクタリングの乗り換えを検討するとき、真っ先に気になるのが手数料ですが、どこが安いか調べるときには他社同士を比較できる相見積もりを取得しましょう。

相見積もりとは、複数の会社から見積もりを提案してもらい比較することで、乗り換えでどこが安いか調べるときにも使えます。

複数のファクタリング会社を比較することにより、同じサービスを提供してもらう場合でもどこが安いコストで済むのか知ることができます。

 

乗り換えのメリット

相見積もりを取得することで、ファクタリングの乗り換えでどこがコストを抑えることができ、安いのか知ることができます。

そもそもファクタリングの乗り換えは、既契約のファクタリング会社より安い手数料でファクタリングが利用可能となることにメリットがあります。

そして企業間の取引では、特定業者との取引が長くなることで担当と特定業者が不正を行うといったリスクも避けることが可能です。

 

相見積もりでどこが安いか以外に比較するポイント

ファクタリングに限らず、他社同士を比較するため相見積もりを利用するなら、次の項目を確認することが必要です。

  • コスト(料金・ファクタリングなら手数料)
  • クオリティ(サービスの質・担当者の対応など含む)
  • スピード(納期・ファクタリングなら現金化までの期間)

 

必要なコストを知るきっかけに

ファクタリングを利用すると、手数料だけでなく複数の諸経費が発生してします。

2社間ファクタリングの場合には、ファクタリング会社によっては債権譲渡登記が必要となることもあり、その場合には登記費用や司法書士に対する報酬も別途負担しなければなりません。

少額債権を売却し現金化するのなら、いくら手数料は安く抑えることができたとしても、登記費用や司法書士への報酬がコストを埋めてしまうといったこともあります。

その場合、せっかくファクタリングを利用したのに十分な資金調達につながらなくなってしまうでしょう。

最も手数料が安いファクタリング会社を選んだはずが、実質的なコストは高くなったという失敗を避けるためにも、相見積もりでどのような費用が必要なのか確認しておくことが大切です。

 

乗り換えによる競争で値引き効果を生むこともできる

複数のファクタリング会社から見積もりを取得するときには、相見積もりであることを事前に伝えましょう。

ファクタリング会社も契約を獲得したいと考えて、他社よりも魅力を感じてもらえる見積もりを提案してもらえる可能性があります。

手数料を安くしてもらえる範囲にも限界はあるでしょうが、ファクタリング会社同士の競争を煽ることで値引き効果を生むことはできるはずです。

 

どこが安いかだけでなく良質な業者を見極めることが大切

ファクタリング業界は法的な規制がなく、貸金業のように登録制度もないため、悪徳業者が横行しやすい環境になっています。

悪徳業者は法外な手数料を請求してくるため、設定する手数料にも自信がなく、相見積もりとなれば断ってくる可能性が高いでしょう。

そもそも提案される見積もり書には、様々な項目が記載されることになります。

仮に悪徳業者が相見積もりに参加してきた場合でも、他社にはない費用の項目が記載されている場合や、何のための費用か説明を求めてもはぐらかされるときには契約しないほうがよい業者と判断できるはずです。

違和感のある項目があっても1社のみからの見積もり取得では気がつきにくいでしょうが、相見積もりであれば複数社の見積もりを比較できるため、不審点に気づくこともできます。

手数料を割安に設定する代わりに、様々な費用項目を追加しようとする業者もあるため、優良なファクタリング会社を見極めるためにも相見積もりをうまく活用することをオススメします。

資金繰りがタイトで苦労しているときの対応策とは?

資金繰りがタイトであることを理由に、毎月苦労しているという企業は少なくありません。

売上低迷や預金残高の減少、経営者からの貸付増加など資金繰りがタイトであると、経営危機なのでは?と感じられるようなサインを感じがちです。

そこで、経営破綻・倒産に至ってしまう前に、タイトと感じる資金繰りを改善させるにはどうすればよいか考えていきましょう。

 

資金繰りはなぜ行うことが必要か

資金繰りはお金に困っているからではなく、ショートしないか事前に予測するために行います。

そのために資金繰り表を作成し、先に発生する支払いや入金予定などを確認できる状態にしておくことになりますが、単に作って終わりではなく資金ショートしやすい状況を変えていくことが必要です。

資金繰り管理を怠れば、手元の運転資金がどのくらいあるのかすら把握できず、会社は常に不安定な状態になりますので注意しましょう。

 

資金繰りがタイトな理由を明確にすること

資金が漠然と不足することはなく、必ず理由があるはずなので徹底的に追求しましょう。

そのために必要なのが資金繰り表ですが、まずは過去の資金繰りを実績として表にまとめていきます。

資金をうまく回していくために重要な情報源となるのが資金繰り表であり、仮に損益計算書で利益が出ていても実際の手元の資金とは数値が異なるため、実態に即したお金の管理ができていなければ黒字倒産してしまいます。

事業活動を継続するには資金ショートさせないことが重要であり、仮に資金繰りがタイトであるならより資金繰り表の作成は必須といえます。

資金繰り表で確認すること

資金繰り表を作成しておくことで、過去の入出金の状況から資金が不足しがちする原因を明確にすることができます。

取引先から売掛金が入金される予定日と金額、そして仕入れなどの支払い日と金額を記載したとき、そのスケジュールがタイトなものになっていれば改善策を検討しなければなりません。

資金繰り改善策を検討する

資金繰り表を作成したとき、売掛金の入金サイトが長めに設定されている場合には、短くしてもらうことはできないか取引先と交渉も必要です。

反対に仕入れ代金の支払いサイトが短いときにも、もう少し先に延ばしてもらえないか交渉してみましょう。

ただ、いずれも取引先が快く応じてくれるとは限らず、むしろサイトの見直しを交渉したことで資金繰りが悪化している企業だと敬遠されてしまう可能性があります。

その後の取引に影響してしまう可能性もあるため、交渉が難しいのであれば取引先に知られず売掛金を早期現金化できるファクタリングなども検討したほうがよいといえるでしょう。

改善策を実行する

資金繰りがタイトになっている原因が売上低迷にあるのなら、売上を向上させる戦略を立てることが必要です。

経費がかさんでいるのなら、コスト削減も検討していくこととなるでしょう。

そして様々な対応策は、必ず行動計画を作成しいつまでに実行するか決めておくことが必要です。

いくら適切で最善といえる対応策を作成したとしても、実践しなければ意味はありません。

経営者が率先して計画を実行し、従業員も含め全社で資金繰り改善に取り組むことができる体制を整備していきましょう。

実行後は分析も必要

資金繰り改善の対応策で、タイトだった資金繰りが安定してくれば問題ありません。

もし改善されないときには、対応策の何が間違っているのか、原因をさまざまな角度から分析し見直すことが必要です。

もし原因が法律規制・業界衰退・自然災害・違法行為などの外部要因にあるときには、資金繰り以前に経営存続の問題を抱えていることになるため、それも踏まえた検討が必要となります。

改善が長期に及ぶときや現預金残高がもともと少ないときなどは、当面の資金調達を検討しまずは資金繰りを安定させることが必要といえます。