銀行からの借り入れ方法|プロパー融資とビジネスローンの違いとは?

金融機関から資金を借り入れようと考える場合、たとえば銀行ではプロパー融資もあればビジネスローンもあり、どちらに申し込みを行うべきか迷いが生じることもあるでしょう。

同じ銀行からの借り入れでも、融資が実行されるまでの流れやそもそも貸し付けに対する銀行の考え方は異なります。

そこで、プロパー融資とビジネスローンの違いについてご説明します。

 

銀行のプロパー融資の特徴

企業などが金融機関から借り入れを行うことを考える場合、事業者向けのローンといえばまず銀行融資を思い浮かべる方が多いでしょう。

大きな金額を低い金利で借り入れすることができるので、多額の資金を必要とする設備投資などを目的として検討されることも多い融資の方法です。

銀行との取引実績を作ることができるので、企業の信用力を向上させることにも繋がるでしょう。

審査内容はかなり厳しくなる

ただ、会社の規模が比較的小さい場合には、限度額が少なくなる可能性がある上に、信用保証協会の保証を必要としない銀行との信用取引になるため、厳しい審査を通過しなければ融資は受けられません。

担保や保証人を求められる場合もある

提出を求められる書類なども多く、資産価値の高い不動産などを担保として差し入れること、または返済能力の高い保証人を付けることを求められることもあります。

審査結果が出るまでが長い

審査結果が出るまで1か月以上かかるケースもめずらしくないため、急いで資金を調達したいと考える場合には不向きの借り入れ手段といえるでしょう。

 

ビジネスローンの特徴

一方、同じように銀行から借り入れできる方法として、ビジネスローンという融資もあります。

ビジネスローンも事業者向けのローンとして貸し付けが行われていますが、銀行だけでなくノンバンクなどでも利用できる借り入れ方法です。

融資限度額はプロパー融資より少額

融資限度額は銀行の場合が最大で1億円、ノンバンクは1千万円程度であることが一般的であり、借入期間は5年以内など比較的短期での貸し付けになっているものがほとんどです。

金利は高めでも担保や保証人は不要

金利は銀行のプロパー融資より高くなりますが、基本的には担保や保証人は必要とせず、迅速に審査が行われるため急いで資金が必要という場合でも対応しやすいことが特徴です。

 

プロパー融資とビジネスローンの審査の違い

プロパー融資については、企業経営者からの話や提出された書類を十分に確認して審査が進められることになるでしょうが、聞いた話や提出された書類内容を鵜呑みにするわけではありません。

企業の実態把握(定量情報)と事業案件の把握(定性情報)を重視しながら、時間をかけて多方面から審査が行われることになります。

一方のビジネスローンの審査では、プロパー融資でも行われるBS、PLを中心とした定量情報だけをシステムで審査することになります。

企業の金利負担能力を知るための比率を指標としながら、本業の営業利益の範囲で返済できる能力があるのか判断していくため、審査結果が出るまで数日しかかかりません。

 

何を優先させて融資を受けたいか

プロパー融資とビジネスローン、どちらにしても銀行から融資を受けるためには実績の積み重ねが非常に大切です。特にプロパー融資の場合は、将来的に安定した業績を見込むことができるかが大きなポイントとなります。

審査は厳しく時間がかかっても限度額や低い金利を優先させたいのか、それとも融資される金額や金利などにはこだわらずに融資までのスピードを最優先させたいのかによって、どちらの借り入れを選択するのかは異なってくるはずです。

なぜ資金を調達することを必要としているのか、いつまでにいくら必要なのかなど、状況に合った融資の方法を選択するようにしてください。

スタートアップの資金調達で投資してもらうことのリスクとは?

もし、スタートアップのタイミングで資金をどのように調達すればよいか迷っているときに、目の前に投資をしてくれるという会社があらわれたら、すぐにでも飛びつきたくなってしまうものです。

たとえばベンチャーキャピタルなどから資金調達を検討するケースとは、大型の資金がどうしても必要という場合や、資金以外の面でも経営のアドバイスをして欲しいという場合に希望することが多いでしょう。

しかし、その反面で抱えるリスクについても理解しておかなければなりません。資金を投資してもらうかわりに、株式というその会社の一部を引き渡すことになると考えられるからです。

 

資金を投資で調達する場合に認識しておきたいリスク

ベンチャーキャピタルは、育てた企業が上場した後に株式を売却して収益を得ることを目的としています。そのため、上場やM&Aという出口のタイミングでは、会社の一部である株式を持っていなくなる存在であることを認識しておくことが必要です。

 

互いの希望が叶うことが成功の条件

ベンチャーキャピタルから出資してもらうということは、その背後にいる投資家に期待されているリターンを意識的、戦略的に行うべきです。起業家と投資家がお互いにそれぞれの状況などを理解できていなければ、いざ出口のタイミングで揉めるリスクが高くなるといえます。

ベンチャーキャピタルの立場からすると、勝手に起業家に投資をできるのではなく、起業家に選んでもらって初めて投資ができるようになります。選んでもらったからには会社が成長できるように必死で貢献してくれるでしょうし、投資を受ける企業もその気持ちにこたえることができるよう、結果を出すことに尽力しなければなりません。

 

付き合うことになるのは個人同士

ベンチャーキャピタルは会社という立場から、起業家のスタートアップに投資を行います。出口のタイミングまでは短くて数年、長ければ5~7年という期間、起業家と共に同じ船に乗ることになります。

会社という立場で支援を行うわけですが、結局のところ一緒に行うのは担当するベンチャーキャピタリストである個人です。そのため、キャピタリストとの信頼関係が何よりも大切になってきます。

どのように信頼関係を築いていくか

資金調達が必要な段階では、つい自分をよく見せようとしてしまうかもしれません。しかし、着飾った状態で信頼関係を築くことは難しくなることが予測されます。そもそもよいことばかり並べて投資をしてもらっても、話が違うとトラブルになる可能性がありますし、余計なリスクを増やすだけです。

キャピタリストと信頼関係を築くためには、本来であれば、資金調達という利害が絡むその前から接点を持って相性などを確認し、友達付き合いをした上で投資をしてもらうことが望ましいといえるでしょう。

そのような状況は難しい場合でも、事業戦略や組織、資本政策などの相談やディスカッションを行う中で、キャピタリストとスキルの信頼関係を築いていくことはできるはずです。

何度か話を重ねながら、実際に投資してもらった後でどのような支援を行ってもらえるのか、アドバイザーから補ってもらいたいと思うことなどを伝えていくことで、その後の経営のイメージをつかむこともできるでしょう。

 

投資は楽な資金調達の方法ではない

スタートアップに投資した企業が大きく成長し、ベンチャーキャピタルのリターンを生みだし、そのリターンが投資家に対するリターンを生み出します。

さらに投資がそのリターンをもとにして、ベンチャーキャピタルに大きな資金を供給することとなり、またベンチャーキャピタルは新たな起業家に資金を投下するといった流れができます。

返済不要な資金を投資してもらうということは、返済負担が増えて資金繰りが悪化するリスクなどは回避できるにしても、違う意味で抱える負担が増えることになると理解しておく必要があるでしょう。