資金調達の場面では、コストとしてかかる手数料の安い方法を活用したいと考えるものでしょう。
しかし手数料はどのように資金調達するかによって異なる上に、取引を行う金融機関や業者により安い場合もあれば高い場合もあります。
企業経営において資金調達は欠かすことはできませんので、できるだけ安い手数料で可能となる方法を事前に把握しておくことが大切です。
そこで、様々な資金調達の方法と手数料相場を知り、できるだけ安いコストで契約できるように準備しておきましょう。
日本政策金融公庫から融資を受けると金利はかなり安い
日本政策金融公庫は民間の銀行ではなく、政府が100%出資している金融機関であり、個人一般や中小企業者などの資金調達を支援することを目的として運営されています。
そのため個人事業主や中小企業などの事業者にも積極的に資金の貸付を行っており、設定される金利も低めであるため、安い手数料で資金調達が可能です。
起業して間もないベンチャー企業やシニアの経営者なども頼りやすい金融機関としても知られています。
事業資金に関する融資はいずれも固定金利で、担保を不要とする場合であれば2%台、担保を差し入れれば1%台の金利で融資を受けることができます。
豪雨や台風、震災などの災害により売上が減少し業況悪化を来している事業者にも積極的な支援を行っていますが、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因で必要な設備資金・運転資金もその対象です。
この場合4千万円を限度として融資後3年目までは基準利率が▲0.9%となり、実質無利子となるため、安い手数料で資金調達したいと考える経営者には安心して利用できます。
民間の金融機関からお金を借りて資金調達する場合
巨大な収益規模・資産を有している銀行などをメガバンクといい、みずほ銀行・三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行・りそな銀行がその例です。
他にも金融機関には、地域経済に大きな影響力を持っており、地元企業や住民などを支援する地方銀行や信用金庫があります。
メガバンクからお金を借りて資金調達する場合、信用保証協会の保証付き融資なら固定金利で1.5~2%程度の金利となり、手数料は安いと感じるでしょうが別途保証料が2%程度かかります。
信用保証協会の保証を付けないプロパー融資なら0.45~1.9%で金利が決まるため、安い手数料で資金調達が可能です。しかし審査はかなり厳しいものとなり、よほど企業業績が良好で短期の融資期間でなければ安い金利は設定されません。
そもそもメガバンクは大手企業や10億円以上の大口融資に対応する銀行なので、中小企業などの場合は地方銀行や信用金庫を頼ることになるでしょう。
地方銀行や信用金庫の場合でもプロパー融資を受けることは容易ではなく、多くの場合、信用保証協会の保証付き融資を勧められることになります。
この場合、メガバンクより金利は1%程度高めではありますが、比較的安い手数料で資金調達できる方法といえます。
ノンバンクの手数料はお世辞にも安いとはいえない
ノンバンクとは消費者金融などのことですが、金銭の貸付を業務とし預金業務は行っていない金融業者です。
融資(与信業務)で運営していますが、ノンバンクの貸付の源泉は銀行からの借入れで資金調達した資金です。
銀行から借りたお金を利用者に貸し付ける形となるため、銀行などの金融機関よりも金利は高く設定されます。
また、銀行などの融資審査に通らない信用力の低い利用者が多いため、お金を貸し付ける上でのリスクの高さが金利に反映されているといえるでしょう。
そのため無担保融資で6~18%、不動産担保融資で5~15%が設定される金利の目安となり、安い手数料で資金調達を希望する経営者には向かないといえます。
ビジネスローンで資金調達するなら高めの金利を覚悟して
中小企業や個人事業主などのみを対象としており、無担保で借りたお金を事業資金として自由に利用できるのがビジネスローンです。
早ければ即日融資を受けることが可能になるなど迅速性の高さに定評がありますが、その分設定される金利は高く10~15%が目安となり、お世辞にも安い手数料で資金調達できる方法とはいえません。
ただ、銀行の融資枠いっぱいにお金を借りてしまっているときや、支払いが迫っていて審査をのんびり待っている余裕がないときには有効な手法といえるでしょう。
ビジネスローンの金利は自己資本比率や流動資本比率などから算出された貸し倒れ率を基準として、リスクや利益を上乗せした上で決められます。
そのため申し込みを行う事業者により、設定される金利は異なるといえますが、平均的な金利は12%程度のようです。
ファクタリングは契約形態によって手数料が格段に安い
企業などが保有する売掛債権を、ファクターであるファクタリング会社に譲渡(売却)し、現金化させて資金調達する仕組みがファクタリングです。売掛債権には手形と売掛金がありますが、ファクタリングで資金調達する場合、必要なのは売掛債権のうち売掛金です。
そのため売掛金が発生し、保有していることが利用する上で前提となります。手形の場合は手形割引という手法がありますので、そちらを利用することになるでしょう。
ファクタリングもビジネスローン同様、即日現金化が可能になるなど迅速性の高さが魅力であり、融資を受けるわけではないため借金が増えないこともメリットといえます。
また、審査では申し込みを行った事業者ではなく、売却対象となる売掛金の信用力が重視されます。そのため赤字決算の会社や税金滞納中という場合において、銀行やノンバンクから融資を受けることができないときでも資金調達が可能です。
ただしファクタリングには2社間と3社間という2つの取引形態に分かれます。
3社間ファクタリングでは売掛先企業も手続きに加わることとなり、売掛債権譲渡の承諾を得た上で契約することになるため、2社間ファクタリングより安全性が担保される理由から手数料は安いことが特徴です。
3社間ファクタリングは1~5%であるのに対し、2社間ファクタリングは10~20%が相場であるため、安い手数料で資金調達したいのなら3社間がおすすめです。
ただし3社間の場合には即日現金化が難しくなることと、売掛先企業に債権譲渡の事実を知られることになる点を留意しておくことが必要です。
資金調達のコンサルティングでも手数料はかかる?
事業に必要なお金を資金調達するため、どのような方法でいくら準備するべきか、見積もりの前にまずは専門家の意見を聞いてみたいという場合もあるでしょう。
資金調達のコンサルティングを専門で行う業者もありますが、経営コンサルティングを兼ねて税理士などに相談するケースもあるようです。
顧問として契約を結んでいる税理士であれば、毎月の収支や決算状況なども把握しているはずなので、さまざまな相談がしやすいことでしょう。
顧問契約でどこまで依頼するかによりますが、発生する顧問料は年間売上1,000万円未満の企業であれば月2万円程度、年間売上1億以上なら月5万円程度であることが多いようです。
ただし財務分析や相談なども必要という場合には、月10万円程度の手数料が必要になることもあるようなので、できるだけ安い金額で顧問を引き受けてくれる税理士を探すのも方法といえるでしょう。
経営コンサルタントへの相談でかかる手数料は安い?
経営コンサルタントなども経営状況を把握し、業績をどのように上げていけばよいかいろいろなアドバイスをしてくれます。
手数料の相場は企業規模や従業員数などにより異なりますが、個人事業主で月10万円程度、従業員が100名ほどの企業の場合で月30万円かかることもあります。
業績が上がり、利益を生むことができれば手数料が高くても…と感じるでしょうが、想像していたよりもコスト高のため安い手数料では相談は難しいと認識しておくべきです。
ファクタリング会社が資金調達相談に応じることもある
ファクタリング会社の中には、資金調達のコンサルティング業務も併用して行っていることがあります。
資金調達の方法をファクタリングに限定せず、独自の専門家とのネットワークを使い、いろいろな手法を提案してくれることが特徴です。
さらに付随するサービスとして実施しているため、相談に対する料金もかからないファクタリング会社もあります。
もし手数料の安いコンサルティングを望むのなら、無料相談や診断が可能であり、スムーズに見積もりなど提案してくれるファクタリング会社を頼るのも方法の1つといえるでしょう。
まとめ
資金調達が必要になったとき、まずは何のためにお金を準備するのか、いつまでに必要か改めて見直してみましょう。
それにより、資金調達として活用する方法はかわりますし、より手数料の安い業者をいつまでに探せばよいか考えなければなりません。
企業経営において、資金繰りを改善させ手元のお金を枯渇させないための資金調達は必要不可欠な行為です。
そのため発生する手数料はできる限り安いほうがよいため、資金の使用目的に応じた調達方法を選ぶようにしましょう。