民法改正が施行されるのはいつ?注目したい内容を徹底解説!

2020/01/14
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建設業界の方などは、工事請負や生産受注などの契約に「債権譲渡禁止特約」が明記されているのを目にしたことがあることもあるでしょう。

この特約は、売掛金という債権を譲渡することを禁止するものですが、たとえば資金調達において売掛金を売却し現金化するファクタリングを利用する場合の妨げとなります。

しかし、120年ぶりに民法が改正されることとなりこの債権譲渡禁止特約に対する扱いも変更されますが、いつから適用されるのか、どのような内容に変わるのか把握しておくことが必要です。

 

120年ぶりの民法改正!いつから適用?

債権譲渡禁止特約が明記された契約を結んでいると、売掛金を譲渡して現金化させる資金調達の方法であるファクタリングは利用できません。

日本の企業の9割以上は中小企業ですが、中小企業は売掛金を多く保有しているため、売掛金を資金調達に活用しにくくなることは事業継続の妨げになる可能性もあります。

しかし、2017年5月に民法の大幅改正が実施され、2020年4月1日からいよいよ施行されることが決まっています。

 

なぜ債権譲渡禁止特約が資金調達の邪魔をする?

そもそも債権譲渡禁止特約とは、債権を誰かに売却したり譲り渡すことを禁止するために付帯される特約なので、この特約が付帯されているのにファクタリングを利用すれば契約違反となります。

中には債権譲渡禁止特約が付帯されている売掛金なのに、契約内容をしっかり把握しておらず譲渡していることもあるようですが、なぜこのような特約を付帯するのかというと支払い先が煩雑になるからです。

また、売掛金の譲渡を受けた相手が反社会勢力であるなど、コンプライアンスに影響してしまうことを避けるという理由もあり、特に大手企業などは債権譲渡禁止特約を付帯させた契約を結びたがる傾向が見られます。

特約により売掛先は守られますが、売掛金を保有する側は資金調達に債権を活用できず、銀行融資などの借り入れに頼らざるを得ない状況となってしまうので、今回民法により債権譲渡禁止特約に対する扱いが変更されています。

 

民法改正の気になる内容は?

120年ぶりとなる民法改正。その内容が気になるところですが、売掛金活用の妨げとなっていた債権譲渡特約に関する条例は第466条(債権の譲渡性)に記載があります。次の通り改正が行われますので、その内容を確認しておきましょう。

改正前民法466条(債権の譲渡性)は、

1.債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2.前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

となっていましたが、改正後からは、

1.債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2.当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない。
3.前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる。
4.前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない。

となっています。

1項には変更がされていませんが、2項では改正前後では内容が一転し、債権譲渡が禁止や制限されている場合でも債権譲渡は成立することとされています。これは、債権譲渡禁止特約が無効となることが明記されていることを意味します。

さらに3項では、2項で債権譲渡禁止特約が付帯されているかに関係なく、その債権は自由に譲渡可能となることが記されているものの、債務者が債権譲渡の事実を知らなかった場合は譲渡先に対する支払いを拒否することができ、元の債権者に支払いを行ってもよいことが記されています。

売掛先が債権譲渡禁止特約を付帯するのは、支払先が変更されることで経理処理が煩雑になることや、新しい支払い先が反社会的勢力などになることを避けるためですが、売掛先のそのような不安もこの条項により解消されることとなるでしょう。

さらに4項では3項に対する例外規定として、もし予定通りに売掛先から支払いが行われなかったとき、売掛金を譲渡した元の債権者から売掛先に催促を行い、それでも支払いに応じてもらえないなら売掛金の譲渡先(ファクタリングを利用した場合はファクタリング会社)から売掛先に支払いを求めることができることが記されています。

 

民法改正でファクタリングにどのような影響が?

民法改正により2020年4月から大きく変更される債権譲渡禁止特約の扱いですが、ファクタリングなど資金調達にも次のように様々な影響があると考えられます。

 

債権の価値が高まることに

民法が改正された後は、改正前は譲渡が禁止されていた売掛金にも新たな法律が適用されることになりますので、譲渡制限債権とみなされることになります。

譲渡の流動性を高め、資金調達に活用しやすくなる債権の幅が広がりますし、担保などにするときにも価値が高まると考えられるでしょう。

ファクタリングだけでなく売掛金担保融資(ABL)などで資金調達に活用することもできる可能性が高まることを意味します。

 

ファクタリングに利用できる債権の幅が拡大される

大企業など、規模が大きい会社ほど債権の譲渡に制限を設けようとする傾向が強いですが、それによりファクタリングの足かせとなっている状況です。

しかし民法改正により、たとえばクレジットカード会社に有する債権なども譲渡が禁止されておりファクタリングでは利用できませんでしたが、民法改正によりファクタリングに活用できるようになると期待されます。

 

債権譲渡禁止特約が付帯でも資金調達に利用可

現行法では、債権譲渡禁止特約が付帯された売掛金を買い取ってもらうことはできません。

しかし、民法改正により特約の有無に関係なく債権譲渡の効力は保証されますので、ファクタリング会社にも債権譲渡特約の有無にかかわりなく売掛金を買い取ってもらうことができるでしょう。

ただ、民法466条3項に新たな記載がされているとおり、売掛先は債権を譲り受けたファクタリング会社に対して直接支払いを行うことを拒むこともできます。

そのため、売上金の回収はファクタリングの利用者が行い、回収した代金をファクタリング会社に渡すといった流れは変更されることはないでしょう。

 

効力が民法改正後なら特約は譲渡制限とみなされる

民法改正前に契約を交わしている場合に、契約内容に債権譲渡禁止特約が付帯されていたとしても、効力そのものが民法改正後に及ぶのなら特約は譲渡制限とみなされることになります。

 

譲渡禁止債権に関する債務者の供託

供託とは、金銭や有価証券などを国の機関である供託所に預け、供託所を通じて預けたものを権利者に取得させることで、債務弁済などの目的を達成できる制度です。

この供託を利用できるケースは法律で定めがあり、債権譲渡は債務者が誰に支払いを行えばよいかわからない状態であることが主な原因の場合に利用できました。

民法の改正前は、譲渡制限特約が付帯された債権譲渡を原則に無効としながら、特約の存在を知らなかった第三者などの場合は債権譲渡を有効とした扱いだったのです。

そのため債務者が債権を譲り受けた側の主観を知らない場合、債務者は誰が債権者であるか判断できなくなるので、全額供託できるものとされていたのです。

ただ民法改正により、譲渡制限特約が付帯された債権譲渡も有効とされたことで、譲り受けた側の主観に関係なく債権者は譲受人となるため、従来の理由で供託をすることはできなくなりました。

そこで、債務者は譲渡制限特約が付帯された金銭給付を目的とした債権譲渡が行われたときには、債権全額に相当する金銭を供託所に供託することができると新しい供託原因が定められたのです。

この規程に基づき供託を行った場合、債務者は遅滞することなく譲渡人と譲受人に対し供託の通知を行う必要があり、また、供託金を還付するように請求できるのは譲受人だけとなります。

 

他にも120年ぶりの民法大改正はここが変更されている!

120年ぶりとなる民法の改正なので、他にも次の用に資金調達に関係するいろいろな項目が変更されていることを把握しておきましょう。

 

消滅時効の時効期間

現行の民法では、原則、一定期間権利を行使しなければその権利が消滅し請求不可能となる消滅時効は、商事債権は5年とされ、他にも職業別の短期消滅時効により業種ごとに事項が異なっていました。

たとえば診療報酬や工事請負代金は3年、売掛代金債権は2年、運送費は1年など、どれに該当するのか判断が難しい場合もあった上に、区別する合理的な理由に欠けることが問題視されていたのです。

それが民法改正により、商事債権の消滅時効と職業別の短期消滅時効は廃止となり、原則として「知ったときから5年」「権利を行使することができるときから10年」へと統一されることになります。

 

時効の中断・停止の見直し

現行の民法では、当事者間で紛争解決に向けた話し合いを行い、解決策を模索しているときでも時効が成立する間際には完成を阻止するために訴訟を起こすしかありませんでした。

しかし、当事者の利便性や紛争を解決するための柔軟性を損なうことが問題視されていたため、改正によって権利を巡る協議を行う合意が書面などでされたときには、

  • ・合意があったときから1年を経過したとき
  • ・合意における協議期間を1年に満たないものに定めたとき

には、期間を経過後に当事者のいずれかから協議を続けることを拒絶する通知が書面でされれば、通知から6か月を経過したときのいずれか早いときまでは時効が完成しないこととなっています。

また、時効の完成が猶予されている間に、協議を行う合意が再度されれば、合意から原則として1年間、時効の完成猶予期間が最長5年まで延長されます。

 

一方的に不利益な約款は無効

商品を購入したりサービスを提供されたとき、消費者や利用者との間に発生する契約条項や免責事項などを示したものが約款です。

不特定多数の消費者などに対し、同じ内容の取引を行う場合に示す契約条件のことですが、契約の際には内容を把握せず見落としがちであるといえます。

約款に対する基本的な内容は変わりませんが、民法の改正により明文化されることとなりました。

具体的には、消費者が内容を理解していない場合でも事前に示していれば有効となるものの、消費者に一方的に不利益となるような条項は無効になります。

 

万一債権の二重譲渡があった場合の扱いは?

120年ぶりの民法改正により、債権の流動性が高まることは間違いありませんが、他にも債権譲渡登記の優劣に関係します。

債権譲渡登記は先に登記を行ったほうが優先されるのですが、債権譲渡禁止特約が付帯された同じ債権を一方には改正前に譲渡し、さらにもう一方には改正後に譲渡していた場合、どちらの譲受人に対する悪意でありながら登記もしていた場合には、改正後に債権を譲り受けた登記の効力が認められることになります。

改正前に債権譲渡禁止特約が付帯されていることで債権の譲渡は無効となりますが、改正後の譲渡禁止はあくまでも制限なので、債権譲渡は有効になる流動性の違いが出てくるからです。

このような登記優劣が争いの対象となるのは債権を二重譲渡された場合ですが、債権の二重譲渡はそもそも契約違反なので行ってはいけないことと再度認識しておきましょう。

 

まとめ

改正民法の施行2020年4月1日からとなっています。

様々な規定が変更されることとなりますが、中小企業が資金調達する上で関係する法律もいろいろありますので再度その内容を把握しておき、知らなかった…とトラブルにならないようにしておきましょう。

特に債権譲渡禁止に関する規定の変更は、もしファクタリングを資金調達に活用しようと考える方にとっても注目したい部分ですので、もし内容がよくわからなかったり活用したい売掛金に特約が付帯されているというときには信頼できるファクタリング会社に一度相談してみることをおすすめします。

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