日本国内でベンチャーキャピタルがスタートアップに対して出資した金額は、アメリカが約10兆円という規模に対し4%程度にとどまっているなど、まだまだ起業家が円滑に資金調達できる環境は整備されているとはいえません。
しかし日本の少子高齢化や人口減少は年々深刻化しており、労働力の減少から今後の日本経済は停滞したままでは…?と考えられる状況です。
経済を活性化させるためには、新たな技術革新や雇用を創出するベンチャー企業の台頭が必要といえます。
そこで、ベンチャー企業など中小企業がこれから勢力を得るために、どのような資金調達を活用することができるのか、現在どのような手段が利用されているのか現状を把握しておきましょう。
目次
日本の起業に対する考え方
日本は起業意欲が低めで、リスクマネーへの投資には消極的であり、さらにベンチャー企業に対する投資が活発ではありません。個人の金融資産も株式や有価証券などではなく、現金や預金の比率が5割を超えている状況です。
そもそもベンチャー企業とは、創業してからそれほど時間が経過しておらず、新しい技術や製品、事業などを背景として成長や拡大しようとする意欲が高い企業といえるでしょう。
また、ベンチャー企業は創業してすぐの間は資本金額や従業員人数なども少なく、規模が小さいことが多いので中小企業に含有されるともいえます。
中小企業は日本すべての企業の約 99.7%を占めており、従業員の数もすべての企業の約 70%を占めています。日本にとって中小企業はとても重要な存在であり、経済を活性化させるためには中小企業が成長していくことが必要なのです。
企業存続に資金調達は必要不可欠
中小企業は大企業より、財務の安全性を示す指標ともいえる自己資本比率が低いことから、財務基盤が脆弱であるといえます。
本来、企業規模の大きさに関係なく、資金調達の手段は選択肢に違いはありません。ただ、実際に中小企業が利用している資金調達の方法を確認すると、借入金など間接金融に依存していることがほとんどですが、その理由として考えられるのは次のとおりです。
日本は中小企業が直接金融に頼りにくい環境
大企業のように、株式を発行するといった直接金融は利用しにくい状況であるといえます。もし直接金融で資金調達しようとすれば、不特定多数の資金提供者である投資家を募るため、情報開示の資料作成に株式公開に必要な専門的人材などが必要ですが、中小企業に資金や人材、時間の余裕はありません。
さらにアメリカでは比較的早期から直接金融が発達しており、個人の金融資産も日本とは異なり株式や債券の割合が高めです。そのため、中小企業などもそれほど負担を抱えることなく直接金融を資金調達に活用しやすい環境であるといえるでしょう。
しかし日本では直接金融を資金調達に利用するのは主に大企業であり、個人の金融資産も現金や預金が高く株式や出資金、投資信託の割合は減少傾向です。個人から中小企業に直接資金が流れやすい状況とはいえないため、銀行融資などの間接金融に頼らざるを得ない状況といえます。
日本は中小企業が間接金融に頼りやすい環境
日本では、政府系金融機関や信用保証協会など、中小企業に向けた公的金融機関が古くから存在しています。それに加え、中小企業に特化した地域金融機関なども整備されており、中小企業が間接金融を頼りやすい環境です。
大企業の銀行離れもその背景に
大企業が銀行離れしたことで中小企業融資を増加させたことも、中小企業が間接金融に依存してしまう理由といえます。
かつては大企業も銀行融資での資金調達に依存している傾向で、自己資本は少なめでした。しかし内部資金の活用、株式や社債の発行などで、銀行融資は抑えながら自己資本を高めていきました。
もともと大企業に向けた融資を積極的に行っていた銀行も、新たな顧客として中小企業を対象とするようになり、中小企業の間接金融に対する依存という構造を作り出すことになったといえます。
間接金融とは?
間接金融とは、金融機関などから間接的に資金を調達することで、銀行からの借り入れなどが主な方法です。
大企業の場合、一時期以外は資金繰りが楽だと感じることが多いのに対し、中小企業の場合、一時期以外は資金繰りが厳しいと感じる状況です。
大企業よりも中小企業のほうが資金繰りは苦しくなる傾向が高いため、銀行などの借り入れに頼り資金を調達することを検討してしまうようですが、実際、中小企業すべてに貸し付けを行ってくれるわけではありません。
銀行がどの中小企業にも貸し付けを行うわけではない理由
銀行側の立場になって考えたとき、もし1億円の融資を希望する大企業1社と、1千万円の融資を希望する中小企業10社のどちらを選ぶでしょう。大企業を選んでも1億円、中小企業を選んでも1千万円×10社で1億円となります。
貸し付ける金額は同じですが、将来貸した資金を確実に返済できる能力を持った企業を選びたいと思うものでしょう。
さらに、貸し付けを行う場合には、対象となる企業の事業内容に財務内容の調査が必要ですし、融資実行後も状況などを監視し続けることとなります。
そのように考えれば、多数の小口顧客となる中小企業を選ぶより、大口顧客である大企業に融資を行ったほうが手間や時間もかからず、貸し倒れリスクも低減させることができます。
中小企業は十分な担保を差し入れることが難しい
もし銀行が、融資を受けたいと希望する企業の情報収集に戸惑った場合や、将来的に事業動向が不透明や不安定だとみなされるときには、リスクを補てんするために担保の差し入れを求めることとなります。
しかし、中小企業は資産に乏しいため、融資を受ける上で差し入れる担保が少なく、必要な資金調達に至らないケースも少なくありません。
担保を差し入れてもらうことで、銀行側も審査にかかるコストを節約できることも差し入れを求める理由といえるでしょう。
そのため、資産に乏しい中小企業は大企業よりも融資を受けにくい状況となっています。
一般的な傾向として、財務状況が良好で担保も十分に保有しており、豊富な情報の提供が可能となる大企業は融資を受ける上で有利となり、小さい規模の中小企業は不利になってしまうのです。
日本で中小企業が資金調達を円滑に進めるには?
中小企業は銀行融資など間接金融に依存しやすい環境でありながら、銀行から融資を受けにくい状況であるため、資金を調達したくてもできず最悪の場合倒産してしまう企業も少なくありません。
銀行が貸し付けを行う上で重点を置くのは、信用保証協会の保証が付くのか、不動産などを担保として差し入れることができるかという部分です。
しかしこのどちらも難しい場合、銀行から融資を受けて資金調達することは難しくなるといえるでしょう。
そのため今後は、事業性を評価する融資が行われたり、売掛債権などを担保とした融資などに重点を置くべきだといえます。
資金調達の方法は間接金融だけと考えないことも大切
中小企業が間接金融に頼る傾向が強い理由は先に述べた通りですが、近年では借り入れ以外の方法も注目されています。
今後は売掛債権などを担保にした融資にも重点を置くべきであるともいえますが、担保にして融資を受けるのではなく、売却して現金化するといった方法もあります。
その方法がファクタリングで、保有する売掛債権を期日よりも早期に現金化する資金調達手段です。
土地や建物などの不動産がなくても、営業取引で発生した売掛金という売掛債権をそのまま資金の調達方法に活用できますし、企業の規模を問わず利用できることが大きなメリットです。
まとめ
企業を存続させるためには資金を調達し続けることが必要ですが、中小企業は大企業よりも銀行融資に依存しやすいのに融資を受けることができないという状況です。
しかし資金調達の手段は借入金など間接金融だけではありません。ファクタリングであれば、売掛金を保有していれば資金化させることで資金調達が可能となりますので、もし融資を受けることができず資金不足に迷っていたら、検討してみることをおすすめします。
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