資金繰り予測の精度を上げるためにすぐ実行したいこととは?

2021/04/12
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会社経営で欠かすことができないのは資金繰りを予測することですが、これは一定期間の現金の流出入を予測し、収支のバランスを調整することです。

もしも資金繰りの予測で現金が不足する可能性があるのなら、事業を継続させていくための資金調達を行うことになります。

事業を営むのであれば売上を伸ばし利益を上げていくことは重要ですが、資金ショートを起こさないための資金繰り予測も同じく大切です。

そこで、具体的に資金繰り予測とはどのようなことを実行していけばよいのか、現金収支を可視化する上で必要なことなどを解説していきます。

 

資金繰り予測の精度を上げたい理由

資金繰りを具体的にどのように予測するべきか考えなければなりませんが、多くの会社が予測と実際の入出金に差異が発生するなど、精度を高く保つことができないことに悩んでいます。

中小企業などの場合、資金ショートを起こさないためにできる限り手元の資金は多めに残しておきたいものでしょう。

しかし資金繰り予測の精度を上げることで、手元に残さなければならない資金を最小限に抑えることが可能となり、余った資金は他の用途に利用できます。

 

資金繰り予測の必須アイテムである資金繰り表とは

精度の高い資金繰り予測を実現する上で、必須アイテムとなるのが「資金繰り表」です。

資金繰り表とは、一定期間の現金収支を分類・集計するための表であり、過去の実績だけでなく将来の売上・支払い・入金などの予定も記載していくこととなります。

そのため、いつどのような支払いが必要なのか、取引先から売掛金を回収できるのはいつなのか把握できます。

それにより、資金不足となるタイミングを事前に知り、資金調達の計画を立てやすくなるといえるでしょう。

 

資金繰り表による管理でプラスを維持することが必要

理想的な資金繰りとは、現金の収入から支出を差し引いた過不足を常にプラスの状態を保つことです。

常にプラスであればお金が蓄積し続けていくため、資金が不足することを心配しなくてもよいといえます。

しかし実際には、資金繰り表の残高を常にプラスに保つことは難しく、たとえば季節や時期によって売上や仕入れが増減することで現金収支にも影響してしまいます。

現金収支は一定しないことが多いため、将来を予測しながら現金が不足するタイミングを把握し、銀行から融資を受けるなどの方法による資金調達で収支をプラスにしておくことが必要です。

 

資金繰り予測ができていないと黒字倒産を招く

将来の資金繰りを予測し、いつ現金が不足するのか把握しておかなければ利益が出ていても黒字倒産してしまう可能性があります。

たとえば一定期間の売上が1千万円あり、そのうち現金による売上が200万円掛け取引による売掛金が800万円発生しているとします。

それに対し仕入れはは500万円で、現金による仕入れは300万円買掛金は200万円あるとします。

加えて現金払いによる経費は200万円とすると、

売上1千万円-(仕入れ500万円+経費200万円)=利益300万円

となります。

黒字経営で十分に潤っている会社だと感じるでしょうが、問題になるのは手元の現金の資金繰りです。

現金収入は現金による売上分の200万円ですが、現金による仕入れ300万円と現金払いの経費200万円の合計500万円を支払わなければなりません。

この時点での現金収支は、現金売上200万円-現金支払い500万円と考えると、300万円不足する計算です。

このような資金の流れを事前に把握し、手元の現金が不足するよりも前に資金調達しておかなければ、利益が出て黒字だとしても倒産してしまう可能性があるということをあらわします。

 

売掛金が資金繰りを悪化させる要因に

上記の例をみたとき、1千万円売上があっても、現金売上は200万円です。残りの売上800万円は掛け取引によるものなので、取引先から代金が入金されるまでは売掛金として計上することになります。

しかしこの売掛金が仮に現金売上だったとしたら、資金繰りは楽になり現金で支払う仕入れ代金や経費も十分賄うことができます。

仕入れ代金や経費などの固定費は、取引先から売掛金が入金されるよりも前に支払わなければならないことが多いため、資金が不足してしまいがちです。

もし将来入金される予定の売掛金を前倒しで回収できれば資金不足を解消できるという場合には、保有する売掛金を現金化させて資金調達する「ファクタリング」などもうまく活用するとよいでしょう。

 

資金繰り予測で資金調達のタイミングを知る

資金繰り予測に資金繰り表を用いることで、将来の現金収支の予定を管理できます。

それは資金ショートしてしまうタイミングを事前に把握することにつながるため、銀行から融資を受けたりファクタリングを利用したりといった適切な対応を取りやすくなるでしょう。

さらに資金繰りの実績を記していくことにより、なぜ資金繰りが悪化してしまうのかその原因を分析する際にも役立ちます。

資金繰りが悪化してしまった理由が長期的な原因によるものの場合、根本的な問題を解決しなければ改善が難しくなるため、必ず資金繰り表を作成し資金の流れをつかんでおくようにしてください。

 

資金繰り表の作成で重要となる要素

資金繰り表を作成するときには、営業収支財務収支という2つの現金収支を理解しておくことが必要です。

まずは日常の収支をこの2つの現金収支に分類し、把握できるようにしておきましょう。

 

営業収支

売上や仕入れなど、通常の営業活動による現金の収支営業収支であり、営業キャッシュフローとも呼ばれています。

営業活動による現金の収入として挙げられるのは、

  • ・現金売上
  • ・売掛金回収
  • ・手形の割引や取立て

などが挙げられます。

営業活動による現金の支出には、

  • ・現金仕入れ
  • ・買掛金支払い
  • ・手形決済による支払い
  • ・諸経費の支払い

などが含まれます。

 

財務収支

借入金の返済や資産を購入・売却したときの現金の収支で、営業活動とは関係のない収支財務収支であり、財務キャッシュフローとも呼ばれます。

財務活動による現金収入として挙げられるのは、

  • ・銀行からの借入金
  • ・株式発行による資金調達
  • ・固定資産の売却による収入

などです。

財務活動による現金支出には、

  • ・借入金の返済
  • ・配当金の支払い
  • ・固定資産購入による支払い

などがあります。

 

資金繰り表はどのように作成すればよいかその手順

資金繰り表を作成し、資金繰り予想をたてていくのなら主に次の手順で作るようにしましょう。

 

①資金繰り表のフォーマットを準備

資金繰り表は決まった様式はありませんが、次の項目月ごとに数値化していくとわかりやすいといえます。

 

A:前月からの繰越現金・預金

営業収支
  B:収入
  C:支出
  D:差引過不足(B-C)

財務収支
  E:収入
  F:支出
  G:差引過不足(E-F)

H:翌月への繰越現金・預金(A+D+G)

 

これにより、

月初の現預金残+当月発生の現金差引過不足=月末の現預金残

という構造となります。

書式がわからない場合には、インターネット上でサンプルなどが多く公開されていますので、ダウンロードして使うと便利です。

 

②営業収支の計画値を記載

昨年の営業実績を基準として、本年度の営業計画、商品の追加や顧客の増減といった事情を加味しながらそれぞれの月の営業収支欄へ計画値を記載していきます。

 

③財務収支の予想値を立てて記載

銀行など金融機関からの借入・返済、資産の購入・売却など、営業活動に直接関係のない財務収支に関する計画はすでにわかる範囲で予想値を入力してください。

 

④損益の予想を立てることも必要

売上の予想とコストの増加などを想定した月次損益予想を立て、赤字になる月はないか、見込まれる赤字の金額を確認しましょう。

 

⑤資金繰りの予測

月次損益予想に基づいて月次の資金繰り予測を立ていきますが、月末の現金・預金残高が赤字になる月と、どのくらい資金が不足するかを予測します。

そして貸借対照表の次の科目ごとの入出金に変更がないか確認し、足元の資金繰り予測の精度を確認していきます。

  • ・売掛債権…売掛金や受取手形が期日どおりに回収できるか、キャンセルの他数量変更などが発生してないか確認します。
  • ・棚卸資産…出荷に遅延が発生していないか、欠品や入荷遅延などがないか確認します。
  • ・仕入債務…買掛金などの支払期日が前倒しになっていないか、変更の依頼が届いていないか確認します。
  • ・固定資産…取得金額が高い資産の支払期日と、正しく金額が反映されているか確認します。
  • ・有利子負債…資金調達と返済予定にもとづいた金額と時期が正しく反映されているか確認します。

 

⑥資金不足発生有無の確認と対応策の準備

不足する資金をどのように補填するか、その対応策を検討します。

すぐに行動を起こすことができるように準備が必要なので、融資を受けて資金調達するのなら、不足するタイミングよりも手前に担当者に相談しておくことが必要になります。

特に銀行融資の場合は、審査も厳しく準備しなければならない書類も多いため、申し込み後にすぐ資金調達できるわけではないと留意しておきましょう。

なお、売掛金を現金化するファクタリングであれば、はやければ即日買取りしてもらえるため急な資金ニーズにも対応可能です。

 

⑦翌月繰越の現金・預金額の計算

月ごとの項目を計算し、月末の現金・預金の残高を計算します。

月末の現預金残は、翌月に前月からの繰り越される現金・預金として転記し、翌月以降も同じくそれぞれの項目を埋め計算していきます。

 

⑧資金調達計画の再検討と反映

月末の現金・預金の計算でマイナスになった場合の資金調達計画を再度検討します。

銀行から融資を受けるのか、ファクタリングを利用するのか、保有する資産を売却するのかなど様々な対応策を計画し調達する金額を資金繰り表に反映させていきます。

 

資金繰り表と実績の際を分析することも必要

資金繰り表は実績と計画値を記載すれば完了ではなく、毎月の営業収支や財務収支の確定数値を記載し、再度計算しなおして計画値との差異を分析することが必要です。

計画と実績で差異が発生する要因には、

  • ・売上減少
  • ・仕入などの費用増加
  • ・売掛金回収金額の減少と回収の遅延
  • ・買掛金支払い金額の増加や支払いの前倒し化
  • ・想定以外の支出発生や設備投資の見積もり金額の差額

などが考えられます。

資金繰りの計画と実績の差異を検証することを繰り返し行っていけば、資金計画の精度も少しずつ上がっていくといえるでしょう。

計画通りの結果であればよいですが、計画していた数値よりも資金繰りが悪化している場合には、原因を分析し改善させていくことが必要です。

 

国による「資金繰り支援策」も有効活用を

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、売上激減や資金繰り悪化など厳しい状況となっている中小企業なども少なくありません。

そこで経済産業省では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている中小企業に対し、「資金繰り支援措置」を準備しサポートしています。

日本政策金融公庫や商工中金の新型コロナ感染症特別貸付、信用保証協会のセーフティネット保証に危機関連保証などいろいろな支援措置があるため、自社の状況に応じて活用するようにしましょう。

なお、経済産業省の公式サイトにも、新型コロナウイルス感染症関連の支援策として紹介されています。

資金繰り支援策を活用した上で制度の高い資金繰り予測を実現させていくことが理想ですが、いくら精度を上げたとしても急にまとまった資金を必要とすることもあります。

取引先からの売掛金回収が遅れてしまうなど、予期していなかった事態が起きることで手元の資金が不足してしまうこともあるでしょう。

このような場合には、保有する売掛金を現金化させるファクタリングを有効活用することで、一時的な運転資金をすぐに確保できます。

 

まとめ

会社経営で資金繰りを予測することは欠かせませんが、万一資金ショートが発生してしまう可能性がある場合には、早めに資金調達の計画を立てるようにしてください。

銀行などから融資を受けて資金調達する場合や、不動産など資産を売却して現金化する場合には、手元に現金が入金されるまで時間がかかってしまうことがほとんどです。

実際に資金不足となってからでは手遅れになるため、早めに行動するためにも資金繰り表を確認し、お金の流れをしっかりと把握しておきましょう。

黒字経営を続けることができていても手元の資金が不足することはあるため、最悪の場合には黒字倒産してしまいます。

そのような事態を防ぐためにも、3~6か月先までの資金の見通しを立てておき、毎月の予測と実績の差異を確認・分析することで、これからどのような対策を実践するべきか明確にすることができるでしょう。

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