法人が赤字決算だったときには損失の繰越しが可能!そのメリットとは

2021/04/16
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法人の決算において、赤字の場合には一定の要件を満たすことで損失を繰越できます。

ただ、この赤字の繰越は法人にとってどのようなメリットがあるのか、反対にデメリットはないのかご説明します。

 

赤字であれば税金の負担を軽減できる

一定期間の収支計算を行い、利益・損失を計算することを決算といいますが、法人であれば事業年度分、個人事業主は1月から12月までそれぞれ1年間に利益と損失のどちらが出たか計算することとなります。

もし利益が出ていて黒字決算であれば、法人なら法人税、個人事業主なら所得税を納めることが必要です。

収入が支出を下回り、損失が出て赤字決算となれば法人税も所得税も課税されません。

日本の会社の約7割は赤字経営といわれるほどですが、実際には赤字決算で欠損金を出し、税金を納めていないケースもあるようです。

税金を免れる点では赤字経営はメリットがあるといえますが、損失が出ていることは決して良い状態とはいえず、様々な場面でデメリットとなることを認識しておきましょう。

 

赤字決算の法人のメリット

 

赤字決算となった場合、法人には法人税が軽減できることはメリットです。

法人税額は原則、収入から支出を差し引いたときの利益に対し、法人税率をかけて計算します。そのため利益が出ていなければ法人税は課税されません。

なお、利益に対してかける法人税率は、資本金1億円以下の法人かなどにより異なります。

 

赤字分は繰越が可能

決算により赤字決算となった場合、損失分を繰越すことができるため、仮に翌年度以降で黒字決算となっても相殺により将来の法人税を軽減できます。

この繰越された損失分は、税務会計上では繰越欠損金として扱うこととなり、翌年以降の課税所得から控除することが可能です。

法人であれば最大10年間、赤字の繰越しが可能なので、節税対策には有効といえます。

ただしすべての法人がこのメリットを享受できるわけではなく、資本金が1億円以下の中小法人であれば、繰越しした赤字を全額控除できます。

資本金が1億円を超える法人であれば、赤字発生の事業年度から各期に控除可能とする金額に制限が設けられていますので注意しましょう。

繰越欠損金は中小企業の資金繰りにも大きな影響を与えてくれるため、有効に活用したほうがよいといえます。

赤字を繰越す場合には、個人事業主と法人、それぞれ以下の要件を満たすことが必要です。

 

個人事業主の純損失の繰越控除

赤字となった年度において、期限内に青色申告をしており、損失発生年度の翌年以降は連続して申告を行っていることが必要です。青色申告を行っていることで、その年度に発生した損失を翌年以後3年間繰り返し所得額と相殺できます。

 

法人の欠損金の繰越控除

青色申告の場合、赤字が発生した事業年度の翌年度以降、欠損金の繰越しが可能です。

平成20年4月1日前に終了した事業年度の欠損金7年間、それ以降に終了した事業年度の欠損金は9年間となっていました。

しかし平成27年に税制が改正されたことで、平成29年4月1日以後に開始された青色申告による事業年度の赤字と、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金、どちらの繰越しは10年となっています。

 

法人税の還付金の受け取りが可能

大企業と違って、中小企業の場合は資本が充実しているとはいえません。そのため、もし決算により赤字になったときには、前期に納めた法人税の還付を受けることができます。

たとえば1年目は黒字だったけれど次の年度は赤字だった場合、2年分をトータルすると赤字なのに1年目には税金を納めています。

もし1年目が赤字で2年目が黒字だった場合には、赤字の繰越しにより2年目の法人税は納める必要はありませんが、先の例ではすでに税金を納めているため不公平です。

そのため、赤字決算となった場合には、前期に納めた法人税が還付される「欠損金の繰戻しによる還付制度」が設けられています。

この制度は、資本金の額が1億円以下の法人(資本金5億円以上の法人の100%子会社などを除く)、中小企業が対象です。

なお、この還付制度は法人税・地方法人税に適用される制度のため、住民税や事業税などは戻してもらえないため注意しましょう。

 

赤字決算の法人に対するデメリット

法人が赤字決算による損失の繰越しや税金の還付など優遇措置を受ける場合には、青色申告しておくことが必要です。

また、法人の場合には赤字だとしても、住民税の均等割は課税されます。これは所得に関係なく、資本金や従業者数に応じた課税となっており、さらに消費税の免税事業者でなければ消費税も納めなければなりませんので忘れないようにしましょう。

また、法人が赤字決算だった場合には、他にも次のようなデメリットがあります。

 

法人の赤字決算によるデメリットその1

決算書が赤字であれば、銀行などの金融機関から融資を受けられなくなると考えられます。

資金調達を銀行からの融資に頼っている場合、運転資金が不足しても助けてもらうことができず、倒産に至ってしまうリスクが高くなってしまうでしょう。

決算書が赤字の場合、銀行が行う企業の信用格付けは、正常先から要注意先などに格下げされます。

要注意先となった場合には新たに融資を受けることはできなくなってしまいますが、たとえ赤字でも次のケースでは正常先とみなされ、資金調達が可能となる場合もあります。

 

赤字が一過性のものである場合

災害など外的要因・設備投資・役員退職金・固定資産の売却損・滞留在庫の処理など、一時的な要因による赤字で一過性のものと認められ、翌期以降は黒字化できることが見込めるのなら融資を受けることが可能となる場合もあります。

 

創業赤字である場合

創業・設立から5年以内で、スタートアップによる合理的な事業計画で赤字が発生しており、5年以内に黒字化すると見込まれるのであれば融資を受けることが可能となる場合もあります。

また、売上や利益など、計画に対する実績がある程度の水準まで達していれば、銀行も融資相談に応じやすくなるといえるでしょう。

 

売却可能な資産を保有している場合

会社が売却して現金化できる資産などを保有している場合、返済能力が十分と認められれば融資を受けることが可能となることもあります。

 

法人の赤字決算によるデメリットその2

法人の決算が毎年赤字という場合には、いずれ債務超過に陥り、資金が枯渇すれば倒産してしまいます。

会社を立ち上げ事業を営むのなら、売上や利益を上げていくことが目的のため、節税ばかりに気を取られることなく黒字を出せる健全な経営をしていきましょう。

漫然と赤字続きの状態になることは経営上好ましいとはいえず、会社存続のためにも利益を出す会社にしていくべきです。

 

まとめ

赤字決算であれば税金を抑えることが可能ですが、少しでも安くしたいと考え融資を受けることができなくなる状態になることは避けましょう。

銀行などの金融機関は、資金を貸し付けるときには会社を信頼した上で、契約します。

しかし会社の決算が赤字であれば、お金を貸しても返済してもらえないと信頼を失われてしまうことになるでしょう。

赤字でも融資を受けたいのなら、事業計画に基づいて将来的に黒字化が見込めることが必要です。

経営改善を実施し、マイナスのキャッシュフローをプラスに変えていくことが必要ですが、事業立直しには運転資金も必要なので銀行融資以外の資金調達方法も頼ることをおすすめします。

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