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ファクタリングに使われる売掛債権と電子記録債権の違いとは?

資金調達2021/04/09

決済手段の1つである「でんさいネット」が新たに使用されるようになり、大手銀行などが採用する電子記録債権とファクタリングが混同されやすくなっています。

いずれも金融のサービスといえますが、電子記録債権とファクタリングの関係や仕組み、違いについて解説していきます。

 

電子記録債権とは

「電子記録債権」とは、これまでは手形や売掛金が譲渡されたときなどの紙媒体の証明書を電子化したものです。

手形を振り出すときも印紙代や搬送などの費用が発生しますが、電子記録債権を使えばこれらのコストを削減でき、ペーパーレス化による紛失・盗難のリスクも軽減できます。

中小企業など事業者の資金調達を円滑化させるため、2008年12月に施行された電子記録債権法により新たに創設された新たな金銭債権です。

そして「でんさいネット」は「全銀電子債権ネットワーク」を省略した呼び名であり、全国銀行協会設立の電子債権記録機関を指しています。電子記録債権の電子記録業務などを2013年2月から行っており、全国銀行協会の100%出資機関です。

でんさいネットを使うと、インターネット上で債権の譲渡や割引といった取引が可能となります。

 

なぜファクタリングと混同されやすいのか

電子記録債権とファクタリングが混同されやすいのは、2つに共通する部分があるからといえます。

ファクタリングは売掛債権(売掛金)をファクタリング会社に譲渡し、その代金を早期に現金化させるサービスで、法的には債権の譲渡契約を結ぶこととなります。

ファクタリングでも近年、電子契約などインターネット上での取引を可能とするファクタリング会社が増えてきました。

このような背景も関係し、手形債権や売掛債権などを電子化させ記録する電子記録債権と混同されることが多いといえます。

さらに電子記録債権をファクタリング会社に売却し、早期に現金化させ資金調達する「でんさいファクタリング」などもあるため、より混同されることが多くなったと考えられます。

 

でんさいファクタリングの特徴

でんさいファクタリングは比較的新しいサービスのため、サービスを提供する銀行や利用するシステムによりスキームが異なることが多いようです。

また、でんさいファクタリングを利用するのなら、売掛金の支払い企業がでんさいネットに登録しなければなりません。

利用においては審査があり、銀行から融資を受けるときと同じく経営状況・信用格付け・借入金の利用履歴や金融事故の有無などを確認されます。

支払い能力があるとみなされなければ利用できないため、ファクタリングを利用する会社だけの判断で利用できるものではなく、支払い企業の協力なしでは利用不可となりますので注意しましょう。

 

支払い企業に内緒で手続きはできない

中小企業などの場合、資金繰りが悪化していることを支払い企業などに知られると、後々の取引に影響することを不安に感じることが多いといえます。

そのため、一般的なファクタリングでも、支払い企業に内緒で手続きが可能である2社間ファクタリングを選ぶことがほとんどです。

2社間ファクタリングは手数料が高めに設定されることがデメリットといえますが、でんさいファクタリングなら手数料を安くおさえることができます。ただし、支払い企業の協力が必要なため、売掛金を譲渡する事実は必ず知られてしまいます。

そもそも一般的なファクタリングでも、支払い企業である売掛先を含めた3社間ファクタリングであれば、2社間ファクタリングよりも手数料をかなり低く抑えることができます。

しかし多くの中小企業は3社間ファクタリングよりも2社間ファクタリングを選んでいますが、これは売掛先に知られずファクタリングを利用したいこと最短即日資金化させたいからです。

当初、ファクタリングは3社間ファクタリングのみでしたが普及せず、2社間ファクタリングが新たに登場してからだんだんと中小企業の間で利用が進むようになりました。

でんさいファクタリングでは売掛先に内緒で資金調達はできませんし、即日現金化はできませんので、その点は十分理解した上で利用を決めましょう。

なお、でんさいファクタリングのスキームによっては債権を譲渡する会社がでんさいネットに登録する必要はなく、比較的簡易的な審査で資金調達できる場合もあるようです。

 

償還請求権なしのノンリコース

でんさいファクタリングでも一般的なファクタリングを利用するときと同じく、ノンリコース(償還請求権なし)により取引が行われます。

償還請求とは、売掛債権が支払い企業の都合で回収できなかったとき、直接代償を返還してもらうよう請求することを指しています。

そのため償還請求権代償を返還するように請求する権利のことですが、でんさいファクタリングはノンリコースなので、債権譲渡後に売掛先が倒産し売掛金回収ができなくなっても代金を返金するように求められることはありません。

ただしでんさいファクタリングは、でんさいネットに加盟している銀行や銀行子会社のファクタリング会社のみ提供しているサービスです。銀行が提供してくれるサービスという点では安心ですが、審査が厳しく最短即日での資金化などは対応してもらえません。

急いで資金を調達したいときには、2社間ファクタリングを得意とするファクタリング専門の会社を頼ったほうが安心です。

 

でんさい割引は手形割引に近いサービス

銀行が期日よりも先に手形の電子記録債権を買取るでんさい割引は、紙媒体で行われる手形割引に近いサービスです。

一般的な手形割引は、ファクタリングとは異なり償還請求権のあるリコース契約となりますが、でんさい割引も同じです。

もし支払い企業が倒産した場合には、割り引いた手形の電子記録債権を買い戻すように請求されることになります。

 

従来の売掛債権を電子記録債権がどのくらいカバーできるか

従来の売掛債権のデメリットを、電子記録債権でカバーできているのは主に次のような部分です。

 

従来の売掛債権(手形の場合)

  • ・作成・交付・保管にコストがかかる
  • ・紛失・盗難のリスクがある
  • ・金額を分割できない

 

従来の売掛債権(売掛金の場合)

  • ・譲渡した債権の不存在や二重譲渡のリスクがある
  • ・譲渡の事実を売掛先に対抗するために通知・承諾を得るか債権譲渡登記が必要
  • ・売掛金発生の原因である売買契約が債権回収よりも前に無効と宣言されることを理由に支払い拒否されるリスクがある

 

電子記録債権

  • ・電子データの送受信により売掛債権(手形・売掛金)を発生させることも譲渡も可能
  • ・電子記録記録原簿で取引・管理が可能
  • ・電子記録機関を通じ売掛債権の分割取引も可能
  • ・電子記録原簿に登録すればすべての債権の存在・帰属先が可視化できる
  • ・債権の存在と帰属先を明確化させることで通知も不要
  • ・売買契約無効を理由とした支払い拒否は不可

 

まとめ

電子記録債権を使ったでんさいファクタリングでは、保有する売掛金の電子記録債権をでんさいネットワーク加盟の銀行に売却し、回収よりも前に資金調達できます。

電子記録債権を買い取るのは銀行が出資する子会社のファクタリング会社なので、銀行関連の法人という点でも安心です。

それに加え、でんさいを利用した売掛金なので信用度も高く、手数料も安いことはメリットといえるでしょう。

ただし支払い企業である売掛先も含め3社間で取引をすることが前提となり、売掛債権で資金調達する事実を知られることになってしまいます。

様々なメリットがある反面、中小企業の場合はその後の取引への影響も気になることが多いため、売掛先に知られずファクタリングを利用したいのなら一般的な2社間ファクタリングがおすすめです。

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