2018年を予測する|資金調達の調査結果から見えてくるもの

2018/03/08
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企業の資金調達状況は景気にも大きく左右されます。
企業の資金調達がうまく行っているということであれば、景気は上向きである、ということになります。一方で資金調達がうまくいっていない企業が多いということは、それだけ景気は下向きである、ということになるわけです。

今回は兵庫県(産業労働部産業振興局地域金融室)が実施している「中堅・中小企業の資金調達状況に関する調査結果」から企業の資金調達はどうなっているのか?そしてその調査結果から2018年の景気動向はどうなっていくのか、ということを予測していきます。

 

「民間金融機関の貸出姿勢」における調査結果とは?

・借り入れ条件が緩和・・・13.9%
・借り入れ条件は変わらないが経営相談等のサービス向上・・・9.1%
・借り入れ条件が厳しい・・・4.3%
・借り入れ条件は変わらないが経営相談等のサービス低下・・・1.7%

まず単純に借入条件が緩和したパーセンテージと借入条件が厳しいパーセンテージを比較すると、約10.0%程度は借入条件が緩和していると実感していることがわかります。要は借り入れしやすい状況になりつつあるのです。

借入条件は変化しなかったものの、民間金融機関のサービスが向上したといった印象が高い点にも注目すべきです。要は民間金融機関側に一定の余裕が出てきた、ということがこの調査結果からは見え隠れしています。

・各企業の民間金融機関の今後の貸し出し姿勢予想

・かなりゆるくなる・・・3.9%
・ややゆるくなる・・・12.7%
・やや厳しくなる・・・9.6%
・かなり厳しくなる・・・2.6%

「かなりゆるくなる」と「ややゆるくなる」を合わせると16.6%になります。
「かなり厳しくなる」と「やや厳しくなる」を合わせると12.2%になりました。

両者を単純に比較すると「今後の貸し出し基準がゆるくなる」と予想している企業の方が4.4%も多いことがわかります。貸し出し基準が緩和していくお予測する企業が多いということは、実感として企業側が借り入れしやすいと感じている証拠です。

企業にとっては資金調達しやすい状況に入ってきている、と見て間違いないかもしれません。

 

企業の状況(景気)に関する調査結果にも注目しよう

・大変良くなった・・・3.1%
・やや良くなった・・・21.9%
・やや悪くなった・・・23.2%
・大変悪くなった・・・3.9%

「大変良くなった」と「やや良くなった」を合わせると25%になります。
「大変悪くなった」と「やや悪くなった」を合わせると27.1%になります。

上記だけを単純に比較すると景気が悪くなったと感じている企業の方が2.1%多いことになります。しかし過去の調査結果から見ると、景気は明らかに良くなってきているのです。

上記したのは「平成29年度10~11月実施アンケート調査結果」でその前に実施された「平成29年度5~6月実施アンケート調査結果」をチェックしてみると、景気が良くなったと感じている企業は28.4%です。一方で景気が悪くなったと感じている企業の割合は35.1%です。その差は6.7%もありました、しかし約半年後のアンケート結果ではその差が2.1%に縮まっているわけです。

よって企業の景況感はかなり持ち直している、ということになります。

・企業はどのような状況に景気が変動すると感じているのか?

<景気に好影響がもたらされるともの>
・マイナス金利政策・・・40.5%
・原油価格の低下・・・38.7%
・円安相場・・・28.0%

<景気に悪影響がもたらされるもの>
・日本株式の下落・・・50.5%
・新興国経済の減速・・・34.5%
・円安相場・・・28.0%

円安相場に関しては、景気に良い影響も悪い影響ももたらすものとして企業が感じています。確かに輸出企業にとって円安は追い風となります。しかし輸入業者にとって円安は避けたいものでもあるわけです。

注目してほしいのはマイナス金利政策です。現在日銀ではマイナス金利を実施しており、銀行が日銀にお金を預けても金利が得られなくなりました。かえって金利を支払うことになってしまったのです(全てではなく一部の預金が対象)。
銀行としても金利を支払うのは嫌なので日銀から資金を引き上げ、企業融資に積極的になり始めています。その恩恵を少しずつ企業がうけ始めている、と見てよいのかもしれません。

一方で原油価格の下落ですが、2018年に入り少し高止まりの状況が続いていることは否めません。今後の景気にブレーキをかける要因にもなりかねません。
景気減速の影響として日本株の下落にも注目しなければなりません。順調に上昇してきた株価ですが、2018年に入り、伸び悩み始めているのは確かなのです。今後一気に下がるようなインパクトが出てきてしまうと、企業の資金調達に何かしらの影響を与えてくるとも限りません。そもそも多くの企業が資産として有価証券を持っています。その価値が下がるとなると、資産が少なくなることになり、資金調達が難しくなる恐れも出てきてしまうのです。

 

企業はどのような方法で融資を受けているのか?

※この項では株式会社帝国データバンクの実施した「別企画:国内企業22万社の融資等の保全状況実態調査」(2016年11月発表)を参考にしました。(https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p161101.pdf
※調査は22万2977社(全国・全業種)を対象としています。

・信用による融資・・・9.8%
・保証協会による融資・・・25.0%
・有担保による融資・・・65.3%

帝国データバンクで実施した調査結果にて衝撃の事実が発覚しました。企業の多くは融資を有担保で受けていたのです。担保付きの融資でなければ借り入れが難しい、といった状況が続いていることを意味しています。

国内企業の3分の2が有担保での借り入れを実施している状況なので、担保がなければ借り入れが難しい、といったケースも珍しくないと思われます。前述したように兵庫県の調査結果からは景気が回復していると思われますが、借り入れ方法としては企業側も苦戦していると考えられるわけです。
ちなみに担保としては土地や建物といった不動産や売掛金、さらには有価証券や在庫(商品や材料)などがあげられます。それらのものを担保に入れてやっと借り入れできている現状が見えてきました。

ちなみに有担保での借り入れが極めて多くなっている業種としては「不動産業」や「製造業」が挙げられます。不動産業であれば不動産が担保として入れられますし、製造業であれば工場の敷地などが担保として入れられるからこそ担保系融資を多く受けている可能性もあります。
保証協会付きの融資については建設業とサービス業が多くなっています。

・今後の企業の借り入れ方法の動向とは?

帝国データバンクの調査結果については2016年のものであるので、現在では少し変化していると考えられます。
マイナス金利政策の影響で銀行としても、企業への貸し出しに力を入れ始めているのは事実です。担保がなかったとしても貸出に応じるケースが今後は増えていくことになるでしょう。もちろん担保があったほうが借り入れしやすいことは疑いようもありません。

確実に借り入れをしたいのであれば、担保系の融資を検討しましょう。担保がないのであれば保証協会付きの融資を検討するのもありです。しかし保証協会付きの融資審査は少し厳し目なので、決算に問題があれば借り入れできないかもしれません。十分に注意する必要があります。

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