資金調達に手形割引を利用する場合の手形割引率の計算方法と相場とは?

2019/11/29
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter

建設業や運送業、繊維産業などは、親事業者が製造委託をした場合、下請事業者の給付に対し支払う下請代金は手形で行われる場合もいまだに多くみられます。

 

ただ、手形は支払われる期日にならなければ手元に現金を受け取ることはできませんが、その期日までの手形サイトも業種・業態によって長短に差があり、120日である場合もあるなどその間の資金繰りに苦しくなりがちです。

 

そこで、期日前の手形を早期に現金化させる仕組みである手形割引が用いられることが少なくありませんが、利用する場合には割引料など手数料が差し引かれることになります。

 

この割引料を決めることとなる手形割引率はどのように計算されるでしょう。そこで、手形割引で資金調達を行う場合に気になる、手形割引率を決める要素などについて徹底解説していきます。

 

手形割引率とは?

手形割引で資金調達を行う場合、発生する手数料がどのくらいになるのかが非常に気になるところかもしれません。

 

しっかりとした手形割引業者であれば、初回の見積もり段階で納得できる手形割引率を提示してくれるはずですが、そもそもどのように決めているのか把握しておきましょう。

 

そもそも手形割引とは、手形に記載された期日にならなければ受け取ることができない現金を先に受け取る代わりに、銀行や手形割引業者に手数料を支払って手形の買い取りを行ってもらうことです。

 

手形割引を利用した割引依頼人は、この手形割引を利用することで期日よりも前にお金を受け取ることができるわけであり、銀行や手形割引業者など割引人は、手形の期日よりも先にお金を支払う代わりに手数料を受け取るということです。

 

ここで注意したいのは、手形を買い取ってもらうという形ではあるものの、取引そのものは手形を担保にお金を借りることになるので、利息として手数料が差し引かれることになる点です。

 

手形割引はどのように取引が行われるのか

手形割引は融資と見なされ、買い取られた手形は支払い期日には銀行や手形割引業者など、買い取り手に決済されることになる流れです。

 

お金を貸すことになる銀行や手形割引業者は、買い取る手形を発行した振出人に支払い能力があるのか審査を行い、認められれば手形割引料などが差し引かれて割引依頼人に現金が支払われる形になります。

 

手形割引で利息としての性質を持つ手数料が手形割引料であり、そこに手形交換を行う際に発生する手数料などの取立手数料といった費用を加えたものが手形割引手数料とされて差し引かれます。

 

手形割引の手数料計算

手形割引を利用した時の手形割引料と、手形割引手数料の計算方法は次のとおりです。

 

  • ・手形割引料=手形額面金額×手形割引率(手形割引利率)×支払期日までの日数÷365日
  • ・手形割引手数料=手形割引料+取立手数料
  • ・手形割引で受け取る金額=手形額面金額-手形割引手数料

 

なお、手形額面金額とは手形に記載された金額のことで、本来支払い期日に支払われる金額のことを指しています。

 

そして手形割引率は、手形依頼人が手形割引人に支払う利息である手形割引料を計算するときに用いる割合で年利になるため、手形が決済されるまでの期間が1年未満であれば日割りで計算されることになります。日割り計算の場合において、手形の支払期限と支払い先の休業日が重なった場合には、翌営業日までの日数がプラスされることになります。

 

手形割引の手数料計算例その1

実際に手形割引を利用した場合、どのくらいの手形割引手数料が発生することになるのかケースに応じて計算してみましょう。

 

【例①】

手形額面金額:100万円
手形割引率:年利5.0%
支払い期日までの日数:90日
取立手数料:660円

手形額面金額(100万円)×手形割引率(5.0%)×90日÷365日=手形割引料12,328円
手形割引料(12,328円)+取立手数料(660円)=手形割引手数料12,988円

 

割引依頼人が手形割引で実際に受け取る金額は、手形の額面金額から手形割引手数料分を差し引いて計算しますので、

手形額面金額(100万円)-手形割引手数料(12,988円)=受取金額987,012円

という計算になります。

 

同様に、次の例も参考にしてみてください。

 

【例②】

手形額面金額:500万円
手形割引率:年利3.0%
支払い期日までの日数:120日
取立手数料:660円

手形割引料=手形額面金額(500万円)×手形割引率(3.0%)×120日÷365日=49,315円
手形割引手数料=手形割引料(49,315円)+取立手数料(660円)=49,975円
受取金額=手形額面金額(500万円)-手形割引手数料(49,975円)=4,950,025円

 

銀行や手形割引業者は手形割引率をどのように決めるのか

手形割引率ですが、どのように決められているのでしょう。

 

一般的には審査によって決められることになりますが、手形が不渡りになる可能性が大きく左右します。

 

不渡りになる可能性が高ければ割合も大きくなりますし、不渡りになる可能性が低く決済できる可能性が高い安心できる手形と認められれば、割合も小さくなるという形です。

 

手形を買い取る側の立場になってみれば、買い取った手形の振出人に支払い能力がなく、不渡りになれば割引依頼人にその手形を買い戻してもらうことになります。

 

しかし割引依頼人に買い戻すほどの資金がなければ、手形は回収できずに終わってしまうでしょう。そのような貸し倒れリスクを抱えることになるため、振出人の信用力はとても重要となり、それによってどのくらいの割合で手形割引率を適用させるのかが左右されるのです。

 

振出人の信用力は審査によって決まるので、手形割引を利用する上で適用される手形割引率もそれにより変動することから、一律何割という設定はできません。そのため、一定の幅で表示されていることがほとんどです。

 

振出人の信用で確認される項目

振出人の信用力が手形割引率を決定づける大きな要因となりますが、主に次の項目を確認されることとなります。

  • ・経営数値
  • ・これまでの手形取引履歴
  • ・企業規模
  • ・事業歴
  • ・信用情報
  • ・信用情報機関などに登録されている情報

 

銀行などの金融機関や手形割引業者であれば、信用力に応じた格付けがされているはずなので、そのランクに応じて決まることとなるでしょう。

 

裏書人の信用力も確認される

手形割引は裏書譲渡という方法により第三者に手形が譲渡されますが、裏書人とは振出人が手形の支払いを行わない場合に支払い義務を負う人です。

 

この裏書人の信用力が高い場合、振出人が支払いできない状態に陥ったとしても裏書人から代金を受け取ることができるので、裏書人の信用力も重要になります。

 

手形の額面金額

手形割引で行う手続きやかかる費用は、手形の額面金額の大小に左右されることなく、どちらも同じくらいのコストや手間がかかります。

 

そのため、額面金額が小さい手形よりも、大きい手形のほうがコストパフォーマンスはよいと判断されるため、額面金額の大きい手形の方が適用される手形割引率は低くなるといえるでしょう。

 

手形の支払い期日までの期間

手形支払いまでの期日が長期に渡る場合、その間に振出人や手形依頼人が経営難に陥り、倒産してしまうリスクは高くなります。そのため、期日までの期間は短ければ短いほど手形割引率も低く設定されるといえるでしょう。

 

ただ、あまりにも支払い期日までの期間が短い場合は、手形割引業者などが受け取る利益も少なくなるため、支払い期日まで数日という場合はかかる手形割引率を高めに設定することもあるようですので注意しましょう。

 

手形割引業者の運営コスト

手形割引業者なども、事業を続ける上で広告宣伝費や人件費など様々な経費がかかります。それらの諸費用が高ければその分をカバーすることが必要になるので、手形割引率も高く設定されることになるのです。

 

また、手形割引業者の多くは、銀行へ再割引を行っており、銀行との取引実績が多い手形割引業者のほうが手形割引料も安くなるため、割引依頼人が請求される手形割引手数料も安くなるという流れです。

 

手形割引料が安い手形割引業者を選ぶには

手形割引率の相場は、どの金融機関を利用するのかによってことになりますが、一般的には次の割合が相場となっています。

 

  • ・都市銀行 年利1.5~3.0%
  • ・普通銀行 年利2.0~3.5%
  • ・信用金庫 年利2.5~4.5%
  • ・信用組合 年利3.5~5.5%
  • ・手形割引業者 年利3.0~20.0%

 

手形割引業者よりも銀行などの金融機関を利用したほうが手形割引率も低いので、その分発生する手形割引手数料も抑えることができます。

 

銀行などの金融機関にも種類があるので、どこを利用するかによって設定される手形割引率や手形割引手数料は変わってくるでしょう。

 

いずれにしても手形割引で資金調達をする場合には、3社以上から相見積もりを取得した上で、比べてみることをおすすめします。見積もりを請求し、審査をしてもらわなければどのくらい手形割引手数料が発生するのかわからないからです。

 

銀行や手形割引業者によってサービスが大きく異なるといったことがほとんどないので、発生する手形割引手数料は安ければ安いほどよいと判断してよいでしょう。

 

手形割引の引き受けには上限がある

手形割引は手形を担保に融資を受けることと見なされますので、多くの場合、引き受け可能とする上限金額が決められている点にも注意してください。

 

手形の支払い期日よりも前に上限金額に達している場合は、それまでに依頼した手形が決済されるまでは手形割引の利用はできません。

 

そして万一、割引手形が不渡りになれば割引依頼人が手形に記載された金額を手形割引人に対して支払うことになりますので、不動産などの資産を担保とすることが必要になる場合もあります。

 

手形割引を利用する上で準備する必要のあるもの

手形割引は、銀行と手形割引業者のどちらに依頼するかによって、審査の内容も異なりますし、準備するべきものも変わります。

 

それぞれどのようなものを準備しなければならないか、事前に把握しておきましょう。

 

銀行での手形割引を利用する場合に必要なもの

銀行に手形割引を依頼した場合、振出人が支払期日に決済する支払い能力があるか、そして万一手形が不渡りとなった場合の割引依頼人の弁済能力を判断します。

 

そのため、振出人は信用情報機関などのデータや、手形振出銀行からの情報などで調査を行い、割引依頼人は決算書や納税証明、取引状況などを基準に審査を行います。

 

必要書類として、次のような書類を提出するように求められることが一般的です。

 

  • ・預金口座(普通預金口座や当座預金口座)が確認できるもの
  • ・会社に関する書類(登記簿謄本、不動産登記簿の原本など)
  • ・代表者に関する書類(運転免許証などの本人確認書類)
  • ・印鑑証明書(法人と代表者分)
  • ・直近3期分の決算書
  • ・会社の納税証明の申告書
  • ・代表者の収入が証明できる書類

 

これらの書類に加え、担保として差し入れる不動産、保証人、保証協会の保証なども要求されることがあります。

 

書類がそろった状態で銀行取引約定書を取り交わしますが、手形割引を利用する都度、窓口となる銀行の支店長や本部の決済を得た上で行われることになるでしょう。

 

何度か手形割引を利用し、銀行から信用があると認められた場合には、手続きを簡素化させる割引枠の設定をしてもらえることもあるようです。

 

この場合、手形割引に上限金額が設けられることとなり、その範囲内なら簡単な手続きによって手形割引の利用が可能となります。

 

最初は審査が厳しく手続きを行う上でも手間がかかると感じるかもしれませんが、低い手形割引率が適用されるので十分な資金調達に繋がりやすくなるといえるでしょう。

 

手形割引業者で手形割引を利用する場合に必要なもの

手形割引業者は振出人の信用力を判断する審査で、手形割引の利用可否を決めることが多いようです。判断の目安とするのも信用情報機関などのデータのため、利用の可否がわかるまで時間が短い場合も少なくありません。

 

そのため、手形割引業者で手形割引を利用する場合、別途必要書類などを求められるかは業者によって異なります。

 

また、業者によっては割引依頼人が直接出向くこともなく、電話やメール、ファックスなどで申し込みを行い、手形を郵送すれば手続きが完了するといったこともあるようです。

 

手間や時間がかからないことがメリットではありますが、銀行よりも高い手形割引率が適用されるので、十分な資金調達に繋がらなくなる可能性があります。

 

さらにあまり馴染みのない業者などの場合、不安を感じてしまうといった部分がデメリットといえるでしょう。

 

まとめ

手形割引率とは、手形依頼人が手形割引人に支払うことになる利息を計算する上で適用される割合のことであり、この割合が低いほど手形割引で手形を現金化し、受け取ることができる金額も大きくなるといえます。

 

手形割引率は、振出人や裏書人の信用力、手形の額面金額、支払い期日までの期間、手形割引業者などのコストなどにより決まりますので、なるべく手形割引手数料が安く設定される業者を選ぶべきです。

 

そのためにも複数社から相見積もりを取得して比較・検討することが望ましいといえますし、できることなら銀行に依頼したほうがよいと考えられるでしょう。

 

ただ銀行で手形割引を利用する場合には、審査で振出人と割引依頼人両方の審査を行うこととなるので、提出する書類の種類が多く、揃えるまで手間や時間がかかると感じてしまうかもしれません。

 

銀行で利用する場合は審査のハードルが高いので、審査で利用できないと断られてしまった場合には手形割引業者に依頼することになりますが、もし利用が可能となっても発生する手形割引手数料は高くなってしまいますのでその点は理解した上で決めるようにしてください。

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter