もし取引において約束手形を受け取ったらどのように行動すればよい?

2019/09/10
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter

商取引の場面において代金を支払ってもらう際に、現金ではなく約束手形を受け取った場合、どのように行動すればよいのでしょう。

そもそも約束手形を受け取ってよいものか、どのような使われ方をするものか知らないという方もいるかもしれませんので、取引において用いるメリットとデメリットも踏まえてご説明していきます。

 

約束手形とは?

約束手形とは名称通り、所定の期日までには支払いを行うことを約束した有価証券のことです。有価証券とは財産権のある証券を指しており、商取引で用いられるものには約束手形だけでなく、為替手形や小切手なども含まれます。

現金の代わりに手形を発行して用いることにより、振出人は支払期日を先送りすることができるメリットがあります。

 

口座に資金がなくても発行可能

小切手も手形も銀行に当座預金口座を開設しなければ発行できませんし、小切手は口座に必要資金がなければ発行できません。しかし約束手形の場合は、口座に必要な資金がなくても発行できますので、支払いを先に延ばし、一定期間において資金繰りに余裕を持たせることが可能となります。

 

裏書により流用可能

約束手形は裏書という方法により、手形の持つ権利を譲渡することができます。裏書によって受取人を変えることで、指定された期日までの間において資金調達の場面などに流用させることが可能です。

なお、手形の支払期日が到来すると、受取人は取引を行う銀行に取立委任し、支払い期日以降に現金化することになります。

 

●銀行に裏書譲渡した場合

手形の裏書を利用し、銀行に譲渡した場合には、支払期日までにかかる利息を割引料として差し引いた残りを現金で受け取ることが可能である手形割引の利用も可能です。支払期日を待つことなく、先に現金化できるため資金調達の方法として利用されることもあります。

 

約束手形を扱うことになる方の呼び方

約束手形を受け取った方は受取人や名宛人、その手形を発行した方は振出人、または支払人と呼ばれます。

商品を仕入れてその支払いに用いるために手形を振り出せば、振出人でもあり支払人でもあるということになるからです。

その手形を誰に対して発行するのか、そして受け取った方は受取人であり名宛人でもあることになります。

 

もし商取引の場面で約束手形を受け取ったら?

 

約束手形は商取引の場面で用いられる有価証券ですので、実際に受け取った場合にはどのように扱い行動するべきか把握しておく必要があります。

現金が手元にないことで手形による支払いをされたものの、受取人も後に資金繰りが苦しくなり、はやく現金が欲しいという状況に陥る可能性も出てきます。

このような場合、手形を資金調達の方法に活用できる手形貸付や先に述べた手形割引を検討することもできるのでそれぞれの方法を把握しておきましょう。

 

手形割引とは

取引先から受け取った満期前の手形を銀行などに裏書譲渡し、期日までに発生する利息分などが差し引かれた金額で現金化することが手形割引です。

 

手形貸付とは

振出人は資金を借りたい方のみという単独の約束手形を担保に銀行などに差し入れ、融資を受ける方法が手形貸付です。受け取った手形を裏書して資金化する手形割引とは異なり、お金を借りたい方自身が手形を振り出す形となります。

 

約束手形を受け取ることにはメリットも!

手形と耳にすると、どうしてもネガティブな印象を持ってしまいがちです。

そのため商取引に手形を受け取ることに難色を示す経営者も少なくないようですが、実際にはデメリットだけでなく次のようにメリットと考えられることもあります。

 

口約束よりは支払ってもらえる可能性が高くなる

取引先から支払期日を延ばしてもらえないかと要請された場合、断りにくいものの何か確約がほしいと考えてしまうものでしょう。

口約束だけでは不安という場合、手形を差し入れてもらうことで約束ごとを形にすることができます。

延期した期日を守ってもらえない場合、口約束だけなら取り立てが難しい場合もありますので、手形を発行してもらうほうが安全です。

 

手形を資金調達に用いることが可能

先にも述べたとおり、手形を手形割引に利用すれば先に資金化させることが可能になるなど、資金調達の場面に活用することもできます。

 

取引先より優位な立場での交渉が可能

取引先は手形を振り出したことに対し、弱みとして意識する傾向があるため、商取引の交渉の場面では優位な立場で話を進めやすくなります。

 

約束手形を受け取ることのデメリット

取引先からの支払いに約束手形を受け取ることについて、どのようなデメリットがあるかも確認しておきましょう。

 

満期日までの期日は長め

まず、約束手形は満期日まで期間が長めに設定されていることが特徴です。そもそも振出人は支払いを延期する目的で発行するため、2~3か月後というケースが一般的となっています。

どれほど長くても120日までであることが通常ですが、中には七夕手形や台風手形と呼ばれる120日を超える手形もあるため注意が必要になります。このような期日の長い手形の場合、受取人側のキャッシュフローが悪化してしまうかもしれません。

 

●キャッシュフローが悪化する理由

キャッシュフローとはお金の流れのことですが、商品やサービスを販売・提供すると、まだ代金は回収できていなくても売上に計上されることになります。

決算書の損益計算書上の売上高や利益は向上しているのに、肝心の代金が回収できていないことで手元の資金は不足しがちになるのはめずらしいことではありません。

ただ、利益が出ていて黒字なのに、手元の資金が枯渇してしまえば黒字倒産ということもありえるため、本来のお金の流れを示すキャッシュフローには常に注視しておくことが求められます。

しかし、約束手形で現金を受け取ることができる期日が延期されてしまうと、キャッシュフローに悪影響を及ぼすことになりかねません。

 

代金が支払われない可能性もある

仮に振出人が期日に支払いができない場合、不渡りという扱いになるため代金は回収できなくなるでしょう。

不渡りになった場合には、振出人に対し直接、代金を支払ってもらうように交渉するしかないからです。

ただ、一度不渡りを出した場合にはその後、各金融機関からは一切融資を受けることはできなくなり、二度の不渡りで銀行取引は停止されることとなり事実上の倒産として扱われます。

そのため手形の振出人も不渡りを出さないように努めることになるため、回収できない可能性は否定できないにしても、口約束による支払期日の延期よりは安全な取引であるといえるでしょう。

 

資金調達の場面で用いられるファクタリングと手形割引の違い

手形割引は手形を担保に差し入れて現金を得る資金調達の方法ですので、融資という扱いになります。

同じく売掛金をファクタリング会社などに譲渡して現金化する資金調達の方法であるファクタリングも手形割引と似た取引と解釈されやすいですが、ファクタリングは融資を受けるわけではなく、あくまでも売掛金の売買による取引です。

また、手形割引は振出人が不渡りとなった場合、代金を返済しなければならないため、貸し倒れリスクは利用する側が負うことになります。

対するファクタリングは売掛先が倒産した場合でも、利用する側が弁済義務を負うことはなく、そのリスクは売掛金を買い取ったファクタリング会社が負う形で取引が行われます。

リスクを抱えず円滑に資金調達を行いたいなら、手形割引よりもファクタリングの方が安心できるといえるでしょう。

 

まとめ

商取引の場面で約束手形を扱うことになった場合、マイナスイメージを抱いてしまいがちですがメリットとなる部分もあります。

ただ注意しておかなければ、現金に換金できるまでの間、資金繰りを悪化させる要因になるかもしれませんので、その場合にはどのような方法で資金調達するべきかしっかり検討するようにしてください。

Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on Twitter