売掛金は補助簿である売掛金元帳で管理することが重要!その理由とは?

2020/11/12
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取引先ごとの取引を管理する帳簿のうち、補助簿は総勘定元帳などの主要簿をサポートするために作成されます。その1つが売掛金元帳で、増加したときだけでなく回収により減少したときは総勘定元帳の売掛金勘定に記帳します。

商品やサービスを掛けで販売・提供すれば売掛金が発生しますが、適切な管理を行っていなければ未回収分が発生し、自社の資金繰りに必ず影響することになると留意しておくべきです。

そのためにも売掛金元帳(得意先台帳)にその増減を記載し管理することは大切ですが、具体的にどのような流れで作成していることになるのでしょう。

 

補助簿の記帳は義務ではない

複式簿記では補助簿併用制となっているため、仕訳帳や総勘定元帳のような主要簿だけでなく、売掛金元帳のような補助簿でも構成されます。

さらに補助簿は補助元帳と補助記入帳があり、取引や勘定の内訳や明細を明確にし、主要簿を補うため必要に応じて作成することになります。帳簿を義務付けられているわけではありませんが、取引内容を知る上で作成しておいたほうがよい帳簿です。

作成方法がわからなくても、インターネット上にテンプレートなどが公開されており、エクセルなどですぐに作れるようになっています。書き方なども難しくないため、簡単に作成できます。

 

補助元帳とは

特定の勘定明細を記録した帳簿が補助元帳です。取引先ごとに売掛金勘定を分類し記帳する売掛金元帳以外にも、仕入れ先ごとの買掛金勘定を分類した買掛金元帳(仕入先元帳)、商品ごとに繰越商品勘定や仕入勘定を分類し記帳した商品有高帳などがあります。

 

売掛金元帳以外の補助記入帳も必要

勘定科目ごとの発生した取引について詳細を記帳する帳簿が補助記入帳です。現金勘定であれば現金出納帳、当座預金の取引なら当座預金出納帳に記載しますが、他にも仕入帳・売上帳・受取手形記入帳・支払手形記入帳などがあります。

取引発生の際、その内容をまず補助記入帳に記載した後で仕訳帳に記載しますが、補助記入帳に記載する必要がない勘定科目の取引は仕訳帳に直接書き込みます。どちらにしても仕訳帳に記載した後で、総勘定元帳と補助元帳に転記する流れです。

 

なぜ売掛金は補助元帳で管理が必要?

特定の勘定の明細を記すことになる補助元帳には、勘定科目ごとのすべての取引を記録する総勘定元帳だけでは確認できない部分も記載されます。

どの取引先にどのぐらいの売掛金が発生しているのか知りたいとき、総勘定元帳からは確認しにくいでしょう。しかし売掛金元帳なら、取引先ごとに売掛金の増減が把握できるため一目瞭然です。

そのため取引先の債権・債務の管理をスムーズに行うことが可能となり、請求ぬかりや未回収分を放置することをなすことが可能になるといえます。

 

売掛金元帳なら計算ミスをなくすことが可能

売掛金は、発生から決められた期日までの一定期間分を締め切り、その合計分を取引先に請求します。

売掛金を請求された取引先は、買掛金として発生している金額と合致しているか確認し、間違いがなければ期日にその金額を入金することになるでしょう。

取引先ごとに入金予定となる期日は異なっていることもあるため、それぞれの取引先の入金期日を把握し、遅れなく回収できているか確認する作業が必要です。

万一請求金額と入金金額に誤差が生じている場合には、請求金額にミスがなかったか納品書と照合しなおすことになります。

値引きや返品など発生していなかったか確認し、それでも合わない場合には取引先に連絡して金額を確認する作業も必要です。

 

期日に入金されなかった場合の対応

もし取引先から期日に入金されなかった場合には、なぜ入金できていないか取引先に確認しましょう。取引先が請求書を確認し忘れていることもありますし、請求書が郵便事故などで届いていない可能性もあるからです。

取引先の財務状況などが関係し入金されていないのであれば、いつなら入金可能か確認し、確実に回収できるような督促も必要となります。その際、後で記述する時効の進行を遅らせるためにも、内容証明郵便を用いた請求が望ましいといえるでしょう。

 

売掛金元帳を使い売上債権回転率の確認を

売掛金が滞りなく回収できているか知るための指標として売上債権回転率が用いられます。

売上債権回転率は、

売上債権回転率=売上高÷(売掛金+受取手形)

という計算式で算出することができますが、数値は高い方がよいとされています。

目指すのは1年で6以上といわれていますが、この場合には売掛金が2か月ですべて入れ替わっている状態を示します。

売上債権回転率が低いと回収までに時間がかかりすぎていることを示すため、資金繰りが悪化しやすくなると留意しておきましょう。

 

売掛金の仕訳方法

掛け取引で商品やサービスを販売・提供したときには、売上だけでなく同時に売掛金も計上します。

 

発生したときの仕訳

掛け取引による売上は、貸方に売上、借方に売掛金を計上します。

貸方:売掛金 借方:売上

 

回収したときの仕訳

すでに計上している売掛金が取引先から入金され、回収できたときには貸方に入金方法を計上し、売掛金を消す仕訳が必要です。

貸方:普通預金(または現金・当座預金・受取手形など) 借方:売掛金

 

買掛金と相殺するときの仕訳

取引先が売掛先だけでなく、仕入れ取引も行われている買掛先でもある場合、入金はなく互いの売掛金と買掛金を相殺することもあります。

仮に発生している売掛金より買掛金が少なければ、その差額を取引先に入金してもらうこととなるでしょう。

貸方:買掛金         借方:売掛金
   普通預金など(差額分)

 

回収できなかったときの仕訳

売掛金が発生しているのに、回収するよりも前に取引先が倒産してしまったという場合には、回収不能分を次の仕訳で損失処理します。

貸方:貸倒損失 借方:売掛金

 

売掛金が時効を迎えないように元帳で管理を

売掛金が発生しているのに、回収するよりも前に取引先が倒産してしまえば損失を抱えることになってしまいます。

ただ、破綻しなくても、資金繰り悪化や経営不振などで売掛金を入金してもらえなくなることも考えられます。

売掛金は売掛債権という権利の1つであるため、回収せず放置していればいずれは消滅時効を迎え請求できなくなってしまいます。

すでに商品やサービスは納品を提供済という状況で、代金を支払ってもらえなくなるのは理不尽に感じることでしょう。

しかし2020年4月1日以降の売掛金は5年を過ぎれば取引先から時効を主張され、売掛金は消滅してしまいます。

請求する権利を失わないように、契約書や発注書など証拠書類は必ず残しておき、支払ってもらえるように催促を続けることが必要です。

貸倒損失を発生させないためにも、売掛金元帳を活用し適切な売掛金管理を行っていくようにしてください。

 

まとめ

売掛金が発生すると、わざわざ補助簿である売掛金元帳にまで記帳するべきか…と迷う方もいるようです。しかし売掛金がいつ発生するのか、入金される期日などは取引ごと、そして取引先ごとに違います。

総勘定元帳でそれらを把握することは難しいため、売掛金元帳を記帳しておきいつ・どの売掛金が発生したのか、回収予定や未回収のまま残っている金額など管理していくようにしましょう。

売掛金は未回収のまま、放置していればいずれ時効を迎え消滅してしまいます。

日々の業務に追われ回収は後回しという状態が続けば、売掛金が発生していることすら忘れてしまい、時効期間が経過してしまう可能性も否定できません。

時効を過ぎれば回収できなくなるため、いくら売上や利益が上がっていても手元のお金は増えず、資金繰りは悪化することになるでしょう。

安定した経営には取引先に適切に請求を行い、遅れなく回収することが必要です。

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