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経営者が考えるべきこと|資金繰りと資金調達と節税の関係性

資金繰り2018/07/12

経営者は少しでも会社から出ていくお金を少なくしよう、と考えます。そこで考えてしまうのが「節税」です。確かに節税を行えば、税金として会社から出ていくお金は少なくなります。だからといって資金繰りが改善するとは限りません。かえって資金繰りが悪化する、ということもあり得るのです。

さらに節税を実施すると資金調達のネックになってしまうこともあります。

会社として節税するのは当たり前、と思っている方がほとんどでしょう。しかし度が過ぎた節税は経営を圧迫し、さらに今後の資金繰りにまで影響を与えてしまうわけです。

今回は節税が資金繰りや資金調達にどのような影響をあたえるのかを徹底解説します。

 

節税が資金繰りに与える影響|経費の増大がキャッシュフローを悪化させる

・節税するということはキャッシュが出ていくということ

節税には様々な方法がありますが、一般的なものは経費を増大させる、というものでしょう。大きな利益が出た場合には、設備投資などを実行して経費を増大させ税金として出ていくお金を少なくするのです。

そこで問題になってくるのがキャッシュフローです。
確かに経費を増大させれば、税金の季節に出ていくお金は少なくなります。しかし経費としてキャッシュが出ていっていることは間違いありません。税金の支払額が減ったとしても、現金が会社から減っているわけです。

節税をしないで決算へ向かえば1億円の当期純利益になるとします。法人税を35%だとすると、3,500万円が法人税として税金の季節に支うことになるのです。
一方で、節税をしよう、ということで経費を1億円プラスしたとします。
経費が1億円増大すれば、当期純利益はなくなります。0円となるので、法人税はかかってきません。そもそも法人税は利益に対してかかってくるものなのです。

ここで考えてみましょう。通常の法人税を支払った場合には、会社から3,500万円の資金が出ていきます。一方で今回のケースだと、1億円が会社から出ていくことになります。要は、6,500万円も余計に会社からキャッシュが出ていっていることになるわけです。本来であれば、6,500万円のキャッシュがあるはずなのに節税をおこなったことで資金繰りが悪化してしまいます。

もちろん今回は単純にするために経費分の利益は加味していません。経費の中には広告宣伝費なども含まれています。宣伝に力を入れることで売上が増加し、利益が増える、ということもあるかもしれません。しかし経費を発生させることで売上がアップする、ということ自体が不確定要素なのです。必ずしも経費が利益につながってくるとは限りません。そもそも税期の季節までに、経費の支払い分の利益を獲得しているとは限りません。もっと時間がかかることもあるでしょう。

節税ばかりに目がいってしまうと、キャッシュフローという会社にとって大事なものを見落としてしまうことにもなりかねません。

節税を否定しているのではありません。節税するのであれば、資金繰りにも注意を払う必要があるのです。

 

節税が資金繰りに与える影響|減価償却されると節税効果は半減することも

節税のために設備投資をする方もいるでしょう。
しかし設備のような高額の支出に関しては、一括して経費として計上できないこともあるのです。工場のマシーンであるとか、土地や建物といった設備に資金を利用することで経費が計上できるわけですが、単年で処理できるわけではありません。5年間や10年間に渡って徐々に償却していくことになるのです。

例えば10億円の不動産を購入したとします。耐用年数を10年とすると、1年間あたりの減価償却費は1億円となります。要は翌年の税金の季節の節税効果は1億円しかありません。10億円の資金が出ているというのに、翌年の節税効果はたったの1億円です。これでは節税をしたとしても、資金繰りが悪化する原因になってしまいかねません。

経費の中には減価償却の対象となるものも少なくありません。金額によっても単年計上ではなく複数年計上となるケースも有るわけです。

もちろん減価償却には複数年に渡っての節税効果につながることもあります。節税効果はないとは言えません。しかし翌年の税金を減らしたい、というのに複数年の減価償却対象になってしまえば、思ったような節税をされない事態になってしまうわけです。

 

節税が資金調達に与える影響|融資の審査が不利になってしまう可能性あり

・節税は黒字を縮小させるものである

融資を行っている銀行やノンバンクなどの金融機関ですが、企業を審査して貸し出すかを決めているのです。審査に関しては、基本的に決算書が重視されることになります。

決算書で金融機関が重視してくるのが、【黒字であるか?】【赤字であるか?】という部分です。さらに黒字であれば【どれだけの金額の利益が出ているのか?】、赤字であれば【どれだけの金額の損失が出ているのか?】という部分もチェックされます。

決算書で金融機関は返済能力を確かめてくるのです。黒字であれば、返済能力がある、ということになります。利益が3,000万円出ているのであれば、年間の返済能力は3,000万円、と判断してくるのです。

では節税をした場合にはどうなるでしょうか?
節税をする、ということは資金調達の審査にどのような影響を与えるのでしょうか?

節税をするということは、利益を減らすことになるわけです。経費をより多く計上することになり、当期純利益の発生額を抑制させるわけです。

金融機関は決算書を見ても、「節税のために経費をより多く計上している」ということに気づかないことがあります。節税をしてしまえば、企業を過小評価されてしまう可能性が出てくるのです。

経費をより多く計上すれば、赤字に転落してしまうかもしれません。黒字であったとしても利益が縮小してしまいます。
貸し出せたとしても少額のみ、と金融機関に判断されてしまうかもしれないのです。

仮に資金調達ができなくなってしまえば、会社の資金が枯渇する可能性も捨てきれません。資金がショートしそうな時に資金調達ができなければ、不渡りを出してしまいます。不渡りを出してしまえば、銀行から取引停止にされてしまいます。事実上の倒産となってしまうのです。

節税は気軽に行うものではありません。節税をしたことにより、どのような影響を受けるのかをシミュレーションしておかなければなりません。自社の経営基盤で耐えられるようなケースであれば、節税をしても問題はありません。しかし無謀であるとわかったのであれば、節税は一時棚上げしましょう。節税は企業として体力がついてからでも遅くはありません。

 

まとめ

・節税はキャッシュフローを悪化させる可能性あり
・節税の効果は限定的になることもある
・節税の影響で資金調達の審査が不利になる可能性あり

節税にもいくつかのリスクがあります。
特に中小企業などの経営基盤の弱い会社であれば、ちょっとした節税対策でも大きな影響が出てきてしまう可能性があるのです。

節税に興味がある企業は多いはずです。実際に多くの企業が様々な節税を実施しています。しかしリスクを把握しないまま行ってしまえば、窮地に陥ってしまうかもしれません。節税を行うことで資金がショートしてしまえば本末転倒も良いところです。

節税をするのであれば、行ったらどうなるのかをシミュレーションしてください。特に行ってほしいのが、長期的な資金繰り表の作成です。節税をしたことにより、会社の資金がどのように変化していくのかを把握しましょう。問題がなければ実施すれば良いのです。

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