独立開業してから、多くの企業が頭を悩ませているのが資金繰りです。資金が底をついてしまい、途方にくれている経営者の方も多くなっているわけです。
独立後特に1年目や2年目までは倒産率も極めて高くなっており、資金がショートするケースも少なくありません。ではどのようにして独立後の窮地を脱していけばよいのでしょうか?
こちらでは独立後1年目から2年目までの厳しい時期を乗り切るための方法をお伝えします。資金繰り中心の対応策となるので、現状で資金難に陥っている方や将来的な資金難に備えたい方は必見です。
目次
現金の出入りを正確に把握すること
原因が不足してしまえば商品を仕入れることもできません。利益を得るための経済活動ができなくなってしまうのです。よって現金がなくならないような経営をしなければなりません。
そこで注目すべきなのが、現金の出入りを正確に把握していく、というところです。資金繰り「が悪化するのか」それとも「大丈夫なのか」という部分ですが、正確な現金の出入りを把握していなければそもそも予測ができません。仮に予測したとしても、不確かな内容になってしまうのです。
では現金の出入りを正確に把握するためにはどうしたら良いのでしょうか?
・資金繰り表を毎月作成する
資金繰り表の作成は面倒に感じてしまうかもしれません。しかし難しいものではありません。月々どのようなものに現金が出ていき、売上でどの程度現金が入ってくるのか、ということを記すわけです。
資金繰り表を毎月作成することで、毎月どの程度の現金が入ってくるのかがわかります。そしてどれだけの現金が出ていくのかもわかります。要は予測的な資金繰り表を作成する時に参考になるわけです。
売上の急激な変動や売上回収の長期化に注意をすること
・急激な売上の上昇は資金繰りの悪化につながる
売上がアップしているからといって、足元を見ずに前に進み過ぎてしまうのはかなり危険です。売上のアップですが、実は大きな問題をはらんでいるのです。
「売上がアップしたら入金額が増えるので良いのではないか?」
上記のように思うかもしれません。しかし入金額が増えるだけではありません。売上がアップするということはコストも上昇をしているのです。
例えば販売業のケースで売上が多くなれば、商品の仕入れコストも上昇してしまいます。業務も多くなるので、スタッフを雇わなければならないかもしれません。人件費も余計にかかってくるでしょう。さらに売上をアップさせるために広告宣伝費を今まで以上にかけているかもしれません。オフィスや店舗を増やしているケースもあるでしょう。
このように売上がアップするということは、出ていくお金も増える、ということなのです。
対応策としては「急激な売上のアップを避ける」というものです。徐々に売上がアップしていくのであれば、企業としての体力も徐々についてくるので問題ありません。しかし急激なアップには耐えられない可能性が高いわけです。
売上がアップしている時には猪突猛進にならないでください。資金繰りなども考え、自社の体力にあった堅実な経営を心がけるべきです。
・売上債権の回収期間を短くする
独立後に見落としてしまいがちなのが売上債権の回収機関です。資金繰りの悪化に直結してくる可能性がある項目なので注意しなければなりません。
売上債権の回収機関ですが、基本的には1ヶ月間から2ヶ月間となっています。企業間取引は掛け取引となっており、売掛金で対応することになります。その売掛金の回収期間が1ヶ月から2ヶ月程度なのです。
仮に回収期間が3ヶ月や4ヶ月となってしまうと、それだけ入金が先になります。本来であれば1ヶ月後に入金されるものが4ヶ月後になってしまえば、約3ヶ月間はその資金を利用できない状況となります。
見落としてしまいがちなのが、回収期間がすでに過ぎている、というケースです。要は回収活動に力を入れていない企業が多いのです。回収活動に力を入れなければ、回収できるものもできません。先延ばしにしてしまえば、その間に取引先が破綻をして貸し倒れてしまうかもしれないのです。
掛け取引は信用で取引をしている部分もあるので注意しなければなりません。定期的に取引先の経営状態をチェックする、ということも大事です。
運転資金不足対策は早期に実施すること
・将来のキャッシュフロー予測により運転資金不足が明らかとなったらすぐに対策
将来の資金繰り予測を実施したところ、キャッシュフローに問題が発見できることもあります。3ヶ月後や4ヶ月後に運転資金が枯渇する、というようなこともあり得るわけです。
企業の資金の中でも特に重要なのが運転資金です。設備投資資金であれば、ある程度までは先延ばししても問題はありません。機械設備等は多少古くなったとしても利用し続けられます。しかし運転資金が枯渇してしまうと、今までどおりの業務ができません。商品が仕入れられなくなってしまうかもしれないのです。
運転資金不足が発覚した場合には、早急な対策を行ってください。独立直後であったとしても資金調達できる方法はいくつもあります。
・出資を受ける
・親族や知人から借り入れを行う
・日本政策金融公庫の制度融資を利用する
・地方自治体で実施している信用保証協会付きの創業融資を利用する
独立直後であっても、上記の方法であれば資金調達ができるわけです。銀行からの融資であるとかノンバンクからの融資に関しては、必要書類として決算書2期分などが求められます。要は、独立開業直後は利用できないのです。だからこそ独立直後の資金調達は難しくなるのですが、いくつかの方法があるのでそれらを有効活用してください。
注意してほしいのが、出資にしても日本政策金融公庫にしても信用保証協会付きの創業融資にしても、資金調達までには一定期間かかる、というものです。1ヶ月から2ヶ月程度もかかってしまいます。
だからこそ資金調達をするのであれば、少しでも早く、となるわけです。キャッシュフロー予測もこまめに行わなければなりません。少なくても3ヶ月先まではキャッシュフローを予測しておきましょう。
独立前に自己資金を確保しておくこと
独立前のことになってしまいますが、とにかく自己資金が極めて重要になります。自己資金をある程度は確保しておかなければ、独立後の資金繰りの悪化に密接につながってしまうのです。
業種によってもどれだけの資金調達をすれば良いかは異なってくるでしょう。まずは自身のビジネスプランを行うに当たり、どれだけの資金が最低限必要になってくるかをシミュレーションしてください。
もちろん全額自己資金のみで独立しろと言っているのではありません。しかし最低限度の資金は必要になるのです。
・自己資金確保の注意点2つ
①売上の回収までのコストを見落としてしまう
②自己資金の額によって資金調達の成功率が変わってくる
【①売上回収までのコストについて】
よくありがちなのが、開業にかかるコストに関してはしっかりと把握しているのです。オフィスの契約費用であったりホームページの作成費用であったり、さらには備品などにかかる費用などは確保しているでしょう。
問題となってくるのが開業した後です。開業後は売上でまかなえると思っていませんか?確かに売上でまかなえる部分はあるのですが、そもそも入金までには時間がかかります。よって開業してから2ヶ月程度は現金が入ってこない状況になるわけです。
自己資金は少なくても「開業資金+2ヶ月から3ヶ月分の運転資金」が必須となる点は覚えておきましょう。
【②資金調達を左右する自己資金】
自己資金ですが、創業融資に深く関わっていることは理解しておきましょう。
実は自己資金割合が審査のポイントの一つになってくるのです。
例えば100万円の自己資金を持って独立したケースと1,000万円の自己資金を持って独立したケースでは調達額も変わってきてしまいます。もちろん1,000万円を用意したほうがより多くの資金調達ができるのです。
独立後に比較的大きな資金調達をしたいと考えているのであれば、自己資金はしっかりと用意しておかなければなりません。
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