売掛金とは売掛債権の1つ!遅れることなく回収するための方法とは

2020/03/23
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企業経営において、商取引で発生する売掛金の管理はとても大切なことです。売掛金は売掛債権と呼ばれる権利のうちの1つですが、未収入金との区別が明確にできていない場合もあるようです。

そこで、売掛金とは売掛債権の中でもどのような性質を持つ権利なのか、適切に管理をする上で知っておかなければならないことをお伝えしていきます。

 

そもそも売掛債権や売掛金とは?

売掛債権とは、企業が行う商品・サービスの販売・提供といった営業活動で発生した売上代金のうち、未回収分請求する権利です。

日本の商取引では掛け売りが基本となっていますが、取引の都度現金を取り扱い行えば事務手続きは煩雑化し、ミスなども多く発生する可能性が高まります。

そのため一定期間分の取引分は、後日まとめて請求を行い回収するという掛け売りが一般的です。

売掛債権は、このときに発生する未回収の代金であり、会計処理上は売掛金という勘定科目を用いて処理を行います。

 

売掛金とは

商品・サービスを販売・提供したとき、後払いで支払ってもらう代金のことを指しています。

ツケによる支払いなどが該当し、1か月分の取引を月末に締め、翌月や翌々月に入金してもらう場合の処理に用いる勘定科目です。

商品・サービスを販売・提供したときには売上が発生しますが、その代金を受け取っていないため相手科目を現金で処理することはできません。そこで、売掛金という勘定科目を用いて会計処理を行い、代金が入金されたときに振り替えて消す形となります。

売掛金が発生する企業間取引は、信用がなければ成り立ちません。後払いとして代金を受け取る形で取引を行ったのに、取引先が売掛金を支払わず逃げてしまう可能性もあるからです。

代金を支払いたくても、経営不振により売掛先が倒産してしまえば同様に代金は売掛債権として残ったままとなり、回収できなくなります。

そのため売掛金が発生する取引では、売掛先の財務状況や経営状態などの情報を常にキャッチし、このまま掛け取引を続けてよいのか管理していくことが大切です。

 

もう1つの売掛債権である受取手形とは

売掛債権と呼ばれるものは売掛金以外にも受取手形があります。

手形とは、所定の期日までに支払いを行うことを書面上で約束した証書です。振り出された手形が期日に当座預金の残高不足で決済ができなかった場合など、不渡りとなってしまいます。

この不渡りを6か月の間に2回以上出せば、銀行取引停止処分となり事実上、倒産とされてしまうことが特徴です。

そのため手形を振り出した相手は、何としても期日に決済を完了させようとするため、売掛金よりも代金が未回収となるリスクは抑えることができるとも考えられます。

ただし設定された期日が長期に渡る場合、それまで現金を受け取ることができませんので資金繰りが悪化しやすくなってしまう点には注意が必要といえます。

 

未収入金と売掛金の違いは?

売掛金は未回収の代金ですが、未収入金と何が違うのでしょう。

未収入金は主に商品・サービスの販売・提供といった営業で発生する債権ではなく、不要になった不動産や備品などの資産を売却したけれどまだ回収できていない代金や、本業とは関係のない賃貸物件の家賃などの未回収分などを指しています。

後日代金を受け取ることを可能とする点は売掛金と変わりませんが、本業で発生した未回収の代金かという違いがあると認識しておきましょう。

 

売掛金管理で気にしておきたい売掛債権回転期間とは?

売掛金は後日代金を受け取る権利ですので、入金されるまでの期日が長く設定されてしまうとそれまでの支払いに充てるお金が不足しがちとなります。

そのため適切な期日に設定されしっかり回収できているか知るために、売掛先ごとの売掛債権回転期間を確認しておきましょう。

売掛債権回転期間とは、商品・サービスを販売・提供した後で代金を回収するまでの期間を示します。

 

売掛債権回転期間の計算方法

 

売掛債権回転期間は、

売掛債権回転日数=(売掛金+受取手形)÷(売上高 ÷ 365日)
売掛債権回転月数=(売掛金+受取手形)÷(売上高 ÷ 12ヶ月)

という計算式で算出できます。

 

売掛債権回転期間が短ければ早くお金を回収できているので、資金繰りも悪化しにくいといえるでしょう。

反対に期間が長い場合には、たとえ売上は多くあがっていてもお金を受け取るまでに時間がかかるため、利益は出ているのに手元のお金が少ない状態となります。

場合によっては黒字倒産を引き起こす可能性もありますので注意が必要となるでしょう。

 

業種別の売掛債権回転期間の目安

では、適切な売掛債権回転期間となっているかどのように判断すればよいのでしょう。

期間の目安は業種ごとに異なりますが、主に製造業や卸売業などは長めであり、現金商売がメインである飲食業や宿泊業などは短期となっています。

 

業種ごとの売掛債権回転期間(日)は次のとおりです。

  • ・製造業 66.7
  • ・卸売業 56.8
  • ・情報通信業 52.0
  • ・建設業 46.3
  • ・運輸業 43.0
  • ・サービス業 32.5
  • ・小売業 20.3
  • ・不動産業 4.2
  • ・飲食・宿泊業 3.0

 

この目安となる期間よりも数値が大きい場合には、管理を適切に行わなければたちまち資金繰りが悪化してしまう可能性があります。新規で取引を行う相手と支払い期日を決める場合には、この目安となる期間より数値が小さくなるように意識して交渉するようにしましょう。

 

売掛金を放置していれば時効を迎えてしまう?

売掛債権のうち売掛金には時効期間が設けられていますので、未回収なのに放置していればいずれ請求できなくなってしまいますので放置しないようにしてください。

消滅時効については民法や商法に規定が設けられており、民法上の一般的な債権の消滅時効は10年です。しかし売掛金の場合、商法における商事債権として5年に短縮されます。

その上、商法よりも短い時効期間が他の法律で規定されている場合はその法律を優先するとされており、民法により区別されている短期消滅時効の対象となればさらに期間が短縮されてしまいます。

民法では現在、取り扱う商品・サービスなど債権の種類によって異なる時効期間を設けているため、主な時効期間を確認しておきましょう。

  • ・医師の診療報酬など3年(民法170条)
  • ・工事の設計・施工等の工事代金の債権など3年(民法170条)
  • ・弁護士報酬など2年(民法172条)
  • ・商品売買代金の債権など2年(民法173条)
  • ・運送代・宿泊代・飲食代など1年(民法170条)

 

時効の起算点はいつから?

起算点とは、いつから時効期間が開始されるのかをあらわしますが、法的には初日不算入の原則に従うこととなります。

初日不算入とは初日は含まず期間を数えることを意味しますので、支払期日の翌日から時効期間が開始すると考えましょう。

 

時効は中断することもできる

時効が成立してしまえば、発生している売掛金を回収することはできなくなります。売掛債権としての機能は失い、大きな損失を抱えることとなるでしょう。

そのため、時効を迎えそうな場合には一旦中断させる手続きを行ってください。時効を中断させる方法は、主に次の3つです。

 

債務の承認

売掛先に債務が発生していることを認めてもらうことにより時効を中断できます。

承認の証拠としては、債務の承認・支払い猶予の依頼・分割による支払い依頼など、具体的な内容を文書やメールまたは録音によるデータなどで取得しておきましょう。

 

裁判上の請求

裁判所に行う訴訟手続きであり、弁護士に対する報酬などが発生しますが、確実に時効は中断されます。

 

差押え・仮差押え・仮処分

売掛先に売掛金の支払いを命じる判決や公正証書を得ることによって、預金などを差押えるといった強制執行が可能となります。

 

時効は2020年4月から変わる!

120年ぶりに民法が大改正されたことによって、2020年4月からは新たな法律が施行されることとなります。それによって売掛金の消滅時効の期間も変わるため、これまでと違った扱いになると認識しておきましょう。

改正民法では、商法で5年と決められていた商事債権時効と民法の短期消滅時効は廃止となり、

  • ・債権者が権利を行使できることを知ってから5年間行使しないとき
  • ・債権者が権利を行使できるときから10年間行使しないとき

どちらか早い時効期間が適用となります。

これまでのように業種によって消滅時効までの期間が異なることはなく、業種に関係なく原則として5年に統一されます。

改正民法は2020年4月1日に施行されますので、この日よりも前に発生した売掛金などの売掛債権は改正以前の民法による法律が適用される点には注意してください。同日以降に発生した売掛金には、改正民法による法律が適用されます。

 

売掛債権の未回収を防ぐために

売掛金などの売掛債権を未回収のままうっかり放置してしまわないために、適切に発生している売掛金と回収分について管理することが大切です。

そもそも売掛金は売上に対する代金なので、回収できなければいくら売上が伸びていても意味がありません。

適切に売掛金を回収し、不良債権にしてしまわないためにどのような管理が必要なのか把握しておくようにしましょう。

 

まずは未回収が発生してしまう原因を知る

売掛金が未回収となる主な原因は、発生している売上に対する代金の請求漏れや、入金処理の遅延といったミスなどです。

他にも売掛先の資金繰りが悪化しており、支払いに充てるお金がなく後回しにされているというケースもあるでしょう。

この場合、自社の請求漏れや入金処理などのミスはなくすこと、支払いをしてもらえない売掛先には何度も催促を行うことが大切です。

 

売掛債権を管理するポイント

売掛金を適切に管理するためには、売掛先ごとに発生している売掛債権を一覧で把握できるようにしておきましょう。

売掛金が未回収、または遅延が発生している売掛先を把握しやすくなり、請求処理などがスムーズにできます。

もしも債権の遅延が発生している売掛先に何度請求しても支払ってもらえない場合、経営状況などを知った上で売掛金での取引内容を見直しましょう。

 

売掛金を回収するポイントは?

いざ遅延が発生している売掛債権を売掛先に請求しようと考えても、どのように行えばよいのか迷ってしまうものです。

そこでまずは、1か月に1度を基準に請求書を送り続けます。売掛先ごとに決められた締め日と支払日に従うこととなりますが、できるだけ早めに請求書を送っておくようにしましょう。

そして売掛先から入金があったか必ず毎日確認を行います。仮に入金があった場合にも、売掛債権の金額と合致しているか確認し、ズレが発生している場合には原因を突き止めることが必要です。

単に売掛先が請求金額の一部しか入金していないという場合や、まだ回収できていない売掛債権については、相手に督促を行うことが必要です。

電話や訪問などで連絡を取りながら請求し続けても、なお支払いがされないという場合には内容証明郵便を使って請求書を発送します。

内容証明郵便とは、郵便局で文書の内容・差出の日付・差出人・受取人などを公的に証明してくれる郵便のことです。配達証明を付けておけば、配達が完了され相手が請求書を受け取ったことも証明できます。

また、内容証明郵便という通常の郵便方法とは違った形で届けられることで、相手にも支払いを早く行わなければと意識させることができます。

さらに代金未払いの訴訟問題に発展した場合、請求を行っていたことを証明する材料にもなるためうまく活用しましょう。

 

流動化させることで資金調達できる

現在、経済産業省では中小企業が売掛債権を使って資金調達することを推奨しています。その方法として考えられるのが売掛債権流動化ですが、保有する売掛債権を第三者に譲渡して現金化する、または売掛債権を担保に融資を受けるという方法を指しています。

売掛債権は支払期日に相手から入金されなければ、現金を受け取ることはできない資産です。そのため売掛債権を流動化させることで資金を調達すれば、期日までの支払いに充てる資金不足を防ぐことが可能となります。

売掛債権を使った資金調達の方法には、主に次の2つがありますので内容を把握しておきましょう。

 

売掛債権担保融資(ABL)

売掛債権担保融資(ABL)とは、売掛債権を担保にして金融機関から融資を受けて資金調達する方法です。

どのくらいの資金を借りることができるか、設定される金利については、売掛債権の評価や企業の経営状況などにより異なります。

 

売掛債権担保融資で資金調達するメリット

  • ・売掛金が入金されるまでの支払期日を待たなくても現金を受け取ることが可能
  • ・売掛先から承諾を得る流れは不要
  • ・無担保で融資を受けるよりも低い金利が設定され審査も柔軟

 

売掛債権担保融資で資金調達するデメリット

  • ・融資を受けることができるのは売掛債権金額の範囲内
  • ・無担保融資よりも融資実行まで時間がかかる
  • ・手数料が発生することもある・法人のみ利用可能で個人は利用不可

 

売掛債権を譲渡して現金化するファクタリング

ファクタリングとは、保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡して期日よりも前に現金化させ、資金調達する方法です。

ファクタリングには2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがありますが、2社間ファクタリングを使えば売掛先に知られず売掛債権の譲渡が可能となります。

さらにファクタリング会社によっては、最短で即日現金化が可能となるため急な資金ニーズに対応しやすいことが特徴といえるでしょう。

 

ファクタリングで資金調達するメリット

  • ・資金調達可能となるまでの日数が短い
  • ・審査のハードルが低く個人でも利用可能のファクタリング会社も存在する
  • ・借金など負債を増やさず資金調達できるので決算書を汚さない

 

ファクタリングで資金調達するデメリット

  • ・3社間ファクタリングを利用する場合には売掛先に通知
  • ・承諾を得ることが必要
  • ・手数料がかかる
  • ・売掛債権の金額の範囲での資金調達にとどまる

 

売掛債権担保融資とファクタリングの使い分け

特に経営状況が悪化しているわけではなく、長期的に見れば資金繰りは改善されそうだという場合は売掛債権担保融資(ABL)を活用しましょう。

反対に資金繰りがすでに悪化している中で、まとまった資金が急いで必要という場面ではファクタリングのほうが利用しやすいといえます。

 

まとめ

売掛金とは売掛債権の1つであり、営業活動により発生した未回収の代金を請求する権利のことです。すでに売上として計上されている請求分であり、回収できなければ大きな損失を抱えることとなります。

売掛金が売掛債権として残ったまま、未回収の状態とならないためには適切な管理を行うことが必要です。

何度も売掛先に請求を行ったのに、支払ってもらえない場合には保有する売掛債権を流動化させることも検討しましょう。

なお、ファクタリングを資金調達に活用する場合には、正規で優良なファクタリング会社を選ぶことが大切です。悪徳業者も紛れ込んでいる業界ですので、法外な手数料を請求されないためにも安心・信頼できる業者を選ぶようにしてください。

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