法人を設立すれば、会社の登記簿謄本である履歴事項全部証明書の発行が可能となりますが、じつは所定の手数料を支払えば誰でも取得できます。
法人情報を知りたいという方なら誰でも取得可能な履歴事項全部証明書ですが、会社ではどのようなときに取得するのか、どのような情報が記載されているのか把握しておきましょう。
目次
法人で履歴事項全部証明書など登記簿謄本を必要とする場面
法人が履歴事項全部証明書など、登記簿謄本を取得しなければならなくなる場面は主に次のようなときが多いといえます。
登記されている内容を変更するとき
法人が登記簿謄本を取得するケースとは、まず登記されている内容を変更するときです。
たとえば役員が交代したときや、新しく事業展開する上で事業の目的を追加するとき、他にも発行可能株式を変更するときなどが該当します。
変更する上でどの部分をどのように換えるのか確認が必要ですが、登記手続き中は確認できなくなるため、前もって取得しておくことが必要です。
法人決算を行うとき
法人が決算申告する際、登記簿謄本は添付しなければならないわけではありません。ただ、申請手続きを税理士に依頼する場合には、資本金や発行可能株式数など確認するため、取得を依頼されることがあります。
金融機関から融資を受けて資金調達するとき
銀行などの金融機関などから融資を受けて資金調達するときには、様々な書類を提出するように求められます。
その書類の1つが法人の登記簿謄本で、会社の申告している情報の照合や役員の入れ替わりなどを確認することが目的です。
補助金など申請するとき
国の補助金の申請手続きでも様々な書類が必要となりますが、その1つとして登記簿謄本も含まれます。
その他の確認などで必要に
法人が実在しているか確認・証明するため、または法人相手の訴訟を起こすときにも登記簿謄本を取得することがあります。
履歴事項全部証明書だけじゃない!法人登記簿謄本の種類
法人の登記簿謄本には、履歴事項全部証明書・現在事項全部証明書・代表者事項証明書の3種類があります。
履歴事項証明書には、現在有効な事項だけでなく、過去の役員・商号などの履歴も記載されます。
現在事項証明書には現在有効な事項が記載され、代表者事項証明書は代表者に関する事項だけが記載されることが特徴です。
法人の現在事項証明書の特徴
法人の現在事項証明書には、一部例外事項を除き現在の登記されている事項が記載されます。
履歴事項証明書のように過去の情報まで記載されないため、現在の情報だけ確認する上では把握しやすさがメリットです。
たとえば株式会社の「役員区」など変更の多い事項は、履歴事項証明書を取得してしまうと現在の情報が確認しにくくなるため、現在事項証明書を取得するとスムーズに今の役員を把握できます。
法人の履歴事項証明書の特徴
履歴事項証明書には、現在事項証明書と代表者事項証明書に記載される事項がすべて記載されます。
もし銀行など金融機関や税務署などから法人の登記簿謄本を提出するように求められているのなら、履歴事項証明書を取得しておくと不足はありません。
不動産登記の申請書に添付する、代理権限証明情報や住所証明情報などの書類として使うときも履歴事項証明書で対応すると不備が少なくなります。
閉鎖事項証明書を必要とする場面も
履歴事項証明書には過去の情報も記載されますが、記載のない登記事項は閉鎖されている状態です。
そこで、履歴事項証明書に記載されない過去の登記事項を確認・証明するときには、閉鎖事項証明書を取得しましょう。
法人の登記の記録そのものが閉鎖されることもありますが、たとえば会社を解散・清算結了したときや吸収合併されたとき、他の管轄の法務局に本店を移転したときや商号変更・組織変更したときなどが該当します。
閉鎖された法人の登記の記録を必要とする場合にも閉鎖事項証明書を取得してください。
法人の代表者事項証明書の特徴
代表者事項証明書に記載される項目は、
- ・会社法人等番号
- ・商号
- ・本店
- ・代表者の住所
- ・代表者の氏名
- ・肩書き(代表取締役・清算人・代表社員等)
となっており、限定された項目を証明するときに使います。
たとえば不動産登記の申請手続きを行うとき、履歴事項証明書ではなく代表者事項証明書で代理権限証明情報として添付することもあります。
全部事項証明書と一部事項証明書という区分
法人の登記事項を証明する登記簿謄本ですが、全部事項証明書と一部事項証明書の区分も知っておきましょう。
先に述べた現在事項証明書・履歴事項証明書などは時系列によって記載される事項が違ってきますが、区を基準としたのが全部事項証明書と一部事項証明書の区分です。
全部事項証明書ではすべての事項が記載されていますが、一部事項証明書では商号区・会社状態区・請求した区に限定して記載されます。
法人の登記簿謄本を請求すると、時系列の現在事項証明書・履歴事項証明書・閉鎖事項証明書の種類と、区を基準とした全部事項証明書と一部事項証明書の種類を組み合わせ発行されます。
たとえば、時系列でみた履歴事項証明書と区でみた全部事項証明書であれば、履歴事項全部証明書を取得するという形です。
法人の履歴事項全部証明書を取得するには?
先に述べたとおり、法人の登記事項証明書・登記簿謄本などは誰でも取得できます。その際、所定の手数料を納め交付を請求することになりますが、商業・法人登記情報交換システムで最寄りの登記所から他の登記所が管轄である会社のものでも取得可能です。
コンピュータ管理されていない登記簿謄本などは、会社の本店または支店の所在地を管轄している登記所でなければ取得できませんので注意してください。
法人の登記簿謄本は申請書に、会社の商号・本店(法人名称・事務所)を記載し、所定の手数料相当額の収入印紙を貼り登記所窓口に提出します。
なお、登記所窓口に設置されている証明書発行請求機で申請書を作成することも可能です。
法人の印鑑証明書を必要とする場合
法人の印鑑証明書が必要という場合には、会社の代表者などが所定の手数料を納め交付を請求します。
申請書に会社の商号・本店(法人名称・事務所)・印鑑提出者の資格・氏名・出生年月日・印鑑カード番号を記載し、所定の手数料相当額の収入印紙を貼って、印鑑カードを添え登記所窓口に提出しましょう。
代理人による請求も可能ですし、郵便で交付請求もできますが、いずれにしても印鑑カードの提出は必須となります。
印鑑証明書は印鑑カードを交付しておいてもらうことが必要ですが、印鑑カードの交付請求は所定の申請手続きを行っておく必要があります。
申請書は登記所窓口や法務局ホームページから取得できますし、登記所窓口に設置されている証明書発行請求機で申請書を作成することも可能です。
まとめ
法人が履歴事項全部証明書を取得するタイミングはいろいろありますが、登記簿謄本にはいくつか種類があるため、目的などに応じて有効なものを選びましょう。
履歴事項全部証明書では、過去の情報などもすべて記載されますので、不動産登記や銀行融資などの場面でも有効です。
しかし過去の情報が記載されていることで、現在の事項が確認しにくくなることもあるため、やはり登記簿謄本を提出する先や使用目的などに合わせて選ぶべきです。
迷ったときには、提出先にどの種類の登記簿謄本が必要になるか確認しておくと不備を防ぎ、後で再取得・提出するといった手間を省くことができます。
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