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日本政策金融公庫から融資を受けるときの事業計画書の作成方法

事業資金2021/02/01

日本政策金融公庫の創業融資制度とは、起業するときの資金を貸してくれる制度ですが、融資を受けるときには事業計画を立てておくことが必要です。

そもそも日本政策金融公庫とは、国が100%出資・運営している公的な金融機関のため、民間銀行から融資を受けにくい創業時でも事業計画書を提出し、返済資金を事業により生むことが証明できればお金を貸してもらえます。

そこで、日本政策金融公庫の創業融資で必要となる事業計画書の書き方や、そもそもどのような制度か徹底解説していきます。

 

日本政策金融公庫からであれば融資は受けやすい?

これまで会社勤務のサラリーマンだった方が独立・開業するときなど、資金をどのように調達するか迷うことも少なくありません。

もちろん、手元の資金だけで開業し、当面の運転資金も準備できれば問題ないでしょう。

しかしそのハードルは低いとはいえず、多くの場合何らかの方法で資金調達することが必要となります。

国や自治体の助成金や補助金で事業運営に必要な資金を調達できれば、返済計画をたてなくてもそもそも返す必要のないお金を手に入れることができます。

しかし募集時期や要件に該当しなければ利用できず、結果として融資などによる資金調達を検討することとなるでしょう。

銀行など民間の金融機関の場合、実績がなく信用力が低いとみなした場合には資金の貸し付けは行いませんので、創業や起業のための資金を積極的に融資するとはいえません

しかし日本政策金融公庫は、預金という機能を持たず個人事業主や中小企業への貸し付けを積極的に行っています

 

日本政策金融公庫の新創業融資制度の特徴

そもそも日本政策金融公庫は公的な金融機関のため、国の政策で産業を生み育てることを目的に運営しています。

起業家にも積極的に融資を行ってくれることがメリットであり、その制度の1つが新創業融資制度です。

具体的に日本政策金融公庫の新創業融資制度は次のような特徴があります。

 

担保・保証人は原則不要

原則、無担保・無保証人の融資制度であることが特徴であり、代表者個人に責任が及ぶことのないことがメリットです。

法人であれば代表者が連帯保証人になることで、利率が0.1%低減されるなど安く融資を受けることができることもメリットといえます。

 

自己資金割合要件が緩め

起業の際に融資を受ける場合、その多くは一定の自己資金割合を求められることになります。起業しようとする経営者の姿勢を確認し、金銭を貸し付けることの安全性を評価するためといえます。

自己資金の割合は、

自己資金割合=自己資金÷全体の創業資金(融資・助成金など含む)

で判断され、自治体などの制度融資では2分の1自己資金を保有していることが必要です。

しかし日本政策金融公庫の新創業融資制度は10分の1以上の自己資金を保有していればよく、手元の資金が少なくても大きな金額の融資を受けることができます。

 

融資実行まで比較的早め

創業・起業するときは、融資が実行されるタイミングやスピードがとても大切ですので、申し込みから実行されるまでの時間は重要です。

民間の金融機関や自治体から融資を受けるとき、審査に2~3か月かかることが多いのに対し、日本政策金融公庫の新創業融資制度なら1か月半で融資実行に至ることができます。

 

日本政策金融公庫から融資を受けるときは事業計画書が必要

日本政策金融公庫の新創業融資制度は、融資限度額が3千万円(運転資金は1千500万円)まで資金を借りることができます。

担保も保証人も不要となっているため、創業や起業のタイミングでの資金調達にも安心して利用しやすいことが特徴です。

ただし融資を受けるときには事業計画書を作成することが必要となっていますが、これはソーシャルビジネスが利益追求より社会課題解決に重点を置いているため、十分に収益確保できず活動不能とならないためにも大切なことです。

 

事業計画書を作成するとき記入する項目

事業計画書を作成する上で必要な記入項目は、

 

  • ・創業の動機
  • ・経営者の略歴
  • ・取り扱う商品(サービス)
  • ・取引先や取引関係
  • ・従業員
  • ・現在の借入の状況
  • ・必要な資金と調達方法
  • ・事業の見通し

 

などです。

一般的にすでに創業している会社が融資を受ける場合には、直近数期分の決算書を提出しますが、そこから経営状況や今後の事業の見通しなどを確認されます。

しかし創業や起業のタイミングでは決算書など過去の実績を証明する書類の提出はできません。

そこで、これから始める事業がどのように推移するのかを示す事業計画書が必要となります。

 

事業計画書に記載していく内容

事業計画書には、実績ではなく起業する代表者の創業に至った動機、業種経験といった個人的な資質も記載します。

さらに販売する商品や提供するサービスの内容や見込みの取引先、資金計画などの客観的に準備ができていると判断される内容の記載が必要です。

融資を受けても事業を順調に展開し、借りたお金は返済できることをアピールできる内容を記載していきましょう。

 

日本政策金融公庫の融資審査で重視されることは?

融資審査では、

 

  • ・創業する事業の経験
  • ・自己資金と借入のバランス
  • ・無理なく返済可能か

 

などが重視されることとなり、3つの要素を組み合わせ融資の可否を決めていくこととなるでしょう。

融資窓口で担当者に口頭で説明するときの資料としても活用できますので、時間をかけて丁寧に作成していくことが必要です。

 

日本政策金融公庫の融資担当者にアピールできる事業計画書の作成方法

事業計画書は、これから始める事業の思い描いた内容をいかにして実現させるかあらわすことがポイントです。

日本政策金融公庫の融資担当者や事業を運営する上で協力してくれる方たちに説明するときに必要となります。

説明の必要がない場合でも、思い描く事業は本当に実現できるか確認する意味でも作成は必要です。

何度か見直しながら書き直すことで、本当に何をやりたいのか、事業を成功させることができるか見込みなど明確にすることができるでしょう。

そこで事業計画書を作成するときには、次の項目を考えてみるようにしてください。

 

全体の構想や事業のイメージ

創業動機・事業目的・将来的なビジョンなどを踏まえ、何を目的としてやりたいことを明確化していきましょう。

事業への熱意や考え方、将来的な事業展開などを記載していき、市場性の調査や事業の市場規模、将来性や事業を取り巻く環境などの裏付けとします。

 

具体的な事業内容

販売する商品や提供するサービスの他、強みとなる技術や提供方法の特徴、対象となる顧客ニーズにどのくらい合致しているかわかりやすく説明していきます。

 

販売計画

販売計画は経営戦略で重要な部分のため、綿密に検討するようにしてください。

検討する項目は次のとおりです。

 

  • ・だれが…必要な売上高を確保するため従業員は必要か、家族のみでよいかなど
  • ・だれに…顧客となるターゲット層
  • ・何を…取り扱う商品や提供するサービス
  • ・どのように…販売方法
  • ・どこで…ターゲット層にあった立地や業種か、立地条件に合った商品か、販売方法など
  • ・販売条件は…現金決済か掛け売りかなどの条件
  • ・時間は…営業する時間

 

なお、製造業など受注先が特定できるときには次の項目も検討しておきます。

 

  • ・取引相手が信用できる企業か
  • ・継続した受注確保が可能か
  • ・保有する技術にあっているか
  • ・掛け売りで取引する場合はその回収条件

 

仕入計画

仕入れ計画は、販売により売上や利益を左右する大切な項目のため、次の項目をしっかり検討していきます。

 

  • ・何を…売れ筋商品や販売戦略に沿う商品確保が可能か
  • ・どこから…必要な時期に必要な商品を安定供給できる仕入先の確保
  • ・どのような条件で…現金取引か買掛や手形払いは可能か、さらに支払いサイトなど
  • ・計画的に…過剰在庫を出さない計画的な仕入れ

 

創業のときの資金計画

必ずしも希望した金額を資金調達できるとは限らないため、中古設備購入やリース活用なども想定しておくようにします。

 

資金計画

創業・起業するにあたり、どのくらい資金を必要とし、どのように調達するのかを検討が必要です。

必要となるすべての資金と調達方法についてまとめていきましょう。

 

必要な資金

  • ・設備資金の内訳…店舗、工場、機械、備品、車両など
  • ・運転資金の内訳…商品仕入、経費支払資金など

 

調達の方法

自己資金と日本政策金融公庫 国民生活事業からの借入・その他からの借入とその内訳・返済方法などの記載とそれぞれの調達金額など

 

収支計画

創業当初の収支予測と、事業が軌道に乗った後の収支予測を事前に立てておきます。

 

売上予測

売上予測は、業種の特性から最も適した方法を選び検討が必要です。業界平均に地域事情などを加味し、他の方法もあわせながら多角的に予測することが必要となります。

1.販売業で店舗売りが占める割合の大きい業種(コンビニエンスストアなど)
1m²(または1坪)あたりの売上高×売場面積

2.飲食店営業や理・美容業などサービス業関係業種
客単価×設備単位数(席数)×回転数

3.労働集約的な業種(自動車販売業・化粧品販売業・ビル清掃業など)
従業者1人あたりの売上高×従業者数

4.設備が直接売上に結びつき、設備単位あたりの生産能力が把握しやすい業種(部品製造業・印刷業・運送業など)
設備の生産能力×設備数

なお、1m²あたりの売上高や従業者1人あたりの売上高などは、「小企業の経営指標」(日本政策金融公庫総合研究所編)で調べることも可能です。

 

収支計画

これから始める事業はどれくらい利益が見込めるのかという点は、最も気になることです。

創業後の収支の見込みが収支計画であり、予測するにあたり経営環境・業界事情・設備能力・競合状況・価格の推移などを総合的に検討していきます。

創業後の見通し(月平均)は、①~③までの創業当初の金額と軌道に乗った後の金額をまず検討します。

①売上高
②売上原価
③経費(人件費・家賃・支払利息・その他)

生み出される利益は、創業当初の金額と軌道に乗った後の金額、それぞれ①-②-③で計算できます。

 

事業計画書を作成する上で押さえておきたいポイント

日本政策金融公庫から融資を受けるとき、融資担当者に積極的に資金の貸し付けを行ってもらうために納得してもらえる内容で事業計画書を作成することが必要です。

そのためには、次のような添付資料は必ず準備しておくことがポイントとなります。

 

資金繰り表

経営者であれば資金繰りは必須となるため、できなければ事業は成り立たなくなります。

日本政策金融公庫でも、会社の資金繰りや返済は重視されるため、詳細な資金繰り計画を作成しておきましょう。

融資担当者との面接でも、資金繰り表の内容をスムーズに説明できるようにしておくべきです。

 

市場調査や競合分析

事業計画では会社を取り巻く市場環境や競合の分析は欠かせません。価格・付加価値・営業戦略など、差別化を可能とし競合他社に勝る部分がなければ生き残ることは難しくなるでしょう。

市場の変化がもたらす機会や脅威だけでなく、自社が強みとする部分と弱点など客観的に整理しまとめておきます。

強みを生かし、弱みを克服できる差別化戦略についてしっかりと検討していきましょう。

 

詳細な損益計画書

期間ごとの儲けである経営成績をあらわすのが損益計算書です。事前に損益計算書を作成しておくことで、どのくらいの金額を稼ぎ、その稼ぎにかかる費用を知ることができます。

少なくとも当初3年分ほど用意しておくとよいですが、ポイントは稼ぐための費用であり、具体的な価格戦略を明記しておくようにしましょう。

 

経営者自身の経歴に関する資料

経営者の経歴は、日本政策金融公庫の融資審査で最も重要視されるポイントの1つといえます。

融資を受けて事業を展開していく覚悟に相応しいといえる経歴があるのか証明するために、職務経歴書と同様、もしくはそれ以上の資料を作成しておくようにします。

単なる箇条書きではなく、過去の経験や職務がこれからの事業にどのような形で生きるのか、人脈・経営ノウハウ・実務ノウハウなども記載していきましょう。

 

写真やフローチャートなど

文章だけで伝えることが難しいと感じる場合には、実物をイメージしたサンプルや、サービスのユーザーフローなど視覚的にインパクトを与えることのできる資料も準備しておくとよいでしょう。

開業予定の店舗の外観写真や、製品の3D図面などでサービスや会社のロゴなども積極的に準備しておくことをおすすめします。

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