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ベンチャーキャピタルからの資金調達を行う上での基礎的知識

資金調達2018/04/02

創業を計画中や創業したばかりという時は資金調達に頭を悩ませるものです。どの企業も通ってきた道なのでおかしなことではありません。

創業時や創業間もない企業が資金調達する時ですが、候補の一つとなるのがベンチャーキャピタル(VC)です。いわゆる出資を受けるタイプの資金調達法であり、基本的に返済の必要がありません。非常に利便性が高いのですが、デメリットが有ることも確かです。

ベンチャーキャピタルを利用するのであれば、より幅広い知識を身に着けておく必要があるわけです。問題点も理解しておけば、その時に対策できるかもしれません。

こちらではベンチャーキャピタルによる資金調達の幅広い基礎的な知識を紹介していきます。

 

単独のVCから出資を受けるべきか?複数のVCから出資を受けるべきか?

ベンチャーキャピタルからの出資を受けるケースですが、何も1社だけと決まっているわけではありません。複数方の出資を受けてもOKとされているのです。より多くの資金調達を行いたい、という場合には複数のベンチャーキャピタルからの出資も計画すべきです。

ただしよほど魅力的な企業でなければ、複数のベンチャーキャピタルから出資を受ける、というのは難しいでしょう。実際に複数のベンチャーキャピタルからの出資を受けられる企業は限られているのが現状です。

こちらでは単独の出資を受けるケースのメリットとデメリット、さらには複数の出資を受けるケースのメリット・デメリットについて徹底解説します。

・単独のベンチャーキャピタルからの出資を受けるメリットとデメリット

【メリット】

①事業や財務報告の手間がかからない
②意思決定がスムーズに進みやすい

まずベンチャーキャピタルからの出資を受けると、経営の自由度は下がってしまいます。ベンチャーキャピタル側に報告の義務があったり、承諾を求めなければならなかったりするわけです。

ベンチャーキャピタルからの出資を受けると、定期的に事業の進捗状況であったり財務の状況であったりなどを報告しなければなりません。問題があると判断されれば質問を受けることもあるのです。しかし出資先のベンチャーキャピタルが1社であった場合には、1回だけの報告で済むわけです。手間がかかりにくい、といったメリットがあります。

会社において重要な意思決定が行われる時ですが、会社法であったり投資契約書であったりといったものでベンチャーキャピタルの承諾を得る必要があります。事業の一部売却をするケースや減資をするケース、さらには増資などもベンチャーキャピタルに承諾を求めなければなりません。
その点、単独のベンチャーキャピタルからの出資であれば1社から承諾を受ければ良いだけです。意思決定がスムーズになり、新しい事業も始めやすい、との利点があります。

【デメリット】

①場合によっては会社の意思決定能力を削がれてしまう
②資金調達の依存度が高くなってしまう

ベンチャーキャピタルからの出資を受けると株式を発行することになります。大きな資金調達をすればするほど、より多くの株式を発行しなければなりません。株式の一定の比率を握られてしまうことになるわけです。
出資比率が高くなるとベンチャーキャピタルの発言力はより高くなります。会社のことを決めようにも、ベンチャーキャピタルに拒否されてしまえば前に進みません。経営権を握られてしまったような状態になることもあり得るわけです。

単独のベンチャーキャピタルから資金調達をしていると、あとから他のベンチャーキャピタルが出資しづらい状況となります。そもそも最初に出資したベンチャーキャピタルに出資するような感覚になってしまうわけです。その結果、新たな資金調達ができにくくなり、単独のベンチャーキャピタルに対する依存度が高くなってしまうわけです。

・複数のベンチャーキャピタルからの出資を受けるメリットとデメリット

【メリット】
①高額の資金調達が可能になる
②様々な支援が期待できる
③出資を分散化できる

複数のベンチャーキャピタルから投資を受けるということは、より高額の資金調達が出来るチャンスが出てくるわけです。数億円の資金調達をしたい、というケースには実際に1社からの資金調達では厳しいわけです。
しかし3社や4社からの出資が受けられるのであれば数億円などの高額の資金調達も十分に可能です。

ベンチャーキャピタルの支援は資金だけではありません。例えば人脈を広げる手伝いをしてくれたり、経営ノウハウを伝えてくれたりもするわけです。
様々なベンチャーキャピタルを利用するとこで、より幅広い取引先を確保することができるかもしれません。提携先を紹介してくれるかもしれないのです。新たなベンチャーキャピタルを紹介してくれる、ということもあり得るわけです。

複数のベンチャーキャピタルを利用することで、発言権が1社に集中することを避けることも可能です。例えば「創業者が50%」「ベンチャーキャピタル1社が50%」という出資比率となってしまうと、ベンチャーキャピタルの顔色をうかがいながら経営していかなければなりません。
しかし5社が10%ずつ持っていると仮定すると、ベンチャーキャピタル1社ずつの発言権はそれほど強くはないわけです。創業者のほうが圧倒的に強いので、思ったような経営がしやすくなります。
要は自由な事業が展開しやすくなるのです。

【デメリット】


①そもそも複数の出資先を見つけるのが大変
②報告や承認が面倒

ベンチャーキャピタルですが、創業時であると1社見つけるだけでも大変です。簡単に出資先を見つけられないわけです。であるにもかかわらず、複数の出資先を見つけようとしているのですから、いかに難しいことであるかが分かると思います。
よほど魅力的な事業を行う予定でなければ、複数の出資先は見つからないでしょう。

複数の出資先を相手にするのは大変です。報告もしなければなりません。承認を求めるのも面倒な状況になってしまうわけです。
1社を相手にしているのであれば、1回の報告や1回の承認で前に進みます。しかし10社に出資してもらっている場合には、10回の報告や10回の承認でやっと前に進むわけです。一つのことを決めるのにも時間がかかってしまします。

 

複数のベンチャーキャピタルからの出資を受けるための流れ

前述したように複数のベンチャーキャピタルから出資を受けるということには大きなメリットがあります。高額の融資を受けられますし、経営の幅も広がるかもしれません。
そこで注目すべきものは、複数のベンチャーキャピタルから出資を受けるための流れです。

・まずはリードベンチャーキャピタルを選択すること

複数のベンチャーキャピタルからの出資を受けるためには、中心となるベンチャーキャピタルを見つけることが最も重要です。多くの資金を出資してくれそうなベンチャーキャピタルを発見し、リードのベンチャーキャピタルになってもらいましょう。

その上で、「あのベンチャーキャピタルが出資するのであれば安心」といった環境づくりを行っていくわけです。また顔の広いベンチャーキャピタルであれば、他のベンチャーキャピタルに声をかけてくれるかもしれません。

・目標金額を設定し各ベンチャーキャピタルに分散して出資してもらう

どのベンチャーキャピタルも高額の出資についてはかなり警戒をしてきます。そこでなるべく分散して出資をしてくれるようにお願いするのです。
仮に1億円の出資をするケースと3,000万円の出資をするケースであれば、もちろん3,000万円のほうがリスクは少ないわけですよね。そういった状態にしていくことが肝心なのです。

・後は各ベンチャーキャピタルと契約するのみ

リードベンチャーキャピタルも決定し、出資してくれる他のベンチャーキャピタルも発見できたら契約を実施します。それぞれどれだけ出資してくれるのかを決定し、契約を結ぶわけです。

出資を受ける時は、各社も警戒感があると思うので、同時に出資を行う、というような状況にしてください。同時出資であれば各ベンチャーキャピタルも安心してくれるはずです。

 

注意せよ!ベンチャーキャピタルとの契約に関する問題点

出資契約を結ぶわけですが、契約書の内容は煩雑であり専門的です。はじめてのベンチャーキャピタルからの出資となってしまうと、わからないことだらけだと思うのです。
そこで今回は特に注意すべきところのみを抽出してお伝えします。

・株式買取請求や損害賠償請求に関する条項をチェックせよ

ベンチャーキャピタルもビジネスとして投資を行います。しっかりとリターンがなければ困るわけです。もちろんベンチャーキャピタル側も、成功する出資先企業の割合は10社から20社に1社程度であることは理解しています。しかし少しでもリスクは下げたい、と考えているわけです。

そこで注目してほしいのが株式買取請求といったものや損害賠償請求についてです。
契約書に事業が失敗してしまった場合には、株式を買取請求できる権利がある、としてくるベンチャーキャピタルもあります。損害賠償請求をしてくることについて記載してくるベンチャーキャピタルもいるわけです。

株式買取請求や損害賠償請求が書かれている場合には、絶対に契約を結ばないでください。ベンチャーの投資については一般的な銀行融資のような経営者の個人保証がセットになることはありません。企業としての責任はあるかもしれませんが、個人的な責任を負わないのがベンチャーキャピタルによる出資の良さでもあるわけです。

経験豊富なベンチャーキャピタルであれば、変な契約を結ばせるようなことはありません。しかし新興のベンチャーキャピタルの場合は、自分たちにとって都合の良い契約を結ばせてこようとする傾向があるわけです。
ベンチャーキャピタル側の創業年などを確認して、安心して良い相手なのかを前もってチェックしておくのもおすすめですよ。

・役員の派遣について

ベンチャーキャピタルは基本的に取締役を派遣してくることになります。経営会議であったり取締役会であったりといったものに参加できるようにしてくるわけです。出資先の企業が好き勝手なことをしないように監視する役割があります。

取締役が派遣されることは問題ありません。
問題となってくるのが、取締役として派遣されてくる人材です。前もって担当者の評判を確認することも忘れないでください。ベンチャーキャピタル自体の評判を確かめておくこともおすすめです。

契約書としてはレポートなどの提出も注意が必要です。過剰なレポートを求めてくるベンチャーキャピタルもおり、契約内容にその事が記載されていれば拒否できません。ベンチャーキャピタルへの報告義務に関する条項についても契約書で確認しておかなければならないのです。

・希薄化防止条項について

ベンチャーキャピタルにとって出資比率が下がるのは良いことではありません。出資先企業が新たに出資を受けると、出資比率が下がることになるわけです。その結果、出資先企業に対する発言権が弱まってしまいます。

そこでベンチャーキャピタルは規格化防止条項を設けてきます。さらなる資金調達やストックオプションの発行などについて一定の制限を設けてくるのです。

ある程度の希薄化防止条項については仕方のない部分もあります。ベンチャーキャピタルとしても、経営に一定の影響を与えていきたいと考えているからです。しかし資金調達がほとんどできないような制限を設けてくるような契約書については注意しなければなりません。一般常識を超えるような希薄化防止条項を設定してくるような場合には交渉して改善を求めるべきです。
仮に資金調達が難しくなる用意な条項が記載されていると、ちょっとした資金難にも対応できなくなってしまうかもしれません。倒産に至ってしまう可能性もあるわけです。自社を守るためにも、比較的自由に資金調達をさせてくれるいような契約内容が望ましいです。

※ストックオプションに関しては発行株式総数の10%であれば問題ないとされています。仮に契約書で10%未満に設定してきているような場合には、その契約は危ういかもしれません。

 

最終的な上場時期はベンチャーキャピタルと相談するのもあり

ベンチャーキャピタルは上場を求めてきます。上場することによって、大きなリターンを求めようとしているからです。
しかし上場時期の判断は難しいでしょう。いつであれば株価が高く付くのかがわかりません。

ベンチャーキャピタルには上場ノウハウもあります。相談をしてからいつ上場するのかを決めるのがおすすめですよ。

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  • 事業を安定させたい方
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