見積は1社だけでは意味がない?1社見積もりのデメリット
見積もりは1社だけ取っても、あまり意味はありません。
特に資金調達のように専門知識が求められる取引では、素人(お客さん)とプロ(ファクタリング業者)の知識が違いすぎるため、公平さを保つことが難しいからです。
・提示された見積もりは適正価格なのか?
・他社と比較してどうなのだろうか?
・値引き交渉はうまくいくのだろうか?
1社だけの見積もりでは、取引経験の浅い人が上記の判断を下すことは難しいでしょう。
今回は、ファクタリングにおける1社見積(単独見積)のデメリットについて触れて行こうと思います。
デメリット1:適正価格がわからない
1社見積もりでは、提示された価格が適正なものかを判断することができません。
手数料や諸経費の相場をご存知の方は別として、ファクタリングに携わったご経験のない方が見積もり書を手渡されても、「これは高いのか?」と判断するのは難しいでしょう。
また、ファクタリングの手数料や諸経費の算出は、容易なものではありません。
ファクタリングで見積もりを出す時は、下記の例の通り様々な判断材料を考慮して、個別に評価を行いますが、これらを経験の浅い方が見積もることは不可能です。
債権の金額
満期日・支払日
過去の取引実績
債務者(取引先企業)の経営状態
自社の経営状態
そのため、1社見積もりで適正価格を導き出すのは困難は難しいと言わざるを得ません。
実際には複数の業者に依頼して最良の条件を引き出すのが賢明でしょう。
デメリット2:他社との比較ができない
1社見積もりでは、他社との比較検討ができません。
先ほどご説明した通り、ファクタリングの手数料は取引経験の浅い方が導き出せるほど単純なものではありません。
そのため、多くの方は複数企業から相見積もり(アイミツ)を取ることで、自社が売却する債権の評価を見比べて、最終決定を下しています。
また、相見積もりや相見積もりを取る一連の流れでは、手数料だけでなくサービス面も比べることが可能です。
見積もり書の丁寧さ … 手数料や諸経費が細分化されているか?
従業員の態度 … 見積もりに対する説明はわかりやすく、丁寧か?
会社としての質 … 納期通りに提出してくれるか?信頼できるか?
ファクタリングは、大切な債権を売買する取引です。
下手な業者と取引しては、自社だけでなく取引先企業に対しても迷惑がかかります。
初回取引を検討する業者に対しては、できるだけ他社と比較したいところです。
デメリット3:様々な交渉が難しくなる
1社見積もりでは、価格交渉をまとめるのも一苦労です。
価格の引き下げや条件の緩和を求める場合、「どうして値引きすべきなのか?」を相手に納得してもらえなければうまくいきませんよね。
ところが、実際に値引き交渉をするとなると、この「理由」の説明が難しい。
1社見積もりの場合は適正価格の判断がつけにくく、結局のところ「ただ高いと思う」と主張するしかないのです。
ちなみに、相見積もりとなると、途端に交渉の難易度は下がります。
同じ事例に対して、他社が下した見積もり書が得られるため、これらを比較検討することで高いと思われる部分を指摘することができるからです。
「他社は手数料〇パーセントだけど、御社と契約したいからもう少し下げて欲しい」
「御社は着手金を徴収しているが、他社は取っていないから無料にできないか?」
このように、交渉の段階で安くしてほしい部分を具体的に指摘してみましょう。場合によっては、他社の見積もりを提示して交渉してしまう方法もアリです。
(ただし、個人情報に該当する部分がある場合は、修正して提出すべきです)
交渉に応じるか否かは業者の判断次第ですが、要望の中身に具体性がある方が、ずっと交渉がまとまる可能性は高いです。
デメリット4:もしかすると悪徳業者かも…
1社見積もりでは、業者の質の判断が難しいものです。
特にファクタリングは価格面・取引面のトラブルが非常に多く、下記のような困った事例が相次いでいます。
悪徳業者とのトラブル代表例
不当に高額な手数料を求められた
手数料は安いが、諸経費や司法書士報酬が異常に高額
非課税のはずの消費税を課税された
金銭消費貸借(キャッシング)に条件変更を促された
担保や保証人を設定するように求められた
もちろん、大半のファクタリング業者は健全な運営を行っているものの、中にはこうした悪徳業者が紛れ込んでいる業界です。
ただし、こうした業者の大半は、見積もりの内容や見積もりを取るまでの応対などに違和感があるもの。
相見積もりを取り他社と比較検討している場合はほぼ間違いなく察知することができるでしょう。
逆に、1社見積もりでは悪徳業者の言いなりになってしまい、大きなトラブルに巻き込まれてしまうかもしれません。
デメリット5:焦りは失敗のモト
ファクタリングは焦って交渉を進めても、うまくいくとは言えません。
資金調達の遅れは焦りを招き、判断の誤りを誘発します。時折、「急ぎだから!」と1社とだけ交渉を進める方が見られますが、これは大きな失敗のモト。
焦って交渉を進めた結果、うまくいったと実感する方はごく少数です。
そのため、急いでいるときも可能な限り落ち着いて、「期限を切って」相見積もりを求めましょう。
日限を切って見積もりを求め、提出した企業を比較します。
双方が約束した期限より遅れて見積もりを提出する業者は、はじめから相手にしなければ良いだけです。
1社見積もりのメリットは?どんな時に使うべき?
ここまで1社見積もりのデメリットばかりを解説しましたが、実は1社の単独見積もりにも優位性を発揮するメリットはあります。
ただし、ここまでご紹介した通り、単独見積もりは基本的にオススメできません。1社見積もりを取る時は基本的に、下記のケースに限定すると良いでしょう。
1社見積もりを取るべき状況
既に得意先が決まっている時
信頼できる資金調達サイトを利用する時
メリット1:既に得意先が決まっている時
既に十分な取引実績があって信頼関係を築けている場合、無理に相見積もりを取る必要はありません。
ファクタリング業者にとっても得意先は大切なお客さんなので、基本的には他社より極端に悪い条件での取引を勧めることは考えにくいからです。
また、ファクタリング業者の中には、継続割引を導入している企業も少なくありません。
繰り返し取引することで手数料や手続面での優遇措置が期待できるため、新しい取引先を探しても今以上の条件を見つけるのは難しいでしょう。
更に言えば、安さだけで見つけた業者が100%信頼できるとは限りません。
得意先に強い不満がない限り、そのまま1社見積もりを継続することをオススメします。
メリット2:信頼できる資金調達サイトを利用する時
信頼できる資金調達サイトを利用することで、短時間+信頼企業との取引が可能です。
資金調達サイトでは、資金調達の専門家が独自基準で業者を選別しているため、悪徳業者や不当業者は排除済。
適正で信頼できる優良企業とだけ、コンタクトを取ることが可能です。
「急いでいるから…」と焦って交渉を進めた結果、悪徳業者や不当業者と取引するのは非常に大きな損失です。
基本的には相見積もりをオススメしますが、1社見積もりを取る時も、資金調達専門サイトをオススメします。
ファクタリングは素早い資金調達を実現する反面、コストが割高傾向にあるため、顧客側の自己防衛が必要な取引です。
1社見積もりでは十分な情報が得られないため、基本的には複数企業の相見積もりの取得をオススメします。