今回は、ファクタリングで相見積もりを取る際の、モデルとなる流れを解説しようと思います。
ファクタリングはスムーズに資金調達を行う反面、割高な手数料を求められるビジネスです。
また、ファクタリング業界には、利息制限法などの規制が存在しないため、業者ごとのコスト差が大きいという特徴を有しています。
そのため、顧客側の視点に立てば1社のみの単独交渉は大きな損失要因です。
もしかして、よりお得な取引業者が存在するかもしれません。
今回ご紹介する「相見積もりの流れ」は、効率よく見積もりを見比べて、お得な条件を引き出すためのテクニック。
割安手数料や優良条件を引き出すための秘訣です。
ステップ1:候補となる企業を絞り込む
最初のステップでは、まず候補となるファクタリング業者の絞り込みから始めます。
大手金融機関から地域密着型の専門業者まで、ファクタリング業者には大小さまざまな事業体が存在します。
ところが、これら業者は多くの場合、「得意とする顧客」が異なる点が特徴です。
例えば、1億円クラスの大口取引を得意とする銀行系金融機関があれば、100万円以下の債権にも対応する地域密着型のファクタリング業者も存在します。
また、企業によって取引形態(2社or3社)も異なりますから、まずは自社がお持ちの債権の性質を理解して、対応している業者の選択からスタートしましょう。
一般的な傾向としては、下記の傾向にあります。
- 大手金融機関 … 大口取引、3社間取引を得意とする
- 地域密着型ファクタリング業者 … 小口取引・2社間取引を得意とする
ウェブサイトや広告紙面をチェックして、自社にマッチした業者を選びましょう。
注意!悪徳業者を排除する
ファクタリング業者の中には、悪徳業者も存在します。
これらの業者は元闇金であったり反社会勢力であることが多いので、うっかり申込しない用に注意が必要です。
住所や連絡先が架空のものと考えられる場合や、申込時に自社オフィスでの面談を避ける傾向にある業者は要注意。
後ろ暗い事情を有している可能性があります。
こうした事業者は大抵の場合、
1、不当に高額な手数料を請求する
2、交渉の途中で違法な貸し付けへと誘導する
などの手口を行います。
最悪の場合、刑事事件へと発展する可能性も否定できず、強い警戒が必要です。
ステップ2:申込をする
ウェブサイトによる絞り込みが完了したら、申込ステップに入ります。
お客さんなので申込自体は連絡を入れるだけでOKですが…実はお得な取引を実現する場合、この申込ステップがとても重要です。
特に以下の点が重要なので、順番に確認を進めます。
申込時に気を付けたいポイント
・取引する債権の情報を整理する
・取引条件を統一する
・期限を切る
取引する債権の情報を整理する
取引する債権の情報は、見積もり作成に欠かせない材料です。
昨今、ファクタリングの見積もり作成後に業者側から価格変動を求められるケースが相次いでいます。
詐欺的な行為に感じられるかもしれませんが、これらの多くは取引情報の不足から生じるトラブルです。
ファクタリングの手数料は、具体的な債権の額面や債務者となる企業の経営状態、更には自社や取引先の事情など、様々な情報により総合的に決定します。
そのため、申込時にこれらの情報が未整理のまま伝えてしまうと、当然見積もり作成後に求められるコストも違ってきます。
以上の理由から、申込時には必ず取引債権の情報を整理すべきです。
取引条件を統一する
取引条件の統一も、正確な見積もりを得るために欠かせません。
ファクタリングには、2社間取引と3社間取引の間に大きな手数料差が存在します。そのため、事前に必ず希望する取引形態を伝えることを忘れないで下さい。
また、業者によっては償還請求権や掛目の設定を前提にした見積もりを提出するケースも少なくありません。
自社側が何の言及もしない場合、こうした「当社規定」が適用されてしまいます。
最悪の場合、「見積もり額は同一でも、その内実は大きく異なる見積もり書」が完成してしまう可能性も考えらえるので、申込時には必ず、前提条件の統一を行いましょう。
話の流れに任せ伝え忘れてしまいそうな場合は、メモを取って忘れないようにすると良いですよ。
期限を切る
期限の設定は非常に大切です。
もちろん、多くのファクタリング業者は即日~1週間以内に見積もり書を提出します。
しかし、業者の中には比較的長期スパンでの交渉を考えている企業もあるため、見積もりの提出が遅れてしまう可能性も。
無論、見積もりを求めたからといって、必ず交渉しなければならないワケではありません。
しかしながら、無用のトラブルを避け目標の期日に見積もりを揃えるためには、「期限の設定」がとても重要です。
ステップ3:業者同士を比較する
各社の見積もりが出揃ったら、いよいよ業者同士の比較をはじめます。
比べるポイントは以下の3点。自社にとって好ましいものを判断します。
・価格 … 手数料や諸経費は自社の予算に沿っているか。諸経費の内訳が丁寧に明示されているか など
・期限 … 希望する期日までに資金の入金が見込めるか。遅れる場合はどのようなケースが考えられるか など
・特約 … 自社にとって不利な特約などが付与されていないか。自社の希望通りの取引方法になっているか。 など
また、相見積もりで絞り込んだ後に「事情が変わった」と価格変更を求められては困ります。
他社を断ってからでは遅いので、相見積もりによる見比べを行っている際に確認を済ませておきましょう。
ステップ4:気に入った企業と交渉する
価格や納期など、条件面に不満がある場合は交渉を行います。
ただし、相見積もりにおいて、他社の見積もりをそのまま出すのは失礼です。
そのため、見積もり書や伝え方に工夫をして、マナーを守って交渉を進めましょう。
具体的には、以下の通りの手法が好ましいと言えます。
・表現を工夫 … 具体的な企業名を避けて表記する
例:
〇 「他社と見比べた際に、〇〇については割高と感じており…」
× 「A社の見積もりと比べて貴社の手数料は1.5%ほど割高であり…」
・表記方法を工夫 … 他社見積もりをそのまま公表しない
例:
〇 他社の見積もりをコピーし、企業名や連絡先を黒塗りする
× 他社の見積もりをそのまま持ち込んで相手に見せる
ステップ5:契約する
比較検討がまとまると、いよいよ契約を結びます。
ただし、見積もり書=契約書ではありません。
そのため、特別な表記が無い限り契約書は見積もり価額を反映したものである必要が無く、「見積もり書と契約書の価格が違う」可能性が考えられます。
ファクタリングに限った話ではありませんが、契約書を取り交わす時は必ず、契約書のスミズミまで内容等を確認しましょう。
また、不明点がある場合は遠慮なく質問する姿勢も大切です。
効率よくファクタリングの相見積もりを進めるには?
本コラムでは、ファクタリングの一括見積もりをオススメしています。
相見積もりはどうしても時間と手間を要しますが、一括見積もりなら一度きりの情報入力で、多くの企業との比較検討が行えます。
また、資金調達の専門家が独自基準で業者を厳選しているため、
- 信頼できる業者によるトラブル回避効果
- 相見積もりを前提とした良質な見積もり
- 業者検索や選別の手間を省き、時間と労力を省力化
などなど、様々なメリットが期待できます。相見積もりの利点を活かしつつ、
メリットを埋めた、非常に魅力的な取引方法です。
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