事業を営む場合、個人事業主として続けるのか、それとも法人を設立して社長になるのかなど、様々な形があるようです。
では、個人事業主として事業を営むことを選んだ場合、どうすればなれるのか、そもそも個人事業主とはどのような形なのかご説明します。
個人事業主とその他の働き方の違い
会社員であれば勤務先と雇用契約を結び仕事をしますが、雇用されるのではなく個人で事業を行う方を個人事業主といいます。法人なら会社を設立し、会社の経営者として事業を行いますが、個人事業主は会社を立ち上げず行います。
仮に家族や従業員などを雇用し、複数で事業を行っている場合でも個人事業主にかわりはありません。
個人事業主と似た言葉以外にフリーランスがありますが、フリーランスは依頼された業務ごとに契約を締結し、仕事を行う働き方を行うことです。個人事業主として働くなら、税務署に開業届けを提出し、税務上の所得区分において個人として事業を行います。
会社を設立し法人として事業を営むなら毎年、売上を法人の所得として決算により税務申告を行いますが、個人事業主は毎年、事業所得を確定申告して税金を納めます。
会社員と手取り額が違わない個人事業主が気にしておきたいこと
会社員と個人事業主の手取り額に違いはなかった場合でも、支払う社会保険料と税金の割合は異なります。そのため、将来、受け取ることになる年金額には大きく差が生じることになると理解しておきましょう。
仮に平均年収が400万円の方が40年間、年金に加入し続けた場合、会社員は厚生年金に加入しているので65歳から受給する年金金額は月額約14万円です。しかし、個人事業主の場合は国民年金のみの加入のため、受給できる年金金額は月額約6.5万円程度に留まります。
今後さらに年金支給開始年齢が68歳まで引き上げられる、または70歳などさらに高くなる可能性はあるものの、やはり会社員のほうが将来受け取ることができる年金額は大きいので手厚いといえます。
個人事業主の方は将来、年金を受給することになったときの備えが重要となるでしょう。
個人事業主として事業はいつでも開始できるのか
個人事業主として開業するための所得の要件などはありませんが、おおよその目安いとして月平均3~4万円以上の所得が見込めるなら開業届を管轄の税務署に提出し、個人事業主として事業を初めればいかがでしょう。
開業届は個人事業主として事業を始めたことを報告するための必要書類ですので、提出しなくても特に罰則はありません。
開業日が青色申告承認申請の起算のタイミングとなるので、屋号を持つことで銀行口座も屋号名義のものになります。また、開業するときには費用は特に発生しません。事業を追加したり、変更や廃止の手続きも原則、いつでも行うことができます。
法人として事業を営むのとどちらが得か
対する法人の場合は、会社を設立するためには法務局で登記を申請する手続きが必要です。それまでに様々な準備を行うこととなり、時間や手間がかかる上に、費用もかかります。
そのため、所得が低い期間は個人事業主のほうが税金の負担は軽い場合もありますが、一定の所得を超えた場合には、法人として事業を営んだほうが税負担は軽減される可能性が高くなるといえるでしょう。
なお、個人事業主として事業を営む場合、税務署に開業届を提出すると同時に、原則、開業日から2か月以内に青色申告承認申請書を提出しておくことにより、確定申告で最大65万円の所得控除を適用させることができます。
個人事業主はお金の管理に注意が必要
個人事業主はプライベートのお金と事業のお金が一緒になってしまいがちです。個人用の口座で事業用のお金も管理してしまうと、個人用と事業用のお金の区別がつきにくくなってしまうのは無理ありません。
しかも、毎月の会計処理も面倒になるので、もし個人事業主として事業を営むのなら、開業届を出して屋号を設け、事業用の口座を開設して管理を行うようにしましょう。
売掛金と買掛金は会社を経営していく上では常時保有している、という状況になります。企業間取引の多くは売掛金と買掛金を用いるわけです。売掛金と買掛金を用いることで決済が圧倒的に楽になります。月に1回の出金と入金で済ませられることになるので、手間がかからないわけです。現金決済にしてしまうと、月に何回もの現金の出し入れをしなければなりません。現金の管理が難しくなってしまうのです。
しかしその場で現金決済が行われるわけではないので、のちのち大きな問題に発展することもあります。売掛金が入金されなかったり、買掛金の回収を少しでも早くしてこようとしたりされてしまうケースも珍しいわけではありません。
こちらでは売掛金と買掛金の正しいバランスと間違ったバランスについて解説します。さらに間違ったバランスを改善させる方法についても明らかにします。
自社の売掛金と買掛金のバランスに疑問をいだいている経営者は必見です。
売掛金と買掛金の正しいバランスとは?

・買掛金よりも売掛金のほうが多い(買掛金<売掛金)
商売の鉄則は、仕入れた金額よりも高く売却する、というものです。仮に仕入れた金額よりも安く販売してしまうようなことがあれば、赤字となってしまうわけです。それだけは絶対に避けなければなりません。
売掛金が買掛金よりも大きければ、入金額のほうが大きい、ということになるのです。身入りのほうが大きいので、利益が出ている可能性が高くなります。企業経営としては大きな問題が発生しない、と思われるわけです。
もちろん必ずしも売掛金が買掛金よりも大きければ安全とは言えません。買掛金以外にも人件費や家賃などの経費が発生しているわけです。ですから売掛金のほうが僅かに上回っている、という場合であれば、赤字になる可能性もあります。
ですからある程度は買掛金よりも売掛金のほうが良湯を持って大きいほうが安全、となるわけです。
・意外!場合によっては買掛金のほうが売掛金よりも大きかったとしても問題なし
売掛金と買掛金には決済されるまでの期間というものがあります。
要は売掛金の場合は回収サイト(入金がされるまでの期間)がありますし、買掛金の場合は支払いサイト(支払いをするまでの期間)があります。
その決済の期間によっては売掛金よりも買掛期のほうが大きくなったとしても問題ありません。
たとえば売掛金の支払いサイトが1ヶ月であったとします。一方で買掛金の回収サイトが2ヶ月であったとします。このケースであれば、売掛金は1ヶ月分しか残っていません。一方で買掛金は2ヶ月分残っていることになります。よって買掛金のほうが多くて当たり前なのです。
決済までの期間の違いということも加味して売掛金と買掛金のバランスは考えていかなければならないのです。
ちなみに理想とされているのが売掛金の回収サイトが売掛金の支払いサイトよりも短いことです。先に入金があってから支払いがくる方が対応しやすいわけです。逆になってしまうと、資金繰りが悪化してしまう原因になることもあるので注意しなければなりません。
売掛金と買掛金の間違ったバランスとは?
・買掛金よりも売掛金が少ない(買掛金>売掛金)
買掛金のほうが大きいということで考えられるのが、仕入れたけれども売れ残っている、といった状況です。大量仕入れ先行の場合は、どうしても買掛金のほうが大きくなってしまうわけです。
売上計画が誤っている場合にも売掛金のほうが買掛金よりも少額になりがちです。売れると思って仕入れたのに、実際には売れなかったということはどの会社にもあり得ることです。特に大量仕入れを行っている会社についてはそういった事が起きやすいので、十分に注意して対応していかなければなりません。
ちなみに売掛金がすぐに回収できる状態であれば、特に大きな問題に発展しないこともあります。大量仕入れをしているのであれば、しばらくは仕入れ量を抑えられるでしょう。会社から出ていくお金もある程度計算できるのです。そして売掛金がすぐに回収できる状態であれば、資金難などの大きな問題は発生しにくいわけです。
・意外!場合によっては買掛金よりも売掛金が多かったとしても問題あり
売掛金の回収サイトと買掛金の支払サイトが大きく関わってきます
仮に売掛金の回収サイトのほうが長い設定である場合は、買掛金よりも売掛金の方が大きかったとしても問題が発生する可能性が高いのです。
売掛金の回収期間が2ヶ月であり、買掛金の支払期間が1ヶ月であったとします。売掛金は2ヶ月分あり買掛金が1ヶ月分あるという状況なので、そもそも売掛金のほうが大きくて当たり前なのです。しかしその場合には、少なくても買掛金の2倍を超える売掛金がなければ資金繰りが悪化する可能性があります。であるにもかかわらず買掛金の2倍以下しか売掛金がない場合には、資金難に陥る確率が極めて高い、ということになるわけです。
買掛金よりも売掛金のほうが多いからと言って安心しないでください、長いスパンでチェックしていかなければ資金ショートの兆候を見逃すことにもなりかねません。
売掛金と買掛金の間違ったバランスを改善する方法とは?

・はじめに考えるべきこと
売掛金の回収サイトと買掛金の支払いサイトを最低でも同じ状況にすることです。
売掛金の回収サイトと買掛金の支払いサイトに大きな違いがあると、経営のバランスが崩れてしまいかねません。特に大きな取引をした後などに、資金のショートの恐れが出てきてしまうのです。
例えば仕入れた商品が爆発的に売れた場合には、大量に仕入れることもあるでしょう。売上が良いので強気になることもあると思うのです。しかし支払いサイトのほうが早く来てしまうことになれば売上のお金が入ってくる前に対応しなければなりません。
結果として黒字であるのに破綻してしまう、いわゆる「黒字倒産」に至ってしまう可能性もあるわけです。
利用的な回収サイトと支払いサイトについては次の項に譲るとして、まずは回収サイトと支払いサイトを同じ設定する、ということから始めてください。両方とも発生から1ヶ月後であるとか2ヶ月後に設定するのです。同じ間隔であれば、自社に一定の資金を確保したままの状態で経営を続けられます。
支払いサイトと回収サイトを一緒にしてもダメであった場合には、さらに決済までの間隔をイジる必要があります。
・回収サイトを支払いサイトよりも短くする(回収サイトよりも支払いサイトを長くする)
要は入金間隔を短くすることによって買掛金と売掛金のバランス並びに保有資金のバランスをとるのです。
前述したように売掛金の回収サイトと買掛金の支払いサイトを同一にすれば、健全経営をしていれば問題ありません。資金難になることはない、と考えられるわけです。しかし会社の景気が悪い時には回収サイトと支払いサイトを同一にしたとしても問題が解決するとは限りません。資金難が継続してしまう可能性が高いのです。
そこで取る手段は2つあります。どちらでも同じ結果になるわけですが、確認してみましょう。
①売掛金の回収サイトを短くする
②買掛金の支払いサイトを長くする
要は、入金間隔を短くして出金間隔を長くする、という対策方法です。先に入金がくるようにすることで、支払いにも余裕ができます。売掛金の保有額が少なくなることになりますが、短い間隔で定期的に入金がある状態であれば資金を確保した状態で経営が続けられる、ということになるわけです。
資金に余裕が出ることで安定した経営も出来るようになります。
・売掛金が大きすぎる場合には早期の現金化も考える(ファクタリング)
最近企業間でブームになっているのがファクタリングです。
ファクタリングとは売掛金を現金化する、というものです。要は売却をすることで早期現金化してしまいます。
ファクタリングを利用すると買取業者に対して一定の手数料を支払わなければなりません。満額受け取ることにはならないので「結果的には損してしまうだけでは?」と思う方も多いでしょう。
しかしファクタリングはうまく利用することでビジネスチャンスを掴むことにもなるのです。前述しましたが、最近増えているのが「黒字倒産」です。最近ではクレジットカード決済も増えてきました。売上は上がっているのに、入金があるまでに数ヶ月かかってしまうのです。その数ヶ月の間に資金がショートしてしまえば、帳簿上は黒字なのに倒産せざるを得ない、ということになってしまいます。
ファクタリングは売掛金を早期現金化するものです。1ヶ月後や2ヶ月後などに入金される予定の売掛金を最短即日で売却できます。黒字倒産を避けられるおすすめの対策方法でもあるわけです。
もちろん黒字倒産でなかったとしても利用可能です。単純に資金難であった場合でもファクタリングを利用して一時的に凌ぐ、といったことも出来るのです。資金的に余裕ができれば、その間に対応できるようになります。銀行融資を受けるまでのつなぎ資金として利用する、ということも可能なのです。
【ファクタリング豆知識】
ファクタリングには2つの種類があります。2社間取引と3社間取引です。
2社間取引はその名のとおりに、自社とファクタリング業者だけが関わっているファクタリング契約です。売掛先に通知が行くようなこともありません。しかし手数料が3社間取引に比べて高く設定されている、といったデメリットが有るのです。
3社間取引は自社とファクタリング業者、さらには売掛先も関わります。ファクタリング利用の通知が売掛先にもいってしまうわけです。売掛金の回収についてはファクタリング業者が期日に直接売掛先から実行することになります。
ファクタリングの利用が取引先にバレてしまう、とのデメリットもありますが手数料的にはメリットがあるのです。
ファクタリングについては、あくまで売掛金の売却となっています。融資ではないので返済はありません。月々の返済金が発生する、といったこともないのです。売掛期の期日がきたら売掛金をファクタリング業者が回収して手続きは完了となります。金利が発生することもありません。
・売掛金担保融資で凌ぐ方法もある

売掛金担保融資は売掛金を担保に入れて融資を受ける方法となります。普通に借り入れをするよりも、売掛金という担保が入っていることで審査には通りやすくなっているのです。
ただし売掛金担保融資に関してはファクタリングとは異なり、あくまで融資の一環となります。返済をしなければなりませんし、金利も発生するのです。ファクタリングに比べてリスクがある対処方法なので注意しなければなりません。
売掛金が売掛先の都合で入金されなかったとしても、返済は行わなければなりません。仮に入金されなかった場合には大きなリスクを背負うことになってしまいます。
・未回収分の売掛金を回収する
売掛金と買掛金のバランスが崩れる一つのきっかけとなっているのが、売掛金の一部が回収できていない、というものです。売掛金には期日があります。しかしその期日通りに売掛先が支払ってくれるとは限りません。資金難などの理由をつけて支払いをしてこないケースも珍しくはないのです。
回収出来ないからと言ってそのままにしておくわけにはいきません。しっかりと回収活動を行っていかなければ、売掛金と買掛金のバランスが崩れたままとなってしまいます。
ではどのように売掛金は回収していけばよいのでしょうか?
まずは連絡を入れてください。売掛先に対して期日が来ているのに入金されていない旨を伝えるのです。連絡をしても入金してもらえなかった場合には、対策を考えて実行していくことになります。
連絡をしても対応してもらえなかった場合には、内容証明郵便を送ります。内容証明郵便は売掛金の時効をストップする役目もあるのです。
内容証明郵便でも対応してもらえない場合には、弁護士などの手助けを借りることになります。裁判などで対応する方法もあります。
どうしても回収できないというケースの場合には、交渉で商品の引き上げを行う方法もあります。または売掛先に買掛金があるのであれば、一定額を相殺で対応する、といった方法もあります。相殺すれば、出金額を減らすことにもなるの資金繰りの悪化をくいとめることにもなるでしょう。
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