債権譲渡とは|何を誰が譲り受けるのかその事実を証明するには?

2019/05/14
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金銭の貸し付けや、商品やサービスの販売・提供後、その契約に基いて支払いを求めることを可能とする権利を「債権」といいます。

この債権が譲渡されるとはどのような状態になるのでしょう。第三債務者側の立場からすれば、本来の支払い相手が変更されることになるので、誰に弁済すればよいかわからなくなってしまう可能性があります。

 

譲渡の対象となる債権とはそもそも何なのか

債権者が特定される債権を指名債権といいますが、消費者に対する事業者からの貸し付けや、商品やサービスを販売・提供したことで発生する債権は指名債権に該当します。

この指名債権は第三者に譲渡することが可能ですが、譲渡の際には債務者に通知を行う、または債務者から承諾を得ることが必要とされています。

ただし、契約内に譲渡を禁止する旨の特約が定められている場合には、譲渡はできませんので注意しましょう。

 

債権譲渡禁止特約の扱いが変更に!

なお、2017年5月に120年ぶりといえる民法の大幅改正が行われ、2020年4月1日から施行されることとなりました。

改正される前は、契約書に反対の意思を表示する記載があれば債権譲渡は無効になってしましたが、改正後はもし債権の譲渡が禁止や制限される特約が付帯されていたとしても、その特約は無効であることが明記されています。

経済産業省では売掛債権を資金の調達方法に積極的に活用することを中小企業に勧めていますが、債権譲渡禁止特約を無効とする内容に変更されたのも、債権を資金調達の手法に用いりやすくするための取り組みの1つといえるでしょう。

債権を第三者に譲渡することは民法上、自由に行うことができるということです。

 

債権譲渡に必要な対抗要件

債権は譲渡が自由で可能とすれば、1個の債権が複数の取引相手に譲渡される可能性も否定できません。譲渡する資産が現物のものなら、譲渡相手に現物を引き渡すことになるので誰がその権利を獲得したのか明確です。

しかし債権とは目に見えない権利という形の資産のため、複数の相手に同時に譲渡が行われたとしてもその内容を把握することができず、誰が債権者として優先されるのかわかりません。

債務者もどの債権者に支払いを行うべきか判断できず、弁済を請求されても求めることができなくなってしまいます。

そこで、債権が譲渡される場合には対抗要件に備えることが必要となります。対抗要件が備わっていない場合、債権譲渡が行われても法的な権利者としての請求することが認められなくなってしまいます。

 

対抗要件に備えるためには通知が必要

債権の譲渡は債務者に対する譲渡の通知が行われなければ、債務者に対抗することはできないとされています。

そのために必要なのは、確定日付のある証書を債務者に通知することです。確定日付のある証書として一般的に用いられるのが内容証明郵便といえますが、誰が誰に対し、いつ、どのような内容の文書を送ったのかを郵便局が公的に証明してくれます。

内容証明郵便などで確定日付の付された証書で通知が行われていないと、仮に譲渡を受けた債権に対して債権者を名乗る複数の譲受人があらわれても、自らが正当な債権者であると主張できないということです。

 

債務者から承諾を得る方法でも対抗要件に備えることは可能

また、通知以外にも債権譲渡の対抗要件として、債務者からの承諾を得るという方法もありますが、この場合、債務者から承諾書などに署名・捺印を得ることになります。

 

債権譲渡登記でも対抗要件に備えることはできる

債務者に対しての通知や承諾という方法を持ちいらなくても、債権譲渡登記を行うことで対抗要件に備えることも可能です。

仮に法人が多数の債権を一括譲渡しようと考えたとき、それぞれの債務者に通知を送るといった手続きが必要になると、手間や費用がかかってしまいます。

実務的に対抗要件を具備することが難しくなると考えられるため、債権譲渡の第三者対抗要件に関しての民法の特例として、登記を行えば債務者以外の第三者に対して対抗要件を備えることができるとされたわけです。

債権譲渡登記所(東京法務局)に登記を行い、自らが債権の所有者であることを証明する方法です。ただ、債権譲渡登記が可能なのは法人のみなので、個人の方は利用できません。

 

●登記=債権の存在や譲渡の有効性の証明ではない

ただ、注意したいのは登記を行ったことで債権の存在や譲渡の有効性が証明されるわけではないということです。登記の真正を担保するためにも、債権の譲渡人と譲受人が共同で申請を行うことになります。

また、債権譲渡登記を行ったとしても、債務者に対して債権譲渡の事実は主張できません。そのため、債務者に登記が行われたことを証明するには、登記事項証明書の交付を伴って通知を行うことが必要です。

 

もし自分が債権譲渡通知を受ける側になったら

買掛先に対する支払いを予定していたけれど、債権譲渡の通知を受けてしまったという場合、債務者の立場としては何に注意すればよいのでしょう。

まず、通知を受けた場合や、債権の譲受人である新たな債権者から登記事項証明書の交付を伴う債権譲渡通知を受けた場合には、買掛先ではなく新しい債権者が弁済相手となります。

仮に同じ債権に通知を複数受けたという場合には、

  • ・通知が債権譲渡登記の登記事項証明書によるものなら、証明書に記載された登記日時で先に登記が行われた譲受人が新しい債権者になります。
  • ・一方は登記事項証明書、もう一方は確定日付ある証書での通知である場合には、登記日時と通知が到達した日時の早いほうが優先されます。

という部分で判断しましょう。

 

ファクタリングでも通知や債権譲渡登記が用いられる

ファクタリングを資金調達の方法として利用したことがある方もいるでしょう。ファクタリングとは自社が保有する売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、早期に現金化して資金を調達する方法です。

ファクタリングにも種類があり、ファクタリングを利用する会社、売掛債権を買い取るファクタリング会社だけで契約を結ぶ2社間ファクタリング、そして売掛先も含めて取引を行う3社間ファクタリングがあります。

3社間ファクタリングでは、売掛先に対して債権が譲渡される旨の通知を行い、ファクタリング会社に直接売掛代金を支払うことを承諾してもらい、取引が行われます。

しかし2社間ファクタリングでは売掛先を取引に含めないので、通知や承諾という方法でファクタリング会社は対抗要件に備えることができなくなります。そこで、債権譲渡登記が行われるという流れです。

 

債権譲渡登記で売掛先にバレることはないのか

ただ、2社間ファクタリングを選ぶ中小企業のほとんどが、ファクタリングの事実を売掛先に知られたくないという理由のケースのため、2社間ファクタリングでも債権譲渡登記で売掛先にバレてしまうのでは?と不安になることもあるようです。

一般的に債権譲渡登記を行ったからといって、わざわざ登記所までその事実を売掛先が確認に行くとは考えられませんが、絶対にバレないとも言い切れません。

ファクタリング会社によっては、2社間ファクタリングでも債権譲渡登記は行わず、一旦、留保という形で取引してくれる業者もあります。

もし3社間ファクタリングは希望しない、2社間ファクタリングでも債権譲渡登記に不安を感じるという場合には、このような柔軟な対応が可能なファクタリング会社を選ぶことをおすすめします。

 

まとめ

債権譲渡とは債権を契約によって第三者に譲り渡すことです。債権の内容は変更せず、債権を譲り受けた方が新たな債権者となります。

ただ、債務者の立場としては買掛先に弁済すればよいのか、新たな債権者に弁済すればよいのか混乱してしまい、場合によってはトラブルに発展する可能性もあります。

そのため、債権を譲渡された譲受人は、自分が債権者であることを主張できるように、通知や承諾という形で対抗要件を備えることが必要です。

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