中小企業の資金調達の方法として、近年、ファクタリングが注目を集めるようになりました。しかしまだまだ認知度が高いわけではなく、とにかくつなぎ資金を緊急的に必要とする場合や、支払い期日が迫っているといった状況で、ファクタリングの手数料の相場などを知らず契約する方も少なくありません。
しかし、ファクタリング会社によって手数料設定は異なります。支払った手数料よりも安い手数料設定のファクタリングが多くみつかり、後でトラブルに発展するケースもみられます。
このようなリスクを回避するためにも、ファクタリングで必要な手数料の相場を理解しておき、適切なファクタリング会社を選ぶことができるようにしておきましょう。
目次
ファクタリング手数料は安いところとそうでないところがある
ファクタリングとは、保有している売掛債権をファクタリング会社に売り、現金を得る資金調達方法で、中小企業中心として人気が高まりつつあります。
人気は高まりつつあっても、ファクタリングにかかる手数料や割引率の相場を完全に把握できている方は多くないはずです。
ファクタリング会社は、目に見えない売掛債権を買い取ることになるので、かかえるリスクの大きさによって手数料も異なってくることを理解していきましょう。
ファクタリング手数料を決める基準とは?
ファクタリング手数料を決める基準には、次のような要素が関係してきます。
仮に10%を超える手数料を提示されたとしても、これらの要素を確認すると、その割合がけっして法外なものではないことが理解できるはずです。
手数料に含まれる諸費用が関係する
ファクタリング手数料には、ファクタリング会社の儲けになる部分だけでなく
- 債権譲渡登記にかかる司法書士に対する報酬
- 登記に関わる費用(印紙代など)
- その他交通費や紹介料
などの諸費用も含まれていますので、この部分だけでも10~15万円ほどかかります。
登記通知留保といって、登記は行わずにファクタリングが実施される場合には、司法書士への報酬や登記にかかる費用は発生しませんし、ファクタリング手数料には消費税はかかりません。
売掛先企業の信用力が関係する
ファクタリング会社が買い取ることになる売掛先企業の信用力が高ければ高いほど、手数料は低く設定される傾向があります。
もし売掛先企業が売掛代金を支払う前に倒産してしまった場合でも、ファクタリング利用会社は売却して現金化した売掛債権に対する責任は負わなくてかまいません。
倒産して回収できなくなる貸倒リスクはファクタリング会社が背負うことになるため、売掛先企業の信用力は審査の上でも重視される項目です。
一部、例外的に診療報酬債権や介護報酬債権を扱う医療報酬ファクタリングの場合、請求先は国ということになるため、貸倒リスクはとても低くなります。
3社間ファクタリングが必須ですが、手数料は3%以下であることがほとんどです。
2社間か3社間かによって異なる
ファクタリングにも2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがありますが、このうち2社間ファクタリングは売掛先企業に売掛債権が譲渡される事実の通知を行わないで実施します。
売掛先企業に自社の資金繰りが悪化していることについて、ファクタリングを利用する会社が知られたくないと希望する場合、2社間ファクタリングを選択する傾向が高くなります。
しかし、売掛先企業に通知しないということは、先々売掛先企業から直接入金される売掛代金の口座は、ファクタリング会社のものではなくファクタリング利用会社の口座ということです。
そのため、一旦、売掛先企業からファクタリング利用会社に入金がなされた後で、今度はファクタリング利用会社からファクタリング会社にその代金が入金されることが必要になります。
ただ、そのとき、もしファクタリング利用会社の経営状況が悪化しているなどで、入金された売掛代金が別の用途に使われてしまったらどうでしょう。
また、ファクタリング利用会社が売掛代金をファクタリング会社に支払う前に倒産することも否定できませんし、入金後にすぐ財産の差し押さえに合うことも考えられます。
ファクタリングは担保や保証人を設定しませんので、2社間ファクタリングの場合はそのリスクの大きさが、最大30%の手数料としてあらわれているといえるでしょう。
利用金額が関係する
他にも売掛先企業の年商によって手数料の相場が異なることもあります。やはり年商が高い企業は、それほど会社の信用力も高いと判断されるので、手数料相場も低く設定されやすいといえます。
また、売掛金の額面が高ければ手数料は低くなりやすいです。その理由として、売掛債権額が高ければある程度手数料を低くしても、ファクタリングで行われる業務上にかかる費用や時間コストをまかなうことができます。
そのため、業務上の利益が見込めるかで判断した場合、利用金額も大きく関係してくるといえるでしょう。
利用回数が関係する
初めてファクタリングを利用する場合よりも、2回目以降のほうが手数料は安くなるといえます。
ファクタリングの契約が初めてという企業の場合、ファクタリング会社の立場にしてみれば、もしかしたら貸倒れするかもしれないという不安がないわけではありません。
そのため、無事取引を完了させたことのあるファクタリング利用会社の場合、2回目以降には信用度も増しており、手数料を低く設定することができるといえます。
ファクタリング手数料の相場
ファクタリング手数料の相場は、結論からいえばそれぞれ次の掛け目(買取率)になるといえるでしょう。
そのため、2社間ファクタリングの場合は、買取売掛金額に対する10~30%、3社間ファクタリングの場合は買取売掛金額に対して1~5%が手数料の相場と考えられます
掛目とは
融資などで使われる担保掛目のことを指しています。万一、債務者が返済不能に陥った場合、債権者である金融機関は担保を売り、その費用を返済分に充てることになります。
ただ、担保の売却で回収を確実に行い、損失がでないようにするためには、担保の時価全額を融資するのではなく、担保価値に対する一定割合までの融資にとどめておくことが必要です。
この割合が担保掛目(掛目)で、ファクタリングは融資ではありませんが、考え方として掛目を用います。融資で対象となる資産に対する掛目と、ファクタリングの掛目は次のとおりです。
- 預金100%
- 国債90%
- 有価証券担保(上場企業)50~80%
- 不動産担保70~80%
- ファクタリング(売掛債権)80%~90%
まとめ
ファクタリング手数料は
- 売掛先の信用力の高さ
- 2社間と3社間のどちらのファクタリングを選ぶか
- 売掛債権額(利用金額)
- ファクタリングの利用回数(利用実績)
- どのファクタリング会社を利用するか
などに応じて変動します。
いずれにしても、ファクタリング会社が背負うことになるリスクが大きければ、その分手数料は高くなると理解しておきましょう。
そして最後は、依頼主が信頼できる方かどうかということです。多くのファクタリング会社は、売掛債権を買い取る前に面談を行いますが、このときに依頼主が信頼できる方なのかを見極めているともいえます。
これらも踏まえて、なるべくファクタリング手数料が安いファクタリング会社をみつけるためにも、複数社から相見積もりを取得し、手数料設定が良心的なファクタリング会社はどこか確認していく作業を行いましょう。
一括で見積もりを取得できるサイトなどを利用すると、手間がかからず金額を知ることもできますので、本業に専念するためにも余計な時間は削減できる方法を上手く活用してみてください。
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