借金の債権を売ることは可能?知らない会社から債権譲渡されたからと請求!

2019/07/08
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ある日突然、聞いたことのない業者などから借金の請求をされて驚くことがあるようです。差出人は債権回収会社で、譲渡を受けた債権を支払うような催促の内容で、そもそも債権を売ることが可能なのか?と疑問を感じることもあるようです。

近年、架空請求という被害に遭う方も多いため、本当に債権が譲渡されたのか気になるところでしょう。

そこで、債権を保有している会社が別の業者にその債権を売ることはあるのか、請求先の債権回収会社に支払わなければならないのかをご説明します。

 

債権回収会社から請求が!これって正規の会社?

債権回収会社から、債権の譲渡を受けたのでその代金を支払うように請求があったとき、まずはしばらく支払いが滞っている借金はないか、あらためて考えてみてください。

その上で、請求された書面の中に記載されている、何の借金なのか、譲渡した相手と譲渡された相手などを確認しましょう。

何の記載もなく、身に覚えのない代金の請求である場合や、もとの債権者が誰かわからない場合などは架空請求などを疑ったほうがよいです。

 

架空請求が疑われるケースとは?

架空請求が疑われる場合、相手に連絡をすると電話番号や個人情報を知られることに繋がるので、仮に問い合わせをする場合でも名前や住所、勤務先などを相手に伝えないようにしましょう。

特に次のようなケースにおいては、架空請求である可能性が高いと考えられます。

・送付された書面の入った封筒に、請求先の社名が印刷ではなく手書きされている場合
・請求書に記載のある連絡先が携帯電話である場合
・返済先に指定されている銀行口座の名義が個人名の場合
・ハガキで送付された場合、目隠しシールなどがない場合
・書面の送付ではなく、メールによる請求の場合

 

債権譲渡の対抗要件とは何なのか

そもそも借金などで発生する債権は売ることができるのか気になるところですが、債権譲渡は自由に行うことができます

債権譲渡において借金を支払う義務を負う債務者の許可を得る必要はないとされているものの、債務者に請求など取り立てを行う際には、もともとお金を貸した債権者から新しい債権者に債権が譲渡されたことを債務者に通知する、または債務者から承諾を得ることが必要です。

この対抗要件が具備されていなければ、新たな債権者は債務者に請求することもできませんし、仮に債務者が請求を受けても応じる必要はないとされます。

 

債権回収会社から請求前に通知が届いていなかったか

そのため、新しい債権者を名乗る債権回収会社から請求を受ける前に、もとの債権者からこれ以上返済が遅れるのなら債権を債権回収会社に売るといった内容の通知が行われていないか思い返してみましょう。

通知は譲渡を受けた新しい債権者からではなく、元の債権者から通知を受けていることが必要です。また、通知の際に通知を行う場合、その日に文書が存在していたことを証明する確定日付が付されていることが必要です。

 

●確定日付の通知方法

確定日付の通知を行う際には、一般的な文書の送付が行われることもあれば、内容や時期、送付先などを日本郵便が証明する内容証明郵便が用いられることもあります。

法人が債権を譲渡する場合は、債権譲渡登記を行えば通知を行っていなくても、確定日付が付された証書で通知されたものとみなされます。登記が完了したことで受領できる登記事項証明書を債務者に通知することにより、債権を譲渡した側、譲渡された側、どちらも対抗要件に具備されることになると知っておきましょう。

 

債権管理回収業が認められるには許可が必要

しばらく支払いを行っていなかった借金がある場合、お金を貸した債権者にとっては不良債権となるので、このまま放置していても債権が回収できないと判断された場合には、債権を回収することを専門とする会社に譲渡されることもあるということです。

ただ注意しておきたいのは、このような債権を取り立てる行為は、弁護士や弁護士法人、法務大臣の許可を受けた債権回収会社(サービサー)しか認められていません。

 

債権回収会社とは

債権回収会社は債権の回収を専門に行う民間業者であり、金融機関から債権を買い取ることで代わりに対象となる債権を回収したり、金融機関が保有する債権の管理回収業務を行っています。

債権管理回収業は、サービサー法という特別措置法に基づいて、資本金5億円以上、取締役に1名以上の弁護士を選任しているといった要件を満たした会社が、法務大臣の許可を受けることで行うことができる事業です。

 

許可を得ずに債権を回収する行為は違法

許可を得ていないのに債権回収業者を名乗って債権を回収する行為は禁止されています。仮に請求を受けても請求に応じる必要はありませんので、支払わないようにしましょう。

ただ、あまり耳にしない債権回収会社の名称に、正規の業者か見分けがつかない場合もあるでしょう。
この場合、法務省の債権管理回収業の営業を許可した株式会社一覧から、正式な債権回収会社(サービサー)かどうか確認してみると安心です。

 

債権回収会社から届く書類の内容とは

正規の債権回収会社からの書類なら、「催告書」「債権譲渡譲受通知書」といったタイトルの文書が届くはずです。

債権の支払いと今後の振込先口座名、問い合わせ先の電話番号などが記載されているでしょう。

もし支払いに応じなければ、法的手続きに移るといった旨の強い警告が記載されていることもあるので、驚いてしまうこともあるかもしれません。

すぐに支払いができない場合、支払う用意がある場合、どちらの場合でも、まずは電話で連絡をしたほうがよいといえるでしょう。なお、郵送書類に記載された電話番号と、公式ホームページの電話番号が一致しているか確認しておくと安心できます。

 

債権回収の仕組み

債権回収会社は、債権の回収を希望する企業から依頼を受けて債権を買い取ります。例えば100万円の債権を80万円で買い取り、差額が利益として受け取るといった形です。

回収が可能な債権なのか精査されることとなり、仮に債務者の居場所などが不明な場合は買い取りではなく、回収に成功した場合の成果報酬といった形が取られることもあるようです。

債権者に手紙やはがき、電話などで督促を行っても支払いがなされなければ、訴訟問題に発展することもあります。訴訟になった場合、裁判費用などを上乗せして請求されることもあるので、早めに返済したほうがよいでしょう。

 

保証協会や保証会社の代位弁済とは異なるのか

銀行融資の場面において、保証協会や保証会社を利用してお金を借りることもあるでしょう。

このような契約の場合では、支払いが遅れ返済できなくなった場合、保証協会や保証会社が代わりに銀行などに債務を一括返済します。この代位弁済が行われた場合、銀行などに対する債務は保証会社などから返済を受けているので消えてしまいます。

その代わり、代位弁済によって今度は求償権という債務が保証会社などに移動することになります。

お金を借りるときに保証契約を結んでいるため、債権譲渡のように事前の通知や承諾は必要ないまま行われても問題ない手続きです。

保証会社などに代わりに弁済してもらった後は、お金を借りた銀行などではなく保証会社などに返済を行うことが必要となります。

ただ、保証会社も債権の回収が難しいと判断すると、保証会社から別の会社にその債権が譲渡されることもあるので、権利関係が非常に複雑になるなど問題が大きくなりがちです。

保証が付帯された借金については、債権譲渡とは違った形で債権が移ること、移った後は保証会社などに適切に返済しなければならないことを理解しておくようにしましょう。

 

債権譲渡された場合の時効期間

現在、借金をしていても弁済期、または最後の返済から一定期間を経過すれば消滅時効が成立することになりますが、金融機関や金融業者からの借金は5年で時効となります。

では、もともとの債権者が時効期間を経過した後で、債権を第三者に譲渡した場合、借金をした債務者は債権を譲り受けた第三者に借金を放棄する表示である時効の援用ができるのでしょうか。

もし債権譲渡を行うことで時効の中断するのなら、債務者は債権を譲渡された第三者に時効の援用はできません。ただし、債権譲渡は時効の中断事由になっていないため、債務者は新しい債権者である第三者に、消滅時効を援用することが可能です。

 

異議を述べなければ時効の援用はできない?

先にも述べた通り、民法では債権譲渡は確定日付のある証書で債権を売る元の債権者から、債務者に対して通知を行う、または債務者から承諾を得ることで、債権譲渡について債務者や他の第三者に主張することができます。

ただしその通知が確定日付のある証書でなければ、債務者は債権の無効を主張することを可能となります。ただ、民法では債権譲渡について債務者が異議を述べなかったとき、債権を売った債権者に主張できる事由を、債権を譲り受けた新しい債権者に主張できないと定められています。

もし、時効を援用する権利が債権を譲渡された債権者に主張できる事由に含まれていれば、債務者が債権譲渡に異議を述べなかった場合、時効を援用することはできなくなるでしょう。

しかし、時効を援用する権利は債権を譲渡したもとの債権者に主張できる事由には含まれていませんので、債務者が債権譲渡に異議を述べなかったとしても、時効の援用には影響しないと考えられます。

 

債権回収会社に対する時効の援用

元の債権者から債権回収会社に債権が売却されたことで、新しく債権回収会社が債権者となっても、最後の返済から5年以上経過しているなど消滅時効が成立しているのなら、時効の援用ができる可能性があります。

もし、5年を経過した後に譲渡されていたのなら、消滅時効の用通知を債権回収会社に送付すればよいでしょう。

最後の返済から5年が経過するよりも前に債権回収会社に譲渡された場合には、仮に時効が成立することを期待して請求を無視しておけばよいと考えるかもしれません。

しかし相手も債権回収のプロですので、消滅時効が成立する前に訴訟など裁判手続きを請求することとなるでしょう。

 

金融機関ごとの時効の扱い

そもそも債権回収会社から催告があっても、無視を続けていればいずれは裁判所などから訴状や支払督促が送られてくることになってしまいます。

裁判所に訴えられたとしても、最後の返済から5年以上が経過しているのなら、裁判上で消滅時効の援用も可能となります。ただ、消滅時効の援用が可能なのに放置したことで、債権回収会社の請求に従った判決が出てしまい、時効が10年延長されることもあるので注意してください。

くりかえしますが、現在、借金の消滅時効の期間については、貸主と借主のどちらかが商法上の商人なら商事債権となり、5年で消滅時効を迎えることになっています。

 

貸金業者からの借金の時効

消費者金融など貸金業者からの借金は、相手が法人なら時効期間は5年、個人なら10年です。個人の貸金業者の場合でも、商人の営業として貸し付けを行っていれば商事債権に該当するため時効は5年となりますので、個人事業主が個人の貸金業者から事業資金を借りたなら時効は5年で迎えるということです。

 

信用金庫からの借金の時効

信用金庫は商人ではないとされているので、信用金庫からの借金の時効期間は10年となります。信用金庫からの借り入れでも、商人が事業資金を借りた場合は商事債権となるので時効期間は5年に短縮されます。

 

銀行からの借金の時効

銀行は商人なので、銀行からの借金の時効期間は5年となります。

 

保証協会の求償権

保証協会などが債務者に代わり債務を弁済した場合の求償債権の消滅時効は代位弁済した時点で進行します。

さらに保証協会は商人ではないため、時効期間は10年になると理解しておきましょう。ただ、商人である債務者の委託に基づき保証した場合には商事債権となるので、時効期間は5年となります。

 

民法改正後に時効は統一される

なお、2020年4月1日に施行される改正民法により、商事債権などには関係なく、債権者が権利を行使することができることを知ってから5年間、権利を行使することができるときから10年間で時効を迎えると変更されます。

 

まとめ

債権譲渡を受けた債権回収会社かあら請求を受けた場合、まずは放置している借金がないか思い出してみましょう。

その上で請求内容として記載されている債務に間違いがないか、債権を売った会社と譲渡先の会社などをも確認し、架空請求ではない場合には直ちに返済することが必要です。

ただ、対抗要件が具備されていなければ返済を拒否することができたり、消滅時効の成立により支払う必要がない場合もあります。

ただ、基本的には借りたお金は返すべきですので、請求のある内容に間違いがないかを十分確認した上で返済するようにしましょう。

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