資金調達で差し入れを求められる担保とは?なぜ融資で必要になるのか

2019/12/06
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銀行融資などで資金調達する場面では、担保を差し入れることを求められることもありますが、そもそも担保とはなぜ必要なのか、どのような理由で求められるのかご存知でしょうか。

そして担保として差し入れることが可能となるものと知られているのは不動産が一般的ですが、それ以外にもいろいろありますので考えもしなかったものが資金調達に有効活用できる可能性があります。

そこで、資金調達で必要となる担保とは何なのか、どのようなものが対象となり、何のために差し入れを求められるのか、担保にまつわる様々な疑問をご説明します。

 

担保はなぜ必要?差し入れる意味とは

担保とは、債務者が責務を果たさなかったときの損害を補うため、その備えとして預け入れるものといえます。

そのため、担保として債務者が債権者に差し入れるものは、不動産など価値の高いものがほとんどといえるでしょう。

銀行などは、資金の貸し付けを行ったものの返済がされなかったときには、担保として設定された不動産などの物件を差し押さえ、売却した代金を返済資金に充ててカバーします。

そのため、担保の有無により銀行も安心して貸し付けができるか変わってくるため、担保にできるものがあれば融資を受けることができても、ないのなら融資を受けることができないというケースも出てきます。

債務者が借りたお金を返すという債務の履行を確実にするため、お金を貸してくれた銀行などの債権者に対し、債務者が提供するものであり、その仕組みが担保なのです。

 

銀行や金融機関にとって貸し倒れリスク軽減のために必要なもの

債務者がお金を返済できない場合に備え事前に差し入れてもらうものが担保ですが、担保があることで銀行などの金融機関は貸し倒れリスクを大幅に軽減させることが可能となり、安心して融資しやすくなります。

そのため、融資を受けようとする利用者にもよりますが、信用力が低い場合などは担保があれば審査が通りやすくなったり、借りることができる金額も大きくなったり、低い金利が適用されるようになります。

また、担保を差し入れることで保証人を別途付ける必要がなくなるなど、いくつかメリットは増えます。

 

担保の種類を把握しておくこと

担保を取得する権利を担保権といいますが、法的には担保には物的担保人的担保がありますので、それぞれの違いを把握しておきましょう。

 

物的担保

物的担保とは物を担保として得ておくことであり、担保物権と呼ばれます。債権の回収を確実なものにするため、特定のものに担保を設定しますが、たとえば抵当権、質権、先取特権、留置権などがその種類として挙げられます。

一般の方で馴染みが深いものとして住宅ローンが挙げられます。住宅ローンでは、購入する家を担保として融資を受けることになり、融資が実行されると同時に法務局で購入する不動産に抵当権が設定されます。

もし利用したローンの返済が行われなくなれば、設定した抵当権が実行され、家は競売にかけられることとなり、その代金は住宅ローンの返済資金に充てられるという流れです。

物的担保の対象となるものは、土地や建物以外にも株券や国債などの有価証券、債務者が所有している財産などです。

 

担保物件にある優先弁済効力

担保物権には、もし債務が履行されなかった場合、他にも債権者が存在したとしても担保を設定している財産は他の債権者より優先して弁済を受けることが可能である優先弁済効力を持ちます。

そのため、銀行などが融資を行う上で物的担保をとっておくことは、貸した資金を回収する上でとても強力で有効な方法だからであるといえます。

 

人的担保

人的担保とは保証人などを付けることで、債務者が債務を履行しなかった場合には、債務の支払いを保証人に請求することが可能となります。

なお、保証人以外に連帯保証人や連帯債務者を付けておくことも人的担保とされますが、対象となる方の資力や返済能力なども重要になるので、誰でも保証人などに設定することが可能になるわけではありません。

また、不当な責任を保証人に負担させるおそれがあるなど、現在では保証人が負う責任には制限をするべきという考え方も強くなっているようです。

 

保証人と連帯保証人の違い

保証人と連帯保証人、どちらも名称は似ていますが大きく異なる部分があり、催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益が認められるかというところです。

催告の抗弁権とは、もし債権者に債務者に代わって返済を求めてきたとき、まずは先に債務者に請求を行うように求める権利のことです。

検索の抗弁権とは、債務者に換金できる資産などがあり、返済資力があると認められる状態で債務者に代わり返済するように請求された場合には、拒否することができる権利です。

そして分別の利益とは、複数保証人が存在する場合には、負担する返済額を保証人の人数で割った金額のみ負担すればよいという考え方です。

保証人の場合には、催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益のどれも認められるので、これらを主張することができますが、連帯保証人の場合には認められない権利となっています。

そのため保証人よりも連帯保証人のほうが責任は重く、万一債務者が返済できない状態になれば直ちにその負担を背負うことになると理解しておくべきといえます。

なお、銀行などで融資を受けるときに求められる保証人とは、連帯保証人であることがほとんどです。

 

担保が必要となる資金調達の方法

担保を求められる資金調達の例として挙げられるのが、不動産担保ローンや売掛債権担保ローンで、担保として対象となるものを差し入れることが前提となっているローンです。

住宅ローンなども同じく、担保として購入する家を差し入れることとなります。

銀行融資やビジネスローンは担保が必須条件ではないものの、融資審査において信用力が低いと判断される場合、担保を差し入れることができるのなら貸し付けを行ってもよいと判断されることもあります。

 

融資で担保を差し入れるメリットとデメリット

資金の融資を受ける際に担保の差し入れ行うことで、銀行は万一返済されなくなっても換金できる資産をおさえておくことが可能となります。

そのため、低金利で大口の貸し付けを行うことができるようになるので、多額の多額の資金が必要という場合には有効です。

借りたお金を完済すれば、担保として差し入れたものに設定された抵当権などは解除されますが、抵当権などを設定するときと解除するとき、どちらも登記手続きとその費用が発生することは理解しておきましょう。

 

差し入れる担保は流動性が大きいものほど価値がある

預金や上場企業の株式など、すぐに解約して引き出したり売却して換金することができるなど、スムーズに現金化できるもののほうが担保としては有効です。

不動産なども価値が高く担保として十分なのですが、実際に換金されるケースとは裁判所で競売にかけられた後であることが多いので、申し立てや予納金を入金するといった手続きや手間、費用が発生ししてしまい、現金化されるまでも時間がかかります。

そのため流動性が低いとみなされ、担保としての価値は低いと判断されてしまうこともあるようです。

 

担保にできるものにはどのようなものがある?

担保を差し入れれば融資による資金調達がスムーズになりやすく、有利な条件で借り入れが可能になるという点でもメリットがあります。

長期間に渡り返済計画を立ててしっかり返していきたいという場合に有効ですが、何でも担保として活用できるわけではありません。

そこで、担保として差し入れることが可能であるものとは何か、その種類と内容を把握しておくようにしましょう。

 

担保に活用可能なものその1:不動産

物的担保の中でもっとも一般的なものとして挙げられるのが土地や建物などの不動産です。

価格が安定していますし、大きな金額の融資が必要という場合には担保として利用されることが多い代表といえます。また、債務が履行されない場合には不動産登記で権利を移動しやすいこともその理由です。

 

担保に活用可能なものその2:銀行に預け入れている預金

銀行に預け入れている定期預金がある場合、その預金を担保に定期預金担保貸付を利用することが可能です。

定期預金とは、一定の期間を定めてお金を預けておき、満期までその預金を引き出すことはできませんが、その代わりに普通預金より高い利息が付くことが特徴です。

その定期預金を解約せず、担保として借り入れを行うのが定期預金担保貸付で、総合口座を保有しており、定期預金残高があることが条件で自動的に利用可能となるので面倒がないのがメリットです。

 

担保に活用可能なものその3:有価証券

株や債券、ETFやREIT、投資信託などの有価証券を担保として利用することは可能です。

大手証券金融などが取り扱っている有価証券の時価6~8割程度まで融資可能金額とされ、年率4%前後で設定されることが多いことから、カードローンなどで資金調達するのなら有価証券を担保に借り入れをしたほうが有効です。

 

担保に活用可能なものその4:知的財産権などの権利

著作権、意匠権、商標権、知的財産権など、権利も担保として利用することが可能です。

その中でも担保として利用されることが多いのは特許権で、出願から20~25年間保護される権利であることが特徴といえます。物や物の生産方法などの発明が保護の対象となる権利です。

 

担保に活用可能なものその5:売掛債権

売掛債権とは、商取引において発生した売掛金のことです。商品やサービスを販売・提供し、請求しているけれどまだ回収できていない売掛金がある場合、担保にして融資を受けることが可能です。

将来受け取る予定のお金を担保に融資を受けることができるので、比較的安心して利用しやすいことが特徴です。

 

売掛債権を担保にするのではなく売却することも可能

売掛債権を担保に融資を受けることもできますが、売却して現金化させるファクタリングという方法もあります。

ファクタリングの場合、借り入れを行うのではなく前倒しで売掛代金を受け取る形となるので、後の返済負担に追われることもなく、仮に利用後に売掛先が倒産してしまってもその弁済負担も負いません。

有効な資金調達の手段として中小企業にも多く活用されている手法なので、検討してみるとよいでしょう。

 

担保に活用可能なものその6:生命保険

加入している生命保険がある場合には、貯蓄部分として貯まっている解約返戻金を担保に契約者貸付制度を利用すれば借り入れが可能です。

解約返戻金は保険を中途解約する場合に払い戻される部分ですが、終身保険、養老保険、学資保険など貯蓄性の高い保険商品であれば利用できます。

 

担保に活用可能なものその7:在庫

在庫も資産ですので担保として利用可能です。仕入れた商品の在庫、製品在庫、原材料、貯蔵品など、在庫にもいろいろな種類がありますが、他にも加工食品、冷凍食品、建設機械、農作物、社用車といった流動資産も含まれますので、在庫を多く保有している場合には資金調達に活用することも検討してみるとよいでしょう。

 

担保に活用可能なものその8:工場の生産設備

事業を営む方で工場施設がある場合には、工場の土地や建物以外にも、機械や工具、工作物、生産設備に工場所有権などを含め、1個の担保とすることができます。

工場抵当法に基づく工場財団というものであり、工場財団登記記録に所有権保存登記を行うことで利用が可能となり、本来なら不動産として扱われることのない機械や工具、工作物など銅産物もまとめて不動産として扱ってもらえるようになります。

 

担保に活用可能なものその9:自動車

所有する自動車を担保に融資を受けることもできますが、まずは自動車の査定を依頼することとなり、査定額を上限とした融資の利用が可能となります。

トラック、バス、トレーラー、ミキサー車、タンクローリー、冷凍・冷蔵車など、事業用の商用車が主な対象となります。

また、貸金業者などでは個人向けに自家用車も担保としてローンを利用できるようになっていますが、自動車の査定額により融資金額が左右されることが特徴です。

 

担保に活用可能なものその10:年金

法律で唯一認められた年金を担保として融資を受ける制度である、独立行政法人福祉医療機構の年金担保貸付事業・労災年金担保貸付事業を利用することも可能です。

年金の受給者に限って利用が認められており、医療や介護、冠婚葬祭、生活必需物品購入など、必要な支払いに充てる資金の借り入れができるようになっています。

 

まとめ

担保とは、銀行などからお金を借りるときに、万一返済できなくなったときに備えて差し入れるものです。担保として差し入れることにより、本来なら融資を受けることができなかった場合でも可能になるケースがあります。

ただ、返済が滞り不能状態となれば、差し入れた担保は売却されて現金化され、返済資金に充てられることになりますのでその資産を失うことは理解しておきましょう。

また、担保の有無により、融資における審査の難易度や設定される金利、借り入れ可能となる金額などが変わってきますので、必要な資金調達の金額や目的、返済計画、ニーズに応じて上手く活用することを検討しましょう。

もちろん、担保の用意を行わずに資金を借り入れることも可能ですが、その場合、返済金額が少額になったり、短期で返さなければならなくなる契約となる可能性があります。

高額の資金調達や長期の返済計画に繋げるためには担保を差し入れて融資を受けるほうがよいですが、返済が滞れば大切な資産を失うことになるので、無理のない返済計画を立てた上で資金調達するようにしてください。

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