大手銀行が関与する銀行系ファクタリング会社では2社間はできない?
企業が保有する売掛債権は、ファクタリングという方法で期日より前に現金化することができます。そのため、急な資金を必要とするタイミングなどに、活用できる資金調達方法として近年注目を集めている手法です。
ファクタリングを扱う会社は、大手銀行の子会社である銀行系ファクタリング会社もあれば、親会社が金融機関などではない独立系のファクタリング会社などがあります。
大手銀行などが親会社となっているファクタリング会社のほうが安心できると考える方もいるでしょうが、銀行系ファクタリング会社を選ぶと希望通りのファクタリングが叶わない場合もあるため注意しましょう。
ファクタリングの2つの種類
ファクタリングには種類があり、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングがあります。このうち2社間ファクタリングは、売掛先企業に債権を譲渡することを知られずにファクタリングが利用できる方法のため、中小企業の多くは売掛先からの信頼が低くなることを恐れ、2社間ファクタリングを選ぶことが多くみられます。
中小企業が選びたい2社間は銀行系では無理?
注意したいのは、銀行系ファクタリング会社では、2社間ファクタリングを提供していないということです。
まず、2社間ファクタリングの場合、間に売掛先企業を挟まないことでファクタリング会社の抱えるリスクは大きくなります。
3社間ファクタリングであれば、売掛債権の売買が完了し現金化された後、期日を迎えた売掛代金は直接、売掛先企業からファクタリング会社に入金されます。しかし、2社間ファクタリングの場合、一旦ファクタリング利用会社に入金された後でファクタリング会社に入金してもらうことが必要です。
もしファクタリング利用会社が、売掛先企業から支払われた売掛代金を別の用途に使ってしまったら…。ファクタリング会社は大きな損失を被ることになるのです。
そのため、ファクタリング会社が2社間ファクタリングで売掛金を現金化する場合、3社間ファクタリングよりも手数料を高めに設定してリスクを許容できるようにする必要がでてきます。
銀行系ファクタリング会社は貸金業
しかし、貸金業に該当する銀行系ファクタリング会社が2社間ファクタリングを利用するとなると、利息制限法という壁が立ちはだかります。
利息制限法では、
- 融資元本が10万円未満の場合は年20.0%
- 融資元本が10万円以上100万円未満の場合は年18.0%
- 融資元本が100万円以上の場合は年15.0%
という金利を超えた手数料は受け取ることができません。
ファクタリングというサービスの位置づけ
ファクタリングは売掛債権の売買による資金調達の方法のため、ファクタリング会社は金銭を貸し付けるわけではく、貸金業に含まれません。
だからこそ、貸金業の登録を行っていない会社でも、ファクタリングをサービスとして提供することが可能になっています。
しかも、ファクタリングに似た仕組みである手形割引は貸し付けとして扱われるのに、ファクタリングはそうではなく、現時点では非常に曖昧な位置付けです。
結果として銀行系ファクタリング会社は2社間で取引できない
これらのことから、、貸金業として事業を営む銀行系ファクタリング会社は、位置付けが曖昧であり、手数料を高めに設定しなければリスクを許容できない2社間ファクタリングについて、サービスとして提供したくてもできない状況にあるといえるでしょう。
中小企業にとって2社間ファクタリングは必要な取引
申し込みから審査、面談、契約という迅速な流れを経て、即日現金化を可能とする2社間ファクタリングは、中小企業が急に資金を必要とした事態を支える大きな役割を担っていることも事実です。
すぐにでも資金を調達したいという場合、3社間ファクタリングでは間に合わない可能性もあります。
中小企業にとって2社間ファクタリングは必要な存在ですので、ファクタリングで即売掛債権を現金化しようと考えたとき、大手銀行が親会社となっている銀行系ファクタリング会社なら安心だと思っていたら思わぬ落とし穴にはまってしまう可能性があることを理解しておきましょう。