相見積もりのビジネスマナーってどんなことがあるの?
ファクタリングのように金額の大きなビジネス交渉を進める際は、必ず相見積もりを取るべきです。
この業界は手数料幅が大きく、相場も激しく変動しています。そのため、取引に不慣れな方が1社だけと交渉しても適正価格が得られるとは言えないからです。
ただし、相見積もりは「他社と比べる」行為です。礼節に厳しい日本社会においては、ビジネスシーンにおいても出来る限り、取引相手に対して敬意を払うことが求められています。
そこで今回は、相見積もりを取る際に覚えておきたいビジネスマナーと、見積もり選定から漏れた企業への断り方を徹底解説。
ビジネス現場ですぐにでも使える、厳選テクニックを紹介しようと思います。
ビジネスマナー1:相見積もりであること伝える
取引相手であるファクタリング業者には、見積もりを取る際に、「相見積もり」であることを伝えましょう。
伝えにくいと感じる方もいるかもしれませんが、相見積もりであることを隠したまま他社と契約すると、せっかく見積もりを出してくれた業者に失礼です。
また、業者側も相見積もりであることを察知すると、出来る限り契約が取れる条件を出してくるものです。
これは自社側にとって大きなメリット。業者側に「比べられることを意識してもらうことで、割安かつ優良な条件」を引き出せる公算が上がります。
相見積もりを伝える行為は正に、自社と業者側の双方にメリットのあるビジネスマナーです。
ビジネスマナー2:他社の名前を出さない
見積もり交渉は、他社の名前を伏せて行うものです。
時折、交渉時に他社の名前を引き合いに出す方もいらっしゃいますが、忙しいビジネスタイムを割き、見積もりを出している業者に対して失礼です。
もちろん、「ビジネス交渉だから仕方ない」と考える方もいるでしょう。確かに、相場よりも高い条件を提示された場合、交渉をせずに契約するという手はありません。
ただし、このような場合もあくまで、「名前は伏せて」交渉すべきです。金額交渉は名前を伏せたままでも行えますし、そちらの方が印象はグッと良くなります。
例:
× 「〇〇社は手数料15%を提示している。御社の方はもう少し安くできないか?」
〇 「比較したところ、他社は15%を提示している。御社と契約したいから安くしてほしい」
如何でしょうか。主張していることそのものに大差はありませんが、業者側の立場に立つと会社名を伏せて交渉を進めている方に、好印象を持つのではないかと思います。
ただし具体名を伏せた場合、家電販売店のように具体的な企業名を求める業者がいるかもしれません。
しかし、このような場合は「業者側に求められてから」対応を考えても、決して遅くないと言えるでしょう。
ビジネスマナー3:条件を統一して提示する
相見積もりを取る際は必ず「前提条件を統一」することが、ビジネスでありマナーです。
例えば、
A社に対して「8,000万円の売掛金を1カ月後に買い取って欲しい」
B社に対して「50万円の売掛金を明日までに買い取って欲しい」
と伝えるのでは、前提条件が大きく異なるため、得られた見積もりを比べてもどちらが本当にお得な業者なのか判断していることにはなりません。
また、既に繰り返し触れているところですが、ファクタリングの手数料は、単純な売掛金の額や入金日だけで決まるものではありません。
これらの材料をベースに、取引形態や特約の有無、自社や売掛先の信頼性や経営状態など様々な要素を審査します。
つまり、相見積もりを取る際は、業者側にこれらの「前提条件を統一」して伝えない限り、あまり正確な見積もりは得られないと見るべきでしょう。
マナーだけでなくビジネスの観点からも、前提の統一は必ず行うべき事案です。
ビジネスマナー4:期限や予算を明示する
見積もりを取る時は必ず、期限や予算を明示します。
期限や予算については、「大体これくらいの手数料を希望していますよ」と大まかな金額を伝えることで、ビジネスのミスマッチを防ぐことが可能です。
少し詳しく考えてみましょう。
お客さんから予算を聞いた業者側は、まず金額に従い見積もり書を作成します。
しかし、お客さんである自社側の予算感が不明の場合、提示された金額が「自社と業者の間で修正不可能なほどの溝がある」ケースが生じます。
例えば自社側が(内心)手数料2%を希望しているのに、業者側が35%の見積もりを提示したケースを考えてみて下さい。
多少の差なら交渉で埋めることができますが、一般的な感覚ではこれほどの乖離を埋めることはほぼ不可能です。
期限についても同様です。
ファクタリングはスピード感のある資金調達ではあるものの、全ての業者がそうであるとは言い切れません。
例えば、審査に1カ月を要する業者に対して、「3日後までにお金を用意して欲しい」という条件で見積もりをお願いしても、双方の意見がまとまる公算は低いでしょう。
最初からムリな案件について、無理な交渉を進めることは、ビジネス的にもマナー的にも大きな損失です。
そしてこれらの損失は、自社側が事前に期限や予算を伝えるだけで、簡単に防ぐことができます。
つまり、予算や期限の事前伝達は、最初からまとまる見込みのないビジネス交渉を防ぐためのテクニック。
大抵は業者側が訪ねてくるかと思いますが…自社側としても、必ず行うように留意するべきでしょう。
ビジネス交渉の断り方
では続いて、ビジネス交渉の断り方を見て行きましょう。
ビジネス交渉の断り方1:必ず連絡を入れる
見積もりを断る場合、黙殺してはいけません。
もちろん、普段から連絡を疎かにする方は少ないかと思いますが…資金調達に急ぐあまり連絡を忘れてしまうケースも、決して少ない事例ではありません。
中国の論語には、「君子固より窮す 小人窮すれば斯に濫る」と言うフレーズがあります。
これは、立派な人物は困っている時も道理に外れないが、つまらない人は困難に直面した時に道に外れた行為を行うという意味です。
窮している時こそ、本当の意味でのマナーが問われるべき部分。ビジネスシーンにおいても大きな教訓です。
ビジネス交渉の断り方2:理由を明示する
理由を明示してあげることも、見積もりを断る時のとても大切なポイントです。
見積もりを取った業者も賢い会社ならば、必ず「なぜ自社が選定から漏れたのか」を気にしています。
断る理由の根本的な部分は「他社の方が良かった」という結論しかありませんが、ここでもう少し詳しく、
〇 他社の方が手数料が安かった
〇 納期がどうしても合わずやむを得なかった
などなど、具体的な理由を明示して断ると良いでしょう。
自社側の視点では苦言を呈しているだけのように見えますが、相手先企業にとっては貴重なフィードバック。現代社会において、CS(顧客満足)を無視した企業が生き残ることはできません。
「何が理由で契約が取れなかったのか?」という貴重な情報を提供することで、見積もり交渉そのものがムダでは無かったと好意的に受け取ってくれるはずです。
ビジネス交渉の断り方3:感謝の一文を添える
見積もり作成は少なからぬ労力を要します。
そのため、たとえ交渉がまとまらなかったとしても、ビジネスとして見積もりを作ってくれた企業に対して、最低限の敬意は払うべきでしょう。
結論は変わらずとも、自社が感謝の気持ちを伝えることで、相手先企業の心証は多少なりとも違ってきます。