資金繰りがきついと感じるとき優先すべき支払いとは?
資金繰りがきついと感じたとき、資金を何とかして調達しなければならないけれど、とりあえず先にどの支払いを優先させるべきか?と考えてしまうものでしょう。
もちろん、どれも支払う必要のある費用であることはわかっていても、今すぐには無理!という場合、交渉しやすいところは後回しにしてしまいがちです。
ただ、支払いが遅れることで倒産や廃業に追い込まれる費用もありますので、もし資金繰りがきついとき、まずこれだけは先に支払わなければならないという費用についてご説明します。
資金繰りがきついと感じてもまずこの支払いは先に!
支払わなければならない費用があるのなら、どれも支払うべきものであることには代わりません。ただ、手元に限られた資金しかない状況で、優先させなければならない支払いは次のとおりです。
手形・小切手は真っ先に支払いを!
手形取引を行っている場合、当座預金の残高不足により期日に決済できなくなれば不渡りとなります。
不渡りを出すと不渡り処分を受けることとなり、すべての金融機関に不渡りの事実を知られることになるでしょう。この時点で金融機関との取引は難しくなりますが、この1度目の不渡りから6か月以内にまた不渡りを出せば、手形交換所で取引停止報告に掲載されることになるので、2年の間は当座預金取引や融資を受けることは不可能となります。
信用が失墜し、当座取引停止処分となれば、会社経営を継続することが難しい状態に追い込まれる、事実上の倒産です。
そのため、手形や小切手の支払いは真っ先に行うことが必要といえます。
社員の給与を遅延してしまうと?
長い社歴で社員とも家族のような付き合いをしている会社なら、現状を把握し事情を理解してくれて、給料が遅れてもよいと言ってもらえるかもしれません。
しかし、働く方は誰もが給料という労務の対価を得ることを目的としているので、もし給料が遅れたら生活が成り立たなくなります。
また、仕事しても収入を得ることができないと感じることで、遅刻しがちになったり、仕事に対する情熱やモチベーションも激減し、指示にも従わなくなる可能性があります。
そうなると商品やサービスの質は低下し、売上減少や退職者の増加などで事業を続けることは難しくなると考えられます。
人件費は遅れず払うことが必要なのです。
売上に直結する仕入費・外注費も遅れずに!
仕入れをして生産や製造し、商品として販売できるようになります。また、外注を依頼しなければ提供できるサービスの規模も狭くなるでしょう。
このように売上に直結する支払いは、やはり優先して支払うべき費用であると考えておくべきです。
仮にこれらの費用の支払いが遅れた場合、取引先から危ない会社だとレッテルを貼られ、その後の取引に影響を及ぼす可能性があります。
信用を失えばこれまで通りの商品やサービスを提供することは不可能となるので、売上も低下し資金繰りはさらに悪化します。
事業に欠かせないサービスを提供してもらう費用
会社が支払う経費はいろいろですが、事業を継続する上で欠かすことのできないサービスの提供に対する費用は優先して支払うべきです。
水道光熱費や通信費、家賃など、どれも支払いが遅れてその場にいられなくなったり、サービスの提供を停止されてしまうと、事業を続けることはできなくなります。
銀行融資の返済は?
では銀行融資の返済はどうでしょう。銀行は、期日通りに返済してもらう必要があると考えるのと同時に、取り立てを強化したことが原因で倒産されても困ると考えています。
そのため、銀行では返済条件を変更するリスケジュールが可能なので、もし返済がきついと感じるのなら、返済できなくなる返済日の数日前までに相談してみましょう。
厚生年金や税金も相談が可能
厚生年金はもちろん支払うべき費用ですが、納付期限までに納めることができず溜めてしまったとしても、事情を話して納付計画を立てることで、分けて納める分納も認めてもらえる可能性があります。
税金も滞納すれば督促状が送られてきますし、滞納していた期間に応じた延滞税が加算されます。実際、他の債務よりも回収の強制力が強く、自己破産しても免責されないので支払いを免れることはできません。
ただ、こちらも支払いができないなら相談は可能ですので、期日を過ぎたまま放置するのではなく、必ず一方入れてどのように納めていくか相談するようにしてください。
まとめ
資金繰りがきついときには、どの支払いを優先して、どれを後回しにしようと考えてしまうかもしれませんが、どれも支払うべき費用であることを理解しておくことが大切です。
もし先に入金される予定の売掛金がもっと早く回収できれば資金不足を回避できる!という場合には、ファクタリングで売掛金を売却し資金化する方法も検討してみるとよいでしょう。