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資金調達の種類と方法|それぞれのメリットやデメリット

資金調達2019/12/30

新規事業開拓や設備投資、日々の運転資金など、事業を営む上で資金を調達することは常に経営者に避けることのできない問題となります。

調達する方法は、大きく分けると負債を増やして資金を調達する・資本を増やす方法・保有する資産を現金化させる方法など種類があります。

どの種類が適切な資金調達の方法かは企業により異なりますが、それぞれ種類ごとのメリットやデメリットを踏まえた上で活用するようにしましょう。

 

負債で資金調達=デットファイナンス

銀行融資や債権発行など借入により資金を調達する方法で、調達先が多種多様にあることが利用する上でのメリットといえます。

また金融機関から資金を借りることで発生する利息は、会計処理上、損金として計上できることから節税に繋がります。

ただ、お金を借りることで負担しなければならない金額は元金と設定された金利による利息が含まれます。元金と設定された金利による利息を支払った分、キャッシュフローは減少することになりますし、融資を受けることで自己資本比率が低下することによる信用力への影響も理解しておくことが必要です。

 

デッドファイナンスのメリット

デッドファイナンスを利用して資金を調達する最大のメリットは、自己資本に対する利益率を向上させるレバレッジ効果です。

仮に自己資本が1千万円の企業が、設備投資としての資金には800万円しか充てることができないとします。

しかし銀行など金融機関から融資を受けて500万円資金を調達できれば、設備投資に1千300万円かけることが可能となり、800万円で投資したときよりも大きな利益を生み出すことができる可能性も見込めます。

 

デッドファイナンスのデメリット

金融機関から融資を受けるなら、不動産など価値が見込める資産を担保として差し入れなければならなかったり、保証人を付けるといったことを求められることもあります。

さらに設定された金利による利息を負担しなければならない点もデメリットとして挙げられるでしょう。その上、資金調達後に事業が思うように進まず赤字になったとしても、決められた期日には返済することが必要です。

 

デッドファイナンスの種類

負債を増やすということは金融機関などから資金を借り入れることになりますが、主な手法として挙げられるのが銀行融資やビジネスローンです。

銀行融資にも種類がありますので、銀行など金融機関が自行でリスクや責任を負う形で貸し付けを行うプロパー融資や、信用保証協会が保証する形となる制度融資などから選ぶこととなります。

また政府系金融機関である日本政策金融公庫などの融資や、一般的な民間の金融機関である銀行などからの融資は難しい事業者が利用しやすいビジネスローンなど、その種類は様々です。

いずれにしても期限を決めて金融機関から資金を借り入れ、元本だけでなく設定された金利により発生する利息を返済していくこととなります。

 

借入金・新株予約権付社債・普通社債

負債を増やす具体的な方法として挙げられるのが、借入金・新株予約権付社債・普通社債などです。

新株予約権付社債は社債として発行され、後に保有者が一定条件により株式へと転換させる権利を持つことになります。

普通社債は返済予定日のタイミングで、調達した資金により利益を上げて返済できるかが大きなカギとなるでしょう。

 

日本政策金融公庫の融資制度

政府が100%出資する金融機関が日本政策金融公庫ですが、スタートアップ企業や実績が十分でない事業者に対しても積極的に融資が行われます。日本政策金融公庫からの借入なら金利も低く、返済負担を抑えたいのなら有効な資金調達の方法となるでしょう。

ただ日本政策金融公庫からの借入制度にはいくつか種類がありますし、それぞれの制度に設定された要件をクリアすることが必要です。提出を求められる書類の準備に時間がかかることもありますし、直接日本政策金融公庫で面談を受けた後で審査が行われます。融資が実行されるまで一定期間がかかる点は留意しておきましょう。

 

制度融資

地方自治体などが信用保証協会や金融機関と連携し融資を行う制度で、万一借入後に返済ができなくなったときには信用保証協会が返済負担を肩代わりすることとなります。

貸し付けを行う金融機関も利用者がお金を借入後に返済できなくなる貸し倒れリスクを軽減することができるので、プロパー融資よりも審査のハードルは低くなることが特徴です。

ただ、信用保証協会が代わりに返済を行ってくれるといっても、借入分を返済しなくてよいわけではく、返済先が信用保証協会に変更されるだけです。

また信用保証協会による代位弁済が実行されれば、一気に信用力は低下してしまいますので、借入で資金調達したときには遅れず返済できるように計画を立てておくことが大切といえます。

 

ビジネスローン

無担保・無保証で融資を受けてお金を増やせることが特徴で、審査のハードルも低く設定されています。

銀行とノンバンク、どちらもビジネスローンはサービスとして提供されていますが、即日融資を可能とするのはノンバンクのみです。

また、審査のハードルが低めなのでお金は借りやすい分、設定される金利は高めなので返済負担が苦しくなる可能性があります。一時的な利用に留めておいたほうがよいでしょう。

 

流動資産担保融資(ABL)

在庫や原材料など資産を担保にお金を借入れる方法で、不動産など固定資産を担保にする不動産ローンと違い、流動資産が担保の対象となることが特徴です。

 

資本を増やして資金調達=エクイティファイナンス

株式を発行し出資を受けることで資金を調達しお金を増やす方法ですので、借入金とは違い返済義務のない資金を獲得できることが大きなメリットです。さらに自己資本も増強できるので、財務基盤も安定します。

 

エクイティファイナンスのメリット

仮に株主が1株1万円で購入した株式が、事業が軌道に乗らず千円まで下がってしまったとしても、企業はその補償を負担する義務はありません。

また、出資により集めたお金は自由に使うことができますし、担保や保証人を準備せず資金調達が可能となる点はメリットといえるでしょう。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などは、将来性が高く見込める事業や起業家などに出資してくれます。

ビジネスのアドバイスやノウハウ、サポートも受けることができるので、事業をスムーズに軌道に乗せやすくなることが期待できます。

 

エクイティファイナンスのデメリット

しかし買収や合併のリスクを抱えることとなりますし、株式数が増加することにより、投資家が保有する株式の保有数によって経営権を握られてしまう可能性もあります。

さらに収益が発生すれば配当金を支払う必要も出てくるので、その点は理解しておくようにしてください。

ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家などから出資を受けた場合には、必要以上に経営に関与されてしまうこともある点も理解が必要です。

 

エクイティファイナンスの種類

返済不要の資金を調達できることが最大の魅力であるエクイティファイナンスですが、種類によって注意しておかなければならない点は異なります。

 

株式

一般的に持分に応じた経営権が発生する普通株式と、配当金を多く分配する代わりに経営権が生じない配当優先株式があります。

発行した株式は誰がどのくらい保有するかによって、経営権が左右されてしまいます。

普通株式は資金を調達しやすいメリットがありますが買収や合併のリスクが発生し、配当優先株式は資金の調達は難しくなるものの買収や合併のリスクを抑えることは可能です。

そのため、ベンチャーキャピタルなど買収や合併をしかけてくる可能性が高いと考えられる場合は種類株式、そのようなリスクがない投資家には普通株式を発行するなどの株式設計が必要といえるでしょう。

 

私募債

証券会社などを通じて不特定多数の投資家を対象に募集する公募債と異なり、少数の投資家に引き受けを行ってもらう社債が私募債で、手続きが簡略化されていることから中小企業などでも活用しやすいことが特徴です。

 

クラウドファンディング

インターネットを通じて不特定多数の方から出資を募るのがクラウドファンディングです。事業内容やプロジェクトがインターネット上に公表されることとなり、その内容に賛同してくれた方から投資や寄付、購入という形で資金を支援してもらう方法です。

 

エンジェル投資家

エンジェル投資家と呼ばれる出資者は、自身が起業した方や長年企業経営された方などの成功者です。

将来、期待できると判断したスタートアップ企業に対して出資することが特徴ですが、出資を受けることで会社の所有権の一部となる株式を渡すことになります。

そのためエンジェル投資家が保有する株式の割合によって、経営権を揺るがされる可能性も出てくることは十分注意が必要です。

また、資金だけでなく経営に関するアドバイス、取引先の紹介など、事業を軌道に乗せるためのサポートも受けることができることがメリットですが、必要以上に経営に介入される可能性もあるので信頼できる投資家か見極めが重要となります。

 

ベンチャーキャピタル

高い成長率が期待できる未上場企業に出資を行い、ハイリターンを狙う投資会社がベンチャーキャピタルです。

出資した企業が上場したときに保有する株式を売却し、売却益を得ることが目的であることから、担当者が経営の指導やアドバイスを行うこともあります。

いろいろなサポートを受けることができることはエンジェル投資家と共通している部分ですが、エンジェル投資家は未来を担う新たな事業が誕生することを純粋にサポートしたいと考える傾向が強いのに対し、ベンチャーキャピタルは最初からリターン狙いであるため契約内容を確認した上で取引を行うことが重要です。

 

資産を現金化して資金調達=アセットファイナンス

保有している有形資産や無形資産を売却して現金化することにより資金調達する手法です。

そもそも保有している資産を換金するだけなので、信用力が十分とはいえない状況でも利用することができます。

 

アセットファイナンスのメリット

保有する資産を現金化して資金へ替える方法なので、比較的手早く資金を調達することができます。また、資産を貸借対照表から切り離すことにより、財務体質を改善させやすいこともメリットといえるでしょう。

 

アセットファイナンスのデメリット

不動産などの固定資産は売却するまで時間がかかることもありますし、そもそも売却して現金化させることが可能な資産を保有していなければ資金調達に繋がりません。さらに実際の資産価値と調達できる資金は同じではなく、価値よりも低い金額を得ることになる点はデメリットといえるでしょう。

なお、調達できる資金は資産価値の範囲内に留まる点は理解しておく必要があります。

 

アセットファイナンスの種類

保有する資産を売却することで現金に換える方法ですが、資産にもいくつか種類がありますし方法も異なりますので、その内容を事前に把握した上で活用するようにしましょう。

 

固定資産や債権の流動化

債権の流動化と資産の流動化という2種類がありますが、債権として挙げられるのは売掛債権や手形債権、リース債権などです。

それぞれ回収までの時期が長い債権を売却することにより、現金化を早めることができます。

また、使用しなくなった設備や不要な資産を売却すること、リースに出すといった方法も活用できます。

 

ファクタリング

保有する売掛債権をファクタリング業者に売却して、売掛先から売上代金が入金されるよりも先に現金化させる方法です。

利用するときには手数料が発生しますが、将来受け取る予定の債権を売却して資金を得ることになるので、利用者の信用力はそれほど重視されることなく審査のハードルが低いことが理由です。

ただ、売掛債権の信用力が高くなければ買い取りを拒否される可能性もありますし、買い取ってもらえても調達できる資金は少なくなる可能性があります。

 

補助金・助成金

厚生労働省が管轄しているのが助成金で、経済産業省が管轄するのが補助金ですが、助成金は雇用関係のものが多いので要件を満たすことにより給付されることになります。

補助金は起業家や中小企業が目的を達成するための資金なので、審査で採択されて給付されるか決定されます。

どちらも厳格な要件をクリアしなければ利用できませんし、資金を調達できるまで一定期間かかることが特徴です。また、支給されるのは後払いとなるなど、一時的に資金を立て替えることが必要になることが多いことがデメリットですが、返済する必要のない資金を獲得できることは大きなメリットです。

 

資金調達の種類|まとめ

資金を調達する方法は、負債を増やす方法・資本を増やす方法・保有する資産を現金化する方法がありますが、それぞれメリットやデメリットなど様々です。

借入により負債を増やして資金調達するデッドファイナンスは、レバレッジ効果を利用できることがメリットですが、ベンチャー企業などは利用しにくいことがデメリットです。

資本を増やすエクイティファイナンスは、返済義務が生じないことや資金を自由に使えること、担保や保証人などが不要であることはメリットですが、買収や合併のリスク、経営権を揺るがされる危険があることを理解しておく必要があります。

そして資産を現金化するアセットファイナンスは、手早く資金を調達することができることがメリットですが、実際の価値よりも低い金額で資金を調達することや、現金化が可能となる資産を保有していなければ資金調達できない点がデメリットといえます。

いずれもそれぞれ特徴は異なりますが、リスクが少ないのは保有する資産を売却して現金化させる方法であり、特に将来受け取る予定の売掛債権を売却することで資金調達できるファクタリングは中小企業に近年注目されている手法です。

中小企業は売掛金を多く保有しているものの、売掛先から代金が支払われるまでの期日が長く設定されていることで、資金繰りが悪化しやすい要因となっていることも特徴です。

売掛金の回収を早期化することで、実際の期日までに発生する支払いに充てる資金を獲得できますので、用途に応じて検討するとよいでしょう。

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