資金調達の一つの方法としてエンジェル投資家からの出資があります。
エンジェル投資家とベンチャーキャピタルを同じものとして捉えている方も多いのですが、実際には大きく異なっています。エンジェル投資家には独自の特徴もあるのです。
こちらではそもそもエンジェル投資家とはどういったものなのか、さらにはエンジェル投資家を利用するメリットとデメリットについてお伝えします。
特に起業直後で資金繰りに困っている方は必見です。
目次
エンジェル投資家ってなんだ!?
・創業間もない企業に対し資金を提供する個人を指している
エンジェル投資家の特徴は主に2つあります。
まずは資金提供する相手を「創業間もない企業」に絞っているところです。創業間もない企業に関しては、融資などによる資金調達は極めて難しくなっています。企業としての信用がないから、といった理由が隠れているわけです。
創業間もない返済のあてがないようにも見える企業に対して資金提供をするからこそ【エンジェル】と呼ばれているわけです。
もう一つの特徴は「個人」という部分です。
ベンチャーキャピタルに関しては組織となっています。複数の人々が資金を持ち合い、ベンチャーキャピタルとして出資をしているのです。ですから組織的な判断が優先されることになり、結果として柔軟な資金提供ができないこともあります。
一方でエンジェル投資家に関しては、個人で対応することになります。よって柔軟な資金提供ができることもあるわけです。ちなみにエンジェル投資家が集まってグループを結成することもあります。しかし基本的には彼らは個人で判断をして資金提供を実施しているのです。
・数千万円を基準とした出資をメインとして取り扱っている
家族や親類、そして知人からお金を借りるにしても1,000万円程度までが限度でしょう。
一方でベンチャーキャピタルに関しては最低でも1億円から2億円の出資を行っています。
エンジェル投資家は、家族・親類・知人とベンチャーキャピタルのちょうどあいだの資金提供を行っているのです。要は数千万円の資金を取り扱うことが多くなっているわけです。
親族からの資金提供では足りない状況でベンチャーキャピタルを利用するほどでもない、といったケースの利用に適しています。
・エンジェル投資家の見返りとは?
・株式
・転換社債
基本的には見返りはベンチャーキャピタルと同様です。株式や転換社債を受け取ることになるのです。
目的は基本的には株式の価値の上昇です。出資した会社が大きくなることによって、大きなリターンを得よう、と考えているわけです。
エンジェル投資家から資金調達するメリット4つ!
①創業間もない時期でも資金調達が可能である
②経営アドバイスを受けることが可能である
③数千万円程度の資金調達をするのに適している
④儲けだけを追求されるケースは少ない
【①業歴の短さがマイナスにならない】
基本的に資金調達には業歴の長さが大きく関わってきます。「業歴が長い=信用できる企業」と判断されるのです。
特に創業1年目や2年目の場合には、審査さえ受けられないこともあるのです。銀行融資やノンバンク融資に関しては断念しなければなりません。
エンジェル投資家からの資金調達に関しては、業歴が短いことが一つのポイントとなります。基本的にエンジェル投資家は業歴の短い企業にのみ出資をしているのです。
彼らは出資することによって株式を獲得します。その株式の価値が高くなるのが狙いなので、なるべく会社が小さな時期に出資をしたいと考えています。よって業歴が短い企業を中心に資金提供を行うわけです。
【②経営サポートが受けられる】
エンジェル投資家の多くは元起業家です。企業をして会社を経営し、一定の成功を納めた方がほとんどとなっているのです。
経営ノウハウを持っており、困った時にはサポートしてくれます。様々なアドバイスを求めることも可能なのです。
中には他業種に対して顔の広いエンジェル投資家も多く、様々なコネクションをいかして成功に導いてくれます。
個人の力のみでビジネスの世界を生き抜いていくのは難しいです。エンジェル投資家の資金力以外の力も利用する、ということも考えておきましょう。
【③調達額について】
数千万円の資金調達では足りなく、億単位の資金までは必要ない、というケースも有るでしょう。そういった時におすすめなのがエンジェル投資家なのです。
エンジェル投資家がメインとして取り扱っている金額は、1,000万円から1億円程度です。個人で行っていることが多いので、高額の資金調達はできませんがノンバンクのような数十万円や数百万の資金調達しかできない、ということもありません。
数千万円の調達を考えている方にはエンジェル投資家の利用がおすすめなのです。
【④エンジェル投資家の目的】
エンジェル投資家もリターンを求めていることは間違いありません。しかし彼らはこれまでに一定の成功を収めてきた人々です。純粋な経済的追求を超えた目的を持っていることが多いのです。
例えば
・新しいビジネスの発展に寄与したい
・新しい世代の発掘を行いたい
・自分の経験を有効活用したい
・自身の持っている人的ネットワークをいかしてビジネスに関わってみたい
といったものがあります。
ボランティアとは言いませんが、儲けだけを求めるのではなく自身の企業経営の力を試してみたい、といった気持ちが彼らを動かしているのです。
エンジェル投資家から資金調達するデメリット3つ!
①高額の資金調達には向いていない
②経営に口を出されてしまう
③審査が厳しい傾向あり
【①個人の資金力なので出資額は限定される】
銀行であれば数億円や数十億円の資金調達も可能です。銀行には資金が集まっており、企業としての体力もあるのです。
一方でエンジェル投資家はここまで説明したように、一応は成功者でありつつもあくまで個人となっています。個人の出せる金額は限られており、しかもエンジェル投資家が出資してもほとんどの企業が短期間で倒産します。よって1つの投資に高いリスクをかけられません。出資額は数千万円が限度となっているのです。
1億円以上の資金調達を行いたい、と考えている方は他の資金調達方法を検討しましょう。
【②経営への一定の影響力あり】
エンジェル投資家は出資者となるので、株主です。企業は株主の発言にはある程度は対応していかなければなりません。
特にエンジェル投資家の中には、自身の成功体験もあるので積極的に経営に口を出してくるケースも珍しくないのです。
経営に口を出されることが煩わしくなってしまうこともあるでしょう。出資してもらった後のエンジェル投資家との付き合い、という部分も考えておかなければなりません。
ちなみに提供する株式の割合によっては経営権が脅かされる可能性もあります。持ち株割合に関しては注意してください。
【③エンジェル投資家の審査について】
高く評価されなければ出資が受けられない可能性が高いです。
エンジェル投資家の出資は基本的には失敗に終わります。そもそも企業は創業してから3年以内に半数が倒産すると言われているのです。事業計画が魅力的であったとしても、現実はうまくいきません。
エンジェル投資家は初期投資の10倍以上の収益が5年以内に得られる企業を探しています。その条件に当てはまっていなければ出資を受けられない可能性が出てくるわけです。魅力的な事業計画であり、商品やサービスが他社よりも優れていると認められなければ出資を受けるのは難しいのです。
エンジェル投資家を納得させられるように、様々な資料を作成した上で審査に申込みましょう。
エンジェル投資家をネットで見つけるためのマッチングサイト
エンジェル投資家と出会いたくても、どこで探せばよいのかわからないという場合にはインターネットのマッチングサイトを活用しましょう。
インターネット上で公開されているマッチングサイトはいろいろありますので、どのサイトが利用しやすいのか、それぞれのコンセプトなどを確認した上で選ぶことをおすすめします。
一部ですが、インターネットで利用できるマッチングサイトを下記のとおりご紹介します。
起業したいという経営者、そして投資をしたいと考える投資家の思いを繋いでくれるのがマッチングサイトです。
ただ、マッチングサイトを利用する場合には、個人間で資金が動くことになることを理解し、投資家の経歴などをしっかり確認するようにしてください。コンタクトを取る場合には、個人や企業の情報管理には十分注意を払うようにしましょう。
まとめ
アメリカではベンチャー投資の法整備も進んでいます。しかし日本では法整備が追いついていないため、出資する側も投資を受ける側も取引にはリスクを伴うこととなるでしょう。
そのため、自身を知ってもらうだけでなく、どのようなエンジェル投資家なのかをよく知るようにしてください。
エンジェル投資家とは起業家に対して出資してくれる個人投資家のことで、多くは過去に経営者として成功した経験のある方ばかりです。
著名なエンジェル投資家に投資をしてもらい資金調達に成功すれば、自社の広報に繋がり、事業を円滑に軌道に乗せるためのアドバイスも受けることができます。
もし資金調達の方法に迷っているのなら、エンジェル投資家に出資してもらうことを検討してみてはいかがでしょう。
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