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経済産業省が推奨する資金調達の手法がより使いやすくなった理由

資金調達2020/10/13

中小企業などの資金調達の方法といえば、一般的に銀行などから融資を受けることがまず挙げられるでしょう。

しかし経済産業省は、中小企業にとって融資を受けることは簡単なことではないため、個人保証や不動産担保融資に依存しない資金調達の方法を推奨しています。

経済産業省が推奨している資金調達の方法は、売掛債権や動産を担保とする方法であり、その妨げとならないように債権法も改正され2020年4月に施行されました。

そこで、中小企業が円滑に資金調達するために経済産業省が推奨している手法とはどのような内容かご説明します。

 

経済産業省が推奨する資金調達の方法とは

日本の産業金融は銀行貸出がメインの間接金融が多くを占めており、中堅・中小企業の資金調達方法も銀行融資に頼ることがほとんどといえます。

しかしもともと資金力や体力が十分でなく、様々な要因で赤字に転じやすい環境にある中小企業は、銀行からスムーズに資金調達できているとはいえません。仮に借入れが可能という場合でも、不動産を担保として差し入れる、または代表者が連帯保証人となる個人保証による融資が一般的です。

日本の企業の99%以上は中小企業といわれている中、十分に資金供給できない今の環境は企業経営において良好とはいえない状況といえるでしょう。

そこで経済産業省は、不動産担保融資や個人保証融資に頼ることなく、スムーズに資金調達を可能となるよう在庫や売掛債権などを担保とした手法推奨しています。

 

在庫や売掛金を担保に融資を受けるABL

経済産業省の推奨する売掛債権や動産の活用方法として、その1つがABL(アセット・ベースト・レンディング)です。

具体的には、売掛金や在庫などの流動資産、営業用機械・設備といった動産などを担保として融資を受けます。

地価下落に伴って不動産担保価値が減少した場合の担保として、動産を活用できればスムーズな資金調達につながることでしょう。

 

ABLは経済産業省も推奨する資金調達の手法

ABLを資金調達に利用する企業にとっても、資金調達余力を拡大させることにつながります。

金融機関側も、不動産担保や個人保証に対する依存を軽減させ、融資先の資金の流れや在庫の状況で信用リスクの把握が可能となります。

ただしABLを実際に利用している企業は2%程度で、そもそも存在すら知らないという企業も少なくありません。

今後の中小企業への普及が期待されるところですが、利用して資金調達した企業などは売掛債権や在庫に対する管理意識が高まったというメリットを感じているようです。

売掛金や在庫を正確に管理しなければならないため、経営陣や従業員の財務体質への関心や意識を高めることにもつながるでしょう。

 

経済産業省が推奨する売掛債権売却で資金調達するファクタリング

ファクタリングとは、企業が保有する売掛債権をファクタリング会社に売却して、入金期日よりも早期に現金化させて資金調達する方法です。

売掛債権でも対象となるのは売掛金であり、商品納品やサービス提供の代金のうち、まだ取引先から入金されていない代金の請求権を譲渡します。

売掛金は掛け取引により発生しますが、取引先の支払いサイトが長ければ資金繰りは悪化しやすくなります。

商品納品やサービス提供から入金までのタイムラグが、会社のキャッシュフローをマイナスに導いてしまう要因になることもあるため、改善させる手法として活用できることが特徴です。

ファクタリングも経済産業省が推奨する売掛債権を使った資金調達の手法ですが、まだ日本では十分に周知されておらず、聞きなれない手法の名称に不安を感じる経営者もいることでしょう。

売掛債権を売却しなければ資金調達できないほど、経営が苦しい企業と取引先に懸念されるのは避けたいと考え、利用したくてもできないケースもあるようです。

しかし2社間ファクタリングであれば、取引先に売掛金を売却することを知られず現金化できますので、安心して資金調達が可能となります。

 

売掛債権譲渡の妨げとなっていた制限特約は無効に?

2020年4月1日からは、債権法改正により資金調達が円滑化されました。

経済産業省が推奨するように、弁済期日よりも前に売掛債権を担保にする、または譲渡して資金調達につなげたい企業は少なくないはずです。

しかし従来までの民法では、取引先と結んだ契約に譲渡制限特約が付されている場合、債権譲渡を無効とすることが可能でした。譲渡制限特約の存在が、中小企業の円滑な資金調達の大きな妨げとなっていたといえます。

そこで民法が改正され、契約上、譲渡制限特約が付されていても債権譲渡は原則有効という扱いになります。

またその一方で、これまでは保護されていた弁済の相手方を固定するという債務者(取引先)の利益は、債務者(取引先)が元の債権者(自社)に対する弁済や供託を認めることで引き続き保護されるとしています。

 

債権譲渡が契約解除の要因にはならない

譲渡制限特約が付されている債権でも譲渡できることは、中小企業が資金調達しやすい環境が整備されたといえます。

気になるのは、取引先との契約で譲渡を制限する特約が付されている以上、特約に違反したことを理由に契約が解除されてしまうのではないか?ということでしょう。

しかし改正法では、債権が譲渡された場合でも取引先の弁済先固定に対する期待は保護されているとし、資金調達目的で債権譲渡したことを契約解除や損害賠償の原因にならないとしています。

さらに譲渡が特段の不利益につながらないのに、取引を打ち切ることや解除することは合理性に乏しく、権利濫用などに該当するとしているようです。

 

まとめ

中小企業が円滑に資金調達できるように、銀行の不動産担保融資などに依存しない方法として、経済産業省は売掛債権などを活用した手法を推奨しています。

これまで債権譲渡の妨げの要因となっていた、譲渡制限特約を付された契約であっても、資金調達は可能です。

もし自社が商品を購入する側として契約を結ぶときにも、金融機関などに対する資金調達目的で債権を譲渡することを禁じない内容とすることを心掛けましょう。

また、取引先が譲渡制限特約を付した債権を資金調達目的で譲渡した場合でも、取引停止・契約解除・損害賠償の原因にはなりませんので不当な訴えなど起こさないようにしてください。

売掛先との契約においても、同様に譲渡制限特約が付されていても、資金調達に売掛債権を活用することをあきらめなくてよいということです。

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