経営方針に沿った行動を社員それぞれに意識してもらうためにも必要なのが事業計画ですが、業績向上にもつなげることが可能な書類であるため、その立て方を把握しておくことが必要です。
新型コロナウイルス感染症などの影響により、思うように売上が伸びないときや業績が上がらないことで悩んでいる経営者の方は、事業計画の適切な立て方を知り実行してみましょう。
目次
事業計画とはそもそも何を意味する?
事業計画書とは、販売・提供する商品やサービスに関してのアイデアや、新たなビジネスを立ち上げるための方法・手段・手順などを推進するために必要な事柄を文書化したものです。
既存事業や新しいビジネスの、コンセプト・事業環境や市場・事業収支・マーケティング方法などを計画し、分析・実行していくために必要といえます。
事業を営む上で具体的なフローを作成することを事業計画といいますが、その内容を簡潔にわかりやすく文書化したものが事業計画書です。
事業計画は本当に業績向上に必要?
たとえば昨年度の利益が出ていた場合には、今年度はさらに上を目指せるようにと考えるものでしょう。
しかし会社がどのような方向に向かうべきなのか、従業員は何を目標に営業すればよいのかわからない状態では、何を目指すべきかわからなくなってしまいます。
そのためにも自社の強みや弱点を明確にした上で、売上や利益を追求できる事業計画を立てて行くことが必要です。
事業計画の立て方で大切なことは現場の声にも耳を傾けること
事業計画の立て方は、まず今後3年間の中長期ビジョンを設定することから始めましょう。
たとえば4月からスタートするのなら10月あたりには決算予測に着手し、次に手を付けていく部分を社内会議などで議論します。
会議の前には事業部や部門ごとに、生産性を高めることや営業利益を向上させることについて考えてもらうことが必要です。
それぞれの部署から提案された案を取りまとめ、会議で議論を重ねながら見直すべきところや不足する部分を洗い出し、再度各部署へ戻し修正案を出してもらうという流れを繰り返します。
そのため計画が完成するまでには半年ほど時間もかかりますが、従業員一人ひとりの育成にもつながり、現場の声や意見なども取り入れることができるため業務への取り組みやモチベーションアップにもつながります。
業績アップさせる事業計画の立て方
事業計画を立てて業績アップにつなげていくのなら、その立て方において次のポイントを押さえておくようにしましょう。
事業計画で大切なのはビジョン
事業計画の立て方で、最初に明確にしておくことはビジョンです。
数年後の会社の理想の姿をイメージし、そのビジョンに応じた中長期的な経営方針を決めます。
逆算し、単年度の計画を事業計画として立てていきます。
銀行融資などの場面でも必要
銀行など金融機関から融資を受けるときや、投資家から出資してもらうときにも事業計画書は必要です。
そのときになって立て方がわからなかったでは済まされませんので、事前に計画しておくことが必要といえます。
特に事業資金を借入れる場合などは、返済能力が問われます。出資する投資家の立場になってみても、将来性のない事業に資金を投入しようとは考えないはずです。
将来に期待ができ、利益を生み成長できる企業だからお金を貸したり出資したり、お金を出してくれます。
事業計画書から、継続的に収益を生むことができる事業だと認めてもらうことが重要です。
業績向上を可能とする事業計画の立て方で必要なこと
業績を向上させる事業計画の立て方は、まず経営者と会社で働く従業員すべてが同じ価値観を共有していることが必要です。
普段から社員同士のコミュニケーションを大切にし、意見を述べたり言いたいことを発言しやすかったりという雰囲気を作っておくことが大切といえます。
経営者にとって、経理上の数字を社内でオープンにできるかという部分は、実際にはとてもハードルが高いと感じることでしょう。
事業計画の立て方で必要なのは、会社の従業員一人ひとりにも意見を出してもらうことなので、予算の計上にも関係する以上は経済状況を知ってもらうことになります。
儲けが出ていないことを知られたくないという場合もあるでしょうし、部門間の収益差が大きく出しにくいと感じることもあるでしょう。または利益が出ている場合には、数字を公表すると安心してぬるま湯に浸かってしまうのではないか…と不安を感じてしまうなど色々です。
しかし数字をオープンにしないままでは、社員教育にもつなげることはできませんし、コミュニケーションによる意見のキャッチボールもできません。
まず経営者を含め幹部が同じ志を持ち、業務を遂行していくことでその下で働く従業員や社員のよい手本となるはずです。
その上で伝えにくい財務情報などの数字なども公表し、業績アップしていくためには今後の方向性を決めなければならないことを理解してもらい、現場の状況や声をどんどん伝えてもらいましょう。
事業計画の立て方がわかったら計画書の作成を
事業計画の立て方がわかったら、決まった内容を事業計画書に落とし込んでいきましょう。
事業計画書は決まった書式はないため、インターネットなどのテンプレートやサンプルなどを参考に、ワード・エクセル・パワーポイントなどで作ってもかまいません。
ただ、最初は書式の項目を埋めていくのではなく、内容を言葉や図表などに自由にあらわしていくほうがよいはずです。
その上で最終的に次の項目を事業計画書に記載します。
- ・事業の目的
- ・事業のコンセプト(内容)
- ・マーケティング戦略
- ・売上や利益の予測
- ・資金繰り計画(開業資金や収支計画)
事業構想の骨組み
事業構想をわかりやすく端的に伝えるために、
- ・企業概要(会社名・事業形態・代表者・所在地・従業員数などの基本情報)
- ・創業者(経営者)の過去の経験・ノウハウ・技術・起業の動機など
- ・経営理念・事業の目的・将来のビジョン
- ・概要(事業内容)
- ・コンセプト(アピールポイント・ターゲット層・それに対し提供するサービスや販売する商品の特徴)
具体的な事業内容
事業の成功を見込むことができる客観的な検証と裏付けデータを項目ごとに示していきます。
- ・市場戦略(市場環境・自社の商品・サービスの独自性や差別化できる部分など特徴・たーゲット層の鮮明化)
- ・価格戦略(原価を考慮したターゲット層に受け入れてもらえる販売・提供する価格の設定)
- ・マーケティング戦略(ターゲット層に対するアプローチ方法など)
- ・仕入方法・生産方法(何をどこからどのタイミングで仕入れるかなど)
- ・事業上の問題点や発生する可能性のあるリスク
- ・競合他社分析(商品やサービスの品質・技術・価格・ブランド・販売方法などを他社と比較したときの強み・弱みなど)
- ・組織・人員計画(組織体制・必要な人員・募集方法・雇用形態・待遇条件など)
- ・事業のスケジュール(準備から事業を軌道に乗せるまでのスケジュールなど)
- ・協力者や支援者など(資金の調達先・顧客となる取引先・仕入先・技術やノウハウの提供先・顧問など)
資金計画におけるお金の裏付け
良い商品やサービスを販売・提供する場合でも、損益や財務の裏付けは欠かせません。数字のつじつまが合うように資金計画を作っていくことが必要です。
商品や事業ごとに、年・月別の売上数量・売上高・粗利益などの予測を立て、表に落とし込んでいきましょう。
さらに当初1年間における損益計算書も作成してみましょう。必要な設備や備品は何か、家賃・内装費・仕入れ代金・広告費・他諸経費などがいくらになるか予想し、月ごとの収支計算を表に落とし込んでいきます。
融資を受けて資金調達する場合などは、返済予定などを含め記載することが必要です。
まとめ
事業計画の立て方はわかりにくいと感じる経営者もいるでしょうが、しっかり計画して動かなければ目標を達成できず、事業を成功させることはできません。
経営者独自で計画を立てるのではなく、会社で働く現場の声や意見も含めながらまとめていくことがポイントです。
融資を受けるときも出資してもらうときも、説得力のある説明ができる事業計画のデータを提出しなければ認めてもらえないと留意しておいてください。
もし資金調達において事業計画に不安があるのなら、資金調達を専門とするコンサルティング業務を行っている会社などに相談するのも方法の1つです。
資金調達の方法として、売掛金を現金化させるファクタリングがありますが、ファクタリング会社などでコンサルティング業務も行っていることもあります。
手元のお金を増やす上でファクタリング以外の方法も提案してもらえるため、相談してみるとよいでしょう。
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