決算書を構成する貸借対照表や損益計算書などはなぜ必要?

2021/07/29
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決算書は財務諸表と呼ばれ、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書などで構成されていますが、そもそもなぜ必要なのでしょう。

そこで、様々なステークホルダーに提示することが多い決算書(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)はなぜ必要なのか、それぞれのあらわす意味についてご説明します。

 

決算書はなぜ必要なのか

決算書は当期の財務状況や実績を自社で確認するだけでなく、外部の利害関係者に対し明らかにする役割を担います。

利害関係者であるステークホルダーのうち、企業に出資している株主などは、投入した資金が適切に運用されているか確認したいと考えるものです。

その際、決算書があれば出資金の運用実態を知ることができるため、作成する必要があります。

 

財務三表の役割

決算書があれば、たとえば出資者である投資家に、どのように投入された資金が使われたのか報告できます。

財務三表は貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書から構成されますが、それぞれ次のようなことを確認できます。

 

貸借対照表

貸借対照表とは、出資されたお金がどのように使われたのかを説明するときに使います。

左側が資産、右側は負債・純資産に分けられますが、資産は調達したお金がどのように運用されたのかをあらわし、負債・純資産はどうやってお金を調達したかを示します。

 

  • 資産…短期間でお金にすることができるも
  • 負債…銀行からの借入れなど返済義務のあるもの
  • 純資産…投資家からの出資金や稼いだ利益など返済義務のないもの

 

損益計算書

お金がどのように活用されたのかその結果だけでなく、どのように儲けたのかその過程を説明するときには損益計算書が用いられます。

損益計算書の中では、次に挙げる5つの利益と5種類のコストを求めることが可能です。

 

5つの利益

  • ・売上総利益(商品やサービスの持つ力)
  • ・営業利益(本業により稼ぐ力)
  • ・経常利益(本業以外の費用など含めた利益)
  • ・税引前利益(税金を差し引く前の利益)
  • ・純利益(最終的に残ったお金)

 

5種類のコスト

  • ・売上原価(仕入れ代金など)
  • ・販売管理費(従業員に対する給料など)
  • ・営業外損益(銀行借入金返済など)
  • ・特別損益(特別な事情・トラブルなど)
  • ・税金(納める税金)

最終的な純利益から出資者に配当金を渡し、残ったお金が繰越利益剰余金として次の年度に繰り越されます、

 

キャッシュフロー計算書

 

売上が多く計上され利益が出ているはずなのに、手元の現金がほとんどないという場合、その状態が続けばいずれは黒字倒産してしまう可能性もあります。

会計処理は発生主義を基本とするため、売上として計上するのは代金を受け取ったときではなく、商品など販売したときです。

それにより利益は出ていても手元のお金がなく倒産してしまう企業もありますが、このような黒字倒産を防ぐために必要となるのがキャッシュフロー計算書です。

キャッシュフロー計算書には次の3つのキャッシュフローが表示されますが、それぞれ次のことを確認できます。

 

営業キャッシュフロー

会社が行う本業での資金の流れを把握するためのキャッシュフローであり、商品や原材料の仕入れ・経費支払い・商品や製品の売上などによる収支を表し、プラスであることが基本です。

 

投資キャッシュフロー

工場の建設や株の売買などによるお金の動きをあらわすキャッシュフローであり、マイナスであれば成長企業であることをあらわしますが、プラスのときには資金繰りが悪化したことで資産を売却しているのではないか疑念を持たれることがあります。

 

財務キャッシュフロー

銀行からの融資による資金調達や借入金返済などによる資金の流出入をあらわすキャッシュフローで、プラスなら借金が増えていることをあらわし、マイナスなら借入金の返済が進んでいることを示します。

捉え方を変えれば、先行投資など積極的に資金を調達し使用していることもあるため、プラスでも状況が悪いと判断できないこともあります。

 

財務三表から確認できること

損益計算書の繰越利益剰余金が増えれば貸借対照表の純資産の項目も増えていくことになるため、損益計算書と貸借対照表は原因と結果の関係にあるといえます。

損益計算書からわかることはどのような事業(商売)を行ったのかであり、貸借対照表からはその結果、何が残ったかを知ることができます。

そしてキャッシュフロー計算書は、お金の流れと会社の体力を確認するときに使われます。

 

決算書に関係する利害関係者の種類

利害関係者であるステークホルダーと呼ばれるのは、企業の規模などで異なるものの、主に次のような種類に分けられます。

 

株主・投資家

株主は事業が今後も継続し将来性が見込めるか、投資を続けるべきか決算書から読み取ります。

損益計算書の5つの利益と、自己資本比率・流動比率・固定比率など安定性や将来性を確認し判断することとなるでしょう。

 

取引銀行など金融機関

銀行などから融資を受けて資金調達するとき、貸したお金を予定通り返済できれば問題ないですが、返済が滞れば信用力を低下させその後の追加融資などは受けることができなくなります。

そして銀行側も資金を貸し付てもよい相手か判断するため、損益計算書の5つの利益・在庫・売掛金・借入金・雑損失・雑収入などを重点的に確認することとなるでしょう。

 

取引先

販売先・仕入れ先・外部委託業者といった取引先などは、新たに取引を行う際に契約の判断材料として決算書を確認します。
新たに取引を行う相手として問題ないか、掛けによる信用取引が可能な相手か、商品・サービスの提供だけでなく資金繰りに影響する相手でないか決算書から見極めることとなるでしょう。

 

従業員

会社経営において、人を雇用していれば賃金を支払うことが必要です。

経営成績が思わしくないことを理由に、給与や賞与を簡単に削減しれば現場の士気を低下させることになり、従業員の仕事に対する意欲は低下し商品やサービスの品も下がってしまいます。

結果として業績や顧客満足度にも影響することになるため、給与面でも満足でき安心して働くことができる環境を整備するべきです。

役員などは決算書から当期の反省点の他、次期以降に取り組まなければならない課題を確認し、新たな経営戦略を立てるといったことを行います。

ただ、役職ではない一般の従業員が決算書を確認する機会は中小の場合、経理担当者でなければないといえます。

 

顧客や地域社会

商品・サービスを最終的に購入する顧客こそが、最も重視されるステークホルダーとも考えられます。

中小企業の決算書を一般の顧客が確認する機会はほぼありませんし、特定の企業の決算書を地域社会の構成員が触れる機会も少ないといえます。

ただ、行政機関が実施する企業誘致などでは、申請企業の受け入れについて判断する際、決算書を確認することもあり、健全な運営ができているか重視されることになります。

 

まとめ

会社が期ごとに作成する決算書は、貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書などで構成されます。

それぞれ何をあらわし読み取ることができるか、その内容は異なるため、なぜ必要な書類なのか把握した上で企業分析などに活用しましょう。

また、ステークホルダーとされる利害関係者に対し、自社の経営状況など説明する上でも決算書は重要です。

ステークホルダーごとに確認したいと考える項目は異なりますが、いずれにしても健全経営ができてるのか、今後の将来性の見込みなどをチェックしていることは共通しているといえます。

どのステークホルダーにも優良な企業だと認めてもらうためにも、損益計算書上で利益が出ていることが望ましいといえるでしょう。

ただし利益が出ていても手元の資金が枯渇すれば会社は倒産してしまうため、同時にキャッシュフロー計算書などで資金の流出入についても確認しておくことが必要です。

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