法人が行う決算とはそもそも何のために必要な手続き?

2019/07/24
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法人が行う決算とは、1つの会計期間の経営成績、そして期末の財政状態を明らかにするために行う手続きとされています。個人でも法人でも所得に応じた税金を納める必要がありますので、どのくらい儲けが出ているかを示すためにも決算書作成は欠かせません。

決算において作成される決算書は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書で構成され、これらの書面により企業の経営状況などが見える化されます。

 

決算は法人にとっての一大イベント

法人決算は会社にとって年に1度の大きなイベントでもあります。

決算書の作成だけでなく、各種税金の申告・納税を行い、決算書類は保存しておくことも必要です。それぞれの会社が決めた事業年度の翌日から、2か月以内に税金の申告・納付を行うこととなります。

経営状況は株主、取引先企業や金融機関などにも示すことが必要であり、税金の申告を行う上でも必要であり、現状を数値で把握する上でも必要ということです。

新たに事業を始めてよいのか、それとも事業規模を縮小したり、主力となる事業を変更するべきかという経営判断の指標にもなるのです。健全な経営のために、欠かすことのできない手続きであるといえるでしょう。

 

決算日や会計期間は自由に決めることが可能

期末において決算の手続きをする日が決算日ですが、会社ごとでいつを決算日にするか決めることができます。

公共機関が3月に年度末を迎え、4月から新しい事業年度を開始することから、3月31日を決算日にしていることが多いようです。

ただ、税理士などに会計処理を委託している場合、混みあうのでゆとりを持って決算を行いたいのなら、会計期間をずらしたほうがよい場合もあります。

また、個人事業の場合は1年の会計期間を1月1日から12月31日までと決められていますので、12月31日が決算日となります。

法人の場合は会計期間をいつにするのか特別な決まりはありませんので、事業内容によって繁忙期などを避けた設定にしたほうが、本業に集中しやすくなるでしょう。

なお、上場企業の場合は、四半期ごとに財務諸表を作成し、株主などに報告することが義務付けられています。

 

決算手続きの流れ

決算を行う場合、手続きの主な流れは次のとおりです。

  1. 決算整理前の試算表作成(総勘定元帳の記録をもとにして決算整理前の試算表を作成します。)
  2. 決算整理仕訳を行う(決算のときのみ発生する整理仕訳を行う決算整理が必要です。)
  3. 決算整理後の試算表作成(決算整理の仕訳を総勘定元帳に転記し、その記録をもとにして再度、決算整理後の試算表を作成します。)
  4. 帳簿を締め切る(作成した帳簿を締め切り、次期に備えます。)
  5. 損益計算書・貸借対照表の作成(経営成績をあらわす損益計算書、そして財務状態をしめす貸借対照表を作成します。)

 

会計処理上の決算と実務上の決算

 

会計処理上の決算だけでなく、実務上の決算手続きも必要です。

作成した決算書をもとにして、税金を納める申告書の作成を行いますが、先にも述べたとおり法人の税務申告は決算日から2か月以内となっています。

 

決算書を構成する重要な財務三表

決算書は、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書、そして株主資本等変動計算書などにより構成されます。

このうち、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書は財務三表と呼ばれ、お金をどのように調達し運用したのか、利益はどのように生み出されたのか、実際の現金の流れなどを把握する上で大切な書類です。

この財務三表で何を読み取ることができるのか把握しておくことが重要となります。

 

損益計算書

企業の純粋な利益を知る上で必要な書類であり、企業の粗利益である売上総利益、粗利益から費用を差し引いた営業利益、本業以外の収益や費用をまとめた経常利益、一時的に発生した損益を含む事業活動の利益である税引前当期利益を確認することができます。

最後に、法人税など税金を差し引いた純利益と呼ばれる当期利益が算出されることになり、純粋な今期の利益として示されます。

 

貸借対照表

会社が所有する資産、支払義務を負う負債、資産から負債を差し引いた残りである資本(純資産)を確認できる書類です。

企業の財務体質を判断するための指標となる自己資本比率は、

純資産÷総資産×100=自己資本比率

で求めることができますが、数値が50%を上回っていることで安定した財務状況であることが確認できます。

 

キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書は現金の流出入をあらわす書面ですが、その流出入が、営業活動によるものなのか、それとも投資活動や財務活動によるものなのか把握できるように、これら3つの区分で示されます。

営業活動によるキャッシュフローは、事業の営業活動で生んだキャッシュの流れを示しますので、プラスになれば資金繰りに余裕があると把握できます。

投資活動によるキャッシュフローはどのくらい設備や株式など投資活動にお金を使ったのか、財務活動によるキャッシュフローは借入金の増減や返済状況などが反映されることになります。

 

決算書は正しい数値で作成することが重要

決算書の数値が悪いと、銀行融資の場面で不利になることを恐れ、不正な会計処理で実態と異なる数値を用いた偽の決算書を作る粉飾決算は行わないでください。

資産や負債を意図的に操作し、利益を水増しすれば本当は赤字なのに表向きは黒字に見せることができるので、銀行からも評価され融資が受けやすくなると考えてしまう経営者もいるようです。

また、財政状態を実際より過小に見せれば、税金の支払いや株主への配当を抑えることができると考えたり、裏金捻出のために資産を隠蔽して財政状態が悪化しているように見せることもあるようです。

売上を過大、または架空に計上したり、収益計上時期を繰り上げたり、あるはずの借入金を過少に計上するといった方法が用いられます。

資産が増え経費が減少するような決算書の操作、またはこの反対に資産が減少して経費が増加した決算書など、いずれも正しい数値でない申告になるのでけっして行ってはいけない行為です。

 

刑事上・民事上の責任を問われることに

会社の財政状況から投資を行うか株主が判断することを考えれば、正確な判断ができなくなってしまいます。

また、銀行融資の場面においても、与信などの判断を誤ってしまうことに繋がるので、粉飾決算により作成された決算書で融資を受けた場合、詐欺行為ととらえられれば刑事上・民事上の責任を問われることもあると理解しておきましょう。

違反行為を行ったことで罰せられるだけでなく、社会的な信頼を失うといった制裁を受けることにもなります。

すでに借り入れている銀行からの借入金の返済を求められたり、当然ながら新規で融資を受けることはできなくなるでしょう。

 

粉飾決算を考えてしまう理由

銀行は、業績が良好で経営が安定している会社にはスムーズに融資を行おうとします。しかし、本当に資金に困って何とかして調達しなければならないという窮地に立たされた企業には冷たく、審査の段階で断られてしまうことが一般的です。

中小企業が銀行から融資を受けようと思っても、一部の優良な企業に貸し付けが集中している傾向が見られ、経営状況が悪化している企業はいつまでも銀行から融資を受けることはできません。

また、決算書の数値が悪ければ投資家からの資金も集まりにくくなるので、財務状況が良好である状態を示す必要があるのです。

だからといって粉飾決算により、株主や銀行を騙す行為は決して行ってはならないことを肝に銘じておく必要があります。

 

まとめ

決算は法人が1つ事業年度分の取引を集計し、整理するための手続きです。

年度末に慌てて様々な書類を揃えなくてもよいように、日頃から会計処理を適切に行い、スムーズに決算手続きを行うことができるようにしておきましょう。

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